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ゴールドスティン



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ゴールドスティンの評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Cランク
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(7pt)

戦争後で戦争前の時代を活写

1930年代のベルリン警視庁の警部ラートを主人公にしたシリーズの第三弾。時代背景を巧みに取り入れた、社会派警察小説である。
1931年6月、FBIからベルリン警視庁に「ニューヨークギャングの殺し屋、ゴールドスティンがベルリンに向かった」という連絡が入り、ラート警部はこの男を24時間監視するように命ぜられる。ゴールドスティンの目的が判明せず、疑心暗鬼に落ち入ったベルリン警察をあざ笑うかのように、ある日、ゴールドスティンは監視の目をかいくぐって姿をくらました。そのころベルリンでは、暗黒街で対立する二つの組織の顔役が姿を消し、組織に関係する故買屋が虐殺された。また、百貨店に盗みに入ったストリートチルドレンの少年を殺害した疑いをもたれていた警官が殺されるという事件も発生した。次々と複雑化する事件に、別々の理由から関わることになったラート警部と恋人のチャーリーは、お互いに反発しながらも協力し合い、隠されていた陰謀を徐々に暴いていくことになる。
警察の捜査活動がメインではあるが、社会民主党政権が弱体化し、共産党、ナチの対立が深刻化してきた、当時の騒然とした世相、中でも、ベルリンのユダヤ人社会が置かれた微妙な立場も大きなテーマとなっている。経済的な苦境と人種差別が影響し合って、第一次世界大戦の戦後が第二次世界大戦の戦前へと変わっていく様相は、現在の日本人にとっても決して他人事ではないと思わされる。
ラート警部シリーズにしては読みやすく、歴史的背景云々を抜きにしても楽しめる。

iisan
927253Y1

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