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何もかも憂鬱な夜に
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何もかも憂鬱な夜にの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.87pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全23件 21~23 2/2ページ
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久世番子さんの同級生としても有名な、芥川賞作家の最新作は 刑務所に勤める刑務官を主人公にした作品。 「ある理由」から孤児院で育ち、 現在は刑務官として勤める主人公が 様々な罪を犯した受刑者たちと接する日常。 そして、その中で生じる繊細な内面の変化を、重厚なタッチで描きます。 主人公と深い関係を築く 新婚夫婦を刺殺した未成年の死刑囚、 仮出所後、すぐに逮捕された受刑者など 様々な人生を負った受刑者たちの話はとても印象深いのですが、 とりわけ心に残ったのが、 先輩の刑務官が語る「ある死刑囚の最後」。 死を前にしたとき人はどのように行動するのか ドキュメンタリーやルポが描きることのない人間の複雑さを 芥川賞作家の筆力が見事に照らし出します。 もちろん、こうした深刻な描写の一方で 物語そのものの面白さ(物語力)も健在。 何もかも憂鬱な気分になりながらにせよ、最後まで読みきることができたのは、 本作の「物語力」があったからこそだと思います。 死刑や刑罰の意義を真正面から問いかける本作。 どんなに楽しい気分で読み始めても なにもかも憂鬱な気分になること間違いありませんが 裁判員制度が始まる今だからこそ 多くの人に読んでいただき、罪や刑罰について考えるきっかけにしていただければと思います | ||||
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刑務官の僕が犯罪者と自分の内部とを行き来しながら見ているもの。 連続婦女暴行事件の犯人である佐久間が言う言葉 「倫理や道徳から遠く離れれば、この世界は、まったく違ったものとして、人間の前に現れるんです。まるで、何かのサービスのように」(102頁) 倫理や道徳から遠く離れてしまっている犯罪者と、主人公である僕との境界線が、他でもない僕の過去にある。 狂っているとしか思えない犯罪者と、狂っていたとしか思えない過去の僕。 人間が決められる領域じゃない死刑と執行する刑務官が抱える心の闇。 雨の中で閉じ込められた室内のように、湿度を感じる小説だった。 | ||||
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肉体と精神あるいは行動と意思が乖離ぎみのテンション低めトラウマ強めの主人公のまわりで、暴力とセックスが過剰ぎみに発生し、人間の存在価値や罪悪の問題が問われるといった「中村文則」的な作風は継続されつつ、今回は「死刑」のあり方が中心的に扱われている。罪を犯し死にゆく者の心理や態度に焦点が当てられるだけでなく、この制度をめぐる問題点や、何よりこの究極の法的制裁に立ち会う職員たちの逡巡がよく描写されている。自殺した親友や、人徳者である恩人から主人公が受けている影響が、あまりにも単純な感じがして深みに欠けるように思われたのは気になったし、またこの著者にしては驚くほどわかりやすい「解決」が結末の方でもたらされたのには少々興ざめしたが、少なくとも最後まで退屈しない物語のスリリングさと文章に込められた思想の重みはあったように思う。 | ||||
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