虹の天象儀



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初公開日(参考)2001年09月
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長編小説

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虹の天象儀 (祥伝社文庫)

2001年09月30日 虹の天象儀 (祥伝社文庫)

まるで宇宙船のようにも見える、不思議な形をした星の投影機。44年間の使命を終え閉館した東京・渋谷の五島プラネタリウムに、不思議な少年がやって来た。「おじさん、プラネタリウムはどんな時代の星でもつくれるんでしょう?昔に吸い込まれそうになったことはない?」―一つの思いが心に刻まれ、昭和20年前後の時代にタイムスリップする感動の物語。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

虹の天象儀の総合評価:8.17/10点レビュー 6件。Cランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

瀬名氏は意外に熱かった!

2001年、祥伝社が400円文庫と銘打って、当時文壇で活躍していた作家達に200ページ弱の書下ろし作品を依頼するという企画があった。本書はその企画にて書き下ろされた瀬名氏のSF中編である。

瀬名氏といえばデビュー作が角川ホラー大賞を受賞した『パラサイト・イヴ』であることは有名だが、その後もSFサスペンス大作『BRAIN VALLEY』を上梓している。それらに共通するのは絶対的な専門的知識に基づいたフィクションの制作であり、どこか現代と地続きである事を感じさせていた(『BRAIN VALLEY』はあの結末が飛躍しすぎているきらいがあるが)。
しかし本書では現代科学では当面空想上の物と考えられているタイムスリップを扱い、大人のメルヘンともいうべき1編となっている。

しかし本書でのタイムスリップの扱い方はいささか趣が異なる。といいながらも斯くいう私も論じるほどタイムスリップ物を読んだ事がないのだが、その少ない知見に基づいて書くならば、通常タイムスリップというのは個人的な忌まわしい過去を清算する、もしくは過去の過ちを正すために奮闘するという流れでストーリーが運ぶと思うが、本作では主人公が好きな実在の作家織田作之助の夭折を防ぐこと、そして空襲で焼け落ちる毎日天文館からプラネタリウム投影機と日本の天文学界において貴重な資料である格子月進図を守るという、実在の歴史を改変することを目的にしている。
シミュレーション小説などでよくあるテーマかもしれないが、瀬名氏が書くタイムスリップ物と構えて手に取った私にしてはけっこう思い切った事をするなぁと思った。

勿論、これらの目的は達成されないのだが、代わりに主人公が得るものはある。それは五島プラネタリウムを勇退したその後の人生の目標だ。彼はそれを夢見て今後の人生を過ごす事が出来るのである。

そしてなぜこのような作品を瀬名氏が書いたのか。私が思うにそれはたびたび引用される織田作之助の末期の言葉、「思いが残る」というこの一言にインスパイアされたのではないだろうか?
「思い出が残る」ならば解るが「思いが残る」とはどういう意味だろう?そして織田作之助にとって残る「思い」とは一体何なんだろうか?そこからこの物語が紡ぎだされたのではないだろうか?

しかしこの言葉に対する瀬名氏の思いが強すぎて、いささかくどいところがある。理系作家とされる瀬名氏だが、その作風はドライではなく非常に熱い。
たださすが博識の作家瀬名氏、未知の知識を今回も与えてくれた。カール・ツァイスⅣ型プラネタリウム投影機に関する詳細な内容はもとより、ムーンボウという月の明りで出来る夜の虹なども教えてくれた。
また戦中の東京についても精緻に描かれており、書下ろし中編といえども手を抜かない創作姿勢が嬉しい。

しかしなんとも云えない読後感が残る小説である。具体的に云えないが、なんだかこそばゆい限りだ。
作者として思い入れを強く入れすぎ、読んでいるこちらが気恥ずかしさを感じるところがある。それとも少年の心とか夢とか清い愛とかに私が恥ずかしさを感じるように変わったのか。まあ、ちょっとしばらく考えてみよう。

Tetchy
WHOKS60S
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.5:
(5pt)

美しい

瀬名秀明さんの美しい日本語で綴られた美しいお話です。何年経っても何度でも読み返したくなります。ロマンチストの瀬名さんらしい小説だと思います。
虹の天象儀 (祥伝社文庫)Amazon書評・レビュー:虹の天象儀 (祥伝社文庫)より
4396328842
No.4:
(4pt)

プラネタリウムからタイムスリップ。「思いは残る・・・」

日本からは見えない星空すら再現するプラネタリウム。
 渋谷の五島プラネタリウムの閉館から物語は始まります。機械が止まった翌日あらわれた謎の少年に、機械を見せてと頼まれた技師の「私」は宇宙船を思わせるこの機械の解説をしているうちに、太平洋戦争直前にタイムスリップ。

当時の有楽町の町並みと、そこにあった毎日天文館のプラネタリウムを訪れた「私」は、そこが空襲で焼けることを知って、女性記者にそれを告げます。また、すこし時代を飛んで大阪電気科学館のプラネタリウムを小説にした織田作之助の病床を訪れます。そして彼の夢見た星空を見せ、彼の作品が映画化されることも・・

「私」はそれぞれの時代の人間の体に一時宿って、星空と悠久の人類の歴史への思いを残してゆきます。

 宿られた人の心に思いは残り、また「私」に出会った人がプラネタリウムからタイムスリップして未来の人の体に思いを残し・・・

 プラネタリウムという、過去も未来もすべての夜空を内蔵している機械に託して、受け継がれる夢を叙情的に描き出した佳品です。400円シリーズの書き下ろしで、枚数が少ないため、やや物語の厚みと書き込みが不足していますが、ついこのあいだまで自分も長くつきあってきた五島プラネタリウムを思い出しながら、しみじみと読みました。プラネタリウムという、怪獣のような形の機械のしくみ、星空が深く主人公たちを包みこんでくるラスト、そして「誰かの中に、思いは残る」・・・
虹の天象儀 (祥伝社文庫)Amazon書評・レビュー:虹の天象儀 (祥伝社文庫)より
4396328842
No.3:
(4pt)

ロマンがある

20年前に秋田の大館で見た夜空の美しさが忘れられない。その時肉眼で初めて天の川を見た。それ以来、できるだけプラネタリウムに通いたいと思っている。この小説は、プラネタリウムを通じて、他の人々の心に残ってゆく「人の思い」というものを鮮やかに示して見せた小説である。本編が、160ページ足らずで、手軽に読める小品ながら、静かに胸に迫るものがある。ストーリー展開は地味だが、それがいい。この小説もタイムスリップを扱っているが、タイムスリップものを支えているのはロマンスよりもロマンだなあと、痛感した。また、読んでいると、今から30年程前にNHKでやっていた少年少女ドラマシリーズを観ているようで、自分自身も30年前にタイムスリップしたよな錯覚に襲われた。その意味でも二重に楽しめた。
 考えてみると、8年前に書かれたこの小説は、当時の空気を閉じ込めたタイムカプセルのようなものだ。小説というものが時代を超えて、読み継がれていくというのも、なんだかロマンがある。いろんなことを考えさせられ、面白かったのだが、もうちょっと深みがあっても良いのかなと考え、星は4つにした。
虹の天象儀 (祥伝社文庫)Amazon書評・レビュー:虹の天象儀 (祥伝社文庫)より
4396328842
No.2:
(4pt)

人の想いをのせて、星空は輝く・・・

広大な宇宙をギアとモーターの回転だけで表現しようとした
偉大なるツァイスのプラネタリウム。
「作り物の星空」だけど、それだけじゃない。
「作り物の星空」に想いをよせた多くの「想い」がそれを証明している。
人の想いは尽きずに、どこまで残っていくのだろう?五島プラネタリウムを知る人、そこに淡く素敵な思い出を持つ人なら
始めの数ページを読むだけで泣いてしまうかもしれない。
(事実、読むたびに泣いてしまうみっともないワタシ^^;)プラネタリウムという機械のしくみをあますところなく説明しながら
叙情的に、そして優しくせつなくまとめている瀬名氏の手腕には脱帽。
読んだ後に、プラネタリウムに行きたくなる。
もしくは夜なら、ふと夜空を見上げてしまいたくなる!本!!です。
虹の天象儀 (祥伝社文庫)Amazon書評・レビュー:虹の天象儀 (祥伝社文庫)より
4396328842
No.1:
(4pt)

めずらしい「純正プラネタリウム小説」

プラネタリウムが初めて日本に登場したのは1937年。すでに半世紀を超えており、その歴史はテレビより古い。マルチメディアという言葉すら存在しなかった時代に、全天周の映像をみせられた人々は一様に言葉を失ったという。その衝撃からかプラネタリウムを描いた小説は意外とでているのだが、案外とプラネタリウム自体が主役の小説は少ない。あの奇怪なメカメカしい姿や、独特の解説を小説に昇華するのが難しかったのだろうか。瀬名は老舗五島プラネタリウムの閉館をもって訪れたチャンスにこの難題に挑戦した。理科系作家と言われる氏だが、むしろ叙情面に重きをもち、プラネタリウム小説の始祖ともいえる織田作之助へのオマージュともなっている。ドームの外で古き良きプラネタリウムを味わえる不思議な作品!である。
虹の天象儀 (祥伝社文庫)Amazon書評・レビュー:虹の天象儀 (祥伝社文庫)より
4396328842



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