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(短編集)

幽霊射手



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【この小説が収録されている参考書籍】
幽霊射手 (創元推理文庫―カー短編全集 (118‐20))

幽霊射手の評価: 3.86/5点 レビュー 7件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.86pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全7件 1~7 1/1ページ
No.7:
(3pt)

20年代の初期短篇5作と40年代のラジオドラマ4作

という組み合わせの落ち穂蒐集した短篇集だが、冒頭30頁に渡って、ダグラス・G・グリーンなる編者の「奇跡を創出した男――ジョン・ディクスン・カーについて」が配されているのが、一番の読み処か。
 わたしはいくつかのカー作品に感銘を受けながらも、それほどのファンではなく、つまらん作品も多いと思っている。だからべた褒めの長い賛辞には首をかしげながら読んだ。
 先日読んだ『不可能犯罪捜査課』について、エラリー・クイーンが「現代流派のもっとも目覚ましい成果の一つ」(P.27)と称えたなんて記述には少々引き気味だw

 一方で、米国人のカーが、何度か英国と米国に交互に移り住んだ話を聞いたことはあったが、その理由は知らなかったので、そこは興味深かった。
 カーには元々、当時力を持ちつつあった中産階級が金や権利を高らかに主張したり、それを守るための法治の精神よりも、保守的な英国風の貴族風騎士道趣味により惹かれる傾向があったらしい。その彼は英国人の女性と結婚したことを切っ掛けに英国で暮すようになったが、大戦後のかの国で労働党が政権を握ったことで米国に戻り、再び保守党が政権を獲ったことで英国に戻り……、なんて変遷があったことを知った。
 そういった流れの上で、戦後は「現代」から距離を置いた時代もののミステリを多く執筆したようだ。

 本書(と、おそらく次巻の『黒い塔の恐怖』)には、「傑れた出来栄えでありながら、何らかの理由で、単行本形式の著書には未採録であった作品」(P.35)を収録したらしい。
 (1)は著者21歳のデビュー作、(2)~(5)は長篇デビュー前のアンリ・バンコランもの、(6)~(9)はラジオドラマである。
幽霊射手 (創元推理文庫―カー短編全集 (118‐20))Amazon書評・レビュー:幽霊射手 (創元推理文庫―カー短編全集 (118‐20))より
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No.6:
(4pt)

トリックがバリエーションに富んでおり飽きさせない初期短編集

1926年カー21歳の頃の処女作を含む初期短編集。

チェザレ・ボルジア父子毒殺の謎に迫る「死者を飲むかのように…..」(処女作)、密室からの人体消失と殺人を掛け合わせた「山羊の影」、アンリ・バンコランもの4作品、スパイ殺しの犯人を探す「第四の容疑者」、殺人犯は冤罪か「正義の果て」、夜行列車内の殺人事件「四号車室の殺人」、

そして、ラジオ・ドラマ4作品、新婚旅行の船中から消えた新郎「B13号室」、死刑執行目前のフェル博士の推理「絞首人は待ってくれない」、見えない射手の矢による殺人「幽霊射手」、命を狙われた花嫁「花嫁消失」。

ラジオ・ドラマ脚本がよくできている。タイトル作が本短編集ではベストワン。タイムリミットものとして「絞首人は待ってくれない」が次だろうか。トリックはバリエーションに富んでおり、飽きさせない。
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No.5:
(5pt)

B13号船室はカーの最高傑作かも

ラジオドラマ脚本ですが、長編、短編小説も含めて
カーの生み出した作品の中で最高のものかもしれません。
まあ、子供の頃、学級文庫で読んで感銘を受けたからですが
謎が凄いです。
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No.4:
(5pt)

アンリ・バンコラン登場の習作を含む巨匠短編集

アンリ・バンコランのファンなのである。子供の頃読んだ少年推理小説全集などになぜかバンコランの登場する作品が多く収録されていたのが原因だと思うが、フェル博士やH・M 卿に比べキャラクターが弱いと言われているバンコランを贔屓しようとするあまのじゃく根性も大きな理由である。横溝正史で言えば金田一耕助でなく由利麟太郎を贔屓にするようなもの。そんなバンコラン・ファン必読のカー習作時代のバンコラン登場作品を含む短編集が本書である。
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No.3:
(3pt)

カー作品の補填

この作品は既に所持してましたが、状態が悪くなっていたので、補填で購入しました。他意はありません。
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No.2:
(4pt)

バンコランもの四編+ラジオ・ドラマ四編+α

■「山羊の影」  自らの宣言通り、鍵が掛けられた部屋から姿を消した男。  その後男は、別の場所で起きた殺人事件の容疑者となり……。  人間消失と遠く離れた場所での殺人を組み  合わせた、状況設定の妙が読みどころです。■「正義の果て」  降霊師のダーワースのもとに、従兄弟のフェローズが訪ねてくる。  二人は、財産と女性を巡り対立を深めていたため、ダーワースは、  事前に知人を証人として家に招いていた。  フェローズがダーワースの部屋に入ってしばらくすると悲鳴が聞こえる。  証人たちが部屋に入ると、椅子に手錠でつながれ胸を刺されたダーワースを  発見する。しかし、フェローズの姿はどこにもなく、窓の外には降ったばかりで  足跡一つない雪が広がっているだけ。  やがてフェローズは逮捕され、絞首刑を待つ  ばかりとなるが、彼は罪を否認しており……。  カーの手癖ともいうべきハウダニットなのですが、残念ながら説得力に  乏しく、その上、読者に手がかりを明示していないのもいただけません。  とはいえ、聖職者と冤罪という重厚なテーマは印象的です。  ■「B13号船室」(ラジオ・ドラマ)  ヨーロッパに新婚旅行に行くため、大西洋  航路の客船に乗り込んだアンとリチャード。  ところが、リチャードが忽然と姿を消してしまい、船員たちも  リチャードなる男は最初から船に乗っていなかったと言い出す。  その上、アンたちに割り当てられた船室まで消失してしまい……。  トリック自体はシンプルですが、人間消失と船室消失という謎の設定が巧妙。 
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No.1:
(3pt)

不可能犯罪の巨匠の短編集

「不可能犯罪の巨匠」ディクスン・カーの短編集。アンリ・バンコランもの四編を含む短編五編と、ラジオドラマ用の脚本四編を収録。読んでみて、カーは雰囲気づくりがうまいなあと再確認。短編五編は、その舞台が屋敷の一室だったり走る列車の中だったりとさまざまなのですが、どれも暗くおどろおどろしい雰囲気は共通、ジワジワと忍び寄ってくる恐怖が上手に醸しだされています。ラジオドラマ脚本のほうは、放送の時間制限があったためでしょう、どれもそれほど長いものではありませんが、その中に人間消失等の不可能犯罪とそのトリックが小粒ながらも上手に効果的に使われていて、これなら放送当時に聴いていた人も楽しめたのでは。テレビの二時間枠のサスペンスドラマよりおもしろいことは確かです。不満なことがひとつ。解説によると、アメリカで出版された原書を、本書と『黒い塔の恐怖』の二冊に分けて出版したらしく、本書のほうには作品の原題が出ていない。原題は『黒い塔の恐怖』のほうを参照とのこと。二冊に分けるのは別にかまわないのですが、せめてこちらにも原題をいれてほしかったです。
幽霊射手 (創元推理文庫―カー短編全集 (118‐20))Amazon書評・レビュー:幽霊射手 (創元推理文庫―カー短編全集 (118‐20))より
4488118208

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