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第三の銃弾
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第三の銃弾の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.14pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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カー(カーター・ディクスン名義)の37年の作品と言うから時期的には初期作品に含まれるだろう。しかし、この作品では密室の不可能状況こそ根幹になっているが、カー独特の怪奇的な雰囲気や、おどろおどろしい舞台装置は登場しない。カーの癖の強さが影を潜め、作風も分量としてもすっきりとした印象を受ける。だから、本作はカーを読もうとしたが仰々しく感じられ好きになれなかったと言う人に薦めてみたい本である。また、逆に私の様にカーの独特のムードが好きな読者が読んでもとても楽しめる作品だと思う。それは出だしからの不可能な謎の提出から更に謎を積み重ねて、読み手を惹き付けて離さないカーのあの筆遣いが非常に活きている小説だからである。もしかしたら、カーが苦手なかたも、カーの愛好家も、それぞれ楽しめる小説が本作ではないかと感じる。 | ||||
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『妖魔の森の家』に収載されていた短縮版と比較してこの[完全版]を読むと、非常にオーソドックスかつ出来の良い本格ミステリであるのが、いまさらながらわかる。 冒頭の犯行状況からして、二重三重の不可能性に満ちており、到底まともな解決編に持っていけるとは思えないところだが、この過激な不可能状況を、いささか力技ではあるけれど、それなりに論理的かつ整合性のある解決にまとめ上げたカーのミステリ作家としての技量は、やはりただ者ではない。 もともと廉価版のシリーズとして書き下ろされ、長めの中編といった分量でもあるせいか、カーお得意の怪奇・オカルト趣向は封印され、内容は不可能トリックとその解決に集中されているので、その点がカーとしてはリーダビリティの高さに繋がっている。 この一作限りの探偵役であるマーキス大佐は、主にカーの短編モノで活躍するマーチ大佐のアーキタイプとされるが、推理の切れ味と豪胆さを兼ね持ったなかなか魅力的なキャラである。カーのシリーズ探偵(フェル博士、H・M、マーチ大佐)はみんな巨漢で似たようなキャラなので、「ひょろっと背の高い男」であるマーキス大佐のようなキャラをシリーズ探偵としてもよかったかなあ、と思ったりする。 | ||||
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彼の著書にしては珍しく残酷めいた表現は少ないほうです。なので読みやすいでしょう。ただし、すくないだけで「ない」のではないということには注意であります。それとこの手の表現にしてしまった難点として犯人がわりと絞れてしまうことかな。そのせいで犯人が出てきても「想定内」と思ってしまいましたし。ただし、手法は悪くはなかったな。どうがんばってもなかなかそういう発想は思いつきませんでしたし。そして大佐の言葉は決して残酷めいてなく好感が持てました。最後にビシッと言うのにもまたいい印象でしたし。 | ||||
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本書はカー名義の『火刑法廷』と同じ1937年の作品、とくれば当然傑作のはずと思われるのだが、本書は長らく正当な評価がされなかった作品である。それはエラリー・クイーンの片割れフレデリック・ダネイが埋もれていた本作品を『エラリー・クイーンズ・ミステリマガジン』に掲載した際、2割ほど縮めてしまったためで、本書に〔完全版〕とあるのはその短縮を元に戻したためである。部屋には2発の銃声とともに射殺された元判事の死体と、殺したと思われる青年の手には38口径のリヴォルヴァー、花瓶の底にはブローニング32口径。弾丸はそれぞれから1発ずつ発射されているが、死体から発見された弾丸は22口径の空気銃のものだった。犯人はどうやって判事を射殺し、そして空気銃とそれを撃った犯人はどこへ消えたのか?これらに対して合理的な解決が待ち受けてはいるが、カーの他の多くの作品同様、真相に至る手がかりがほとんど与えられていない点が不満である。 | ||||
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諸般の事情で世にアブリッジしか出回っていなかった作品(クイーンが悪いんだけどさ)こう読み比べてみるとクイーンもずいぶんとぶった切っていますね作品的には不可能犯罪を描いた佳作 | ||||
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クイーンがカーの個人アンソロジーを編纂するとき元々一冊の本で出版されていたこの本を適当にぶった切って(過剰)収録したその短編集を参考にして出版されたのが東京創元社の「カー短編全集2:妖魔の森の家」でありそのためそこに収録されているのはアブリッジ版であるでこちらは、出版された方を翻訳したものメインのトリックは他の作品からの使い回しに等しいのですが密室内に被害者と容疑者、銃が二丁でも、被害者を死に至らしめた銃弾はそのどちらの銃から発射されたものではなかったという魅力的な謎を提示しています | ||||
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出入り口・窓には内側から鍵がかかっているか、誰かに見張られていた部屋で起きた殺人事件。部屋の中には死体のそばに拳銃を手にした男が一人。しかし死体から見つかった銃弾は、この男の拳銃から発射されたものではなかった! いかにも探偵小説的、いかにもカーター・ディクスン的な不可能犯罪・謎の設定。もうこれだけで、ワクワクしてしまいます。かといって、謎の解明がつまんないというわけではないので、ご安心を。 書名に「完全版」とつくのにはいわくがあって、長編として発表されたのがしばらく忘れられていて、エラリー・クイーンが発掘、雑誌に載せるのに紙面の都合でところどころ削除されたのが一般的に流布していたのだそう。このあたりのことは、解説に詳しく書いてあります。クイーンがこの作品を見つけたときのことも書かれていて、これがとても興味深く読めます。 何はともあれ、今回60年ぶりに発表当時のままで訳されたのだそうで、ファンにとってはとても喜ばしいことですね。 | ||||
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