魔法を召し上がれ
- マジシャン (5)
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久々に瀬名秀明氏の本を手に取りました。 ともかく話が長い。途中途中何度か放り出しながらどうにか読了。マジックの説明が事細かに描写されますがマジックをよく知らないとさっぱり絵が浮かびません。近未来的なレストランでロボット共に供される食事の描写も含めて、なんだか分からない冗長な描写が延々と続きます。 何よりも主人公の『ぼく』の感情の振れ幅があまりにも少なくて、何を考えているのだか共感することも入れ込むこともなく、話に盛り上がるところもなく終わりました。 最後の教室の場面はちょっと感動しましたが、誰かにこの本を勧めるかと聞かれたら勧めないかな。 | ||||
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本書は、今時珍しい「正統な文学作品」である。どのような点で「正統な文学作品」なのかと言えば、それは、この作品で描かれているのが「心とは何か」「現実とは何か」「生きるとは、どういうことなのか」といった、極めて正統的な文学テーマであり、それを愚直に追及した作品だからだ。 だから、この作品がどういう作品なのかを、批評的に紹介するのは、なかなか難しい。 というのも、本作が「エンタメ」なのか「純文学」なのか、あるいは「SF」や「ミステリ」などのジャンル文学なのか、といった「形式」をいくら紹介したところで、この作品の「本質的固有性」を語ったことにはならないからである。 本作は、レビュアー大隅典子氏が『2020年の東京オリンピックからさらに10年余ほど後の世界。人と共存するロボットや仮想現実(VR)、拡張現実(AR)が身近な社会になっているという設定。』と紹介する、そんな世界を舞台としている。 そんな世界を舞台に、心に傷を抱える孤独なマジシャンの青年ヒカルと、彼と同居することになる人型ロボットのミチルが、周囲の人たちと織りなす、本作はそんな、ヒカルとミチルの「成長の物語(ビルドゥングスロマン)」だと言えるだろう。 もちろん、人間であるヒカルの成長とロボットであるミチルの成長とは、表面的には違っている。けれども、「成長」ということが可能なのであれば、そして「成長」ということの意味を人間が規定するのであれば、結局のところ、人間の成長もロボットの成長も同じ方向を向いた、本質的に同じものだと言えよう。 だから、著者が、ロボット工学や人工知能と言った最先端科学に詳しく、その独自性をよく理解している人であったとしても、やはりその根底にあるのは「人間」の世界観であることに変わりはないのである。 主人公ヒカルは高校生時代に、ある事件に遭遇して心に傷を負う。それは大切な人を失うという喪失体験なのだが、その体験に独特の陰影をあたえているのは、その体験に彼が愛するマジックが絡んでいる点である。 一一「ぼくはぼくの魔法(マジック)によって、大切な人を消してしまった。しかし、魔法(マジック)ならば、消したものを呼び戻すことが出来るはずだ。なのにそれが出来ない」というジレンマ。 彼がマジックを続ける理由は、実の親や育ての親がマジック好きであり、彼にその魅力を教えてくれたということももちろん大きいのだが、大切な人をマジックからみで失ったあとも彼がマジックを捨てなかったのは、自分の魔法によって失った人ならば、マジックを極めることで、いつかその人を呼び戻すことができるはずだと思っていたからではないだろうか。 彼のマジック探求の根底には、そうした寂しさと切迫感が存在する。 無論、そんな彼の「呪い」解くのは、最終的には彼自身なのだが、その力を得るための助けとなるのが周囲の人びとであり、そして誰よりもミチルの成長である。 マジックが好きで、物語が好きなミチルは、そうした経験を重ねることによって徐々に成長し、「心」を持ち「私(自分)」というものを持った存在に成長していくかのようである。 ロボットの彼に、本当に「心」が生まれたのかどうかは、外部からは確認のしようがない。そもそも「心」とは何かの定義が定かではないのだから、「心」とは定義しだいで、そこに「ある」とも「ない」とも言えるようなものなのだ。 しかしまた、だからこそヒカルにはミチルが「人間らしさ」としての「心」や「私」を獲得していくように見えること自体が、そうとしか考えられないし、それこそがヒカルの偽らざる「現実」なのである。 そんなミチルの成長を目にしながら、やがてヒカルは過去の不幸な事件と、再び向き合うことになる。 はたして、ヒカルは大切な人を取り戻すためのマジックを手にすることが出来るのだろうか。 無論、出来るのだ。ただ、そこには最後のひと捻りがある。 魔法はかけた人にしか解けないのだが、ヒカルの誤解を解いて、彼への魔法を解くのは、彼に魔法をかけた人以外にはいなかったのである。 繊細な切なさと緊張感によって作られた「銀製の薔薇の造花」のようでありながら、そのなかに小さくも温かな灯りが点っている、そんな作品である。その誠実で奥ゆかしい魅力は、まさに今どき珍しい「上質の文学作品」の特有のものだと言えるであろう。 | ||||
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この手の物語としては、とても良かった。マジシャンが小説を書くと、パズルのような 物語になりがちで、それはそれで良いのだが、これは小説家がマジックを描いた作品である。 しかもでてくるマジックがしっかり作者の中で消化されていて、マジックそのものより 見せ方や接客やサービスやプレゼンテーションが重要な要素となっている。 そもそも小説の中でマジックを紹介しても独りよがりの自己満足に陥りやすいのだが、 ここではそれがきっちり素材として生かされていてまったく邪魔になっていない。 さらに舌を巻いたのが、この物語の時代背景である。普通は現代、たまに過去を背景に もってくることはあっても、数十年先の未来を背景にしたマジックがテーマの物語というのは きいたことがない。 しかもこれがまあ上手にはまっているというか、ロボットを相方にしたことで、素晴らしい物語を 紡いでくれた。同級生の自殺を軸に、ホッピングを行うレストランマジシャンの成長とロボット との友情、自分を高めてくれる周りの人たちとの交流が丁寧に描かれていき、いつまでもこの物語の 中に身をゆだねていたい思いにかられる。マジックを愛する全ての人に読んでいただきたい本でした。 | ||||
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5月に上梓された瀬名秀明さんの近著『魔法を召し上がれ』(講談社)を、バンクーバーからの帰路で読了。とてもお洒落な装幀から、どんな魔法の世界にいざなってくれるのだろうと思ったら、そこは2020年の東京オリンピックからさらに10年余ほど後の世界。人と共存するロボットや仮想現実(VR)、拡張現実(AR)が身近な社会になっているという設定。 主人公はマジシャンのヒカル、若干二十歳。そして相棒は少年型ロボットのミチル。脇を固める人物として心優しい作家や、ロボット研究者も登場するが、ここまでは、これまでの瀬名ワールドをご存知の方ならお馴染みだろう。ヒカルのマジックには、前作『この青い空で君をつつもう』(双葉社)の中心モチーフとなった折り紙も登場するが、本書で新しいのは、「モレキュラー・キュイジーヌ」の世界が加わったこと。 モレキュラー・キュイジーヌとは、分子調理法、あるいは分子ガストロノミーと呼ばれたりもするが、物理的・化学的に工夫を加えた調理法やそのようにして作られた前衛的料理を指す。そのはしりは、スペインのエル・ブジというレストランと言ってよいと思うが(ちなみに、仙台にも弟子筋のお店がある)、液体窒素でソースを冷やして固めたり、ヘリウムガスを入れた風船を用いたり、びっくりするような仕掛けがある。スプーマという細かい泡のソースやドレッシングは、分子調理法を看板に掲げていない普通のレストランでも出てくる。化学工学的に開発された簡単な装置のおかげだ。 よく考えれば、化学の歴史は紀元前の錬金術に遡り、17世紀以降も化学実験は奇妙な現象を人々の前に見せてきた訳だから、反応原理を知らない者にとっては、一種のマジックのように思えたとしても不思議ではない。本書の物語の中では、そんなモレキュラー・キュイジーヌという魔法を使う人物がもうひとり登場する。 人はなぜ魔法を求めるのだろう? そこにあるものが消えたり、現れたり、変化したり、そのときの驚き、心の営みは本当に不思議だ。科学者はまだ、サプライズのときに脳内で神経伝達物質のドパミンが放出されるくらいしか理解できていない。 枕になりそうな分厚い本だが、一気に読める。爽やかな読後感なので、これからの季節の週末にぜひお勧めしたい。 | ||||
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が、このボリュームで延々「ほのめかし」が展開されるのに、途中で飽きて持て余してしまった 氏の本は「パラサイト・イブ」以来読んでないから、多分、「ノリ」が掴めなかったんだろうと思う | ||||
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