さあ、あなたの暮らしぶりを話して



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    初公開日(参考)2004年08月
    分類

    長編小説

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    さあ、あなたの暮らしぶりを話して (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

    2004年08月18日 さあ、あなたの暮らしぶりを話して (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

    アガサ・クリスティーの夫マックスは、著名な考古学者であった。しばしば夫婦は中東の地へ発掘旅行に出かけ、彼の地で実り多い時を過ごしている。二人で第二次大戦前に訪れたシリアでの発掘旅行の顛末を、ユーモアと愛情に溢れた筆致で描いた旅行記である本書は、また豊かな生活を送った夫妻の結婚記録でもある。 (「BOOK」データベースより)




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    No.6:
    (5pt)

    アガサ・クリスティーの14歳年下の考古学者の夫との発掘旅行記

    『さあ、あなたの暮らしぶりを話して』(アガサ・クリスティー著、深町眞理子訳、ハヤカワ文庫)は、ミステリではなく、シリアでの発掘旅行記です。

    推理作家・クリスティーには、再婚した14歳年下の考古学者、マックス・マローワンの妻という側面があり、彼女は結婚直後から夫の発掘旅行に同行し、それが丸30年間も続きます。

    二人が仲のよい夫婦で、実り多い結婚生活を送ったこと、他人を評価することにおいて、夫の人物鑑識眼に敬意を表していること、行く先々の土地の人々や環境を的確に観察していること――が、本書から伝わってきます。

    シリアでの発掘旅行に向かうための荷造りの場面。「マックスの部屋をのぞくと、さながらその立方体のスペース全体が、書物で埋まっているような印象を受ける。その本の山のわずかな隙間から、マックスの苦悩に満ちた顔がちらりと見てとれる。『きみ、どう思う? これだけのものをぜんぶ持っていくスペースがあるかな?』。彼はたずねる。・・・彼は2巻の大部の書物を、わたしのシャンタンのスーツの上に力まかせに押しこむ。わざわざスーツケースのいちばん上になるように気を配って、ふんわり置いてあったのに。わたしは悲鳴をあげ、抗議するが、もはや手遅れだ。・・・『なんだい、これは?』。見てのとおり、ドレスだとわたしは答える。『これはおもしろい。胸から裾にかけて、ずっと豊饒のモティーフがついてる』と、マックス。考古学者と結婚していて当惑させられることのひとつは、ごくありふれた、なんでもないパターンの起源とか由来について、彼らが多彩な専門的知識を有していることだ!」。

    「マックスのほうは、『現在』においてお茶を飲んでいるが、心はざっと紀元前4000年あたりをさまよっている」。

    「いまや生活は一定の習慣どおりの日課に落ち着く。毎朝、マックスは未明に起きだし、墳丘へと出かけてゆく。たいがいわたしも同行するが、ちょくちょく家に残って、ほかの仕事をすることもある。たとえば、土器その他の発掘品の修復、ラベル貼り、ときにはタイプライターでわたし本来の職業にいそしむこともある」。

    「完全に疲労困憊して、痛みに悩まされつつ眠るというのも、あながち悪いことばかりではない。なによりうれしいのは、翌朝、心も晴ればれと、元気いっぱいにめざめたときの驚きと、そのすばらしさだ。わたしは体じゅうに精気が横溢しているのを感じ、猛烈な空腹感を覚える。『ねぇアガサ』。マックスが言う。『ゆうべはきみ、熱があったんじゃないのかな。うわごとを言ってたもの。しきりにマダム・ジャコーのことを言ってた』。わたしは彼にさげすみをこめたまなざしを投げ、口がきけるようになるのを待つ。なにしろ口のなかは、こちこちに焼いた目玉焼きでいっぱいなのだ。それから、やっと言う。『ばかばかしい! あなたがちゃんと耳を傾ける気になりさえすれば、わたしの言う意味ははっきりわかったはずなのに。たぶん頭のなかは、バリーフ河ぞいの墳丘群のことだけでいっぱいだったんでしょうよ――』。『しかし、きっとおもしろいはずなんだ』。たちまちマックスは膝をのりだす。『あれらのテルからいくつかを選んで、何カ所か試し掘りをしてみたら・・・』」。

    「わが調査隊の新しい建築技師、マック。彼のことは、わたしもまだほとんど知らない。数日ちゅうに、このマックを加えたわたしたち3人は、発掘に適した有望な遺跡を探して、3カ月にわたる調査旅行に出発することになっている。・・・昼食がすむと、マックスがわたしに、マックをどう思うかとたずねる。わたしは用心ぶかく、ずいぶん口数のすくないひとみたいね、と答える。そうなんだ、だからいいのさ、そうマックスは言う。きみにはとてもわかるまいが、砂漠のまんなかで、ぜったい口をつぐもうとしない相手とつきあうはめになったら、その悲惨さたるや目もあてられない! 『マックを選んだのは、どうやら寡黙なタイプらしいと見てとったからだよ』」。

    「夜になってふたりだけのテントで寝袋にもぐり、昼間の出来事を縷々マックルに話して聞かせる段になると、わたしは強力に自説を主張する。つまり、あのマックは、どう考えても人間じゃない、そう言いたいのだ! マックが珍しく自分からなにか言いだすことがあれば、それはたいがい、その場の気分に水をさすたぐいのものと決まっている。どうやら彼にとっては、なににつけてもことごとに異を立てるというのが、一定の陰気な満足を与えてくれるらしいのだ」。

    「後刻、わたしとふたりで寝袋にはいってから、マックスは言う。『言っただろう、マックは掘り出し物だって。なんてったって、第一級の胃袋の持ち主だからね! なにがあろうとへっちゃら。ぎとぎとの脂だろうが、黒泥だろうが、なんでもこい、いくらでも詰めこめる。しかも、ぜったいと言っていいほど、口をきかないときている』。わたしは言う。『あなたにとっては、それは結構なことでしょうよ。あなたもハムーディも、しょっちゅうげらげら笑って、しゃべりまくってるんだから。でも、このわたしはどうなるのよ!』。『なんできみがあいつともっとうまくやれないのか、さっぱりわからないよ。努力はしてるのかい?』。『いつだってしてるわよ、努力なら。でもあのひとは鼻であしらうだけ』。マックスはこれを愉快な返事だと受け取りでもしたらしく、ひとしきりくすくす笑う」。

    やがて、クリスティーもマックを見直す時がやってきます。「マックがスケッチをしている。墳丘のスケッチだ。かなり形式化された風景だが、それでもわたしはすっかり気に入ってしまう。画面には人影はまったく見あたらない。ただ曲線とパターンのみ。わたしははじめてこのマックが、たんに建築技師であるだけでなく、芸術家でもあることをさとる。そして彼に、わたしの新しい本のカバーをデザインしてくれるように頼む」。

    「クルドの女たちは、陽気で、きりっとした目鼻だち、好んで明るい色を身につける。頭には鮮やかなオレンジ色のターバン、服は緑や紫や黄色など。つねに背筋をしゃんとのばし、頭を高くもたげて、後ろに反りかえるような姿勢を保っているので、いつ見ても誇り高く見える、肌はブロンズ色、目鼻だちはととのい、頬は赤く、たいがい目は青い。いっぽう、クルドの男たちはみんな、むかし幼いころにわが家の子供部屋にかかっていた、キッチナー将軍の色刷り写真に驚くほど酷似している。赤銅色の顔、大きな褐色の八字ひげ、まっさおな目。猛々しく、武人らしい容貌だ。この地方には、クルドの村とアラブの村とがほぼ同数存在する。どちらも似たような暮らしをし、おなじ宗教に属しているが、それでいて、クルドの女とアラブの女とを見まちがえることはけっしてない。アラブの女は、例外なく控えめで、内気であり、話しかけると、目をそらす。こちらを見るとしても、遠くからだけだし、ほほえむとしても、はにかみがちで、顔も半分がたそらしたままだ。たいがいは黒か、黒っぽい服装をし、ぜったいに女性のほうから男性に近づいて、話しかけることはない。それにひきかえ、クルドの女たちは、男性と対等が、対等以上であることを疑っていない。どんどん家から出てきて、どんな男にも冗談を言い、愛嬌たっぷりに世間話をする。平気で夫をとっちめたりもする」。

    「(イェジッド族の)聖地であるシーク・ハディは、モースル近くの、クルド人の多く住む丘陵地帯にあり、その付近を発掘したとき、わたしたち夫婦はそこを訪れてみた。世界広しといえども、おそらくここほど美しい、ここほど平和な里はないだろう。・・・空気はさわやかで、新鮮かつ清澄である。・・・このあたりの人心はまことに純粋なので、クリスチャンの女性も、裸で清流にはいって水浴びができると言われている。やがて、唐突に、山道の向こうに白い聖堂の尖塔があらわれる。・・・堂内から出たわたしたちは、中庭にすわって、そこのひんやりした静けさと安らかさとにひたる。ふたりとも、この山中の聖域を離れて、現世の混迷のなかへともどってゆくのが心残りでならない・・・。シーク・ハディこそは、わたしの生涯忘れられない場所だ。また、そのときわたしの魂をとらえた完全な安らぎと満たされた思い、それらも忘れることはないだろう」。
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    No.5:
    (5pt)

    アラブ人を少し理解できるかも

    ミステリーの女王アガサ・クリスティーの書いた随筆である。彼女の年下の夫は考古学者で、1930年代、夢中になってシリアの遺跡を発掘していた。アガサはその夫についてシリアを訪れ、ミステリー小説を書く一方、彼らの日常を観察しその記録を残したのだ。彼女らキリスト教圏の人から見ると、アラブ人(イスラム教徒)の死生観はかなり隔たっていたようだ。便秘に苦しみながら一方、治療のために浣腸されることは絶対嫌で、そんなことをされるくらいなら「名誉ある死を選ぶ」と本気で思っている人たちがゾロゾロ登場してくる。発掘仲間の英国人(スコットランド人)にも変わった人が出てくる。彼女の人間観察は微に入り細に入っており、またユーモアに満ち溢れた書きっぷりで、読んでいて全く飽きない。なお登場人物が多いので、メモを取りながら読み進めることをお勧めします。
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    No.4:
    (3pt)

    可もなく不可もなし、だが…

    アガサ・クリスティーが、夫で考古学者のマックス・マローワンと
    中東に発掘旅行に出かけたときの様子を綴った旅行記。

    おそらく本書を読もうと思った多くの人は、
    熱心なクリスティー・ファンだろうと想像する。僕もそのひとり。
    逆にいえば、ファンでなければ手に取ることのない本でもある。

    というようなわけで、内容的には可もなく不可もなし。
    クリスティーらしい人間観察はあちこちに散見されるけれど、
    ぐいぐい読ませるほどのものではない、というのが正直な感想。
    最後の方に出てくるスーブリという人物の、歯医者のエピソードと
    女性問題のトラブル(?)の話が、まあ面白いといえば面白い。

    ミステリーも普通小説も、あらゆるクリスティーを読み尽くした人が、
    ボーナストラックのような感覚で読む分にはいいと思うけれど、
    ものすごーく楽しいエッセイを期待して読むと、少々退屈。
    しかし、こういう本が21世紀になっても出版され続けていることは、
    いかにクリスティーの人気が今なお衰えていないかの証明でもある。
    そのことは驚愕に値するし、大いに敬意を払いたい。
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    No.3:
    (5pt)

    アガサクリスティの発掘人生

    アガサクリスティの作品で、ときどき中東に健康を回復させるために行くという話しがある。
    当時では、暖かい地方へ行くことが、健康によいとされていたのだろうか。
    アガサクリスティが、夫について、発掘調査に同行したのは、健康のためもあるのだろうか。

    いずれにしても、アガサクリスティのミステリの発掘ネタが、経験にもとづいたものであることが確認できる。

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    No.2:
    (4pt)

    クリスティーのノンフィクション

    この本は、アガサ・クリスティーが、考古学者の夫マックスの発掘調査に同行した際のエピソードをまとめたものである。出発前の買い物から始まり、ブルー・トレインでの移動、発掘現場での様子が、ポアロを髣髴とさせるユーモアあふれる筆致で描かれている。なかでも、人物の描写が面白い。ブルー・トレインの食堂車で、代金の支払いをするために使用できるすべての通貨で計算し、一番交換率の良い通貨で支払いをする男、毛布と日記帳さえあれば、どんな条件でも耐えられる建築技師、安物好きでトラブルを招くアルメニア人の使用人、etc.。
     出土品から、古の人びとの暮らしを類推する考古学者も、推理小説作家も似たような職業なのかもしれない。ミステリー執筆の舞台裏を垣間見たような気がした。

    さあ、あなたの暮らしぶりを話して (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:さあ、あなたの暮らしぶりを話して (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
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