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マルドゥック・スクランブル
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【この小説が収録されている参考書籍】
マルドゥック・スクランブルの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全107件 61~80 4/6ページ
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私はこの本からマルドゥック・スクランブルにはいりました。 調べてみると改訂新版の他に完全版3巻と2003年に一番最初に出版されたものが3巻あるらしい。 この事からも著者のこの作品に対する強い思い入れを感じますが、 綿密なストーリー展開、設定からも著者の愛を感じた。 序盤に主人公が瀕死の状態になり、金属繊維の人工皮膚を移植されることで一命を取り留め、能力を得ますが その能力(様々な電子機器に触れずに操作する能力など)がオリジナリティに溢れていて面白いし敵キャラのボイルドの能力(擬似重力)もカッコいい。 シェルもボイルドも敵としての唯の大きな壁ではなくて、良くも悪くも人間的なのが良かった。 圧縮のバロットがウフコックを汎用するシーンは迫力があり本当に寒気がしたし、カジノでバロットが少しずつ成長してウフコックと 対等になり目的を達成した時には爽快感があった。 切ない幕引きで余韻に浸れること間違いなし。 | ||||
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「マルドゥック・スクランブル」と言えば、2003年に早川書房から文庫3冊として出され、その年の日本SF大賞を受賞した名作SF。この「改訂新版」はその3冊の合本版。ただし、大幅改訂が加わっている。 この改訂新版が出た2010年は、著者の「天地明察」のヒットや「マルドゥック・スクランブル」のアニメ化もあり、冲方丁が売れに売れた年だった。もちろん、私は文庫判刊行時からのファンでもあり、迷わず購入したのだが、内心は便乗商法かとも思っていたが、そんなことはなかった。3分冊にわかれた文庫判ももちろん読んではいたんだが、改めて1冊の本として、第1部「圧縮」、第2部「燃焼」、第3部「排気」を通して読むと、より一層読み応えのあるハードボイルドミステリの雰囲気を持った大長編SFの傑作であると思った。 ただ、大幅改訂ということだったんだけど、具体的にどこがどう変わったのかは正直分からなかった。それは私の記憶力の無さもあるのだろうが、それだけ、この小説が完成した小説であるせいだと思う。それぞれの版は、同じマルドゥック・スクランブルでありながら、独立した小説なのだ。 この「改訂新版」の後には、「完全版」なる文庫判も出ているので、そちらは、ちゃんと読み比べてみよう。 | ||||
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SFというよりはサイバーパンクの部類に入ると思う。しかし、だからといって科学知識の誤認を生かしただけのどんちゃん騒ぎというわけでもない。むしろ、設定は緻密に作り上げられていて、個人的にはかなり好感。 ただ、女性にしか理解できない悲劇を描写している部分があり(売春、近親相姦、風俗など)、事件の鍵を握る登場人物に男尊女卑の気色があるので、あまり気持ちのいい作品とは言えない。畜産業者なんかはみんな極度に狂ったフェティシズムを展開していて、それが悪役っぷりを存分に引き出している反面、読者に嫌悪感を感じさせる可能性は十分にあり得る。 しかし、中にはそういった残酷な背景が好きな読者もいるわけで。そういった方々にはかなりストライクなのではないだろうか。仮にそのような人でなくとも、主人公の少女が命の恩人二人に気持ちを許す様は、ちゃんと心に響いていくと思う。 ただ、終わり方はかなりキリが悪い。自分は三冊全部予め買っていたので不満などを感じる必要はなかったが、一冊ずつ買っていた人には、一種のフラストレーションを感じたのではないだろうか。その点だけ注意していただければ、マルドゥックの世界に引き込まれることに不快は生まれないはず。 | ||||
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どの読者もレビューの際に必ず書いていることだが、今巻の肝はカジノ活劇。もっぱら戦闘に有利だと思われていた能力が、心理戦でその牙を剥く。それは、カジノゲームという、勝率が状況によって無限に変動する難解極まりない娯楽を著者がかなり深く調べ上げていることと、著者自身の発想力の凄まじさが生んだ、鳥肌が立つことを免れない、至極のドラマであると言える。 ただ、一読しただけでは正直、状況がよくわからない。読者はカジノゲーム――少なくとも、今巻で一番熱いブラックジャックだけでも――についての最低限のルールは知っておいた方がいいと思う。そうでないと、作中の展開についていけなくなる可能性がある。まぁでも、仮に知らなくてもとりあえず『やべぇ、よくわかんねぇけどなんかすげぇ!』みたいな感覚は味わえるとは思うので、余裕がないのであれば無理して覚えなくても大丈夫。 そして今回も、前回ほどではないにせよ、あまりキリのいい終わり方ではないので注意が必要。この作品特有の、物語の山場の直前で切る終わり方が嫌なのであれば、ハードカバーの分厚い改訂新版を読むことをオススメする。内容は全く違わないので、少女と銃の、魂の再生の物語がノンストップで味わえるはずだ。 | ||||
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今巻は、カジノ活劇の続きからボイルドとの決着まで。哀愁感の残る幕引きは、読者に思わず彼女たちのその後を想像させてしまう。 この巻を手に取ろうとしている人は、圧縮、燃焼と読み進めてきただろうから、もう、多くを語る必要はないだろうと思う。 この物語は、文句なしに、素晴らしい。 | ||||
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以前の版は未読。よって旧版との比較はできないが、 第一巻冒頭から紡がれる緻密な世界造形は圧倒的。 「日本文学としてはあくまで借り物のサイバーパンク」 と片付ける読者もいるだろうが、その深みある世界描写は 未来という舞台を借りただけの安直なSF作品とは一味も二味も違う。 翻訳文を強烈に意識した文体、造語に近いカタカナ語、 表現部分も相応にスタイリッシュ。 第3巻も冒頭から延々とカジノ描写。 ブラックジャックの心理戦だけでシリーズの クライマックスを演出するとは度肝を抜かれる。 ラストはお定まりのボスキャラ対決。 哀愁漂う結末で、キレイに〆ている。 | ||||
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以前の版は未読。よって旧版との比較はできないが 冒頭から紡がれる緻密な世界観は圧倒的。 「日本文学としてはあくまで借り物のサイバーパンク」、 と片付ける人もいるだろうが、その深みある世界描写は 舞台を借りただけの安直なSF作品とは一味も二味も違う。 翻訳文を意識した文体、造語に近いカタカナ語、 表現部分も相応にスタイリッシュ。 クライマックス、お定まりの戦闘描写も 緊張高い文章で存分に読ませてくれる。 | ||||
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以前の版は未読。よって旧版との比較はできないが 冒頭から紡がれる緻密な世界観は圧倒的。 「日本文学としてはあくまで借り物のサイバーパンク」、 と片付ける人もいるだろうが、その深みある世界描写は 舞台を借りただけの安直なSF作品とは一味も二味も違う。 翻訳文を意識した文体、造語に近いカタカナ語、 表現部分も相応にスタイリッシュ。 第2巻は第1巻とは違い、スローなスタート。 途中から延々とカジノの描写が続き、そのまま終了、 これにはびっくりした。戦闘の舞台としてカジノ場が 選ばれているのではなく、カジノの参加すること、 それそのものが戦闘、そしてクライマックスだったとは! | ||||
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ある番組でマルドゥック・スクランブルの特集をしていて、初めてこの作品を知りました。 映画化されておれ、あらすじもとてもおもしろそうでしたので迷わず購入しました! よんでみて、なかなかおもしろい作品でした。 できたら、映画の方も見たいです。 残念だったのは本が大きかったことです。 私は、本にカバーを付けているのですが 小説用のカバーだと小さくて コミック用だと大きすぎます それはすこし残念でした。 でも、読む価値はあるので買ってみてください。 | ||||
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作者独特の文体、手法に2巻中盤までで慣れれば となる感じがあり、慣れる前に読み止めてしまう人もいるかもしれません。 1巻を一気に読み解ける勢いならば問題ないでしょうが 1巻の50ページで止まる人もいるかもしれません。 気持ち悪い描写とかダークな部分の描写は、 上手いと受け取れるか、吐き気がするか、でも意見が分かれるでしょう。 話のテンポがとてもスローだと受け取るか、濃密に描かれていると受け取るかでも 意見は分かれるでしょう。 ハマれば面白い、ハマる前にとまる、という差が大きく出る作家だと思いましたので 評価的には悪くないが、万人受けでもハードボイルドやSF好きの一般向けとも違う気がしたので 3としました。 | ||||
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完全版第1巻。 スタートから、隠れ家での畜産業者(バンダースナッチ・カンパニー)、ボイルドとの最初のバトルまで。 2003年の最初の版。改訂新版。そしてこの完全版。これまで3度読んでいる。最初の時は、その圧倒的な存在感にただ凄いという感想しかなく、2度目には懐かしさと同時に、最初の時よりももう少し深い所まで覗き込めたような気がした。そして、今回の3度目、やはり、その凄さを感じた。当然それぞれの番で大幅な修正がなされているとはいえ、ストーリー自体は当初のものと変わっているわけではない。したがって、初めて読んだ時と同じ種類の衝撃を受けることはもうない。しかし、それでいてなお、読んでいて引き込まれてしまう。また、ある程度流れがわかっていることで、これまであまり見えていなかった部分が見えてきたのか、それとも文章が直されたため気付けたのか、バロットの変化の様子が非常によく見えた気がした。それは色々な人物との会話であり、或いは対決であり、そこから何かを得、変化もしくは成長していく過程が、その様子が強く感じられた。 まだこの作品を知らない人、読んだことがない人が羨ましい。願わくは、この作品に関する記憶を消去して、もう一度体験したい。 | ||||
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完全版第1巻。 スタートから、隠れ家での畜産業者(バンダースナッチ・カンパニー)、ボイルドとの最初のバトルまで。 2003年の最初の版。改訂新版。そしてこの完全版。これまで3度読んでいる。最初の時は、その圧倒的な存在感にただ凄いという感想しかなく、2度目には懐かしさと同時に、最初の時よりももう少し深い所まで覗き込めたような気がした。そして、今回の3度目、やはり、その凄さを感じた。当然それぞれの番で大幅な修正がなされているとはいえ、ストーリー自体は当初のものと変わっているわけではない。したがって、初めて読んだ時と同じ種類の衝撃を受けることはもうない。しかし、それでいてなお、読んでいて引き込まれてしまう。また、ある程度流れがわかっていることで、これまであまり見えていなかった部分が見えてきたのか、それとも文章が直されたため気付けたのか、バロットの変化の様子が非常によく見えた気がした。それは色々な人物との会話であり、或いは対決であり、そこから何かを得、変化もしくは成長していく過程が、その様子が強く感じられた。 まだこの作品を知らない人、読んだことがない人が羨ましい。願わくは、この作品に関する記憶を消去して、もう一度体験したい。 | ||||
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体を一部機械化された少女の再生の物語。序盤を読んでイメージしたのはコミック「銃夢」のような荒廃したSF社会とそれに翻弄される少女でした。後半は一転してひたすらカジノです。カジノのゲームを通して少女の成長と社会と向き合うスタンスが描かれるのですが、突然すぎる展開にやや戸惑いました。たしかに文章の力はすばらしく、ぐいぐいと引き込んで行く力があります。しかし、事件の背景や司法システム等に釈然としないところも多く、読後ももやっとしたところが残ってしまったのが残念でした。 | ||||
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名作の誉れ高い本作を知ってはいたものの、サイバーパンクと聞いて それに苦手意識があった私は尻込みした。もし私と同じような境遇の人がいるならば言いたい。 「それだけで読まないのはもったいない! ほんの少し勇気を出してみませんか?」と。 奪われ、嬲られ、すべてを喪った少女娼婦ルーン・バロットが、瀕死の重傷から電子干渉能力を得て、復活。 ウフコックやドクターという魅力的な二人のキャラクタとともに、自分を殺そうとした男の罪を暴くため奔走する。 悲惨な過去を生き抜いてきたバロットは二人の優しさに戸惑うが、徐々に心を開き、ふれあい、成長していく。その描写が実に繊細で巧い。 かと思えば、敵さんがバロットを始末しようと送り込む刺客との戦闘、暴力を大胆に描く。 しかし私が最も感心したのは、全三巻を通してのストーリー構成の巧みさである。 1巻終盤のようなバトルを中心に進めても佳作以上に成っただろうが、 作者はそれに満足せず文字通り、賭け<ギャンブル>にでた。欺瞞と緊張と知略が渦巻くギャンブルに。 その結果がどうなったかは、数々の絶賛や日本SF大賞受賞という結果が物語っている。 評判に違わぬ大傑作。 | ||||
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全面大幅改稿による「完全版」の文庫第2巻。 電磁力と重力制御システムで空中を自由に泳ぐ鮫たちに守られた実験施設「楽園」や、フェイスマン博士、脳組織の一部を互換した人とイルカの義兄弟など、またまた新たなセンス・オブ・ワンダーが炸裂する。 後半の舞台はカジノになり、頭脳戦が繰り広げられる。 ただ、この世界の警察機構と司法システムが今一つふに落ちない。 | ||||
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本屋大賞受賞で一気に知名度が上がり、ファフナー&マルドゥックの映画公開決定で今最も脂が乗ってる作家・冲方 丁。 本書は数年前に発刊されたマルドゥック・スクランブルに大幅改稿をくわえた新装版。どんなもんだろーと最初の方だけぱらぱらめくり即購入決定、冒頭部分から文章に手が加えられてます。 読点の不自然な多さが改善され大分読みやすくなった印象。 氏も絶賛する漫画版に触発されたエピソードも盛り込まれお得な内容に。 他にもバロットの心情部分が付け足されて、等身大の少女としての輪郭がより濃くなった(心身障害者駐車ペースでの行動など) バロットの兄関連でヴェロシティとのリンクもあり、マルドゥックシリーズを愛読してきた読者は「なるほど、こう来るか!」と唸るはず。 世界観がよりわかりやすくなったぶん、バロット初診時におけるマルドック09のの説明など説明臭くなってしまった箇所があるのがやや残念ですが、畜産業者のトラウマが掘り下げられているのは嬉しい。 彼らが各々のパーツに執着するようになった背景が解剖され、よりその不気味な存在感と猟奇性が際立ちます。 | ||||
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世にも珍しい鼠と少女のハードボイルド恋愛SF「マルドゥック・スクランブル」の改訂新版です。 天地明察で一気に一般化(?)した冲方丁ですが、その影響でえげつない描写やらが削られるのかと危惧していましたが杞憂でした。 ヒーハーな解体業者の皆様の描写も健在です。内容の旧版との大まかな違いは、 1.導入の短い一文 2.一部描写の削除(ウェルダンが駐車場に行く途中の描写等) 3.バロットのプールでの経験が後に活きるという描写の追加 4.全体的に前日譚のヴェロシティ等を意識した台詞や回想の追加 あたりでしょうか。旧版を読まれている方は些細な違いが気になってすんなりとは読み難いかもしれません。 そのため、辛口ですが星4つとさせて頂きました。 ただ物語としては抜群に面白く、その辺りは全く損なわれていないので、初めて読む方に星5つでお薦めしたいと思います。 また、前後のつながりが良くなったのでマルドゥック・ヴェロシティを読んでからこの作品を読むのもお薦めです。 | ||||
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世にも珍しい鼠と少女のハードボイルド恋愛SF「マルドゥック・スクランブル」の改訂新版です。 天地明察で一気に一般化(?)した冲方丁ですが、その影響でえげつない描写やらが削られるのかと危惧していましたが杞憂でした。 ヒーハーな解体業者の皆様の描写も健在です。内容の旧版との大まかな違いは、 1.導入の短い一文 2.一部描写の削除(ウェルダンが駐車場に行く途中の描写等) 3.バロットのプールでの経験が後に活きるという描写の追加 4.全体的に前日譚のヴェロシティ等を意識した台詞や回想の追加 あたりでしょうか。旧版を読まれている方は些細な違いが気になってすんなりとは読み難いかもしれません。 そのため、辛口ですが星4つとさせて頂きました。 ただ物語としては抜群に面白く、その辺りは全く損なわれていないので、初めて読む方に星5つでお薦めしたいと思います。 また、前後のつながりが良くなったのでマルドゥック・ヴェロシティを読んでからこの作品を読むのもお薦めです。 | ||||
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巨大企業オクトーバー社が支配する退廃的な港湾型重工業都市、マルドゥック・シティ。15歳の娼婦バロットは賭博師シェルの愛人となり、何不自由ない生活を送っていた。しかし、それはシェルによって巧妙に仕組まれた罠であった。バロットは知らず知らずのうちにシェルの犯罪に加担させられており、そして口封じのために消されようとしていたのだ! 「雛料理(バロット)」という名前通り、エアカーという殻の中で焼き殺される寸前だったバロットを間一髪で救ったのは、委任事件担当官(事件屋)のドクターとウフコックだった。 ドクターは緊急法令「マルドゥック・スクランブル-09」に基づき、宇宙戦争用の禁忌の科学技術によってバロットを治療する。全身をサイボーグ化された彼女は、周辺の電子機器を自由に操作する高度な電子干渉能力を得た。高度な知性を持ちあらゆる兵器に“変身”できるネズミのウフコックと共に、バロットはシェルとその背後にいるオクトーバー社の犯罪を暴こうとする。 だが2人(1人と1匹)の前に、シェルに雇われた凄腕の委任事件担当官ボイルドが立ちはだかる。彼はかつてウフコックを“濫用”した優秀な元軍人で、最強の武器であるウフコックに依然として執着していた・・・・・・! ゼロ年代日本SFの代表作の1つとされる本作だが、サイバーパンクな道具立てを除けば、未来社会の描写は案外少なく、マネーロンダリングやドラッグ、性的虐待、児童買春など現代に直結するテーマが多い。リアルな近未来世界を独自に構築しているというより、現代社会のグロテスクな裏側をSFというコードによって未来的な通俗へと“反転変身(ターンオーバー)”させた、という印象が強い。その意味でSF作品として成功しているかどうかは疑問も残るが、ハードボイルド小説として読むとなかなか斬新である。 本作の仮借ない暴力表現、性表現は正統的なSF作品のそれとは一線を画しており、翻訳調の文体と相俟って、ハードボイルド的な雰囲気を濃厚に漂わせている。何しろ敵役の名前が「ボイルド」という、そのまんまの名前なので、作者がハードボイルドの文法を意図的に採用していることは明らかであろう。 作者が後書きで記しているように、本作からは映画『レオン/完全版』の影響を強く感じる。不当に虐げられてきた薄幸の美少女と、彼女を守るために全力を尽くす殺人マシーンとの不器用な交流、という設定は『レオン』そのものである。しかしバロットの生い立ちはマチルダ以上に苛酷なため、心の闇はより深い。抑圧され続けた反動としての残虐さは壮絶である。しかも彼女の相棒は金色の毛のネズミ(笑)。美少女とネズミという、およそハードボイルドには似つかわしくないコンビが悪党どもに銃を乱射するというギャップが秀逸。 | ||||
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**全巻を通してのレビュー** サイバーパンクな世界観が好きな人にはオススメ。 展開のテンポがよく、ストーリーに引き込まれていく感覚。 アクション描写も細かすぎず、大雑把過ぎず。 でも、 クライマックス付近の心理戦では、 グッと描写が細かくなり手に汗を握る展開が繰り広げられます。 ネタばれにならないように説明するのが難しいですが、 SFファンなら必読あれ♪ | ||||
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