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Xの悲劇



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Xの悲劇の評価: 7.18/10点 レビュー 11件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.18pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全3件 1~3 1/1ページ
No.3:6人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]  ネタバレを表示する

モダンでありながら古典風味

エラリー・クイーンが当初バーナビー・ロス別名義で世に放ったいわゆる悲劇4部作の第1作。名探偵ドルリー・レーンシリーズの幕開けである。

ドルリー・レーンとエラリー・クイーン。作者クイーンはこの2人の名探偵を実に特徴付けて設定している。
犯人が確定する絶対的な証拠を掴むまで絶対に真相を話さない、お互い引用癖があるという共通点はあるものの、片や大学卒でミステリ作家でもエラリー・クイーンは若さ故に先走る事があり、書物収集家でもある典型的なインテリタイプ。
片やレーンはかつてシェイクスピア俳優として名声を馳せた人物で、常に冷静に事件を見つめ、元俳優という職業を活かし、変装までも行って独自で捜査を行い、また演劇と犯罪とを結びつけて考える、そして耳が聞こえないというハンディキャップを負いながらも読唇術で会話ができ、なおかつ推理に浸るときには目を瞑り外界からの情報を一切シャットダウンすることができる深慮黙考型の探偵だ。古典ミステリの観点から云えば、このドルリー・レーンこそ昔ながらの名探偵像に近いと云える。

またこの作品、国名シリーズと違って、非常に古めかしい装いを呈している。
なにしろ冒頭は山奥に建つイギリス様式の、個人劇場を備えた豪邸ハムレット荘を訪ねることから始まるのだ。ニューヨークに住居を構える都会型探偵エラリーとは大違いの舞台設定だ。
事件は衆人環視の満員電車の中での殺人、また乗客の多数乗った連絡線からの墜落死とモダンな感じはするものの、レーン氏の風貌、文体などからもこれぞ古典本格ミステリといった風合いが漂う。こういうガジェット趣味は現代の新本格ミステリに通ずる趣向であり、読んでて非常にワクワクした。

さて読者への挑戦状は挿入されていないものの、国名シリーズ同様、犯人を当てられるだけの材料は真相解明には全て揃っていた。
そして本作が発表された1932年という年は他にも『ギリシア棺の謎』、『Yの悲劇』、『エジプト十字架の謎』というクリーン諸作の中でも代表作と呼ばれる4作品が発表されたクイーン最盛期の年である。

本作では殺人事件は3つ起き、それぞれの舞台は電車、定期船、電車と乗り物であるのが特徴。装飾は古めかしいが、殺人現場は非常にモダンである。
そしてこれら「動く密室」を設定しているのが、国名シリーズとは一線を画するといったところか。そして犯人逮捕シーンも最後の殺人の舞台となった電車内で行われる、劇的趣向が施されているのもやはり主人公レーンが元舞台俳優であることを意識しての事なのかもしれない。

本作のタイトル『Xの悲劇』の「X」の意味について、作者はきちんと答えを用意している。
その正体はなるほどね、という軽い意味合いのものではあるが、雰囲気や字面だけで題名をつける作品が多い中、こういう誠実さは非常に好感が持てる。それが果たして「悲劇」になったのかどうかは別にして、記憶に残るタイトルと正体であるのは間違いない。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.2:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

Xの悲劇の感想

初エラリー・クイーンです。ガチガチの本格読むのが久しぶりだからかも知れませんが、こんなに面白いとは思わなかったですね。古さも違和感もあまり感じず、魅力的な探偵にすっかり魅了されました。最近まで翻訳ものは敬遠していたのが、勿体無かったです。
思えば昔、新本格に夢中になった時期が有りましたが、随分時間が経ってから元ネタにたどり着いたと言う訳ですね。しばらく古典を読んだ後は、新本格を読み直して見よう。

なおひろ
R1UV05YV
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

鮮やかな名作


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Emm
Q2MI66AG

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