第三の銃弾



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初公開日(参考)2001年09月
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長編小説

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第三の銃弾 完全版 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

2001年09月01日 第三の銃弾 完全版 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

密室で射殺された元判事の死体の傍らには、拳銃を握りしめた青年がたたずんでいた。しかし、被害者を襲った凶弾は青年の銃から発射されたものではなかった…。この不可解で錯綜した事件に挑むマーキス大佐は、不可能犯罪の巨匠が創造したシリーズ探偵マーチ大佐のプロトタイプ。従来の簡約版では、エラリイ・クイーンのひとりフレデリック・ダネイにより大幅に削除されていた部分を、完全復元した待望のオリジナル版。 (「BOOK」データベースより)




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第三の銃弾の総合評価:8.00/10点レビュー 9件。Bランク


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(7pt)

第三の銃弾の感想


▼以下、ネタバレ感想

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氣學師
S90TRJAH
No.1:
(7pt)

謎の畳み掛けが絶妙

カーター・ディクスン名義で発表された作品だが、主人公はおなじみのH・M卿ではなく、短編でおなじみのマーチ大佐の前身であるマーキス大佐。発表当時、エラリー・クイーンの片割れ、フレデリック・ダネイが大幅に削除したそうだが、今回はそれらを含めた完全版である。

引退した元判事チャールズ・モートレイクが自宅の離れで殺害されるという事件が発生した。犯人はモートレイクに重刑を科せられた犯罪者ゲイブリエル・ホワイトだった。仮出所したホワイトが判決の恨みのため、モートレイク宅に押し入り、銃で殺害したというのだった。
現場を現認したペイジ刑事はしかし、事件に不思議な不適合性を発見していた。銃声は2回鳴ったのにもかかわらず、ホワイトから発射された銃弾は1発のみ。しかも室内の花瓶の中から別の銃が見つかり、もう1発の銃声はこの銃からの物と思われるが、室内に銃弾が見つからなかった。そして解剖の結果、モートレイクの体内から発見された銃弾は、2つの銃のどちらでもなく、全く別の空気銃から放たれた銃弾だった。

物語の謎自体、シンプルながら、どこか辻褄の合わない論理の違和感でどんどん話を膨らませていく作品で、読中、セイヤーズの作品を想起した。
今回は登場人物たちがそれぞれ何らかの嘘をついていることがテーマか。嘘をついていることで殺人計画が予想外の方向転換を余儀なくされた結果、2発の銃声に3種類の銃弾が発生するという奇妙な事件を招く。この、どうにもすわりが悪い状況設定を最後に論理で解き明かしていくのは素晴らしい。

今回の作品の特徴として、新たな事実が発覚するにつれ、また新たな謎が生まれる畳み掛けの手法が挙げられる。カーの持ち味とも云うべきこの手法だが、今回はこの畳み掛け方が絶妙だった。
銃声2発に対し、犯人から発射された銃弾は1発→現場で発見された別の銃の意外な持ち主→遺体から摘出された銃弾がその2丁の拳銃のどれでもない第3の銃弾だった→第3の銃の意外な発見場所→奇妙な窓の足跡→第2の殺人の発生、と謎また謎の連続である。
しかも220ページの薄さでこれだけの状況展開を繰り広げられるから物語のスピード感が違う。今までのカー作品の中でも随一の速さを誇っていると思う。
そして今回嬉しかったのが部屋の見取り図がちゃんと付いていた事。コレがあるのと無いのとでは物語の理解度が違う。そして田口氏による改訳により、いつもの時代がかった大仰な表現が鳴りを潜め、非常に読みやすかった。

犯人は今回も意外だった。しかしこれについて衝撃を受けるようなほどでもなかった。ただし、状況は整然と整理され読者の前に提示された。
しかし、やはり窓の足跡については蛇足であると感じた。他者へ疑惑の目を向けるための工作だったが、開かない窓から脱出する足跡という謎は魅力的だったものの、その存在を十分に納得させるだけの論理性は薄弱だと感じた。恐らくダネイはこの部分を削除したのではないだろうか(後で解説を読むと、どうやら削除されたのは登場人物の描写が中心らしい)?

しかし御大カーの作品を削除して発表させる事が出来るのはこの人ぐらいだろう。この2人による贅沢なコラボレーションは当時、かなり話題だったに違いない。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
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No.7:
(5pt)

カーらしい雰囲気は薄いが、コンパクトによくできたミステリーだと思う。

カー(カーター・ディクスン名義)の37年の作品と言うから時期的には初期作品に含まれるだろう。しかし、この作品では密室の不可能状況こそ根幹になっているが、カー独特の怪奇的な雰囲気や、おどろおどろしい舞台装置は登場しない。カーの癖の強さが影を潜め、作風も分量としてもすっきりとした印象を受ける。だから、本作はカーを読もうとしたが仰々しく感じられ好きになれなかったと言う人に薦めてみたい本である。また、逆に私の様にカーの独特のムードが好きな読者が読んでもとても楽しめる作品だと思う。それは出だしからの不可能な謎の提出から更に謎を積み重ねて、読み手を惹き付けて離さないカーのあの筆遣いが非常に活きている小説だからである。もしかしたら、カーが苦手なかたも、カーの愛好家も、それぞれ楽しめる小説が本作ではないかと感じる。
第三の銃弾 完全版 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:第三の銃弾 完全版 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150704112
No.6:
(4pt)

本格ミステリの常道をいく佳作

『妖魔の森の家』に収載されていた短縮版と比較してこの[完全版]を読むと、非常にオーソドックスかつ出来の良い本格ミステリであるのが、いまさらながらわかる。
冒頭の犯行状況からして、二重三重の不可能性に満ちており、到底まともな解決編に持っていけるとは思えないところだが、この過激な不可能状況を、いささか力技ではあるけれど、それなりに論理的かつ整合性のある解決にまとめ上げたカーのミステリ作家としての技量は、やはりただ者ではない。

もともと廉価版のシリーズとして書き下ろされ、長めの中編といった分量でもあるせいか、カーお得意の怪奇・オカルト趣向は封印され、内容は不可能トリックとその解決に集中されているので、その点がカーとしてはリーダビリティの高さに繋がっている。
この一作限りの探偵役であるマーキス大佐は、主にカーの短編モノで活躍するマーチ大佐のアーキタイプとされるが、推理の切れ味と豪胆さを兼ね持ったなかなか魅力的なキャラである。カーのシリーズ探偵(フェル博士、H・M、マーチ大佐)はみんな巨漢で似たようなキャラなので、「ひょろっと背の高い男」であるマーキス大佐のようなキャラをシリーズ探偵としてもよかったかなあ、と思ったりする。
第三の銃弾 完全版 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:第三の銃弾 完全版 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150704112
No.5:
(5pt)

読みやすいほう、かな。

彼の著書にしては珍しく残酷めいた表現は少ないほうです。なので読みやすいでしょう。ただし、すくないだけで「ない」のではないということには注意であります。それとこの手の表現にしてしまった難点として犯人がわりと絞れてしまうことかな。そのせいで犯人が出てきても「想定内」と思ってしまいましたし。ただし、手法は悪くはなかったな。どうがんばってもなかなかそういう発想は思いつきませんでしたし。そして大佐の言葉は決して残酷めいてなく好感が持てました。最後にビシッと言うのにもまたいい印象でしたし。
第三の銃弾 完全版 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:第三の銃弾 完全版 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150704112
No.4:
(3pt)

長らく正当に評価されなかった作品

本書はカー名義の『火刑法廷』と同じ1937年の作品、とくれば当然傑作のはずと思われるのだが、本書は長らく正当な評価がされなかった作品である。それはエラリー・クイーンの片割れフレデリック・ダネイが埋もれていた本作品を『エラリー・クイーンズ・ミステリマガジン』に掲載した際、2割ほど縮めてしまったためで、本書に〔完全版〕とあるのはその短縮を元に戻したためである。部屋には2発の銃声とともに射殺された元判事の死体と、殺したと思われる青年の手には38口径のリヴォルヴァー、花瓶の底にはブローニング32口径。弾丸はそれぞれから1発ずつ発射されているが、死体から発見された弾丸は22口径の空気銃のものだった。犯人はどうやって判事を射殺し、そして空気銃とそれを撃った犯人はどこへ消えたのか?これらに対して合理的な解決が待ち受けてはいるが、カーの他の多くの作品同様、真相に至る手がかりがほとんど与えられていない点が不満である。
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4150704112
No.3:
(4pt)

完全版なる

諸般の事情で世にアブリッジしか出回っていなかった作品(クイーンが悪いんだけどさ)こう読み比べてみるとクイーンもずいぶんとぶった切っていますね作品的には不可能犯罪を描いた佳作
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4150704112



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