第二次大戦初期、エドワーディック号は英国の某港へ軍需品を輸送すべくニューヨークの埠頭に碇泊していた。

かつて老執事が奇怪な死を遂げた“幽霊屋敷”ことロングウッド・ハウス。

深夜一時、ジョン・サンダース医師は研究室を閉めた。

悪名高い故ワイルドフェア判事の旧宅である緑樹館は〈悪魔のひじ〉に聳え立つ。

数学の教授だったアレックは六十、年の離れた妻リタと村はずれで平穏に暮らしていたが、バリーという若造の出現で状況は一変する。

十七世紀、王政復古の英国。

19世紀半ばのアメリカ、ニューオーリンズ。そこで英国領事を務める男の元へ相談が持ち込まれた。

処女作がいきなり大当たりしたモニカ・スタントンは、ロンドン近郊の撮影所へやってきた。

弁護士バトラーはテイラー夫人殺害の容疑で捕われた娘ジョイスの弁護を引き受けた。

夫が殺人者であると知った若妻ヴィッキー。居候を決め込んでいる叔父もその件を嗅ぎつけた。

歴史学教授のフェントンは悪魔と契約を交わし、時を遡った。

一月四日の夕刻、ジェームズ・アンズウェルは結婚の許しを乞うため恋人メアリの父親エイヴォリー・ヒュームを訪ね、書斎に通された。

南アフリカからロンドンへ無銭旅行ができるか?友人とそんな賭けをした作家のケントは、大冒険の末にロンドンへたどり着いた。

パリの蝋人形館に消えた令嬢、そして発見された死体。

カーの死後の調査と研究に依って発掘された、若かりし日の作品群や、ラジオ・ドラマを集大成した待望のコレクション。

ロンドン近郊の由緒ある屋敷〈白い僧院〉でハリウッドの人気女優マーシャ・テイトが殺害された。

《名作ミステリ新訳プロジェクト》空襲が迫る1940年の英国。若き歴史学者は、スコットランドの妖気漂う古城ヘ旅立った。

女流探険家がエジプトの遺跡から発掘した青銅ランプ。

美しい女性との結婚を間近に控えたサリニー公爵に届けられた一通の殺人予告。

曰く付きの屋敷で夜を明かすことにした私が蝋燭の灯りで古の手紙を読み不気味な雰囲気に浸っていた時、突如鳴り響いた鐘―それが事件の幕開けだった。

探偵・推理小説の書籍や雑誌を収集保存し、一般読者や研究者が自由に利用できるユニークな図書館、ミステリー文学資料館。

女性作家マイナが催した、読心術師ペニイクを囲んでの夕食会。

結婚式前日、かつての職場、英国情報部の上司であるH・M卿に呼び出されたケンは、元ドイツ・スパイの老人の屋敷に潜入を命じられた。

小さな町の菓子店で、何者かが商品に毒入りチョコレート・ボンボンを混入させ、死者が出るという惨事が発生した。

車中の首なし遺体が発見されるや、次々に殺人事件が。

舞台は寒風吹きすさぶスコットランドの人里はなれたエルカニー城。

1年前、25年ぶりにアメリカから帰国し、爵位と地所を継いだジョン・ファーンリー卿は偽者であり、自分こそが正当な相続人であると主張する男が現れた。

第二次世界大戦下、連日空襲の脅威にさらされているロンドン。

ある夏の夜のこと、ロンドンの博物館をパトロール中の警官は怪人物を発見したが、その人物は忽然と消滅してしまった。

年の瀬、ピーター卿は沼沢地方の雪深い小村に迷い込んだ。

不気味なまでに精巧な絞首台の模型。この面妖な贈り物を端に発して、霧深いロンドンに奇怪な事件が続発する。

純真で無垢な少年の姿は、大人の心を洗い清めてくれる―だが、誰しも少年だったころの昔日を思い返してみれば、他者への憎悪や妬み、邪悪で穢れた心の存在も否定できない。

発端の怪奇性、中段のサスペンス、解決の意外な合理性、この本格推理小説に不可欠の三条件を見事に結合して、独創的なトリックを発明するカーの第一短編集。

短編は推理小説の粋である。その中から珠玉の傑作を年代順に集成したアンソロジー。

貧しいアプレ大学生桐原進は、友人の古川昌人と起業を計画するが、資金難から古川の持ちかけた宝石強盗に、正統性を見出し行動に移す。

ニューヨーク湾に浮かんだ死体は、行方不明だった大富豪ハッター家の当主ヨークのものだった。

人気作家エリオットが創造した義賊「スパイダー」が、本の中から抜け出したかの如き怪事件が続発。

全員が互いに手を取り合っている降霊会の最中、縛られたままの心霊研究家が殺される。

長編に劣らず短編においてもカーは数々の名作を書いているが、中でも「妖魔の森の家」一編は、彼の全作品を通じての白眉ともいうべき傑作である。

密室で射殺された元判事の死体の傍らには、拳銃を握りしめた青年がたたずんでいた。

キャロラス・ディーンはゴリンジャー校長 から直々に事件捜査の依頼を受ける。

秋の夕方、小さな村をドライブしていたジェリーは、一人の若い娘に出会った。

雨上がりのテニスコート、中央付近で仰向けになった絞殺死体。

稀代の魔術師が髑髏を模して改築した古城〝髑髏城〟。城主であった魔術師が走行中の列車から飛び出し、不審な死を遂げて十数年。

ミステリ界の魔術師・泡坂妻夫。その最後の贈り物である作品集を、二分冊にした文庫化でお届けする。