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パラサイト・イヴ



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パラサイト・イヴの評価: 3.29/5点 レビュー 78件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.29pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全78件 41~60 3/4ページ
No.38:
(4pt)

賞賛

「利己的な遺伝子による細胞内戦争」を、その道の研究者が書き下ろした良質のサイエンス・フィクション。
前半部に稚拙な文章が散見され、筋も『Xファイル』的な既視感が、なくもない。しかし、クライマックスへの加速感が些細な欠点を凌駕し、専門分野をベースにした独自の着眼点とアイディアが光っている。

機器などの専門用語も、分からないなりに「多分、こんな感じだろう」と適当に読み進めば、大きな邪魔にならなかった。むしろ冗長な説明がなかった分、テンポ良く読むことができた。

疑問に感じたのは、
「億年単位で進化を経験してきたミトコンドリアが、その形での自己崩壊を予見できないだろうか?」
という点。
多少、都合の良い展開のように感じたが、まあ、これは重箱の隅をつつくようなものであろう。

独自の発想を見事に小説まで昇華させた、瀬名氏の手腕と労力は、賞賛に値する。
パラサイト・イヴ (角川ホラー文庫)Amazon書評・レビュー:パラサイト・イヴ (角川ホラー文庫)より
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No.37:
(3pt)

神は細部に宿る

神は細部に宿る

神は細部に宿るとは言うけれど、細部に頼り切っていないだろうか。
ミトコンドリアの「不可思議さ」については、高校理科程度でも聞くのではな
いかと思うが、それを土台にしたSF的な仮説や示唆は、非常に面白かった。

ただ、どなたかが言うようにストーリーはとても貧弱に思う。
この作品は高度な専門性にこそ真価があり、ストーリーは二の次になってしま
っている。だからこそ、高度な専門性を排した映画はいまいちになり、イブの
なんでもありに笑う者があり、高度な専門性に辟易する者がいる、と。

逆に、ある程度、生化学分野の知識を持っている人には、より一層楽しめると
思う。実際、私の初読みは今から10年以上も前だが、クリーンベンチすら知ら
なかった当時は、ストーリーを追い掛けたくても専門的な知識・業務の列記に
辟易するばかりで読むことを断念してしまった。

ま、いつの間にか生化学系の分野に進んだ今となっては、非常に楽しく読めた
が……。それでもやはりストーリーよりも専門分野での話の方が、俄然面白い。



※ 以下ネタばれあり。

そしてもう1点。どうしても気になる事がある。

聖美の身体や精神に影響を及ぼせるほどの力を持ち、専門の教授に意見や質問
をぶつける程度に知識を有し(聖美の段階)、修士論文程度であれば簡単に作
成しする知性がある(朝倉の段階)者が、一介の薬学助手に執着する意図が全
く分からない。

自己進化させた「娘」にしても、自身細胞の継代にしても「聖美」自身(聖美
の肉体のまま)で出来たはずだ。実際培養された Eve1 はそれをやってのけて
いる。ならば聖美の段階で「知識」を得て、実際に研究室に入ってしまえばい
い。自身で医学なり薬学なり極める事も「容易」なはずだろう? 聖美を殺し、
腎移植をやらせ、利明に自身を複製させるような回りくどい方法は、全く必要
ない。

娘を産むのも「麻里子」ではなく「聖美」自身でいい。種の転換期のオーバー
ラップが必要などともっともらしく説明しているが、本来の意味でオーバーラ
ップしていた者こそ「聖美」だろう。なぜ「聖美」の肉体を捨てる必要がある?

例えそうでなくとも「麻里子」の子宮を「移植した腎を介して」作りかえるよ
り、造り変えてきた聖美の体で作りかえられたはずだ。

イブの高度な知性と、宿主を作りかえる力、他の個体にあるミトコンドリアと
の連携。それらもってしての、あの計画は非常に陳腐。他人に頼ることなく、
自ら全て事前に事を為せたはずであるし、他人を操る事も容易だ。

ホラーにしたくて計画をわざと杜撰にしたようなもんじゃないかとすら。
パラサイト・イヴ (角川ホラー文庫)Amazon書評・レビュー:パラサイト・イヴ (角川ホラー文庫)より
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No.36:
(4pt)

限界に挑戦した小説

小説には色々なジャンルがありますが、特に好き嫌いが別れる分野に『ハードSF』があります。
これが嫌われる理由のひとつに、下地となる知識と興味が必須、ということがあるのではないでしょうか。
文章でのみ伝える以上、筆者と読者の間に単語に対する共通認識が必要となります。
『遺伝子』と書いてことが済むのは、読者が漠然とでも遺伝子という言葉とその意味を知っていて成り立ちます。

さて、本作『パラサイトイヴ』ですがそういう意味では、筆者の前にはとてつもない困難が立ちふさがっていたことかと思います。
よほど興味がある人でなければ、本作に登場する単語の数々は「何のことやらさっぱり」という事態に成りかねません。
当然ながら小説として物語を読者に楽しませる上で、通俗的でない単語には『説明』が必要となります。
説明を回避する手法も当然あるでしょうし、より文章として楽しめる書き方に留めるということもあります。
ですが、本作においてそれらの手法を取り入れると、また違った小説となったことと思います。
ありていに言ってしまうと、あらすじはB旧ホラー映画のそれです。
要するに、映画版の為体、ご覧の有様という感じです。

瀬名氏の最大の功績は、説明に真っ向から勝負を挑んだことかと思います。
これら説明を退屈な代物にせず、楽しめる部分とし、その細部の拘りによって荒唐無稽な話に命を吹き込んでいらっしゃいます。
だからこそ、この話は小説で楽しめる物で、映像に頼ることなく文字で為しえたということに賞賛を送りたく思います。
前半部からストーリーと平行して続く、楽しめる説明。
中盤から怒濤のごとく盛り上がりを見せる物語。
ラストは賛否両論あるでしょうが、個人的にはあの結末でなければ、それこそB旧映画になってしまったと思います。

この話は小説で読んでこそ面白い、と思います。
映画版を観て小説を読んでらっしゃらない方に、特にお勧めいたします。
パラサイト・イヴ (角川ホラー文庫)Amazon書評・レビュー:パラサイト・イヴ (角川ホラー文庫)より
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No.35:
(4pt)

圧倒的なスケール

車を運転中に突然、意識を失い電柱にぶつかり脳死してしまった妻・聖美。大学で薬学の研究をしている利明は妻の肝を譲り受け、観察をすることを決意する。当時の近代医学の最高峰を描いた臓器移植と壮大なSF染みたテーマが渾然一体と融和した傑作ホラー作品。

筆力に脱帽した。薬学と医療の専門用語をふんだんに取り入れたにも関わらず、状況を喚起させ、前へ前へと読ませる。私は文系人間で、本来こういった小説は毛嫌いする人間であるにも関わらず、である。これで処女作なのだから、天才と呼ばざるを得ない。

ただ、ラストはSF定番のオチで、謎は謎のまま終わってる点はどうなのだろう。

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No.34:
(2pt)

物語の設定はすごく良いのに・・・

物語の設定は、すごく面白いと思います。ただ、医学的・化学的な説明が多いため、読み進めていくのが非常にカッタルク感じました。特に、物語の設定上しょうがないとは思いますが、移植手術などに関しての下りは長過ぎます。そのため、上手く物語を楽しむことができませんでした。
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No.33:
(3pt)

ぼちぼちな作品

理系の人間が新しい切り口で挑んだSF小説と呼ぶのが相応しい作品だと思います。
緻密な医学描写は、(私が知る限りでは)類を見ないほど詳しく書かれています。

しかし理系ということを意識しすぎたためなのか、それらの説明が冗長であると感じることもあり、小説という括りで作品を評価すると高い評価は出来ないというのが感想です。
小説に新しい入口を作ったが、間口が狭すぎたかなと感じさせられる作品でした。
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No.32:
(4pt)

理系作家瀬名氏のデビュー作、面白いです

理系作家によるSFホラーとして話題になったベストセラー作品にして、著者のデビュー作長編です。
今読み返してみても、専門知識に裏打ちされた世界観と、緻密に練り上げられたプロットのバランスがうまく取れているいい作品だと思います。
その一方で、人物造形や心理描写といった語り部としての力量は今一つとも感じられる点がありますが、次々に提示される知識(うんちく)やどんどん積み重ねられていく論理による圧倒的なスピード感の前に、難なく最後まで読みきってしまいます。
デビュー以降の瀬名氏の作家としての変遷を俯瞰してみると、デビュー当時の長編作品(パラサイト・イブ及びブレイン・ヴァレー)では先端科学技術を前面に押し出した壮大な構想に基づくSFホラー、その後の短編作品(ハルや第9の日)や長編作品(デカルトの密室)では人間の心をテーマにした哲学的SF、というように明らかな主要テーマの移行が見られるように思います。
あくまでも私見ですが、瀬名氏の場合、長い取材・準備期間を使って知識とロジックで組み上げたような、いわば理系のレポート系の長編作品(すなわちパラサイト・イブ及びブレイン・ヴァレー)の方が、断然出来が良いように思います。
最近のロボットものの短編作品を読んでいると、どうしても肝心なところでモノガタリの迫力が足りず、悩める主人公に感情移入できないまま終わってしまうのです。
他の作品についての所感はそれぞれの作品の書評にコメントしましたので、興味のある方はぜひそちらもご一読ください。
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No.31:
(1pt)

評判が良かったので期待したのですが

前半は専門用語が多すぎて困惑→末の解説文に逃げる→ネタバレそしてラストは安っぽいバイオホラー当時は斬新だったのだろうか貴志祐介の『天使の囀り』の解説にて、筆者が「貴志にはとてもかなわない」と言っていた全くその通りだと思いました
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No.30:
(2pt)

つかれた

専門用語とか術式の説明とかが延々と書き連ねてあって読みにくい。そろそろ面白くなるかも、と我慢して読んでたが 半分まできても似たような感じで・・なんだか教科書でも読んでるみたいな気分でした。Aという細胞を抽出するためにBという機械を使って・・そもそもBという機械は何種類かあって、この場合は〜という理由でCという種類を使用して・・・・とか・・・延々とこんな感じです。作業の工程の説明なんて必要ないと思うのですが。同じ分野の人間には理解できることが優越感なのかもしれませんが、そうでない人にとってはつまらん知識のひけらかしにしか見えませんでした。 
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No.29:
(3pt)

B級ホラー

序盤から中盤にかけては謎が謎を呼ぶ不気味なSF調で非常に面白かったのに、打って変わって終盤は荒唐無稽なB級ホラーに。 荒唐無稽な展開が嫌いなわけではありませんが、最初との落差に愕然としましたまた、文庫版あとがきが気になりました。こうゆう文章を書いた作者の意図はよくわかりませんが、ここに書くべきことではないのではと感じました
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No.28:
(5pt)

ミトコンドリアの恐怖

読了後の感想は,「素晴らしい」のひと言に尽きる.何がそんなに素晴らしいかというと,本書の執筆当時,著者が理系の大学院生だったことが信じられないぐらい,情景,人物,心理が緻密に描写されている点である.またホラー小説としての完成度も非常に高く,読者を恐怖のどん底に引きずり込んでいく.その当時,著者は生化学の研究を行っている大学院生であり,その状況から事故で亡くなった愛妻の肝細胞を培養するというストーリー展開を着想したのであろう.本書では,生化学の難解な専門用語が多用されているが,それは些事に過ぎず,ストーリーの理解を妨げることはない.メディカルミステリーの分野を確立した海堂尊氏と比較すると,描写力の点では,著者(瀬名秀明氏)の方が1枚も2枚も上手ではなかろうか.ただ,海堂氏は医療業界の持つ問題点を読者に提示し,世論を盛り上げ,問題を解決していこうという姿勢であり,その点は非常に尊敬している.兎にも角にも,未読の方は,ぜひミトコンドリアの恐怖を味わっていただきたい.
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No.27:
(5pt)

ミトコンドアが積極的に自らの遺伝子を核に送り込んだという可能性もあるということです。

脳死をした妻の肝臓の細胞をひそかに培養。 ところがその細胞が爆発的に増殖、分化し意思を持って動き始める。 彼女の目的は? 交通事故で脳死となった妻の死を受け入れられない永島。 腎移植を成功させたいと願う吉住。 腎臓の移植を拒む中学生の麻里子と、かつて自分の腎臓を提供することに躊躇した麻里子の父。 永島の下について実験に打ち込んでいる大学院生の浅倉。 登場人物一人一人の心の動きや行動が丁寧に描かれていて、場面展開もスムーズなので厚い本なのに最後まであきません。 夜更けの実験室の奇妙な感覚と、化け物がひそかに生まれて我が身を増殖させている恐怖。 とても面白かったです。
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No.26:
(1pt)

最高級和牛のコンビーフ

ネタは最高。文章も、上手いんじゃない?中盤の頭までは、凄く面白く読める。いっそ最初からつまらないのなら、ここまで腹がたたなかったかな。父系のDNAがどーのの辺りからそれまでツジツマがあってた科学的考証とやらが、ガタガタにぶれてきて、さらには終盤に向かって、まるで夜中に書いたラブレターみたいに勢いだけの文章とプロットに落ちていく。特に、ラストのまとめ方は、SFが既にタブーとしている古典的手法のまるパクり。人間の手に負えない敵も大自然のむにゃむにゃどーのこーのインフルエンザで滅んだ宇宙人か。それでもまあ、読み終えて、ベストセラーなんてこんなもんか位で済んでたのに、解説を読んで怒髪天。思い上がりもはなはだしー。解説のせいで星ひとつ以下。
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No.25:
(4pt)

ヒトとミトコンドリアの奇妙な関係。秀逸なSFホラー。

原核細胞が真核細胞へ進化するとき、ミトコンドリアという別の生命体が取り込まれます。それによって真核生物は莫大なエネルギーを得ることが、可能になり、大型化が可能になりました。ミトコンドリアはヒトとはまったく個別のDNAをもち、卵子の細胞質で遺伝してゆく母系遺伝を行います。個体の中に全く別の生命体が共存し、助け合っていることは、珍しくありませんが、ミトコンドリアのように生物の根幹に入り込んでいる例は珍しいといえます。また、ミトコンドリアはアポトーシス(自然死)の重要な鍵を握っており、生かすも殺すもミトコンドリア次第なのです。そんなふしぎなミトコンドリアと生物の関係を、大切な人との死別、なんとしてもその人の部分、細胞だけでも生かし続けたいという人の情念を結びつけた快作だとおもいます。ラストがややトーンダウンしてしまい残念ですが、作者のデビュー作にして代表作といえる作品です。
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No.24:
(2pt)

専門用語が難しい

そういえば昔これ流行ってたなって思って読んでみました。医系、薬系の専門用語が羅列してるのではっきり言ってなんのことかさっぱりわかりません。なんか読んでる気がしない。数ページで頁をめくる手が重いまぶたも重くなってしまった。難しい。その一言。
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4043405014
No.23:
(5pt)

圧倒的リアル感

細胞内でエネルギーを生産するミトコンドリアが人間に反乱を起こすという筋書きのSFホラー作品。作者が東北大薬学部出身の理系の作家なので、専門用語が非常に多く、文章が多少難解なきらいはあるが、その分、生々しい描写のリアルさは圧倒的。後半ストーリーが急展開を迎え、一気にハリウッド映画のような展開に移行していく。以降、ストーリーの流れが多少駆け足過ぎた感じはするが、全体を見るとホラーとしての仕上がりは一級品。現在はブックオフ等で安く廉価版を入手できる。是非お勧めの一冊。
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No.22:
(4pt)

東北大学薬学部出身の瀬名秀明氏の作品

日本では作家は文系というイメージが強いかもしれないが、著者は東北大学薬学部を卒業した理系作家。従来の作家では考えつかないような「ミトコンドリア」を背景に物語が展開していく。文章はとても整理されており、個人的には読みやすかった(専門語が難解ということを除いて)。物語はゆっくりと進んでいくが、ラストは少し唐突な印象を受けたのでもう少しスローペースでもよかったかも。1995年に発表された当時はハードカバーだったが、文庫化され電車の中などでも気軽に読むことができるようになった。1996年には角川文庫でも取り扱っているので、古本屋などで安く発見できる可能性は大。(もしハードカバーが好きという方であれば、「ブックオフ」などでも安い値段で見つけることができる)大学の博士課程まで進んだ著者の文章は、とても洗練されており今でもその文体を参考にさせていただいている。文章を書くのが苦手という方には、一度、瀬名氏の文章を読んでみることをおすすめしたい。書くということについてとても多くのことを学べ、尚且つストーリーも面白い。
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4043405014
No.21:
(3pt)

イヴ、やりたい放題。

最初のうちは、本当に面白い。でも、いわゆる「敵役」である「イヴ」の正体が徐々にあきらかになるにつれ、「これヤバイかも・・」という思いがどんどん強くなっていき、最終的には「いかに彼女(イヴ)の荒唐無稽っぷりに対して目をつむる事が出来るか」が、とても重要になってくる。そりゃーまー、所詮フィクションだし?SFだし??「リアリティーがナイ」なんて言葉を使うのはヤボってもんだとは思うけど、でもいくらなんでもアレはねー・・・。ま、面白いから、結局我慢して最後まで読んじゃいましたけど。
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4043405014
No.20:
(4pt)

生物・遺伝子工学に興味ある方はどうぞ

作者は作家に転進する前、東北大学の研究室で「ミトコンドリア」の研究をしていた。共著で「ミトコンドリアと生きる」という初心者向け学究本も出している。本書はその経歴を活かし、ミトコンドリアによる人間支配というテーマを扱っている。当然遺伝子、DNA等の用語・解説が出てくるが、こうした分野に興味のない方はストーリーを楽しむという所までは行かないであろう。ホラー大賞受賞作だが、前述のような事情と話の組み立て方がロジカルなので、ホラーを読んでいるという感じはしない。ミトコンドリア遺伝子が女性を通じてのみ遺伝するというのも、話のテーマとマッチしている。最先端遺伝子工学とホラー味を融合させた佳作。
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No.19:
(3pt)

今となっては凡作

当時はいろいろと話題になった作品。著者は現役(当時)の学者で、作品内容は彼の研究を踏襲しつつ架空の理論をエッセンスに加えている。その発想の先見性・斬新さは各界にも評価されている。ただし読み物としての評価は難しいところ。ある程度の注釈はついているものの、専門用語が羅列される部分も多く、素人にとってはともすれば退屈である。物語は主人公の妻の死から始まるが、決定的な事件が起こるのはかなり終盤に進んでからで、序盤の展開は非常に緩やか。非日常の影が徐々に濃くなっていくように描写されているが、登場人物たちの恐怖・緊張・焦燥といった感情を煽るようなシーンはなく描写も淡々としているため、先の展開がある程度読めている人にとっては辛いところである。その分終盤とのギャップと衝撃度は大きくなるものの、著者の筆力が足を引っ張り、かえって不自然な展開に見えてしまうのが難点である。結末もなんだか…と、文句ばかり言ってきましたが、旧作である事を考えれば十分な出来だと思います。ジャンル的には、ホラーというよりSFと読み替えたほうがよろしいかと。出来はさておき、学者という立場ながらこのようなチャレンジフルな作品を執筆なされた瀬名氏には素直に賞賛を送りたいところです。
パラサイト・イヴ (角川ホラー文庫)Amazon書評・レビュー:パラサイト・イヴ (角川ホラー文庫)より
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