ポロック生命体
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AIが身近に感じられる今日この頃、AIの持つ可能性の明るい未来と恐怖を考えさせられました。 おそらく自分は人が創造したものとAIが創造したもののを区別する自信はありません。でも良いものは良いと素直に思える気持ちは持ち続けたい。AIだからというバイアスをかけることで自分の感性に嘘はつきたくないと思いました。 | ||||
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瀬名秀明の本を初めて読む。薬学博士というから、人工知能の技術に関して、かなり核心をつかみ出す能力がある。人工知能をテーマにして「負ける」「144C」「きみに読む物語」「ポロック生命体」の4短編。人工知能が人間らしく将棋を指すとはどういうことか?人工知能が小説を書くことによって、小説の本質とは何か?本の感動度を人工知能が評価できるのか?アメリカのアーティストのポラックの絵を人工知能が描いたときに、創作と言えるのか?とテーマのフォーカスがうまい。 「負ける」 「負ける」を読みながら、あることを考えた。藤井聡太棋士が快進撃することで、子供達に将棋ブームが起こっているという。しかし、藤井聡太棋士と人工知能と戦い、人工知能が勝った場合に、子供達は人工知能の技術者になろうとするのか?そして、人工知能は嬉しいのか?ということだった。残酷な将棋の未来がある。 ロボットに詳しい著者は、人工知能と棋士との戦いを、ロボットアームの仕草から人間らしさを表現しようとする。人工知能は投了できないということから始まるが、なるほど、そうやって、棋士に対して敬意を払うのかと思った。 何れにしても、盤上ゲームは、もはや人間は勝てなくなっている。人工知能は膨大な計算の上に最適な指し方を疲れも知らずに、指し続けることができる。では、負けるとわかっていて、将棋はどうなるのか?廃れるのか?存続するのか?少なくとも、将棋は人工知能に勝てないという「一つの壁」がどんとできた制約の中で、人間は棋力を競い合うしかないのかもしれない。 人間が負けないようなゲームそのものを、デザインすることは、できるのだろうか。未来の盤上ゲームの風景はどのような姿になるのだろうか。 「144C」 小説の編集者と新人の編集者との会話。人工知能が、小説を書いたら、人間の創造的分野を侵害し、尊厳を脅かすことになるか?そして、小説の本質とは何か?小説の本質が人間を描くことだとするならば、人工知能は人間の心の機微をかけるのか? 小説を小説らしさを獲得するためには何が必要なのか?作家は、発想を基礎としてストーリーを作る。確かに、ハリウッド映画などは、ストーリー作成指南書があり、ストーリーの構造を作り上げることもできる。 自分の知ったことにしか関心を示さない読者と自分の知らないことを読みたい読者。自分のみじかな物語なら読める。そのような読者を相手にして、売れる小説とは?「一言で表現できない小説は売れない。」と編集者はいう。読者のシンパシーとエンパシーにフィットする作品を人工知能が作れるかもしれない。人工知能の小説作成の進出によって、小説の本質とは何かを問いかけることができている。 「きみに読む物語」 本を読んで、感動するのはなぜか?その謎を解き明かしたい。本を読むことで、人間の共感や感情移入はなぜ起こるのか? シンパシー;かわいそうと感じている気持ち、理解し気遣おうとする様。シンパシーとは、感情の状態。自然に心の中で発生する気持ち。 コンパッション;苦しみに見舞われている人に対して、助けたいと強く願うシンパシーの気持ち。コンパッションとは、行動への欲求が募ってきた状態。 エンパシー;他者の気持ち、体験などを理解しようとする能力。エンパシーは、能動的に相手の気持ちを忖度し、理解しようとする能力。 読み手は、シンパサイズし、エンパサイズする。 本が、シンパシーを感じたり、エンパシーを感じたりする指数を明らかにすることができる。 そのことによって、本の評価が決まる。 「私がきみに読む物語は、その未来への可能性だ。きみが変わることで、いくつ化の物語が未来に運命を変えるかもしれない。」本のランキングが出来上がり、読者の感受性にあった本を選ぶことができる。 「ポロック生命体」 DVDで「ポロック 2人だけのアトリエ」を見た。ジャクソンポロックの絵を見て、絵だろうかと思った。 アメリカの画家 ポロック。カンバスの上にペンキを撒き散らすドリッピング(ドリップペインティング)の手法。絵の具や塗料を筆から床の上のカンバスに垂らして運動の軌跡をとどめる。流すーポーリングの手法。筆を持った腕をダイナミックに動かす。それを何色にもわたって重ねていくと、立体感のある線と飛沫のリズムが立ち上がる。アクションペインティングで一世を風靡し、ビートニク世代を代表する画家へと上り詰める。 ジャクソンポロックの画風を人工知能に学習させて、人工知能によるジャクソンポロックの創作ができる。人間らしい創作という行為を真似るだけで、新しい絵が生まれる。感性の世界に人工知能は、どこまで迫れるのか?それが人間らしさの本質を見極めることになる。果たして、それはニセ物なのか?そこに必要なのは、作品自体が持つ生命力の爆発にある。 絵は躍動していた。鮮やかで踊るような原色のリズム。色はどれも鮮烈だった。どの色彩も跳ね上がり、弾け散って、重なり合いながら決して濁ることなく、互いに声をあげて歌いあっているようだ。 人工知能が、死んだポロックの絵を疲れも知らずに描き続けることができる。 人間にできていることは、人工知能にも必ずできるというホラーSF。 | ||||
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人工知能をテーマに収録された中短編集。人間らしいAIを追究する「負ける」。AIと人間らしさを考察する「144C」。本の評価が数値化される世界を描く「きみに読む物語」(この作品だけ毛色が異なる)。AIと人間の位置づけを再構築する表題作の「ポロック生命体」。もっとも考えさせらたのは「ポロック生命体」だ。創作ができるAIが登場すると、人間の方が逆に機械にしか見えなくなる様が、真実をついていそうで、人間が小さく見えてくる。 | ||||
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冒頭の「負ける」に感心した。近年、AI棋士が活躍し、プロ棋士顔負けの活躍をしている。あらゆる指し手をインプットし、経験値でプロ棋士に勝る。しかし、本書に登場するAI棋士は、相手の指し手のポージングに着目する。ポージングからどのような指し手をしてくるかを予想するのである。 著者は何とデータ外からデータを取る前代未聞のAI棋士を創造する。しかし、これでは勝てない。「投了する」AI棋士が理想である。こんな面白いAI棋士は著者しか思い付かない。相手がどんな指し手で来ようとも、立ち向かえる無敵のAI棋士は誰でも開発出来る。しかし、このAI棋士だけは開発不可能である。この点において、このAI棋士はまさに無敵である。この着想に驚いた。奇想天外な小説である。 お勧めの一冊だ。 | ||||
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