しんと静まった真夜中を旅する怪しい集団。

たとえば、苔むして古びた水路の先、住宅街にひしめく路地のつきあたり。

からくも一家心中の運命から逃れた少年・タカシ。辿りついた南の島は、不思議で満ちあふれていた。

何でも売っている不思議な市場「夜市」。幼いころ夜市に迷い込んだ祐司は、弟と引き換えに「野球選手の才能」を手に入れた。

ヨマブリと胡弓の響き、願いを叶えてくれる魔物、ニョラの棲む洞窟、林の奥の小さなパーラー、深夜に走るお化け電車、祭りの夜の不吉な予言、転生を繰り返す少女フーイーが見た島の歴史と運命とは―。

元寇の時代、すべてを操る美しき巫女がいた。傑作ダークファンタジー。

江戸時代のこと――。

十一月七日水曜日。女子大生の藍は秋のその一日を何度も繰り返している。

若槻慎二は、生命保険会社の京都支社で保険金の支払い査定に忙殺されていた。

世界は終末に向けて暴走してゆく。 人類に、希望はあるのか――。

この世ならざる和風情緒が漂う表題作ほか、流罪人に青天狗の仮面を届けた男が耳にした後日談、死神に魅入られた少女による七十七人殺しの顛末、人語を話す囚われの獣の数奇な運命…暴力と不条理にあふれた世界に生きるやるせなさを幻想的にあぶり出す、大人の

恐怖と哀しみがまじりあう、恒川光太郎を味わう短編集。 異才が10年の間に書き紡いだ、危うい魅力に満ちた11の白昼夢。

母と二人で大切にしてきた幼い妹が、ある日突然、大人びた言動を取り始める。

火星の迷宮へようこそ。ゲームは開始された…。

引きこもっていた息子が、突然元気になった。息子を苛めていた子が、転校するというのだが…「カラス、なぜ鳴く」。

不思議なことが起きる、東京の下町アカシア商店街。

いっぺんしか願いを叶えない神様を探す少年とその友人の奇跡を描く感動の表題作「いっぺんさん」、田舎に帰った作家が海岸で出会った女の因縁話「磯幽霊」とその後日譚「磯幽霊・それから」、山奥の村で、ほのかに思いを寄せた女の子に起きた出来事「八十八姫」など、じんわり

玩具修理者は何でも直してくれる。独楽でも、凧でも、ラジコンカーでも…死んだ猫だって。

別れたつもりでいても、細い糸が繋がっている。

「こーとろ、ことろどの子をことろ」。子とり鬼のわらべ歌と鬼女伝説が伝わる街・夜坂。

美しい容姿からは想像もつかないほどガサツな叔母の意外な秘密についての表題作、雨の日だけ他人の心の声が聞こえる少女を描く「雨つぶ通信」、西日暮里の奇妙な中華料理屋を巡る奇譚「カンカン軒怪異譚」など、『花まんま』『かたみ歌』の著者が、昭和の東京下町を舞台に紡ぐ

ゴースト・ライターだった夫が、本当に死んでしまった!!死んでも幽霊になって君を守ると言ったのに。

櫛森秀一は、湘南の高校に通う十七歳。女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹との三人暮らし。

日本ホラー小説大賞、山本周五郎賞受賞作、待望の文庫化！ 岡山の遊郭で醜い女郎が客に自分の身の上を語り始める。

作家、評論家をはじめミステリーマニアの集まる下宿屋・時鐘館。編集者の催促を前に「原稿は一枚も書けていない。

「弟を殺そう」―身長195cm、体重105kgという異形な巨体を持つ小学生の雷太。

北島早苗は、ホスピスで終末期医療に携わる精神科医。

現世から冥界へ下っていく道を、古事記では“黄泉比良坂”と呼ぶ―。なだらかな坂を行く私に、登山姿の青年が声をかけてきた。

路上のくじ引きで一等賞を当て、異世界に飛ばされた斉藤夕月(34歳・無職)。

はじまりは、「ぬかどこ」だった。

姉さまが亡くなって、もう30年以上が過ぎました。

ジュンは霊能力者シシィのもとで除霊のアシスタントをしている。仕事は霊魂を体内に受け入れること。

賀茂由香里は、人の強い感情を読みとることができるエンパスだった。

数多の世界を越えて、また会いましょう。異能の道具が導く魂の旅。

1000年後の日本。豊かな自然に抱かれた集落、神栖66町には純粋無垢な子どもたちの歓声が響く。

ホラー&ミステリの宇佐美まことのデビュー作。受賞作を含む7篇を収録。

おかしいのはこの家か、わたしか―夫の転勤に伴う東京生活に馴染めずにいた果歩は、幼馴染の平岩と再会する。

4人家族の大黒柱である尼子拓真は、新築一軒家を購入し幸せの絶頂だった。

新築・格安、都心に位置するという抜群の条件の瀟洒なマンションに移り住んだ哲平一家。問題は何一つないはずだった。

人間たちは、テングとブタに二分されている。鼻を持つテングはブタに迫害され、殺され続けている。

“あれ”が来たら、絶対に答えたり、入れたりしてはいかん―。幸せな新婚生活を送る田原秀樹の会社に、とある来訪者があった。

気が付くと殺風景な部屋にいた高校二年生の鐘松孝平。

「人間はおもしろい。だが、飼ってはならぬ」 スリルに憑かれ空き巣を繰り返す羽矢子。

15歳の「私」の主人は、数百年に1度といわれる呪詛の才を持つ、驕慢な美少女。「お前が私の玩具になれ。

祖母が遺した古い家に女が四人、私たちは共同生活を始めた。糸を染め、機を織り、庭に生い茂る草が食卓にのる。

犯行時刻の記憶を失った死刑囚。その冤罪を晴らすべく、刑務官・南郷は、前科を背負った青年・三上と共に調査を始める。

北から南へ、そして南から北へ。

初読はミステリ、二度目はホラー。この島の謎に、あなたもきっと囚われる。

その物語は、人を殺す――。

帝都・東亰、その誕生から二十九年。夜が人のものであった時代は終わった。

父の遺した不動産で夜になると聞こえる「痛い、痛い」という謎の声。

毎日が黄金に輝いていた12歳の夏、少年は川辺の流木に奇妙な印を残して忽然と姿を消した。

ホラー作家・鹿角南のもとに、旧友からメールが届く。ある廃墟で「肝試し」をしてから、奇妙な事が続いているというのだ。

年の瀬が迫り、慌ただしくなる東京駅。新人女性警察官の恵平は、置き引き犯からスーツケースを押収する。

死者の弔いのため、遺体を解体し様々な製品を創り出す「遺工」を家業とする庵堂家。

検事を辞して弁護士に転身した佐方貞人のもとに殺人事件の弁護依頼が舞い込む。