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egut さんのレビュー一覧

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レビュー数745

全745件 701~720 36/38ページ

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No.45: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

文体まで芸術化。今作も凄い完成度。

瞬一郎より、著者の日本語や芸術、教育思想にいたるまで、
思いを強く代弁させている印象を受けました。
日本語の美しさや表現力、ルビの扱い、文学の歴史など
読んでて嫌な気持ちにならなず、色々と良い面で再認識させられました。

瞬一郎の作中作「花窗玻璃」に至っては
物語を表現する文体まで芸術化を目指したんだと
著者の意気込みを感じました。

美術好きには蘊蓄かつ、それが参考書で目にするような類ではなく、
著者自身の新しい考えとして聞けるのが、たまらなく面白かったです。
そして、これらがタダの衒学にならずに事件に結びつく所が毎回凄いと感じる所です。

シリーズ通して本作も芸術(今回は美術)の分野で事件構成、
トリックに至るまで表現するのが本当に凄い。
コンセプトと作風の統一が凄いなと思いました。

▼以下、ネタバレ感想
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花窗玻璃 天使たちの殺意 (河出文庫)
深水黎一郎花窗玻璃 シャガールの黙示 についてのレビュー
No.44: 9人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

宇宙は壮大な謎と魅力がたっぷり

月で発見された死後五万年の死体の謎を追うSF小説。

死体とともに発見された所有物に使われている物質から
年代や生活環境を推測したり、
手帳にある文字列から言語学者が言葉や数式の意味を推測したり、
生物学者が死体の骨格や生体から推理を試みたり、
月面調査の手掛かりを元にさらに謎の解決と新しい疑問が生まれたり・・・

と、
さまざまな分野のプロが不可思議な死体から
可能性を現実的かつ理論的に解明していく過程にとてもワクワクしました。
宇宙規模に視野を大きく広げ、物事の可能性を追う研究者の姿が
とても気持ち良く読めました。

ラストの壮大な謎の解答もフィクションでありながら、
そうではないとも言えない神秘に触れた気がして、
他とは違う、なんとも言えない感動を味わいました。

普段SF小説をあまり読んでいないだけに新しく映りました。
宇宙は壮大な謎と魅力がたっぷりだなと再認識します。

タイトルも凄く良いです。

▼以下、ネタバレ感想
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星を継ぐもの【新版】 (創元SF文庫)
ジェイムズ・P・ホーガン星を継ぐもの についてのレビュー
No.43: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(3pt)

雰囲気作りは流石です

比べるものではないですが、
やはり館シリーズの新刊と名を打ってあると、
他の館シリーズを意識してしまいます。
"びっくり館"と言う名前や舞台の効果があまり感じられませんでした。
館というより、囁きシリーズを読んでいる印象です。

館や人形を扱っている所が著者の雰囲気をかもしだしていて良かったです。
腹話術のシーンの異様な雰囲気はとても印象に残ります。
こういう独特の著者らしいと思える雰囲気は好みでした。

内容で気になった点として、
シリーズ読者やミステリが好きな人を意識したと感じられる
単語がいろいろ出てきます。
これらが効果的なら良いですがそうではなかったので、
なんとなくそれらの単語の魅力に支えられてしまった
作品になったと感じてしまいました。
びっくり館の殺人 (講談社文庫)
綾辻行人びっくり館の殺人 についてのレビュー
No.42: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(4pt)

告白の感想

事件の関係者による独白形式で淡々と進む物語。

第三者視点や解説がないので、
正直な所、告白された内容がすべて真実とは限らない所が面白い。
見える必要もないですが
深読みすればするほど真実が見えない心の闇が良いです。

文章のセリフ文を見ただけでどの人の告白なのかが
分かる程、人物が描かれていると思いました。
後半、セリフが突如出ただけで森口先生が現れたと思ってゾクっときました。
告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)
湊かなえ告白 についてのレビュー
No.41: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

心に残る一冊

高校生の世代が抱えるだろう心の問題がこれでもかって程、訴え掛けてくる。
思いつく不幸を全部入れてみましたと言わんばかりです。
誰もが自殺したくなってしまう辛さを文章で感じました。

物語は自殺する瞬間を未来視した所から始まり、
学校に赴任したカウンセラーが自殺して誰かを救うために
高校生達をカウンセリングする流れになっています。

自殺を止められるかどうか――?
この目的の本筋の中にこの世代の葛藤が描かれ感じる物語です。

↑に高校生の世代が抱えるだろう心の問題が
たくさん出てくると書きましたが、
多く出ている中でとても繊細な要因が最後まで書かれないものがあります。

この要因が、
ミステリとは違った読了感を得る本書に対して、
ミステリと思わせてしまう読書への鋭い切り口だと思いました。

自殺をテーマとしたメッセージ性が強く出てしまう作品を
ミステリ仕立てにして読み物にした印象です。
そう感じる程、読了後に心に残る物がありました。

▼以下、ネタバレ感想
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サニーサイド・スーサイド
北國浩二サニーサイド・スーサイド についてのレビュー
No.40: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)
【ネタバレかも!?】 (2件の連絡あり)[]   ネタバレを表示する

容疑者Xの献身の感想

読書後調べてTVや映画になっていた事を知りました。
シリーズ含め、物語に触れるのは本書が初めてです。

あらすじより、
"天才同士のバトル"という印象から手に取ったのですが、
文字から受ける熱いバトルというのはなく、
静かな深層の探り合いと言う印象でした。

本書のトリックの隠し方がとても巧いですね。
以下ネタバレで。


▼以下、ネタバレ感想
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容疑者Xの献身 (文春文庫)
東野圭吾容疑者Xの献身 についてのレビュー
No.39: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

弥勒の掌の感想

手頃なページ数で物語を堪能できました。
いつもながらこの著者の本は読みやすいです。

内容について触れるとネタバレになりやすいので、それは後述。

事件の解決方法がとてもユニークであり皮肉でした。
これはこれで好みです。

▼以下、ネタバレ感想
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弥勒の掌 (文春文庫)
我孫子武丸弥勒の掌 についてのレビュー
No.38: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

これは、すごい・・・ただ、耐性がある人向けかな

暴走している内容で
ぐちゃぐちゃしたエログロ小説なのに、
そんなに陰鬱にならない。
昔、夢野久作を読んだ時に味わったような
幻覚を受けた作品でした。

登場人物を"人間"と"化け物"と区分したとき、
見た目と中身が対比されている印象を受けました。
(原始的でとても素直なカッパの存在が
ある意味、一番心が綺麗でまともな人間っぽさを受けてしまった)
そして話の主軸になる雷太はどちらでもない、
人間と化け物が合わさった存在だなと感じました。

作中でも夢と現実が交差する箇所がありますが、
それがなくても頭に非現実感がたっぷり流れてくる久々のインパクト。
さらに他にはない独特の言葉遊びがとても魅力的。

このシリーズは引続き読んでみたいと思いました。

▼以下、ネタバレ感想
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粘膜人間 (角川ホラー文庫)
飴村行粘膜人間 についてのレビュー
No.37: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

とても魅力的な作品。歴史と言うだけで食わず嫌いなだけでした。

歴史小説は苦手で、しかも日本史じゃなくて中国物。
ちょっと敬遠していましたが悪い評判を聞かないのと、
普段読まないジャンルなので、たまには良いかなと手に取りました。

中国の秦の時代を舞台とした歴史物語。

登場人物達の名前が中国名なので頭に入り辛かったのですが、
キャラクターのセリフや雰囲気が特徴的な事もあり、
名前ではなく琅邪の人物達の情景が頭に浮かび、
すんなり物語に入り込む事が出来ました。

メフィスト賞作品なので、もしかしたらミステリではなく、
このまま歴史小説なのだろうか……と思った所で、
「鬼の正体」「甦る死体」や「棺の中で成長する女の謎」、「一夜にして消失する屋敷」などなど、
多くの謎が現れ、結果はボリューム多いミステリでした。

久々に苦手な歴史物が面白く感じた作品です。

あと、「琅邪の鬼」が明かされる所がとても印象的で素敵です。
こういうの良いです。

▼以下、ネタバレ感想
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琅邪の鬼 (講談社ノベルス)
丸山天寿琅邪の鬼 についてのレビュー
No.36:
(3pt)

聖フランシスコ・ザビエルの首の感想

過去に意識だけタイムスリップしてザビエルの身近な人に憑依。
ザビエルに取り巻く事件の謎を解決する。

設定は面白いし、歴史物でも読んでて苦ではなく、寧ろ読みやすく楽しめた。
……のですが、読了後 特に印象に残るものがなかったのが正直なところ。

好みだったのは、
『第三章 パリの悪魔』
ここまでの舞台設定を生かした、こういう仕掛けは好きです。
ザビエルの首 (講談社文庫)
柳広司聖フランシスコ・ザビエルの首 についてのレビュー
No.35:
(7pt)

凶笑面の感想

伝承や非科学的な妖怪に至っても すべてあった事にして、
そもそもその存在はどうやって発生したのか?を想像してみよう。
という考え方がとても刺激になった。

短編5つでどれも民俗学と絡めてあり楽しく読めた。
ミステリとしては『不帰屋』、
民俗学としては、だいだらぼっちの存在を紐解く『双死神』
が特に楽しかった。
凶笑面 蓮丈那智フィールドファイルI (角川文庫)
北森鴻凶笑面 についてのレビュー
No.34: 11人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)
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主催者の気持ち=ミステリ好きの気持ち

この作品の面白いと感じたところは、
ミステリ好きな人程、このゲームの主催者と気持ちがリンクしている所だと思いました。

クローズドサークルの舞台は整い、各人に道具も渡された。
これで事件が起こらないはずはないと、
ミステリ好きな読者程 事件を期待するとおもう。

この期待感は主催者=読者だと感じました。

主人公が、どこかで見ている主催者へ
思い通りにならないぞ!。と気持ちを叫んだ所が
自分に対して言われた気がしたのが印象的でした。

物語とは関係ないですが、
・主人公たちの閉じ込められた世界
・ゲームの主催者
・読者
の3つの空間の扱いが面白いと勝手に感じました。

肝心の話の感想についてはネタバレで。

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インシテミル
米澤穂信インシテミル についてのレビュー
No.33: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

隠れた名作ですね。

事件の真実を洗いなおす法廷ミステリ。
とはいえ、法廷が主ではなく
主人公ミミイ・ローイの過去と事件後の今を読む作品です。

とても落ち着いた文体なので堅苦しくなく読めたのですが、
おっとりとした訳ではなく、主人公ミミイ・ローイの生き様と言うか力強さをとても感じる展開です。

どんな証言と手がかりから真犯人を暴いて判定をひっくり返すのかと
楽しみながら読んでましたが、ラストはびっくりな結末。
後味も悪くない良い作品でした。

▼以下、ネタバレ感想
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弁護側の証人 (集英社文庫)
小泉喜美子弁護側の証人 についてのレビュー
No.32:
(8pt)
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トスカの接吻 オペラ・ミステリオーザの感想

前作のエコール・ド・パリ殺人事件に続き、
芸術に関する造詣に長けたミステリです。

もともとオペラのトスカを知っていた事もあり、
事件中の謎と同様、トスカの読み替えもとても興味を惹き、楽しめました。

事件の意外性や仕掛けについては、
前作が強烈だったので若干弱まった印象ですが、
それでも緻密によく考えられた話だったと思いました。

芸術とミステリの融合がやっぱ素敵で、
毎回完成度が高くて好みです。
このシリーズ良いです。

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トスカの接吻 オペラ・ミステリオーザ (講談社文庫)
No.31: 4人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

記憶に残る一冊です。

タイトルが凄いなと思ったのが第一印象でした。
また、ネットで話題になってたので手に取りました。
この作者の本は初めてです。

読み始めて思った事は、第三者視点で物語を外から見て解説している不思議な構成。
読んでて凄く変です。
違和感があり過ぎて、何か仕掛けがある事がアリアリとしています。

そんな印象の悪い作品でしたが、
読了後は凄く印象に残る一冊となりました。

200ページ代の本で軽く読めます。
これはホント、とても凄いものを読んだ気持ちでいっぱいです。

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三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人 (講談社ノベルス)
No.30: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

ぐにゃりと最後に世界を捻じ曲げるパワーは健在

最後に世界を捻じ曲げる展開は著者らしさが現れています。

子供の頃、児童書で目にしたような挿絵や、
ヒーロー戦隊の話題など子供向けを装う子ネタが満載なのですが、
読み終わると大人向けのブラックユーモア本でした。

あとネタバレ。

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神様ゲーム (講談社文庫)
麻耶雄嵩神様ゲーム についてのレビュー
No.29: 8人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

首なし物の代表作になる程の作品

ちまたで評判が良かったので読みました。
シリーズ本ですが本作が初読書です。

登場人物の名前が特殊で覚え辛かった為、
読み始めの前半は舞台の把握にてこずり、すぐに作品に集中できませんでした。
ちょっと読むのが大変かなと感じましたが、
事件が発生してからはあっと言う間に作品に呑まれました。

日本の伝承や怪奇的な雰囲気を混ぜた本格ミステリで、
現代の横溝作品を思わせる印象を受けました。

仕掛けの驚きや舞台解明の終盤の怒涛の種明かしは見事過ぎて圧巻。
大満足な作品です。

首なしやトリックの感想はネタバレで。

▼以下、ネタバレ感想
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首無の如き祟るもの (講談社文庫)
三津田信三首無の如き祟るもの についてのレビュー
No.28: 5人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)
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伏線が巧みで、ここまでしっかりした作品は久々

伏線が巧みで、ここまで矛盾無く作品に仕上がっているものを久々に読みました。
かなり高精度に設計されたストーリーです。

ミステリとしての期待とは違う内容ですが、
驚きというより作品全体に多く散りばめられた伏線のバランスの妙に感動でした。
話の内容から好みが分かれるので人には薦め辛い点もありますが、
自分はとても気に入りました。

良かった点はネタバレで。

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イニシエーション・ラブ (文春文庫)
乾くるみイニシエーション・ラブ についてのレビュー
No.27: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

動機が圧倒的な存在感を放ってます

「驚愕の動機」「変態本格」
そんな呼ばれ方をしている本書が気になったので読んでみた所、
本当に世間で言われている評価のままで驚きです。

この動機のおかげでサイコスリラーのジャンルでの
異常者の犯人造型としては成功している気がします。

ただ、この最後の結末まではあまり面白く感じないのが残念。
動機だけの作品な感じもします。

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百番目の男 (文春文庫)
ジャック・カーリイ百番目の男 についてのレビュー
No.26:
(3pt)

模倣犯の感想

この著者の他の本にも言えることですが、
事件に関わる人々の心情の描き方はさすがと言った所です。
人々のセリフに喜怒哀楽が共感させられぐっときます。

作品としてはとても素晴らしいのですが、
好みの問題で、この大ボリュームの中に自分好みのポイントがあまり現れなかったので点数は低めにしました。

▼以下、ネタバレ感想
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模倣犯1 (新潮文庫)
宮部みゆき模倣犯 についてのレビュー