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egut さんのレビュー一覧
egutさんのページへレビュー数745件
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深水黎一郎作品の持ち味が輝いてますね。
昆虫の話と著者の好きなクラシック音楽の薀蓄が面白い。それらが単なる衒学小説にならずにミステリと絡んでくるのが好み。 本作はいじめや少年犯罪のテーマを掲げている為、雰囲気がちょっと重いのが好みから逸れて薦めづらいかかも。 同梱されている短編『シンリガクの実験』は本作の初稿かな。 勝手な想像ですが、生徒の心理模様を扱うミステリとして始まった企画で、昆虫に例えると、短編が幼虫で五声が成虫として進化されている様を感じました。姿形が変わって別作品となってます。どちらも面白かったです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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著者の作品は、何かしらテーマを決めて他作では真似し辛い特異な作品作りをするので好みです。
本作はタイトルにある殺し方(ハウダニット)をテーマとした特異な存在となっております。他で真似できないような仕掛けの2つの物語です。 正直な所を申しますと衒学的な小説でした。専門知識の紹介が伏線となったり段階をおって読者を惹き込めればそれなりの仕掛けと驚きを得られそうな印象なのですが、短編なので心構えができないまま急に出てきた仕掛けに困惑します。これはかなり好みが分かれる作品かと思いました。 1作目『不可能アイランドの殺人』 何が起きているか分からない超常現象の作品。オカルト?ファンタジー?何なのコレ?と、心構えが分からず、どう感じたらよいか困惑の読書でした。読み終わると、あ、そういう事なんだ。一応ミステリだし、ハウダニットもなるほどな。と置いてけぼりを受けながら納得した読書でした。☆4点。 2作目『インペリアルと象』 前作でちゃんとミステリをするという事が分かったので心構えができての読書。ただ中身はクラシック音楽の薀蓄が披露されます。 クラシックは好きなので、私的には好みで楽しめました。ただ、これって興味ない人には目が滑る読書になるかと思います。。。 この2作目はとても好みでした。薀蓄もトリックに結び付きますし、音楽ミステリとしては作者の知識が披露された濃い作品となっています。 個人的には長編で読みたかった作品でした。☆7。 一般向けではない、ちょっとマニアックな作品でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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魅せ方や構成がとても巧い。面白かったです。
読後に全容を見直してみれば、とてもシンプルな事件としてよくある構図だと思います。ですが、こうも気持ちが深入りしてしまうのは読者への伝え方が巧いからですね。発生した事柄はシンプルですが、それを取り巻く気持ちの伝え方が巧い。著者の技だと思います。 法廷ものは裁判の結末はどうなるのか?というゴールが焦点となりがちですが、本作は読者を事件の当事者の一員かの如く、深い所へ心情を巻き込む事に成功していると思いました。正義への姿勢、組織へのやるせなさ、事件に関わった人達の心情など、色々な気持ちを痛切する作品でした。 事件模様の他にシリーズ1作目だからか検事と弁護士の紹介の為のエピソードが含まれています。この内容も組織や関係者の感情を得るためには必要となる要素として活用されているのが凄い。300P台で収まっているので無駄を削いだ密度の高い作品だと思います。 好みとして哀愁漂う読後感なのでこの点数で。裁判の終盤模様がとても面白かったので次回作も期待。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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たまに変態小説を読みたくなる、そんな時に手に取る平山作品。
序盤2,30ページ程は、言い回しとクセのある比喩が気になる文章が続く。読み辛くとも我慢して読書。 辛いのは最初だけで、途中から普通の文章になり読めました。 いつもながら変態設定な登場人物達が魅力的。 自分の子供の首を切断し何処かへ隠した母親。その首を欲する死に際の物語を集めるコレクター。首を探す主人公。犬を振り回す怪力男。などなど、クセが強い。 グロくて気持ち悪いけど、何故かユーモアがある所は表現の巧さというか、人それぞれの好みですね。 話はめちゃめちゃなのですが、全容が分かるとブラックユーモアな所が面白い。 ただ、メルキオールが登場したあたりから、ファンタジー色が強くなってしまったのが好みではありませんでした。 求めていたのは、現実にはないけれど、現実のどこかにありそうなアングラ世界のバランス。これはファンタジーでしたね。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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面白かった。
永遠の若さを手に入れられるが、人類の世代交代を促す為に100年後に死ななければならない。 この設定だけで特異な小説なのですが、内容が非常にリアルに描かれている為、違和なく没頭できました。 こんな事が現実に起きたらどうなるんだろう?と考えた時の可能性が、非常に練られたシミュレーションとなっているのが見物。 不老な為、年齢の関係ない自由恋愛や別家族を新たに作り直すファミリーリセットや、100年目を迎える人々の受け入れ方や反発心などの感情面、100年生きられると認識している場合、活動が怠惰になり経済面が衰退するなど、作中に出てくる未来を暗示したMレポートが本書自体のような錯覚を得ました。(作者名の宗樹レポートなんちゃって) 余談として、不老世界な為、絵面を想像すると皆20代付近の容姿なのが面白い。会話の言葉遣いで立場や貫禄を読者にイメージさせているのが作家の技だなと思いました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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「密室十二宮」完結。本作は単体では楽しめず、3~5巻を上中下巻と捉えた方が良いです。
振り返ってみれば、本格ミステリのトリックを十分に楽しめる作品でした。古典的トリックや有り得ないと思える仕掛けを、このゲーム的な世界観だからアリと思わせるバランスが良かったです。 個人的な難点は、3~5巻の発売が間延びしていたので、前後の関係や登場人物を忘れてしまった事です。せめて主要人物紹介のページは欲しい。この人誰だっけ?というのが多かったので作品に没頭し辛かったです。事件現場やトリックが豊富な所は楽しめますが、豊富過ぎてパズル・ミステリの問題集のように感じました。物語を楽しむというかトリックネタを眺める感覚でした。 3巻でアホキャラになりかけた五月雨が、本作ではちゃんと探偵として活躍していたのが良かったです。物語はどう進むのだろう。DSCナンバーもインフレしてしまっているし。。 次回作は1巻完結もので楽しめる作品だと嬉しいなと思う所です。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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あらすじの設定はとても好み。ループ世界に閉じ込められ、脱出する方法が同じ境遇の仲間の誰かと恋人になる事。
脱出する為の条件が新鮮でした。どのような展開がなされるのか期待が高まっていたのですが、本作は好みに合わずです。 主人公には、元々告白しそびれた好きな人がいたのですが、ループ世界から抜けられずに暮らしていると他の人が気になり始めるわけです。この心理・恋模様を見せられるのですが、浮気のような"好き"の感覚が軽くて共感できず。そして、ループ世界の必然性がありません。この内容の恋愛話では、どこか遠くへ連れ去られてしまった境遇でもよさそうです。 確かにこの世界に長く滞在していた桜庭視点では世界観に意味が生まれるのですが、読者が追体験する主人公視点では浮気模様を読んでいるような気分でした。 主人公視点の魅せ方がとてもミスマッチ。ページの半分以上を桜庭視点で描いた方がもっと深く共感できる世界と物語になると思いました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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本格ミステリ・ディケイド掲載作品という事で読みました。
高校の屋上で見つかった教師の刺殺体。非常階段含め、屋上の出入りが行われていない空間が現場の開けた密室事件。凶器や犯人はどこへ消えたのか? コテコテ路線の謎解き作品です。年代の為か、登場人物や手がかりの出し方が非常に分かり易いので、今読むと軽くてシンプル。パズル小説に近い感覚でした。 著者のコメント曰く、本書は10代の若い世代を対象とした執筆依頼だったそうです。なるほど。そう考えると路線はとても合っています。 殺人事件があるけれど怖くない。ミステリ読み始めの中高生の層にはマッチしていると思いました。 事件の関係者は先生達で、それに巻き込まれた生徒視点という距離感が個人的に面白く感じました。 また、青空下の密室の謎は許容範囲で好みでした。手掛かりがちょっと唐突過ぎますけどね。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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著者2作目の読書。本書もミステリの手法を使った爽やかなストーリーで読後感が気持ち良い。
手に取った2作がたまたまなのか作風なのか、他の作品も気になり始めた作家さんです。 前半の強盗の話の時点では、感性が合わなくてどうかなという心境でしたが、徐々に話が見えてくると、それも気にならなくなり作品にのまれていました。 大きな仕掛けや驚きはないのですが、各ドライバーの話の繋がりの巧さや人情味豊かなエピソードが良くて、ほっこりさせられます。 展開が分かりやすくて軽いので、物足りなさを感じるかもですが、そこがかえって安心な良さがあります。 殺伐としない温かいミステリをお探しなら本書はオススメですね。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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1巻完結もののライトノベル系ミステリ。もしくは、ミステリっぽいラノベ。
個性的な表紙絵の探偵役が学園に転校してきて、とある事件の犯人を暴くという。この探偵や主人公など、登場するキャラクター達は何かを隠しており、読者にはそれが何か分からない。この分からない謎のモヤモヤがミステリっぽい雰囲気なのですが、全体的に何かを理論的に推理するような話ではない作品。 「探偵殺人」や「ゲーム」から連想する要素を感じず、タイトルと内容が合っていない気がしました。 本書は人狼系で、嘘や隠し事を直感的に見破るような作品です。 あんまり他作と比較するのも良くないのですが、雰囲気が西尾維新作品で、本作の「れーくん」は「いーちゃん」を連想してしまう読書でした。読者に全てを打ち明けない語り手として巧い存在です。 ライトノベル系のミステリは、異能力が存在する世界の設定か判らないままの読書が辛いですね。何系の本か判断に迷いました。 設定が複雑でしたが、読みやすい文章だったので楽しめました。個性的で綺麗にまとまっていた作品。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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これは凄いわ。ただただ圧倒されて言葉を失った作品。
「日系ブラジル人」という過去にブラジルへ移民した日本人を耳にした事はあるものの、その内容がこういうものだったのかと詳細を知り、衝撃を受けました。 ページボリュームが多い為、食わず嫌いで手に取っていませんでしたが、評判の良さでやっと読書。 骨太の社会的なテーマが敷かれつつ、個性的な登場人物達のドラマも魅力で退屈しない読書。脇役にあたるような、報道チームや警察側の秋津など、外伝で1冊掛けそうなぐらい印象に残ります。気付いたら惹き込まれて一気読み。上下巻まったく気にならなかったです。 作品として完成されているので後は好みの問題。読んで損はないでしょう。素晴らしかった。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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死にたい人から依頼を受け、最後の1日は幸せになってもらって死を与える者の話。
ホラーレーベルだからかグロく描いていたりするのですが、漫画っぽくて軽い。 各キャラのエピソードも、前向きに見れば死を望む者の懺悔や救済的な話ともとれるのですが、内容に必然的な絡みがなくバラバラ。意味なく狂った人たちの物語。何だか好き勝手に描かれた空想の物語でした。 好みの問題なのかもしれませんが、読み終わって何も残らないのは久々。。。 |
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首切もの。被害者はなぜ首を切断されたのか。
パターンとしては見慣れたものですが、使い方や真相の隠し方が巧かった。終盤の展開はなるほどなぁと思う。 現実では、捜査や検死が行われれば直ぐに解明してしまいそうな内容。警察が機能していない気がしますが、本書のエピローグ以降に警察によって真相が究明するかもしれないと勝手な想像をする事にします。 とはいえ、本格志向のミステリはやはり面白い。作中の小道具や首切問題、重力密室と称する足を踏み入れたら床が崩れてしまう空間内で起きた殺人の謎。真相が分かればそれらが綺麗に繋がっていた事がわかる。こういうのは好み。 著者3作目の読書。どの本も、猟奇的、アングラ思考、著者の経験からくる夜のお仕事のお話など、持ち味があって面白い。文章も内容に対して軽くて嫌にならない為、見知らぬ世界の雰囲気が楽しめてよい。他の本も追っかけようと思う。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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個人的には掘り出し物作品。ぐちゃっとしたホラーを読もうと思って手に取ったら、パズル仕掛けのミステリ小説だった。ジャンルはホラーなんですけどね。これは求めるものと結果が違うので好みが分かれそうな作品だなと思いました。個人的には巧みでアリです。
タイトルにある通り4章仕立ての四段式の狂気を描くホラー。第1幕はストーカーの常識が通用しない思考回路の狂気。いやーなんていうかパターンが見える。見え見えなので人によってはここで評価がガクンと下がるかも。が、これは狙ってやっているのか、このあと続く次章で物語が変容しだして、そうきたか。と驚かされる。緩急の刺激が効きました。 ネタバレではないセリフの引用で、『都合のいいように狂った』と例えがでるのですが、この言葉は正に本書の作りに感じます。『狂気』という感性が仕掛けのピースとなっているのが巧い。 なんとなく昭和のおどろおどろしい時代の作品なら本書は名作に成りえた気がするのですが、現代風のテイストになると何故か怖くない軽いホラーになっているのがもどかしい所。 パズル的な仕掛けを味わうホラーでした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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現実的なアングラ世界を盛り込んだ横溝正史ミステリ大賞受賞作。
SM譲の主人公ミチに始まり、類は友を呼ぶのかその近辺に交わる人々も特殊な方ばかり。 皮膚に針を刺したり、割いて血を流したり、吐いたり、ピアスの穴開けより過激な人体改造ものがでてきます。こういう表現作品が苦手な人は本作は避けましょう。個人的には現実にある狂ったアングラ世界を垣間見るという意味では刺激的で面白かったです。 意図せず知ってしまった死体投稿SNSサイト「地獄へ堕ちよう」に数日後、知人が凄惨な姿でUPされていた。 サイトに触れた事をきっかけに、ホラー作品っぽく不気味な世界に足を踏み入れてしまった流れ。どうでもいい現実世界に刺激が舞い降りてきたわけで、そこでサイトの存在を調べるという目標を持った主人公が活動していく様は、生きる意味を見い出した姿に映りました。アングラ世界での青春小説な感じ。 ヤクザ作品のような大人の落ち着きとは違う、若者のやんちゃさ勢いがある非日常世界。 痛々しく勢いのある文章は刺激的で一気読みしやすく好みでした。 ラストの幕切れ方もスパッといい所で切った感じが好き。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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好みのジャンルなのですが、相性が悪かったみたいです。
率直な感想としては歴史の教科書を読んでいる気分でした。 前作の『楽園のカンヴァス』がとても面白く、美術ミステリが苦手な人へも薦めたくなる本でした。その為、本作も期待していた所もあります。比較するのもなんですが、前作は美術の世界を知らない人でも手を差し伸べて導いてくれるガイド的な物語でしたが、本作は美術やピカソに興味・予備知識がある人が大学の講義で教授に教わっているようなスタンスを受けました。登場人物達に感情が入らず、何というか場の設定を眺めている感覚です。前作と雰囲気も構成も似ているのに大分違う。。。不思議。敷居が高い美術ミステリでした。 扱う作品は「ゲルニカ」。ゲルニカと言えば戦争。戦争がテーマなのでその重苦しさも好みの分かれ所です。 とはいえ、ピカソとドラの話や戦争背景を含めたゲルニカを学ぶという意味では教養作品として分かりやすく楽しめました。前作同様、過去と現在を繰り返す構成や、タイトルとなった「暗幕のゲルニカ」の序盤と最後の扱いはバシッと鮮やかに決まって印象に残りました。 |
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世間を震撼させている連続見立て殺人事件の犯人:通称「毒リンゴ」。とある条件で相手を殺す事ができる能力を持つ5人が集められ、いち早く「毒リンゴ」を抹殺した者が、死者を蘇らせる権利を与えられる。
誰が毒リンゴなのか?願いをかなえる為にライバル同士のデスゲーム模様。相手の能力は何なのか?と、駆け引きもあり、そこそこ楽しめました。本書1冊完結型の中で、世界観の導入、事件の顛末、ラストの収束まで綺麗にまとまっていて良かったです。 ミステリの小ネタが多くて楽しめましたが、驚きや理論的な何かに繋がるわけでは無かったのが物足りなかったです。結末は好み。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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これは凄く好みの作品。とても楽しい読書でした。☆9+好み1。
泥棒一族の娘が恋人の家族へ挨拶に伺うと……なんと警察一家の息子だった!この恋はどうなるのか!?土台としてのジャンルはラブコメである。家族紹介からとてもユーモアに描かれており、泥棒家族は豪快な父親やら峰不二子のような母親やらとても楽しい。登場人物が多いのにキャラ立ち抜群で分かり易い。雰囲気はユーモア溢れるドタバタ劇で、笑いあり涙ありで楽しませて貰いました。 では、ミステリとしてはどうかというと、殺人事件の被害者が泥棒一族の祖父であると判明し、この捜査の結末に至るまでが見事に決まり、ちゃんとしております。読後感がとても良くて、これは素直に素晴らしい作品だと思った。こういうの好みなのです。 点数については、ミステリとして事件解決の伏線が弱いなとか、驚きが少ないかな……とか、色々思う所もありますが、作品全体に流れる気持ちが良い雰囲気と、人に薦めたくなる本という事で個人的に満点で。 驚きとか推理に重きを置くのではなく、気軽で楽しいミステリをお求めなら、本作は万人にオススメです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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『仮面病棟』とまとめ買いしていたので続けて読書です。
今作は、状況不明な状態で目覚めた男女5名が、爆弾の仕掛けられた場所から脱出すべく、ピエロからのミッションを解いていく所から始まります。登場人物の1人に「リアル脱出ゲーム」経験者がいて、その人のアドバイスを参考に謎を解いていくシーンは、まさに「リアル脱出ゲーム」の小説版といった所でした。 私自身も何度か「リアル脱出ゲーム」に参加しているのもあり、あるあるネタで楽しめました。その雰囲気は十分に伝わってきます。また、前作の感想で現役医者ならではの仕掛けを期待する所があったのですが、本作ではその点は十分に活かされていました。ミッションに必要な医療準備や手術などは現実の脱出ゲームにはない異様な雰囲気を盛り立てており好みです。 真相もよく出来ていて驚かされはしたのですが、点数はそぐわないです。理由としては真実に至る過程が論理的に導かれるのではなく、自滅というか告白というか、勝手に明かされていく所。ワクワクさせておいて答えが勝手に出てきてしまうような感覚が拍子抜け。なんか凄く勿体ない。 著者の作品は『仮面病棟』に続き2作目の読書なのですが、伏線が分かり易く答えが見えてしまうので、ミステリ小説というよりTVのサスペンス系で、常に視聴者を繋げる為に謎と答えとイベントの小ネタを繋いでいくような感じを受けました。名探偵ものみたいに、最後の最後でまとめて真相を明かした方が衝撃的な作品になりそうだけど、前作同様に分かり易くて勿体ない。作風と好みの問題ですね。読みやすいのはよかったです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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