弓弦城殺人事件
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点1.50pt |
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イングランドに点在する数少ない古城。弓弦城もその1つだった。 | ||||
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城の存在や甲冑の雰囲気は良い。が、まったく活かせてないのと、そもそも事件の密室が良くない。残念。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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1933年発表の本作品は、不可能犯罪の巨匠カーのカーター・ディクスン名義による記念すべき第1作――ではあるが、著者の本領発揮までには至っていない、と言う印象の作品でした。 舞台はイングランド東部の海岸に位置する、15世紀に建築された「弓弦城」。 英文学教授、マイクル・テヤレインが、英国博物館長、ジャージ・アンストライザー卿に連れられてその城を訪れた夜、城主のヘンリイ・スタン(レイル卿)が、甲冑室で殺害されたのだった…。 【密室トリックについて】 カー作品ですから、当然の如く「密室殺人」なのですが、そのトリックは、着想に面白味はあるものの、それほど印象に残らないものでした。 城の中の間取りが複雑、と作中人物間で「見取り図」が交わされますが、読者には示されない点も、ちょっと残念。 もっとも、示されると、読者が容易に真相に気付いてしまうと言う懸念があったのかもしれませんが…。 【怪奇性について】 15世紀の建築時そのままのため、甲冑などの調度品から、中世を訪れたかのような雰囲気。 その中で、甲冑が動き回ると言う怪現象が起きて――と舞台設定は悪くないのですが、以後の作品では、「怪奇性」を持たせる場合、血なまぐさい史実を描写するなど、雰囲気に深みを加えているのを知っているため、書き込みが足りないと言う印象を持ってしまいました。 【探偵像について】 本作品では、犯罪学の天才、ジョン・ゴーント博士が探偵役ですが、初耳でした! 第2作の「プレーグ・コートの殺人」からはヘンリ・メリヴェール卿が探偵役に起用されていることからも察せられるとおり、ゴーント博士は、読み終えてみると、印象の薄い人物だと分かります。 これでは「誰も気付かなかった密室トリック」を説き明かすには役不足と言うことなのでしょう。 全体的には、カーが好みなら、参考までに読んでみて、と言う感じの作品でした。 | ||||
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大学生当時、早川書房がミステリ文庫を創刊し、ポケミスで絶版となっていた作品を続々と刊行した。 本作は、その第一弾だったと記憶している。 当時、カーの作品はポケミスでは手に入らず、古書店では高価で手が出ず、という状態だった。 かろうじて、創元推理文庫の「連続〜」や「緑の〜」は読めたが、「曲がった〜」は創元でも絶版状態だったと思う。 だから、本作の刊行は、まさに砂漠の慈雨であった。 のちにカーの作品を、それこそいやというほど読んでしまうと、本作のミステリとしてのレベル、完成度が、それほど高くないことは分かる。 しかし、その初読までの経緯等があって、私の本作に対する評価は、どうしても甘い。 そして、本作の雰囲気、古城、そして怪談チックなエピソードなどは、私の好きな設定なのだ。 カーの作品では、「プレーグ・コート〜」や「囁く影」なんかと雰囲気は似ているかもしれない。 カー初期の、オカルトを作品の装飾と謎の隠蔽のために使用するという試み。 やはり、カーはストーリーテラーなんだ、ということが良く分かる面白さである。 しかして、トリックと謎の解明という点では、伏線の張り方もぎこちないし、ロジックも丁寧じゃないし、という、あまり褒められたものではない。 そのオカルティックな雰囲気作りも、わざとらしい感じである。 なにより、解決のあたりの文章が、クイーンやクリスティに比べると、若干分かりにくいという欠点がある。 それでも、何より、本作は、通学の電車内で、それこそ貪るように読んだ思い出があり、その当時のカー作品への渇望ぶりと併せて、実に愛すべき作品である。 そして、本作のアイデアを形にしたカーの稚気と勇気と作家魂を賞賛したい。 | ||||
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怪奇趣味と不可能犯罪ミステリーの王者が初めて別名義カーター・ディクスンの筆名で著した巧緻なトリックに冴えを見せる初期の秀作です。著者としてはバンコラン、ロシターに次いで3人目となる名探偵の犯罪学者ジョン・ゴーント博士は残念ですが本書にしか登場しません。彼は後のフェル博士やH・M卿の前身と言われておりますが、ユーモアは希薄で途中関係者に頻りに謎めいたヒントを仄めかしますが肝心な事は最後まで語らず密かに犯人を牽制する技にも長けています。著者は処女作「夜歩く」を書いてから暫くは密室興味の世界から離れていましたが、ようやく本作で目覚めた感があります。 十五世紀チュードル王朝の時代から生きながらえた東イングランドの古城ボウストリング(弓弦城)を訪れたジョージ卿と本書の語り手の英文学教授テヤレインは、着いた早々に変わり者の当主レイル卿の殺人事件に遭遇する。不可解な密室状況からの犯人の消失の謎に悩む内に新たに妊娠していた女中の死体が発見され、ジョージ卿は近くに滞在中の有名な犯罪学の権威ゴーント博士を呼び寄せるが、その夜レイル卿夫人が3人目の犠牲者となってしまう。 本書の密室状況は事件の起きた甲冑室の扉の前の図書室に時々居眠りしながら座っていたテヤレイン教授の目撃談による物で、トリックが解明された後でもう一度読み返すとその大胆で鮮やかな騙しのテクニックに脱帽します。要するに博士の主観による真実が書かれていて、読者は読んだ瞬間は違和感なしで巧妙な叙述トリックを素直に信じさせられるでしょう。事件の手掛かり‘カチリと鳴った音の謎’の答はお見事ですし、逆に事件全体を通じて喧しい滝の音を常に読者に意識させて注意を惹きつける手際にも悔しいですが完全に引っ掛かりました。やや不満な点は怪奇趣味が薄味で事件の動機が現実的に過ぎる所ですが、それでも巨匠の実力に唸らされる密室トリックの秀作をぜひお奨め致します。 | ||||
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怪奇趣味と不可能犯罪ミステリーの王者が初めて別名義カーター・ディクスンの筆名で著した巧緻なトリックに冴えを見せる初期の秀作です。著者としてはバンコラン、ロシターに次いで3人目となる名探偵の犯罪学者ジョン・ゴーント博士は残念ですが本書にしか登場しません。彼は後のフェル博士やH・M卿の前身と言われておりますが、ユーモアは希薄で途中関係者に頻りに謎めいたヒントを仄めかしますが肝心な事は最後まで語らず密かに犯人を牽制する技にも長けています。著者は処女作「夜歩く」を書いてから暫くは密室興味の世界から離れていましたが、ようやく本作で目覚めた感があります。 十五世紀チュードル王朝の時代から生きながらえた東イングランドの古城ボウストリング(弓弦城)を訪れたジョージ卿と本書の語り手の英文学教授テヤレインは、着いた早々に変わり者の当主レイル卿の殺人事件に遭遇する。不可解な密室状況からの犯人の消失の謎に悩む内に新たに妊娠していた女中の死体が発見され、ジョージ卿は近くに滞在中の有名な犯罪学の権威ゴーント博士を呼び寄せるが、その夜レイル卿夫人が3人目の犠牲者となってしまう。 本書の密室状況は事件の起きた甲冑室の扉の前の図書室に時々居眠りしながら座っていたテヤレイン教授の目撃談による物で、トリックが解明された後でもう一度読み返すとその大胆で鮮やかな騙しのテクニックに脱帽します。要するに博士の主観による真実が書かれていて、読者は読んだ瞬間は違和感なしで巧妙な叙述トリックを素直に信じさせられるでしょう。事件の手掛かり‘カチリと鳴った音の謎’の答はお見事ですし、逆に事件全体を通じて喧しい滝の音を常に読者に意識させて注意を惹きつける手際にも悔しいですが完全に引っ掛かりました。やや不満な点は怪奇趣味が薄味で事件の動機が現実的に過ぎる所ですが、それでも巨匠の実力に唸らされる密室トリックの秀作をぜひお奨め致します。 | ||||
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名義が変わってもどうも傾向は同じ。 犯人が残念ながらわかってしまう人には わかってしまいます。 パターンを知っている人は最初の時点で。 明らかにおってきそうな人がいるのが 原因なのでありますが。 それでもまだ読める作品になっているのは 物語の舞台が怪しい雰囲気をかもし出しているのと トリックが人間の錯覚を利用した 「だまし」の手法を用いている、それだからでしょう。 明らかに読んでいて、 わかりやすい作品なので あららとおもってしまいました。 | ||||
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