望月は、自分の気に入った仕事しか引き受けないカメラマンだ。芸術家や職人になりたいわけでもない。

伊豆の岬に忘れられたようにたたずむ秋ホテル。

羽が舞うように、ふわりとスツールに腰かけた女。黒いドレスに流れるような髪。

「生きてるのがつまらないという顔をしてるな」無為な日常のある日、俺に声をかけてきた爺さんは、クラブのジャズピアニストをやる裏で、薬を売っていた。

「心の中にいた獣がはじめて自分で疾走する荒野を見つけた!」上役の女性関係のスキャンダルもみ消し工作で出会った19歳の少年と殴り合いの死闘を演じたことで、かつて学生運動に命をかけた青春の日々が甦った!今まで眠っていた“獣”がめざめた!男の生きざまを鮮烈に描く

弁護士・谷の同僚、戸部が失踪、つづいて彼と関わりのあった小山民子が殺された。

強請りに行ったバーテンの水田に逆に叩きのめされてしまったビデオカメラマン村上洋一に、水田の客だという男が仕事の話を持ち込んできた。

俺は20歳のバーテンダー。夢はクルーザーを駆って海原を疾ること。

妻を亡くした元弁護士の木野健。虚無感に苛まれ、本土から離れたこの島へ流れつき、漁師として生きていた。

スーパーの親爺。ヤクザからは足を洗った。

正義派ではない、金のためでもない。ヤミ金融の連中を脅し、言いがかり同然の裁判を起こす。

人生の塩辛いところばかり舐めようとして生きるため「ソルティ」と呼ばれている若月真一郎。

機械的に吐き出されるネジの音を聞きながら、哲二は見えない敵を思う。昼は作業着、夜はセルッティのスーツが哲二の戦闘服だ。

愛する女・牧子のために殺人を犯して、暴力団と警察に追われる幸二。

看板間際、雨に濡れて男はやってきた。マスターを訪ねてきたのだ。

二つの腎臓を失くした「キドニー」と呼ばれる弁護士の宇野。

上得意の客に暴力をふるい、横浜の高級クラブのボーイを馘になった25歳の川本高志は、喧嘩の遠因となった男・室田の仕事を手伝いはじめる。

インテリジェント・ビルのインテリアの仕事を成功させ、独立した美有。

虚飾と欲望に彩られた街。私はこの土地の権力者・久納義正を取材するためにやって来た。

砂糖菓子のように崩れていく―。女はそう形容した。

躰の中で、なにかが止まった…。四年前のある日、平凡な会社員・立原に生じたある感覚。

喧嘩ばかりの毎日を送る28歳の設計技師・村田真司。

依頼人は若すぎた。義姉の行方を心配する和夫は中三だった。

「あたしの誇りは竜よ。あたしの狼、冬に向かって走る狼」女は唇を重ねる。

俺をハメたのは誰だ？横浜の夜、容疑者を射殺し、刑事の職を追われた梶。

画家である「私」は、今日も独り、絵を描いている。

雇い主の高成を何者かに殺された村岡。対立していた田沢が容疑をかけられた。

グレーのスーツ、地味なネクタイ、きちっと刈った髪。よく独り言を呟く神経質な男。

エリート商社マンの人生を捨て、世捨人として山小屋で暮らすことを選んだ男、森田。だが一本の電話が、彼を引き戻した。

探偵・浅生、32歳、元商社マン。時として、身体を張って調査をすることもある。

病死した戦友の息子・野本精一から金の無心をする電話がかかってきた。

“探偵にゃ、目的がひとつある…真実ってやつさ”私立探偵・野崎は、山中で怪我をした少年・安彦と出会い、介抱した。

夏の海が吼えていた。灼けつくような陽をあびて、私は教会の葬礼に参列した。

小川の自動車修理工場に大破したポルシェを持ち込んだのは、お喋りでどこか憎めない男、矢部だった。新車同然に直してやった。

私立探偵・野崎は、ある日、吉野真理子という女から、失踪した老父の捜索を依頼される。

刑事となった良文は、抜群の検挙率をあげた。

彼女は赤い花が好きだった。守は美知の柩の上に赤いバラを手向けた。

タクシードライバーの浜田英二のところに、ある日一人の女性がやって来る。ミラーごしに見た懐かしい面影。

30歳を前に商社を辞めて転職した。やくざまがいの探偵稼業。

死体が四つ、転がっている。五つ目の死体を、私は待っていた―。

孔雀城―無頼の少年たちは、自分たちの寝ぐらをそう呼んだ。戦争直後の東京、焼けくずれた工場の跡地である。

元一等航海士・神尾修二が法律事務所の調査員を始めて一年。奇妙な依頼が舞い込んだ。

一等航海士・神尾修二は、友人の戸山が殺されたことを航海中に知る。神尾の婚約者を自称する教子をめぐるトラブルが原因という。

建築現場で働く法学部の学生新井安彦は、いかさまポーカーで愛車のバイクを奪われた親友敬二のために、嵌めた久野に会う。

デザイン事務所に勤めるインテリア・デザイナー、美有のもとに、思いがけない大きな仕事が舞い込む。

温泉町で旅館を経営している古い友人が逮捕された。何かがある--。

ラグビーのFWをやっていた私にとって、かつてはグラウンドが男の戦場だった。

S市郊外のトンネルを抜けると蜃気楼のような街が眼の前に広がる。私はかつての師・市来を捜すためにこの街へやってきた。

冬が海からやって来る。毎年それを眺めているのが好きだった。

福岡・遠賀川で船頭のまねごとをしながら日々を過ごす小添家三男・正太。佐賀県内に三つの賭場を持つ藤家の女将・瑠〓(い)。

両親を亡くしたイタリア少年・マリオと暮らすようになり、恵子とともに彼の「親」となることを決意した神尾。

吹き荒れる雪。うなる銃弾。

固い決意を胸に秘め、男は帰ってきた。港町N市―妻を失った男には、闘うことしか残されていなかった。

風吹きすさぶペルーの高山地帯。

「狼は哲学者だな。戦闘に熟達しただけのコマンドじゃない」傭兵がつぶやく。

東京は下町、向島の料亭に生まれた川田周一。十四歳。