(短編集)

夜明けの光の中に



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    初公開日(参考)1994年01月
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    短編集

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    夜明けの光の中に ローレンス・ブロック傑作集3 ローレンス・ブロック傑作選

    1994年01月24日 夜明けの光の中に ローレンス・ブロック傑作集3 ローレンス・ブロック傑作選

    もう何年もまえのことだ。警察を辞め、妻子も捨てて、酒場に入りびたっていた私は、飲み友だちの依頼を引き受けることになった。妻殺しの嫌疑をかけられているので、真犯人を探し出してくれというのだが…。アル中探偵マット・スカダーの回想を通して、大都会の感傷を謳い上げたアメリカ探偵作家クラブ賞受賞の表題作をはじめ、当代随一のストーリーテラーが絶妙な筆さばきでつづる逸品20篇を収録した待望の傑作集第三弾。(「BOOK」データベースより)




    書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

    夜明けの光の中にの総合評価:8.33/10点レビュー 3件。Cランク


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    全1件 1~1 1/1ページ
    No.1:
    (7pt)

    世紀末ゆえの割り切れなさ

    ローレンス・ブロックの第3短編集。長編のみならず短編の名手であるブロック。今回もヴァラエティに富んだ作品集となっている。

    まずはスカダー物の1編である表題作で幕を開ける。
    ブロック自身がまえがきで述べているように本作は『聖なる酒場の挽歌』で起きる3つの事件の中の1編だ。このエピソードに2つの事件を肉付けしたのが『聖なる酒場の挽歌』であり、この作品がきっかけとなって『八百万の死にざま』で終焉を迎えようとしたマット・スカダーシリーズが再開されたのだから、ブロックにとってはマイルストーン的な作品となるのだろう。

    「夢のクリーヴランド」は「世にも奇妙な物語」に使われていそうなおかしみのある1編だ。
    夢の中でドライヴしているために寝た気がしないという実に奇妙な相談とそれを解決するこれまた実に奇妙な方法。そしてそれだけで終わらず友人も同じ夢を毎晩見て疲れている。しかもそれが毎晩3人の美女の夜の相手をするためにクタクタになっているという男の願望が詰まったような次の展開。
    しかし他人の夢で起きたことが自分の夢で体験できるとは限らないのに男って奴は…。

    「男がなさねばならぬこと」は奇妙な味わいを残す1編。
    法の網をかいくぐり、暗躍する悪党たちに対して法の遵守者である警察は無力である。犯罪を犯したことは明白であるのに決定的な証拠がないばかりに逮捕できない。マット・スカダーでもその手の類の犯罪の容疑者がよく現れ、その都度マットを惑わしてきた。
    そんな法で裁けない真の悪党たちを次々と暗殺する殺し屋を目の前にした警官が選択したのは法律的には許されないが、道徳的に実に納得のできる決断。こういうことは実際起きているのではないだろうか。

    後のシリーズキャラクターである殺し屋ケラーが初お目見えするのがこの「名前はソルジャー」だ。
    初登場の殺し屋ケラーのこの顔合わせともいうべき作品ではまだ彼がどういった人物かは解らない。依頼により、証人保護プログラムで身分を変えた男を見つけてもすぐには始末せず、いつも食事を共にし、また街をぶらぶらして満喫する。しかし彼が勝手に抱いていた妄想が崩れると、まるで夢から覚めたかのように非情なまでにターゲットを屠る。実に気まぐれな殺し屋である。
    ケラーの為人については今後の作品群で理解していくことにしよう。

    「魂の治療法」も実に皮肉な物語だ。
    殺人を犯したという妄想に悩まされる男。それが妄想だと証明する刑事。
    慣例や先入観と云うのは実に恐ろしい物だと笑い話では済まされない奇妙な味わいを残す1編だ。

    短編集に必ず登場するシリーズキャラクター、悪徳弁護士エイレングラフは今回も例に漏れず登場だ。「エイレングラフの選択」では愛人殺しの容疑で捕まった女性の弁護を担当する。
    相変わらずブラックな味わいを残す。

    「胡桃の木」はなんとも暗鬱な物語だ。
    レンデルの作品を髣髴させる、とても痛々しい夫婦の物語。
    育った環境の、両親の影響で諍いを起こす衝動に駆られる夫婦。この負のパターンを打ち崩すべく妻が選択したのは夫を殺害する事だった。
    寂寥感がただただ漂う1編だ。

    さて泥棒バーニイ・ローデンバーは「泥棒はプレスリーを訪問する」で奇妙な依頼を受けることになる。
    「エルヴィスはまだ生きている」とは有名な都市伝説の1つだが、彼の生家グレースランドが観光地となっており、この2階が観光客はおろかスタッフですら入れない万人禁制の聖域であるらしい。人は秘密があれば色んな想像を巡らせるが、この誰もが入れない2階でエルヴィスは生活しているのではないかと噂が立っているようだ。
    実在する部屋の秘密を暴くのはさすがにブロックも躊躇らわざるを得なかったようだ。

    「交歓の報酬」は誰もが抱く旅先の開放感を描いた作品。
    海外旅行と云う非現実な空気に包まれるマジック・アワー。そんな時間や日々は日常の殻を破って冒険したくなるのが心情と云うもの。
    旅先で親しくなった夫婦がスワッピングを愉しみたくなる甘美で淫靡なムードにほだされるが、物語は意外な結末を迎える。
    しかしそれもまた白昼夢のような出来事。何が真実で何が虚構なのか、誰にもわからない。

    「死にたがった男」はツイストの効いた一編。
    想像の斜め上を行く結末に思わず唸ってしまった。アメリカの警察のずさんな捜査ならばこの方法は完全犯罪になりそうだ。

    マット・スカダー2編目の「慈悲深い死の天使」は実に考えさせられる物語だ。
    物語はちょうどエイズウィルスが突如流行した90年代初頭の世相を反映している。この未知の不治の病に苦しむ同性愛者たちに安らかな死と云う眠りを授ける女性はその苦しみから患者たちを解放するための言葉を授ける。
    しかし物事は必ずしも上手く行かない。どんなに言葉を掛けようとなかな死出の旅に赴くことが出来ない患者もいるのだ。そんなとき、彼女は…。
    スカダーはその事実を当人から聞かされながらも敢えて依頼人には話さない。それは彼女がやっていることが慈悲だと思うからだ。自らの保身やエゴの為に死を与える輩はどんな人物でさえも許さないマットだが、他者を思って行う殺人には寛大のようだ。
    法律では裁ききれないことがある。彼女のやっていることは善か悪か解らないがマットにとっては悪い事のように思えなかったようだ。

    「タルサ体験」は季節ごとにアメリカ国内旅行に出かけている仲の良い兄弟の旅行記。
    犯罪大国アメリカならばありそうな話だけに怖さがひしひしと伝わってくる。

    「いつかテディ・ベアを」も何ともおかしな話だ。
    年に何回もアバンチュールを愉しむプレイボーイの映画評論家はテディ・ベアのぬいぐるみを抱かないと眠れないという設定は面白い。
    同族意識が芽生えた二人は結婚するのだろうか?

    「思い出のかけら」も奇妙な味わいを残す作品だ。
    人に対する警戒心が強いアメリカなのに、大学の掲示板で車でシカゴまで乗せてくれる人を募り、誰とも知れない見ず知らずの相手の車に同乗するとはなんと無防備な女性だろうと思ったが、案の定、募集に応募した男性は快楽殺人者だった。
    しかしそれだけでは物語は終わらず、とにかく奇妙な作品だ。

    「ヒリアードの儀式」もなんと評してよいか解らない作品だ。
    人生何をやっても上手く行かない時もあれば、何事も上手く進む時もある。アトゥエルというシャーマンが施す儀式はその人の持つ運を開放するきっかけを後押しすることかもしれない。
    一見何の関係のないことがきっかけで運命が好転する、そんな人生の不思議さを語った作品なのか。とにかくヒリアードが受けた儀式で突然彼の生活が薔薇色に変わる根拠は全く解らないが、それでもなぜか納得させられる不思議な小説である。

    本書での2度目の登場となる「エイレングラフの秘薬」では妻殺しの容疑者の弁護を引き受けることになる。
    依頼人の冤罪を晴らすために別の角度から犯罪を捏造し、それによって依頼人を不起訴にし、別の犯人を仕立て上げる。
    しかし有罪と無罪の境とはなんとも曖昧な物かとエイレングラフ物を読むと痛感させられる。

    「フロント・ガラスの虫のように」もまた善悪の境を揺るがされる作品だ。
    人は実はギリギリのところで善の境に踏み止まっていると思わされる作品だ。特に自動車の運転と云う非常に身近な行為にテーマを持ってきたところが上手い。
    乱暴な運転をして、こちらに被害を被るような危ない目に遭った時、「いっそぶつけてやろうか」と思ったことは誰しもあるのではないか。長距離トラック運転手と云うストレスが溜まりがちな職業ゆえにその境界をいつ超えてもおかしくないのだ。そしてウォルドロンもまた…。

    「自由への一撃」は銃を持ったある平凡な男がそのことで力を得た気になり、徐々に性格が変わっていく物語。
    その男の心情は解るものの、なんと評していいか解らない作品だ。

    たった7ページと本書で最も短い「どんな気分?」は動物虐待をしているのを見かねた男がその飼い主に制裁を加えていく。
    老馬に激しく鞭打つ御者を同様に鞭打ち、飼い犬を蹴り飛ばす飼い主を安全靴で完膚なきまでに蹴り飛ばす。
    ブロックのストーリーテリングの上手さが光る1編だ。

    最後を飾るのはまたもやマット・スカダー登場の1編「バットマンを救え」はマットが探偵事務所に雇われて海賊版のバットマン商品を町の露天商から回収する仕事に就く。しかしマットは言葉もろくに話せないアフリカ人たちから回収する行為に腑に落ちない物を感じていた。
    本作も正しいことをすればそれにより不利益を被る人がいる。それらが社会的弱者であるとマットはどうしても非情になれないのだ。それが法律的に正しいことであっても社会の底辺で半ば犯罪に手を染めながらも必死に生きている人々と付き合いが深いだけに、いやそこにかつてアル中だった自分を重ねてしまうのかもしれない。
    マット・スカダーと云う男の本質を謳った物語だと思う。


    ローレンス・ブロック短編集第3集の本書はシリーズキャラクターであるマット・スカダー物3編、泥棒探偵バーニイ・ローデンバー物が1編、エイレングラフ物が2編、そして以後シリーズキャラクターになる殺し屋ケラー物が1編含まれた全20編で構成された実に贅沢な短編集である。

    今回の作品では前の2集とは異なり、何とも云えない後味を残す作品が多い。

    その何とも云えなさは大別すると次の3つに分かれる。

    法律と道徳の狭間で善と悪の境が曖昧になる物。
    例えば「男がなさねばならぬこと」、スカダー物の「慈悲深い死の天使」、「フロント・ガラスの虫のように」がそれに当たるだろう。

    次に人間の衝動の怖さを知らされる物。「魂の治療法」や「タルサ体験」、「思い出のかけら」が該当するか。

    そしてとにかく煙に巻かれたような思いで終わる物。これは殺し屋ケラー初登場の「名前はソルジャー」、「いつかテディ・ベアを」、「ヒリアードの儀式」、「自由への一撃」になろうか。

    収録作が80年代末から90年代に掛けての物が多いせいか、当時の流行を反映してサイコパス物や人間の不思議な習慣や行動に根差した作品が多く感じた。
    これが発表当時、世紀末だったことに起因する特異性なのか解らないが、奇妙な味わいを残すオチが多い。割り切れなさとでも云おうか。

    従ってウィットの効いたオチや切れ味鋭いオチを期待するといささか肩透かしを食らった感じがするかもしれない。
    実際そういった類の作品は「夢のクリーヴランド」、「死にたがった男」、「どんな気分?」ぐらいしかなく、大半が敢えて結末をはっきりと書かないことで余韻を残すような書き方をしている。
    これはブロックに限った話ではなく、国内作家でも見られる形で、いわゆる大団円的なフィナーレやスパッとした切れ味といったカタルシスを残す遣り方は少なくなってきており、登場人物たちの人生という1本の線のある時期を切り取った描き方をして、今後も彼らの時間が続いていくような区切のつかない終わり方が多くなってきている。これは物語の在り様の変化なのだろう。

    さてそんな短編集の個人的ベストは「胡桃の木」、「慈悲深い死の天使」、「フロント・ガラスの虫のように」、「どんな気分?」の5つを挙げる。

    これら4作品に共通しているのは先にも述べた世紀末特有の厭世観がもたらす法律による善悪よりも道徳としての善悪、つまり死に値すべき者、そして死を望む者に敢えてそれを施す行為がなされていることだ。特に「胡桃の木」はDVに悩まされる暗鬱な夫婦関係と遺伝と云う家系の業をひたすら重く語り、最後にサプライズを仄めかす、まるでレンデルが好んで描く抗えない血の呪いといった運命の悪戯が描かれており、ブロックの新たな境地を垣間見たような気がした。

    本集の前の2短編集よりも全体としての評価は落ちるが、だからといってクオリティが低いわけではなく、本書もまた短編のお手本ともいうべき作品のオンパレードである。
    ただ扱っている題材やプロットが前2作とは異なっており、例えようのない余韻を残す。
    世紀末だからこそ書かれた作品群と思えば、本書は今後文学史を語る上で貴重な資料となり得る短編集と云えよう。こんな短編集が絶版で手に入らないのは誠に勿体ない話である。


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    No.2:
    (4pt)

    星4ヶは少しおまけかな。

    このところローレンス・ブロックを読んできたので本書『夜明けの光の中に』という短編集を読むことにしてアマゾンで購入した。
     本書に掲載してある二十篇は、プレーイボーイやエラリー・クィーンズ・ミステリ・マガジンなどに掲載されたものから選んで構成されている。
     評者の短いコメントを書き入れながらこの短編集を紹介したレビューを書くことにしました。
     ①『夜明けの光の中に』’84年
     コメント:この作品は評者が先に読んだ『償いの報酬』の中で友人のミックに語る懐旧談の中でも語られているエピソードである。
     マットが妻殺しの男を無罪にした後、本当は真犯人だったことを知り憤懣やるかたなくマットが仕返しをするお話です。<星5ヶ進呈>
     ②『夢のクリーブランド』’89年
     コメント:夢の中でも同じ時間に一人二役は出来ないという夢物語です。<星3ヶ進呈>
     ③『男がなさねばならぬこと』’66年
     コメント:二人のやる気満々?の刑事のコミカルな会話と粋な計らいで結末を迎えるお話です。<星4ヶ進呈>
     ④『名前はソルジャー』’90年
     コメント:温厚そうな外見でも、プロの殺し屋は決して依頼者を裏切らないというお話です。<星4ヶ進呈>
     ⑤『魂の治療法』’83年
     コメント:オオカミ少年じゃ~なかった、オオカミ中年がオオカミに喰われることなく長年の夢を果たすというお話です。<星3ヶ進呈>
     ⑥『エイレングラフの選択』’83年
     コメント:弁護料の高い弁護士は、裏稼業もこなしてまで依頼者を無罪に導くというお話です。<星3ヶ進呈>
     ⑦『胡桃の木』書下ろし/訳し下し
     コメント:日本では桜の木の下ですが、アメリカの片田舎では胡桃の木の下という怖いお話です。<星4ヶ進呈>
     ⑧『泥棒はプレスリーを訪問する』’90年
     コメント:メンフィスはプレスリー記念館「グレースランド」の難攻不落のプレスリーの寝室へ侵入する泥棒バーニーは盗(撮)るのは写真だけ。
     バーニーの奇知で依頼された仕事を完璧に終えるというお話です。<星5ヶ進呈>
     ⑨『交歓の報酬』’88年
     コメント:銀行強盗も警察官も海外旅行はするのだろうし、アバチュールも楽しむだろうというお話です。<星3ヶ進呈>
     ⑩『死にたがった男』’73年
     コメント:油断してると自殺と見せかけて殺されるという怖いお話です。<星4ヶ進呈>
     ⑪『慈悲深い死の天使』’93年
     コメント:慈悲深く不思議な能力の持った女性を、無報酬で手助けするマット・スカダーとしては毛色の変わったお話です。<星3ヶ進呈>
     ⑫『タルサ体験』書下ろし/訳し下し
     コメント:仲の良い兄弟が年に四回アメリカの旅をすることが恒例となっている。旅の最大の目的は楽しみを二人で分かち合うことである。ただ訪れた街には必ず若い女性の死体が残されるという恐ろしいお話です。<星3ヶ進呈>
     ⑬『いつかテディ・ベアを』’訳し下し
     コメント:不眠症で幼児趣味から抜け出せない男女が同じ趣味だと知り合ってめでたく奇妙なカップル誕生というお話です。<星2ヶ進呈>
     ⑭『思い出のかけら』’91年
     コメント:ありそうで、ありえないようで、ありそうな怖いお話です。恐怖の報酬は小指一本でした。<星4ヶ進呈>
     ⑮『ヒリアードの儀式』’92年
     コメント:アフリカにはこんな不可思議な超能力の持ち主がいるのだろうか?荒唐無稽と感じたら楽しめないお話です。<星2ヶ進呈>
     ⑯『エイレングラフの秘薬』’84年
     コメント:第6話で登場した裏稼業弁護士エイレングラフの意味深な隠し技を駆使するミステリック?な結末で終えるお話です。<星3ヶ進呈>
     ⑰『フロント・ガラスの虫のように』’86年
     コメント:リチャード・マシスンの短編小説を、スティーヴン・スピルバーグ監督が映画化した『激突』を彷彿させる怖いお話です。このお話は、デニス・ウィーバーのようにコンボイに勝利することは決してないのです。アメリカ州間高速道路をドライブする人は読んでおきたい怖いお話ですよ!<星5ヶ進呈>
     ⑱『自由への一撃』’91年
     コメント:拳銃を持てば勇気百倍、いずれ試し撃ちしたくなり、最後にはやはりサイコ人間となる怖いお話です。<星4ヶ進呈>
     ⑲『どんな気分』’93年
     コメント:ペットを虐待してはならない。ゴキブリといえども虐待してはならない。「ゴキブリホイホイ」など買っていると「人間ホイホイ」で苦しむことになるかも知れない、という短いが恐ろしいお話です。<星4ヶ進呈>
     ⑳『バットマンを救え』’90年
     コメント:本編最期を飾るマット・スカダー登場の可笑しなお話です。仕事を選ばないマットといえども、こんなみじめで、あほらしい仕事は断るだろうと読者も納得するお話でした。<星4ヶ進呈>
     本書を読了してローレンス・ブロックの短編は、マット・スカダー・シリーズや泥棒バーニイ・シリーズの長編のほうが優れているように感じてしまったのです。
     短編集では少し以前に読んだ『戦士たちの挽歌』のフレデリック・フォーサイスほうが評者の好みの作家であるように思いながら本書『夜明けの光の中に』を、時間をかけながらなんとか読み終えました。
    ローレンス・ブロック傑作集〈3〉夜明けの光の中に (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:ローレンス・ブロック傑作集〈3〉夜明けの光の中に (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
    4150774579
    No.1:
    (5pt)

    最高の短篇集

    ロ-レンス・ブロックは大好きな作家の一人です。その中でもこの短篇集が一番かも。殺し屋ジョン・ケラーもの、オチが見事な夢のクリーブランド、不気味な弁護士のエイレングラフなど傑作ぞろいで何回読み返したか分からないくらいです。今回またまた読書虫が騒ぎ出して、Kindle版をゲットしました。これでまたいつでもどこでも読めます、ありがたいです。
    ローレンス・ブロック傑作集〈3〉夜明けの光の中に (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:ローレンス・ブロック傑作集〈3〉夜明けの光の中に (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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