陸軍刑法の裁きのもと、故国を遠く離れた戦場で、弁護人もないままに一方的に軍律違反者として処刑されていった兵士があった。

ルポ・ライターの失踪、怪文書、東京都知事狙撃事件…。

ある女のひとを守ってほしい―沢崎の事務所を訪れた十才の少年は、依頼の言葉と一万円札五枚を残して、雨の街に消えた。

400日ぶりに東京に帰ってきた私立探偵沢崎を待っていたのは、浮浪者の男だった。

本書は沢崎シリーズの、第二期のスタートを告げる作品。

江戸川乱歩に見いだされた「車引殺人事件」にはじまる、老歌舞伎俳優・中村雅楽の推理譚。

アメリカはニューイングランド地方の田舎町、トゥームズヴィル。

地元を飛び出した娘と、残った娘。幼馴染みの二人の人生はもう交わることなどないと思っていた。

秋田の貧しい小作農に生まれた富治は、伝統のマタギを生業とし、獣を狩る喜びを知るが、地主の一人娘と恋に落ち、村を追われる。

私は特派員として政情不安なインドネシアに着任した。

軍律の崩壊した集団に君臨する大ボス、小ボス。

紋章上絵師の章次は、元恋人の賢子から「着物に蔭桔梗の紋を入れてほしい」と、20年前と同じ依頼をされる。

逝去した最後の文豪・水上勉。その文学的出発点となった直木賞受賞作「雁の寺」。

ある夏の夜、酔って遅く帰ってきた姉から、失恋の顛末を聞かされる。

関東取締役出役―関八州の悪党者を取り締まる通称“八州廻り”の桑山十兵衛は男やもめ。

事業に失敗して精神病院に逃げこんだ男が退院してみると、妻はいきいきと働いていた。巨額の借金も返済したという。

明治末期、文明開化の波も遠い越後の山里。

もともとの反社会的な要素に加えて、狂気の笑いでもあるのがブラック・ユーモア。

なぜ、吉原一の花魁葛城は、忽然と姿を消したのか？　遣手、幇間、女衒ーー人々の口から語られる廓の表と裏。

腕利きの仕立職人・衛藤良丸には、戦争の間、外地で「特別な任務」についていた過去があった。

現役の作家のなかにも熱狂的なファンの少なくない、鬼才、久生十蘭の精粋を、おもに戦後に発表された短篇から厳選。

自らナポレオンの生まれ変りと信じ切っている男、はたまたナポレオンの遺品を完璧にそろえたいコレクター。

マニキュアで窓ガラスに描いた花吹雪を残し、夜明けに下駄音を響かせアイツは部屋を出ていった。

一九八四年、台湾で四人の少年たちは友情を育んでいた。三十年後、そのうち一人が全米を震撼させる殺人鬼に。

台湾でも大反響! 国を越え、溢れる想い 台湾に日本の新幹線が走る! 巨大プロジェクトに、それぞれの国の人々の個々に抱いてきた想いが繋がる。

豊後羽根藩の檀野庄三郎は不始末を犯し、家老により、切腹と引き替えに向山村に幽閉中の元郡奉行戸田秋谷の元へ遣わされる。

暴力団浜内組の幹部を追跡中、同僚を誤射した志田司郎は、刑事を辞し、妻子とも別れ、たったひとりで、波止場に単喰う巨大な暴力組織に立ち向ってゆく。

まるで拾った宝くじが当たったように不運な一日は、一本の電話ではじまった。

祖父と父が日々女を連れ込む、通称・たらしの家で育った庭師の雅雪は、二十歳の頃から十三年間、両親のいない少年・遼平の面倒を見続けている。

仕立屋の淳蔵は、かつての親友高瀬に招かれ、追われるように去った信州の故郷を35年ぶりに訪れる。

俺、28歳。金もなけりゃ、女もいない。

探偵小説芸術論を提唱した木々高太郎の代表的長編。直木賞(第4回)受賞作。

どん底に生を受け、殺人を犯し、脱獄を果たした、ナサニエル・ヘイレン。

遊女屋の愛娘ゆうと旅役者の福之助が結ばれて十年の歳月が流れ、関西を巡業して廻る一座に様々な苦難がふりかかる。

新たな代表作の誕生! 20年ぶりの書き下ろし あたしは、月のように死んで、生まれ変わる──目の前にいる、この七歳の娘が、いまは亡き我が子だというのか? 三人の男と一人の少女の、三十余年におよぶ人生、その過ぎし日々が交錯し、幾重にも織り込まれてゆく。

おれは、博多に住む売れないロッカー、青木満三十四歳。安アパートで見果てぬ夢を抱きつつ、ギターの練習に明け暮れる毎日だ。

昭和初期の帝都を舞台に、令嬢と女性運転手が不思議に挑むベッキーさんシリーズ第二弾。

昭和40年代の初め。わたし一ノ瀬真理子は17歳、千葉の海近くの女子高二年。

士族出身の上流家庭・花村家にやってきた若い女性運転手。

絵に描いたような幼なじみの真理子と利恵を苛酷な運命が待ち受けていた。

女子大生と円紫師匠の名コンビここに始まる。爽快な論理展開の妙と心暖まる物語。

前作『六の宮の姫君』で着手した卒業論文を書き上げ、巣立ちの時を迎えたヒロインは、出版社の編集者として社会人生活のスタートを切る。

十三年前に札幌で起きた殺人事件と、同じ手口で風俗嬢が殺害された。

最終学年を迎えた「私」は卒論のテーマ「芥川龍之介」を掘り下げていく一方、田崎信全集の編集作業に追われる出版社で初めてのアルバイトを経験する。

時を重ねて変わらぬ本への想い……《私》は作家の創作の謎を探り行く――。

死刑制度が廃止された近未来の日本。