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何もかも憂鬱な夜に



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【この小説が収録されている参考書籍】
何もかも憂鬱な夜に

何もかも憂鬱な夜にの評価: 3.87/5点 レビュー 23件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.87pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全15件 1~15 1/1ページ
No.15:
(5pt)

素晴らしい小説

正直こんなに胸を打たれるとは思わなかった。本当に読んでよかった。
細部におかしなところがあることはあるが、ドストエフスキーと同じように、全体に強度があるので、気にならない。その強度は作者の熱さでもある。ぼくはこの作者の熱意に感服した。
真下や佐久間の言葉はまるで自分のことのようで、読んでいて苦しくてつらかった。でもぼく自身も芸術に救われてきたのであり、そうしたことを気づかせてくれたこの作品を今は読んでよかったと思う。もし文学に出会わなければ、自分も真下のように自殺していたかもしれない、佐久間のように犯罪に手を染めていたかもしれない、そう思わせるほどに、この作品はぼくにリアルに迫ってきた。
こうしたことは奇蹟だと思う。この作品は奇跡的に素晴らしいのだと思う。そうした奇蹟の訪れをを絶え間ない努力でつかんだ作者は称賛に値する。
最後に、主人公のぼくの恩人である「あの人」の言葉は、巻末のピースの又吉さんが書いているように、素晴らしく心に響く言葉だと思うが、こうした真理の言葉に人間はとどまることができないとぼくは思う。主人公のぼくや恵子を救うのはこうした言葉よりも「あの人」が彼らに見せた態度や行動なのだと思う。大人が自分のために見せる態度や行動の誠実さ真剣さに、子どもは胸を打たれ、その子どもの人生の道を照らしてくれるのだと思う。ぼくはこの作者ほど言葉を信じていないのかもしれない。いや、というよりも、やはりすぐれた文学作品とは、言葉では届かないところを、言葉にしたら真実が霞んでしまうようなことを、あえて言葉によって描いたものであるとぼくは思う。言葉にするだけなら、相田みつをなどで十分なのだ。
何もかも憂鬱な夜にAmazon書評・レビュー:何もかも憂鬱な夜により
4087712877
No.14:
(5pt)

心の叫び

ピースの又吉の「第二図書係補佐」で紹介されていて購入しました。
何となく文字数も少なく簡単に読める本か、と思い読み始めましたが、、、はっきり言って、読み終わった後この本の著者は天才だと思ってしまった。
ピース又吉の解説と被るけど、小説を読んでここまで心の底を揺さぶられたのは初めてかもしれない。
特に主人公の友人であり、自殺した「真下のノート」は凄かった。
「自分は何者かになりたい、自分には特別な何かがあって欲しい」「これを読んで気持ち悪いとか馬鹿正直だと、思えるそんな幸せな人間になりたい」
自分が思春期に、そして恐らく現在でも心の底に秘めている「心の声」が痛々しいほど赤裸裸に書かれている。
人を殺す事は、間違いなく悪だけど、それをしてでもこの宇宙に自分という存在の意味が欲しい、そんな全ての人間が抱える心の闇、人間の本質に真っ正面から対峙した「凄まじい作品」だと思った。
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No.13:
(5pt)

独特の雰囲気を持つ素晴らしい作品

不遇の生い立ちの若い刑務官と控訴期限の迫る殺人犯のギクシャクした心の交流。若い刑務官は過去のかすかな記憶を追い求め、生きることの意味を模索する。重苦しい雰囲気の中、生きることと闘い続ける若者の姿は、まるで若い頃の自分の姿を見るかのようだった。

郷田マモラの『モリノアサガオ』にも似たシチュエーションの作品なのだが、心に強く訴えて来るものがある非常に優れた作品である。

『掏摸』を読み、本当に力のある作家だと思っていたが、この作品で再認識した。
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No.12:
(5pt)

とにかく読むべき。

内容は重いです。
でも、現代人にとって大事なことがそこにあります。

人の『死』について語るのは難しいけど、この著者は本当に上手く表現しているな、という印象です。

最後は希望が持てます。
そして、もっと本を読んで、色んな事に挑戦してみようかと思います。
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No.11:
(4pt)

面白い

何故か勧める人が相次いだので読んでみました。
中村氏の、人間の全てに対して目を背けず、
凝視して克明に描写する姿勢が印象的です。
好みで評価は分かれると思いますが、
いろいろ参考になります。
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No.10:
(4pt)

この小説は希望になると思う

この本は様々な言い回しを使っていたり
小難しい書き方をしていたりするにだけど
この小説を読んでいくにつれて、始めは
主人公の「面倒」や「やる気のなさ」
ばかりがでているのだけど、後半
だんだんと「希望」や「前に進む勇気」
みたいなものを感じることができた。

最後は涙してしまった。
自分にある闇に、それでもいいんだ
何か闇を抱えて生きていたとしても
「お前はお前でいい。大丈夫、
 そのまま生きていけ。」
そう言われているような気持ちになった。

読み終わったあとは何とも言えない気持ちになった。
少し寂しいような、でも優しい気持ちになった。

ぜひ読んで欲しい。
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No.9:
(5pt)

「遮光」に次いで娘が勧めた2冊目

前作で心の準備が出来ていましたので映画を見るような気分で「世界」を味わえました。だれもが抱える「何かの拍子に体内から解き放たれるのを狙っているもの」を思いました。20代の娘から「お父さん、意外と好きかも」とこの本を渡される、50代の私は幸せだと思います。
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No.8:
(5pt)

言葉にできないものを表現してくれた本

今まで生きてきた中で、自分の中に言葉にはできない気持ち、混沌とした暗いわだかまりのようなものを感じたことがある方にはぜひ読んでいただきたい小説です。きっと読了後に静かに涙を流してしまうと思います。
この小説は私に「救い」をもたらしてくれました。この一冊との出会いに感謝しています。
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No.7:
(4pt)

何も変わらないけど。

「死」という文字がこれだけたくさん出てくる小説を始めて読んだ。
でも本当はそんなことなくて、読んでる間ずっと「死」の文字が頭の中を廻っていただけなのかもしれない。
「死」を考えようとして読み始めたわけでは全然ないけど、読んでる間だけは「死」について考えさせられた。
だからって自分の中では何も変わってないけど、結果的に貴重な時間だった、のかな?
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No.6:
(4pt)

これからの青春小説

親に捨てられ施設で育った主人公は今は刑務官の仕事をしており、そこで死刑判決に対して控訴しようとしない殺人犯と出会う。
 中村さんの小説を読むのは初めてなので他の作品については分からないが、この小説は不定形の若い心が抱える、このまま何者にもならないのではという不安、一方で何者かになってしまうことも不安だという不安定さのリアリティをよく伝えていると思う。この作品を書いた時の中村さんは30代初め、すでに50代半ばとなった私にはうまく思い出せないひりひり感を書き抜いた。
 施設での友人の死も、主人公をおおらかに受け止めてくれた施設の責任者「あの人」も、殺人犯の山井の描き方も、どこか型通りで、それをうまくつなぎ合わせてまとめているのではという感想も途中に持ったけれど、「生きろ」というメッセージは伝わってくるし、読みながら時々感じる、生きることにまつわるイヤな感じはリアルだ。これはこの時代を生きる若い人にこそ読まれるべき作品なのでしょう。
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No.5:
(5pt)

人間とは何か

中村文則「何もかも憂鬱な夜に」を読了。人間とは何か、を堂々と描こうとしています。観念的な部分も多くありますが、人間とは何か、生きることと死ぬこと、心の奥底、暴力、死刑、自殺、性などを重層に重ねながら描こうとしている作者の姿が行間から垣間見ることの出来る力作です。
決して明るくはありませんが、未来があったことが良かったです。一瞬にして物語の世界に引き込まれた作品でした。
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No.4:
(4pt)

題名の割に希望に満ちている

中村さんの作品は「土の中の子供」以来でしたが、こちらの「何もかも〜」の方がずっと好きです。
「土の中の子供」は正直とにかく暗いという印象でしたが、この「何もかも〜」は暗い中に希望が満ちている気がします。

真下の残した手記には共感しました。
わたしもこういうこと十代の頃書いてたなぁ。
でもわたしは女なので、性に対する爆発的な欲求は無かった。
うーん、男性はそういう点で苦しそうですね・・・。

主人公の恩師の言葉が印象的でした。
「自分以外の人間が考えたことを味わって、自分でも考えろ。考えることで、人間はどのようにでもなることができる。世界に何の意味もなかったとしても、人間はその意味を、つくりだすことができる。」
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No.3:
(5pt)

何もかも憂鬱な気分に―

久世番子さんの同級生としても有名な、芥川賞作家の最新作は
刑務所に勤める刑務官を主人公にした作品。
「ある理由」から孤児院で育ち、
現在は刑務官として勤める主人公が
様々な罪を犯した受刑者たちと接する日常。
そして、その中で生じる繊細な内面の変化を、重厚なタッチで描きます。
主人公と深い関係を築く
新婚夫婦を刺殺した未成年の死刑囚、
仮出所後、すぐに逮捕された受刑者など
様々な人生を負った受刑者たちの話はとても印象深いのですが、
とりわけ心に残ったのが、
先輩の刑務官が語る「ある死刑囚の最後」。
死を前にしたとき人はどのように行動するのか
ドキュメンタリーやルポが描きることのない人間の複雑さを
芥川賞作家の筆力が見事に照らし出します。
もちろん、こうした深刻な描写の一方で
物語そのものの面白さ(物語力)も健在。
何もかも憂鬱な気分になりながらにせよ、最後まで読みきることができたのは、
本作の「物語力」があったからこそだと思います。
死刑や刑罰の意義を真正面から問いかける本作。
どんなに楽しい気分で読み始めても
なにもかも憂鬱な気分になること間違いありませんが
裁判員制度が始まる今だからこそ
多くの人に読んでいただき、罪や刑罰について考えるきっかけにしていただければと思います
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No.2:
(4pt)

湿度の高い小説

刑務官の僕が犯罪者と自分の内部とを行き来しながら見ているもの。
連続婦女暴行事件の犯人である佐久間が言う言葉
「倫理や道徳から遠く離れれば、この世界は、まったく違ったものとして、人間の前に現れるんです。まるで、何かのサービスのように」(102頁)
倫理や道徳から遠く離れてしまっている犯罪者と、主人公である僕との境界線が、他でもない僕の過去にある。
狂っているとしか思えない犯罪者と、狂っていたとしか思えない過去の僕。
人間が決められる領域じゃない死刑と執行する刑務官が抱える心の闇。
雨の中で閉じ込められた室内のように、湿度を感じる小説だった。
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No.1:
(4pt)

もっと憂鬱でもよかったか

肉体と精神あるいは行動と意思が乖離ぎみのテンション低めトラウマ強めの主人公のまわりで、暴力とセックスが過剰ぎみに発生し、人間の存在価値や罪悪の問題が問われるといった「中村文則」的な作風は継続されつつ、今回は「死刑」のあり方が中心的に扱われている。罪を犯し死にゆく者の心理や態度に焦点が当てられるだけでなく、この制度をめぐる問題点や、何よりこの究極の法的制裁に立ち会う職員たちの逡巡がよく描写されている。自殺した親友や、人徳者である恩人から主人公が受けている影響が、あまりにも単純な感じがして深みに欠けるように思われたのは気になったし、またこの著者にしては驚くほどわかりやすい「解決」が結末の方でもたらされたのには少々興ざめしたが、少なくとも最後まで退屈しない物語のスリリングさと文章に込められた思想の重みはあったように思う。
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