■スポンサードリンク


死者との誓い



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

死者との誓いの評価: 7.00/10点 レビュー 3件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(7pt)

マットの誓いを我々は待っていた

『墓場への切符』から始まったいわゆる“倒錯三部作”を経たマット・スカダーシリーズも第11作目では圧倒的な悪との戦いから解放され、以前のシリーズの趣を取り戻したような様子で幕を開ける。

今回の事件はある弁護士の死の真相を探るという物。しかしその犯人はすぐに逮捕されて証拠もあるのだが、犯人の弟から事件の再調査を依頼される。

弁護士を殺害したとされる容疑者はジョージ・サデッキというヴェトナム帰還兵の精神障害者。戦争の後遺症で定職に就くことが出来ず、マットの住むクリントン地区界隈で浮浪者の如く生活している生活困窮者だ。

つまり弁護士と云う社会的地位の高い者を殺害したのは世間ではさして関心も持たれない社会の底辺生活者。この社会的弱者の無実を晴らすためにスカダーは勝ち目のない戦いに挑むのだ。

そして捜査が進むうちにこの四方八方から見て全く以て健全だと思われた被害者の弁護士グレン・ホルツマンには何か隠された謎があることが解ってくる。

小さな出版社の顧問弁護士というさほど高給な報酬を受け取っていなかった男がニューヨークの高級コンドミニアムの28階という実に長めのいい部屋をキャッシュで買い、クロゼットの中には30万ドルもの現金が隠されていた。この身分不相応な金の出処に事件の鍵をマットは嗅ぎ付ける。

このグレンが謎の大金を手に入れる秘密の真相は実に意外な物だった。

さて暗鬱な“倒錯三部作”を経た本書はそれまでのシリーズには見られなかった軽妙さがそこここに感じられる。それは前作でマットが決意したエレインと結婚を意識しているためか、どこか二人の掛け合いにそれまでにない薔薇色めいた華やかさを感じるのだ。

そして今や名バイプレイヤーとなったマットの助手TJの活躍も文体の軽妙さに一役買っていると云っていいだろう。前作『獣たちの墓』で大活躍したTJが本作でも事件の目撃者捜しという大役に大いに貢献する。

アル中探偵で警官時代の過去の事件でトラウマを抱えて1人孤独に社会の底辺で生きる人々の間を渡り歩いていたマットだが、もはや彼は一人ではなく、チームが出来上がっていたのだ。これが物語のトーンを変えているアクセントとなっているのは間違いない。

しかし本書にはどこか死の翳が付きまとう。
それはシリーズが進むにつれて確実にマットもエレインも齢を取っているからだ。

さらにマットは被害者である弁護士の妻リサとも関係を持ってしまう。それは幸せな家庭を理不尽な仕打ちで唐突に壊された未亡人に対するケアなのか、それとも恋をしてしまったのか、マット自身も解らない。
しかし時々無性に電話をし、逢いたくなる。それはエレインに対する裏切りであることを知りつつも辞められない、ミック・バルーの台詞を借りればいわゆる“男の性”なのだ。

かつては世間では取るに足らない存在に過ぎない人間の尊厳を守るために生前親しんでいた依頼人のために事件を探っていたが、今では死が全てを忘れ去ってくれるかのごとく、依頼人も固執せずに容易に依頼を真相が解らぬままで断ち切る。
時代が移ろい、人の心も移ろうのだ。

それはマットとて例外ではない。

1人ではなく、護る者が出来たマットが辿る静かな足取りながらも味わい深い物語をこの後も期待する事にしよう。


▼以下、ネタバレ感想

※ネタバレの感想はログイン後閲覧できます。[]ログインはこちら

Tetchy
WHOKS60S
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

マットスカダーは、やっぱり面白い!

マットスカダーシリーズは、やっぱり面白いですね!
この本は読みやすくて、どんどん進みました。
ミステリーとしては、イマイチな面もありましたが、それよりも登場人物の会話が卓越しているので
会話だけでも楽しめます。
こういうお洒落な会話をしないといけませんね(笑)
シリーズものなので、まだ未読の方には最初から読まれることをお勧めします。
私は前後しちゃっているので、それぞれを楽しもうと思っています。

ももか
3UKDKR1P

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!