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姑獲鳥の夏



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姑獲鳥の夏の評価: 7.68/10点 レビュー 22件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.68pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全14件 1~14 1/1ページ
No.14:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

人生で読んだ最初の作品

小学生の頃。30分ほど本を読む読書の時間というものがあり、その時に読んでいた本。

正直、内容が全く分からん。

憑き物という単語を知らない自分は当初、訳の分からない単語と理解不能な展開に翻弄されつつ、それでも必死に理解した気になりつつ読み続けた。

改めて今読み返すと、やっぱり理解した気になっているけど、物語の全てを理解しきれてない自分がいる。けれど、成る程、と何度も感心した。

キャラクターがイメージしやすく、長い台詞も脳内でキャラクターが語りかけてくれているように、流れるように読めました。特に二回目という事もあってか。歴史に関しての知識が以前よりある分、更に楽しめました。

歴史を扱う小説は、現代の常識から外れている分、理解し辛い内容が多い気がするのですが、このシリーズは現代とその時代をうまく当て嵌めて、理解しやすいように説明してくれるのが凄く楽しいんですよね。特に、あ~なるほど、と説明に感心した時の達成感は凄く楽しいです。

自分は歴史に詳しくないので、何だか歴史背景を知れて、頭が良くなった気すらして楽しんでいます。

自分の人生の感じ方や考え方、物の捉え方、それらに大きな影響を与えてくれた作品。ある意味で、楽しく読める教材に近い感覚で読んでいます。

毬萌(真愛)
UHYAYSDC
No.13:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

姑獲鳥の夏の感想

分厚い文庫本だが、読み始めると面白い。2日で読んでしまった。最初の方で挫折する人もいるだろうが、飛ばし読みせずじっくり読み進めればその深淵さの虜となる。
ミステリーとして読む場合「そりゃないよー」と言いたくなる部分もあるが、それを踏まえても秀作。

京極夏彦の「心」と「脳」、そして「意識」はどうなっているのだろうか?興味深い。

テルテル
9638XNHX
No.12:6人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

まだ闇残る時代のミステリ

京極夏彦氏鮮烈のデビュー作。綾辻以降の新本格から第2ステージに移行した本格ミステリシーンの時代の転換期の象徴とも云える妖怪シリーズ第1作だ。

とは云え、一読、実に真っ当な本格ミステリというのが率直な感想だ。
元々ミステリとは始祖ポーが、明らかに怪物の仕業である、または説明のつかない怪奇現象の類いであると思われた事象を実に明解な論理で解き明かすことを主眼にした文学形態である。つまり人々が恐れていた謎という闇の部分に論理という光を当て、人智の物とする行為。
この京極堂こと中禅寺秋彦の「憑物落とし」は正にこの行為そのものである。だからこの妖怪シリーズは妖怪というモチーフと物珍しさ、憑物落としという興趣くすぐる演出で新たな本格という風な捉えられ方をしたが、実は黄金期ミステリ時代への原点回帰的作品なのだ。

この現代社会にそぐわない憑物落としを違和感なく作品世界に落としこむために設定した舞台が昭和二十七年という時代設定である。戦後からようやく復興の兆しが見えてきたこの時代、闇夜はまだ怪異の居場所だった。そんな異界と斯界がまだ密接に隣り合っていると信じられていたこの時期こそ自身の作品を成り立たせるのがこの時代であったと後日作者自身が述べている。

そしてそれが時折挟まれる幻想味溢れる眩暈めいた文体も相まって、独特の作品世界を構築する。理詰めで構築される博覧強記の京極堂の薀蓄語りとどこか情緒不安定な“信頼できない”語り手である関口の妄想めいた語り口が程なくブレンドされており、デビュー作とは思えない独自の作品世界と文体を既に確立しているのが素晴らしい。

またこのシリーズがなぜ斯くも人気があるのかがこの1作で解る。
非常にキャラクターが立っているのだ。

古本屋京極堂を営む陰陽師安倍晴明の流れを汲む元神主で憑物落としを副業とする中禅寺秋彦。
三文作家でワトソン役を務める俗っぽい語り手である関口巽。
出版社に勤める活動的な女性で京極堂の妹敦子。
そして眉目秀麗、何をやらせても非凡な才能を持ち、更に人の記憶が見えるという特殊能力を持った薔薇十字探偵社を営む榎木津礼二郎。
関口と榎木津の戦友であり警視庁の刑事である木場修太郎。
第1作から斯くも個性的なキャラクターが総出演し、それを自在に物語に配置し、躍動させる京極氏の筆の冴え。

そして全編に繰り広げられる薀蓄、これまた薀蓄の波。
民俗学から端を発す妖怪、幽霊の存在についての考察から宗教論に錬金術、はたまた大脳生理学から量子力学まで、その内容は幅広く、しかも詳細だ。しかもこれらは単なるガジェットではなく最後の憑物落としに実に有機的に結実するのだから読み落としてはいけない。

なおこれも翻って考えれば、黄金期ミステリを代表するヴァン・ダインのファイロ・ヴァンスに由来している事が解る。先にも述べたがこのシリーズは実に本格ミステリの王道に忠実なのだ。

そしてこれら博学な知識を動員して説かれる論理はなかなか心地よい物がある。幽霊を視認する事と脳の作用に関する考察、歴史上の人物と御伽噺の登場人物の存在として等価性とそれに対する現実と想像との判断基準に関する考察、知性や道徳性が生物の種の保存という本能に及ぼす歪んだ価値観、などなど興味は尽きない。
その中でも特に他人の記憶が視覚化するという榎木津の特殊能力に対する京極堂の論理的推論は非常に面白い物があった。

その榎木津もエキセントリックな風貌も相まって御手洗潔が初登場した時を思い出させる印象的なキャラクターだ。個人的には一番好きなキャラクターである。

そして話が進むにつれて、噂の久遠寺医院は伏魔殿の如き様相を呈してくる。
蛙のような赤ん坊、産まれてまもなくいなくなる嬰児、これら奇妙な噂と謎が実に間然なくロジックで解き明かされる心地よさ。
しかしその真相は実に複層する狂気が折り重なった戦慄の真相。
惑う人ほど弱く、そして自らの視野を狭め、最悪の選択をする。
このあまりに非人道的な行為が今回の失踪事件に繋がるロジックの妙はおぞましさはもとより耽美な美しささえ感じるほどだった。
この業が“姑獲鳥”なる妖怪を生み出してしまったのだ。

とまあ、実に私の好みと合った作品で、ここまで激賞の連続だが、メインの謎に関する真相はいささか期待はずれという感がないわけではない。
二十ヶ月間も妊娠している妊婦、密室から失踪した夫の行方と非常に不可解かつ魅力的な謎を提示しているが、その真相との落差が激しかった。

今まで述べたように、この妖怪シリーズは決して斬新な本格ミステリではなく、むしろ過去のあらゆる分野からモチーフを取り出し、それを咀嚼した上で完成した物語という一枚の絵であることは識者であれば一目瞭然だろう。
しかしそれは全くこの作品を貶める物ではない。逆に温故知新の素晴らしき実践例だと私は褒めたい。

本格ミステリに必須ともいえる謎という暗闇に日本古来より伝わる妖怪という怪異を施したこのシリーズと作者の着想。更には知識欲の充足をも与えてくれる博学な作者のデビュー作とは思えぬ練達の筆捌き。
次作を早く読みたい気分で今は胸がいっぱいだ。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.11:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

キャラがいい!

戦後直後が舞台のミステリー。トリックは正直ちょっと無理があった感がしました。でもいろいろと怪しげな雰囲気で、時代設定や、京極堂、榎木津、主人公の関口のキャラのバランスがよく、それぞれいい味を出していますので、第2作目に期待して次も読んでみます!しかし長かった(^_^*)

タッキー
KURC2DIQ
No.10:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

難しいところを越えれば

まず、時代設定が戦後という古い設定なので受け入れられない方は読めないと思います。
それととちゅ途中で出てくる古文のような文章や序盤の京極堂の長ったらしいウンチク部分をクリアすれば本書は面白いところに突入します。
文庫の上下版で読みましたが上はなかなか物語が進まないのに対し下巻はかなりのテンポアップでした。

兎に角2作目の魍魎の匣の評価が高いので読んでみようと思います。

マビノギオン
ETOPY8N1
No.9:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

独特の作風がたまらない

京極氏の作品は凶器にできそうなほど分厚い上に、内容も難解そうで敬遠していたのですが、いざ読んでみると非常に読みやすく世界観に吸い込まれ、長さを感じないとは言いませんが、長さが全く苦になりませんでした。

関くんと一緒に京極堂の話を聞いていると、自分の愚かさを認識した上で、少し賢くなったような気になれます(笑)
この独特の作風は読んでいて心地よいですね。


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マリオネットK
UIU36MHZ
No.8:
(7pt)

ロマンチックですね

舞台設定が怪しくて雰囲気がありました。

わたろう
0BCEGGR4
No.7:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

姑獲鳥の夏の感想

今まで読んだ小説とは違い、不思議な感じを受けます。何か、知っている場所だけど、どこかが違う別の世界に紛れ込んだような。 う~ん、私の感覚がずれているのかな?

松千代
5ZZMYCZT
No.6:5人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

クオリティの高い作品


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hiro-m
4K1CCRGG
No.5:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

姑獲鳥の夏の感想

京極夏彦の衝撃デビュー作!トリックにはさほど驚けなかったんですけど、小説世界への引き込まれ感は他の小説にはないものがありました!

ジャム
RXFFIEA1
No.4:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]  ネタバレを表示する

「不思議」とは何か?

作者のデビュー作でもある本作は、後にシリーズとして続く他作品よりも、シンプルで読みやすい。シリーズ未読の方は、本作から読まれることをお勧めする。「母」の物語、である。過去に在りし「母」、現在を生きる「母」、在るはずだった「母」、在るはずのない「母」・・・「母」に対する憎悪はもちろん、愛情すら歪んで悲劇を招いてしまった。そんな感想を得たのは再読だからだろう。初読の時には装飾的に散りばめられた薀蓄と、猟奇的な謎と、ケレン味たっぷりの『憑き物落とし』の演出に夢中で読み進めていたように思う。発表当時は物議を醸したらしいメイントリックも、現在となって目くじらを立てる読者も少ないのではないか。このトリックが暴かれた時、度肝を抜かれたというか、顎がかくんと落ちたというか・・・その感覚をまた味わいたくて、今もなお作者の新作を待ち続けている。物語が終焉を迎える場面(小説のラストという意味でなく)は実に儚く美しく・・・失われてしまった諸諸のものに思いを馳せずにはいられない。


▼以下、ネタバレ感想

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驚愕冬彦
2WGNS0HA
No.3:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

姑獲鳥の夏の感想

密室トリック(?)が他のミステリーとはかなり異質な作品です。僕は好きですが。
キャラクター達もミステリーの中では突出して生命力、個性があり、そこも充分楽しむことができます。
民俗学の蘊蓄で少々体力を奪われましたが、惹きつけられる文体で回復できます。

判子
9NSL6FZ2
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

姑獲鳥の夏の感想

この民俗学的雰囲気は凄いの一言。真相に唖然としました。

Lin
Y7I7W18A
No.1:8人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

意外性の一冊

大極宮の極、京極氏の作品は初読み。
趣味には合わないと思い今まで敬遠してきたが、とりあえず読んでみようと本書を取った。

まず、読む前のイメ-ジで言うと、本表紙の絵みたいな妖怪の存在が普通の世界で人にとりつき
事件を起こし、最後に陰陽師との妖怪バトルみたいな感じで思っていたけど違った。

あくまで、実在しない妖怪や神霊とは、どのようなモノなのか宗教的、哲学的
科学的な様々な観点から主人公の自論が展開されていき、そのせいでスト-リ-テンポ
は遅いが幾分納得するところもあり、どんどん引き込まれていく。

当然話は怪奇的な事件の謎を究明していくというところなのだが、推理・トリックという
観点では読まないほうが良い。
あくまで、主人公の京極堂が最後にズバッと謎を解いていく爽快感を楽しむものであると
思う。
事件において妖怪や神霊の具体的な描写が一切なく、あくまで人間の所業で
おきた事件で解決するところは、意外であり、新たな小説の発見だと思った。




タカタソン
HU0OGV5Q

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