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理由(わけ)あって冬に出る
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理由(わけ)あって冬に出るの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.70pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全40件 21~40 2/2ページ
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1作目。鮎川賞応募作品ということで、巻末に解説というか書評?あり。 非常に読みやすい。内容的にも軽めで、また、文庫で250ページという分量も、そこそこの長さはあるものの、冗長にならず、気軽に読むことが出来るので、割と広く誰でも読めるのではないかと思う。また、全体的に軽めになっているにもかかわらず、ミステリ的に手を抜いているということもない辺りも、好感が持てる。最後のオチもついていて、結構完成度は高い。個人的には好みの作風。 | ||||
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ライトノベルの推理小説です。 謎解きはそこまで難しくないので、推理小説が好きな人にはもの足りないのではないかと思います。 萌え要素は1990年代後半のライトノベルを思い出す感じで、一通りのストーリーがありつつ、 ストーリーの進行の中で主人公が適度に女性キャラクターからの好意を受ける、という感じ。 最近の全くストーリーがないキャラクター小説よりは多少面白いですが、 東京−名古屋間程度の移動の間に、暇つぶし程度に読むような本です。 | ||||
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高校生男子を主人公にした日常的ミステリは多いですが、この作品は独特の世界観があって、予想以上に楽しめました。 但し、出だしから文章の歯切れが悪くて、なかなか、読み進める気にならない「冗長さ」を感じました。 途中からは、慣れたことも有り、すいすいと読めました。 最後の仕掛けは、意外性よりも、物語の構成上稚拙に感じて、私的には「ないな〜」と思います。 2作目以降に期待して、早速、「さよならの次に来る<卒業式編>」を注文しました。 | ||||
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本格ミステリーとは到底言えないけど、こういうのが読みたかったという欲を満たしてくれた作品でした。 キャラクターたちもみないい感じです。すぐに続編を買ってしまいました。 | ||||
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<感想> 「理由あって冬に出る」というタイトルが、 なんかもう、雰囲気があって気になりました。 表紙もライトノベルちっくな気もしますが、 なんか奥ゆかしい感じです。 ちなみに男の子は、主人公だとして、 メガネの女性はいったい誰? 人物描写にメガネをかけた女の子っていたっけ? ・・・というのが読み終わった後も、未だにわかってません。 全体の感想としては、キャラクターが面白い小説、 という感じでした。 伊神さんと柳瀬さん。伊神さんは探偵役なので、よく出てきますが、 柳瀬さんの活躍をもっと見たかったかな。 葉山くんの振り回されっぷりも、なんというか変人に困らされる 狂言回しとしてありがちですが、地の文での突っ込み等、 面白かったです。 ミステリーというか、物語に関しては・・・ 私は、いまひとつ釈然としない感じを覚えてしまいました。 その正体はわかりませんが・・・。 教室の見取り図とかがいっぱいあって、 「きっと作者さんは、いろいろ考え、趣向を凝らして 書いているんだろうな」とは思えたのですが、 その地図をしっかりと頭に入れて、トリックをしっかり 理解しよう、というところまでいけませんでした。 それは、あくまで私の個人的な能力の問題で、 個人的な感想です。 なんというか、「トリック明かし」「謎解き」それ自体を楽しむ、 というより、その行為をしている伊神さんと、それに振り回される葉山くん とのやり取りや雰囲気を楽しむ作品でした。 今でも、トリックや謎解きの全容はわかっていません・・・。 冒頭はやや重く感じたし(設定の説明上必要だったのかもしれないけど)、 最後に出てくるホームレスが感動を台無しにしてくれたし (まあ、秋野さんがフォローしてくれた感はあるけど)、 葉山君がラストで白骨を発見するのも、きっと深い意図があるのだろう、 と思いながら、私にはそれがわからず歯がゆかった。 ちなみに、読み終えて、いまだにタイトルの意味が分からないのは、 私だけ・・・? <物語概要> 芸術棟という文化部が使える校舎があるくらい、 施設が余っている(?)私立高校に通う葉山くん。 葉山くんは美術部員だが、現在一人なので、 アトリエにはいろいろな人が訪ねてくる。 そんな中で、吹奏楽部の友人、秋野が頼みごとを しに訪ねてくる。 「フルート吹く幽霊が出る」という噂が出て、 吹奏楽部の練習に支障をきたしているらしい。 そのようなわけで、葉山くんは幽霊の噂を晴らすべく、 吹奏楽部の部長、高島先輩、秋野、演劇部の友人、三野と 共に、夜の校舎に侵入する・・・ <設定> 芸術棟と呼ばれる、文化部が基本的に自由に使える 校舎がある学校での出来事に関する物語。 教師もややテキトーで、戸締りに必要なカギを平気で 生徒に預けたりするような風潮がある。 だから、生徒たちは鍵を持って夜の校舎に侵入する ことができる。 <人物> ●葉山 美術部員。主人公。読者目線キャラで、探偵役の伊神さんに 振り回され、ときに伊神さんの考えを引っ張り出す ための役割。 探偵の助手役として、危ない目や厄介ごとに駆り出される、 という点ではコメディリリーフ? ●伊神 文芸部。受験生。安楽椅子探偵役。変人? 「謎」に目がなく、好奇心旺盛。もったいぶった言い方をし、 自分の考えを立証するためなら、人の迷惑も顧みない。 ものすごい集中力の持ち主。その上、武術も達人並のよう。 どんな相手にも物怖じせず、人懐っこく話しかける。 ●柳瀬 演劇部。葉山を執拗に舞台に誘う。葉山のどこに魅力を 感じているのかは、私には不明。 演劇調で会話することも多く、葉山の前で葉山と自分の やり取りを一人芝居で行ったりする。 母親も結構な変わり者で、娘の小芝居に付き合う。 この母にして、この娘あり、という感じ。 ●高島 吹奏楽部部長。2年。責任感の強い女子生徒。 発端は、彼女が秋野を使って、葉山を幽霊騒動に 巻き込んだからである。 巻き込んだ以上は、自分も付き合う、という姿勢や 嘘がつけないといったところが、彼女を部長という 役職にしていると思われる。 ●秋野 葉山の友達。幽霊騒動の調査を葉山に来る少女。 東、という彼氏がいる。 ●三野 演劇部の裏方。昔はいじめられっこだったらしい。 だが、今は明るく、しかも、いろんな噂話や、 他人同士の内緒話を聞いてしまう生徒らしい。 実は、事件の首謀者。 秋野のことが好きらしい。 幽霊騒動を調査すべく、葉山・高島・秋野で 学校に残った時、それを聞きつけ、「秋野狙い」 という名目で、ついてきた。が、真意は他にあった。 その後、幽霊らしきものを見かけた際、 「逃げた」(ように見せかけた)にも関わらず、 「葉山が逃げた」というふうに改変して、 噂を振りまいた。これは、一見三野のテキトーな キャラのように思えたが、実は、三野の目的のために 必要な段取りだった。 ●東 吹奏楽部。ルックスが良く、女にモテるらしい。 一時期は、吹奏楽部が泥沼化したほど。 現在は、秋野と付き合って落ち着いているようだが。 本当は、あるときいなくなった、「立花」という三年生の女子 のことが好きであった。 物語の中盤で、「立花」が付き合っていた大学生の子どもを 妊娠し、しかも、その後、美術部の教師と結婚する、 というのを知って唖然とさせられる。 また、三野に脅されて、幽霊騒動の共犯をやらされた。 <物語展開> ●幽霊騒動の調査 葉山は、秋野に頼まれ、高島部長と共に、 夜の学校に残り、芸術棟に出るという幽霊の調査を しようとする。そこには、三野も「秋野狙い」という 形でついてきた。 そこで、実際にとある部室で、いきなり明かりがつき 人影が出る、という現象が起こる。 その後、その騒ぎを三野が言いふらす。 ●幽霊調査'A 葉山の話を聞き、伊神が探偵役として、 一回目の幽霊騒ぎの推理をし、実験検証する。 トリックは影絵を使ったものだった。 そのとき、そのトリックの裏方をやっていた 三野が、「首なしの幽霊を見た」と言って(実は三野の嘘)、 新たな幽霊騒動が展開する。 ●幽霊調査'B 三野の見た幽霊を調べるべく、再び校内に侵入する葉山。 葉山・伊神・高島・東という組み合わせだった。 葉山と伊神は、首なし幽霊を目撃する。 その後、警備会社の者がやってくるが、 「葉山に呼び出された(本当は三野が葉山を装って呼び出した)」 という柳瀬のおかげで、難を切り抜ける。 (※実は、このとき三野は、幽霊のトリックを仕掛け、 東を脅し、その幽霊に全員の目が向くように誘導させていた)。 ●幽霊調査'C 伊神は、犯人の共犯者が東だと言い当てる。 そして、東を追求する。 東は、抗弁するが伊神にかなわず、真相を告白。 また、実は東は、「死んだ」と噂されていた 女生徒、立花のことが好きだった。 だが、そこへ子供を抱いた立花が現れ、 献身的に支えてくれた美術の教師と結婚するというのを聞き、 唖然とする。 東と秋野の別れが暗示され、三野のチャンスも暗示される。 ●幽霊調査'D 伊神は、夜中まで一人で校舎で考え、 ついに真相に推理で辿り着く。 そして、夜中に関係者全員を集め、 トリックをなぞった実証を行う。 伊神と葉山が目撃した首なし幽霊は、 スモークをスクリーンにして、プロジェクターから 映し出された映像だった。 そして、それをおこなった真犯人は三野であり、 東は、それの共犯をさせられていた。 実は、三野が目撃したという「首なし幽霊」は、 三野の嘘だった。 だが、三野がこの嘘をつくことで、 結果的に、伊神と葉山が首なし幽霊を目撃する きっかけをつくったことになる。 ●真犯人の動機 三野はトリックを明かした。 その動機についてはなかなか明かそうとしない。 だが、伊神はそれを許さない。 三野は、とある体調が悪くなったホームレスを かくまうため、芸術棟の空き部屋に生徒を近づけない ようにするために、幽霊騒動の噂を流したのだった。 三野の弱者を思いやる行為が、今回の事件の発端であった。 そのホームレスは、一見恭しい感じで礼儀を見せるが、 実は、横領罪と詐欺罪で警察から追われる身だった。 それを知らされた三野はあっけにとられるが、 秋野の「バカ―!」という大絶叫で、救われるのだった。 ●その後 事件の片はつき、幽霊騒動もすべ解決した。 葉山はトリック解明の際に廊下を片づけた際、 廊下の壁に変色部分を見つける。 そこを掘り返すと、そこから白骨死体が出てきた。 葉山は、その白骨死体を見て、切なくなり、泣く。 | ||||
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ズバッと2つの気になった点を述べます。 1つに、騒動の黒幕となる人物について。 確かに、おお成る程とは思いましたが、伏線が卑怯かと。この時点でミステリとしては不合格です。 2つに、伊神。 敢えて名指しさせてもらいますが、探偵役の伊神が実に人を喰ったキャラクターをしています。こいつの元ネタでもあるのでしょうか?とりわけ喫茶店でのウェイトレスに対する態度には呆れてしまいました。もしや作者も性格が悪いのではと邪推。けど柳瀬さんがかわいいので今回は許します・・・ 伊神がいなければ星5でした(笑) | ||||
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東京創元社がここ数年力を入れている?、日常の謎を扱ったミステリーです。 最初の数ページの叙述に癖があり、失敗したかと思いましたが、その後、持ち直して最後まで読み通すことができました。 謎解きも二重三重の仕掛けがしてあり、短い小説ですが、アイデアに満ちており、すれっからしのミステリファンにもアピールできる水準をクリアしているかと思います。粗製乱造の安っぽいと決め付けて読まないミステリファンは損をするでしょう。 新本格の系統を期待すると外れかもしれませんが、米沢穂信氏の作品など、東京創元社の文庫で同じような表紙の作品が好きな方には十分お勧めできると思います。 | ||||
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ラノベに毛が生えた程度の作品であろうと思って読み始めましたが、とんでもなかったです。土下座して謝ります。 推理小説であり、推理小説の条件を立派に満たしている佳作だと思いますが、それ以上に感銘を受けたのは、最後の最後に来る語り手=主人公の感情の爆発です。 この語り手たる”葉山君”は外見的にも悪くなく(そういう描写はないのですが、イメージ的に)、中身も実にクールで知的で批評的で少しだけスノッブな、(極端な例を挙げるとするなら『ハルヒ』のキョンや米澤穂信作品の主人公に代表されるような)典型的なゼロ年代的主人公キャラクターの範疇に入る男子高校生です。 その彼が、何やら超人的な推理力を持つ探偵役の先輩(男子:←この点が、安いハーレム系ラノベと一線を画すところだと思うのですが)のワトソンと(自覚的に)なりつつ、最後の最後には稲妻のごとき直感によってある大発見をし、それが本作の、いくつもあるハイライトの最後にして最大のものとなるのですが、この衝撃、余韻が半端じゃないです。 この時の主人公の感情の発露、その描写こそが、この作家が人間というものを深く知る優れた表現者であることを示しています。 必読! | ||||
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最近、書店にて本シリーズ4冊目「まもなく電車が出現します」が 平積みされているのをみかけ、興味を持ち手にしました どうやら、「まもなく電車は〜」シリーズ4冊目ぽかったので、 シリーズ1冊目の本著「理由あって冬にでる」から読むことにしました 本著は第16回鮎川哲也賞佳作入選であり、著者のデビュー作 いかにも創元推理文庫らしい、日常の謎系学園ミステリ 北村薫氏や加納朋子氏の作品と比べるとキャラが立っており、今風になっている タイトルには肝心の主語が抜けていますが、出るのは幽霊か!? その謎を巡り、文科系クラブの面々が活躍する ネタの密度は比較的濃いが、あまりトリッキーなものではないので読みやすかった 現時点でシリーズは4冊まで刊行されている 後3冊、続けて読めると思うと嬉しくなってくる | ||||
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にわか高校生探偵団シリーズの第一弾である。鮎川哲也賞の佳作入選。先日読んだ「まもなく電車が…」に引き続き2冊目の読了。 「まもなく電車が…」を読んで期待したとおり、またまた楽しめました。特に本作は文体にかなり特徴があるのだが(体言をやたら接続した単語にしてみたりとか。ドイツ語調?)、もしかして最近のオンライン小説とかってこんな文体なのだろうか。 最後の謎解きがちょっと、えぇ〜〜という感じだが、作品全体としては、ちゃんと伏線があって、それなりのストーリ展開があって、登場キャラクタがなんだかんだでそれぞれ活躍して、と基本を踏まえているので読んでいてちゃんと楽しめる作り。そしてそして、例によって柳瀬さんが超凄い人で、これがとても楽しめます。演技派女優は言動が面白いですねー。 | ||||
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第16回鮎川哲也賞佳作入選作で、似鳥鶏の処女小説。 純粋な学園ミステリ。 物語の構成やテンポ、登場人物の個性は非常に良好。独特な文章はくすっとくる。 ミステリ要素が甘いとの声もあるが、青春ミステリならこんなもの。むしろ丁度いい。作風に合っている気が。 表紙絵がtoi8さんなので表紙買いの方もたくさんいるだろうけれど、それでも絶対損はしない。 現在シリーズ化されているので続刊も要チェックかと。 | ||||
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表紙イラストが好みで気になっていたので、ようやく購入。 冒頭テンポ悪し。 学校の状況がその後の事件へのフリとなるので重要なのは分かるが、にしても冗長すぎ。 主人公の語りくちが面白いなら引き込まれるのだろうが、ありがちなことに対してそう面白くもない感想をのべられてもツライ。 せめて誰かと会話しながらなら良かったのでは。 この冒頭のように全てが一味足りない印象だった。 感触としては米澤作品に近いように思えるが、面白さではまだまだ遠い。 作者のデビュー作のようなので、この後洗練されていくかどうか・・・を確かめる食指はまだ動かない。 でも読めないというわけではないので星みっつ。 あと読み込み不足のせいかもしれないが、表紙の女の子は誰なのか最後まで分からなかった。 | ||||
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先にレビューしている人の言う通り、エピローグは蛇足です。主人公が最後に誰も気付いていなかった事に気付いた事で、主人公の評価を上げる事を企図したのでしょうか。シリーズ化して次回作への伏線になれば、また違う評価になると思います。主人公とよく絡む先輩の女子生徒に関する描写が性格的な事に偏っていて、容姿のイメージが掴めません。割りと重要なキャラなのに。 | ||||
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プロローグと第一章のはじまりかたがすさまじく連結してない。 p126、p127の不細工すぎる挿入 エピローグは「あの足音はまさか…?!」ぐらいで終っていい。 そこがミステリいや怪談の醍醐味なんじゃないんですか? 真犯人があっさり認めすぎ・ありえないポカミス 残念でした。 学校で起こる怪奇現象を推理するっていうのは好きなんだけどなぁ | ||||
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高校を舞台にした、ライトタッチの一人称形式。 粗筋からかけ離れた内容のプロローグから始まり、あれと思わせるが、きちんと繋がりはある。 魅力的なキャラクターが多数登場し、かなり丁寧に描き分けられており、それでいてキャラ萌えに走っていないところは好感がもてる。 爆笑というわけでは無いが、ストーリーを壊さない程度にくすっと来るような場面・文章がところどころに入っていて、それも良い。 謎解きは、それほどずば抜けて質の高いものでは無かったが、背景の裏打ちで補えているとは感じた。 ただ、いくつかマイナスポイントもある。 まず後半の展開を少々急ぎすぎている感がある。もう少し長めに描き込んでも良かった気がする。エピローグには「それで終わり?」と思ったことは否めない。 それから(こればかりは読んでもらうしかないのだが)160ページ〜170ページ、台詞がカギカッコではなくダッシュで分けられており、改行がきちんとなされていないため地の文と台詞部分がごちゃごちゃしてかなり読みづらくなっていた。 そういった点を鑑みて★は4つ。 米澤穂信ファンである私は、そういった向きを期待して買ったが、まあ損ではなかったかな、と思う。 作者の次回作が出たら、多分買うだろう。 | ||||
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放課後、主人公である葉山君が 〈グラウンドの青春に背を向けて〉赴くのが、 日陰にある老朽化した「芸術棟」です。 そこは、多くのマイナーな文化部が 活動する場になっています。 日なたには馴染めない者たちが、 趣味という共通項で緩やかに連帯し、 無為ながらも居心地よく過ごす「ユートピア」 それが芸術棟というわけです。 しかし、そんな芸術棟が「幽霊騒ぎ」により、 にわかに祝祭的空間となります。 そこでは、スリルとサスペンスあり、ラブコメや 人情話あり、 そして〈名探偵〉による名推理もあり、 といった「お約束」を外さない展開が繰り広げられます。 そして最終的には、苦い現実が露呈するものの、 これまで通りの芸術棟の秩序が回復された……、 かに見えたのですが―。 エピローグで示される真実。 これまでのお約束展開は、ここで シニカルな結末を提示するための 前フリだったかのようです。 〈名探偵〉役はまもなく卒業により、学校から去るのに対し、 葉山君にはまだ高校生活が残されている、というところに、 著者の容赦の無い批評性を感じます。 ▼付記 〈名探偵〉役の伊神さんは、女の子にしたほうがよかったですね。 | ||||
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第16回鮎川哲也賞の佳作に入った作品。著者のデビュー作になる。 ライトノベルっぽさを多分に醸し出した一冊。しかし、文章はかなり練り込まれているし、登場人物も(そんなに)定型的でなく、魅力があった。今後に期待される一人だと思う。 ミステリとしては課題が多い。投稿作からはだいぶ書き直したとのことだが、まだまだ不満が残る。プロットに欠陥を感じるし、トリックは平板。結末もあれじゃあなあ。 また、物語の1/4を過ぎたあたりでガクンと文章の質が下がるのはどうかと思う。 米澤穂信と似た印象だが、人物の魅力と文章力では、似鳥氏のが上だろう。ただ、あまりにもミステリ部分が弱いので、ライトノベルや青春小説に転向してしまいそうな予感がする。 | ||||
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第16回鮎川哲也賞佳作入選作。 学園を舞台にしたラノベ風のミステリだが、トリックは平凡で動機の必然性にも疑問があり、ミステリとしてはいまひとつ。しかしこの手の作品にしては心配したほどオタ趣味丸出しといった描写は少なく、わりとさらさらと読めた為全体の印象は悪くない。 また、事件の結末も決して温いだけに終わらせなかった点も評価できるところ。 ただ、探偵役の造型がいかにも「ありがち」で全く新味がなかった点とエピローグの存在はいただけない。特にエピローグの蛇足感はすさまじく、無い方が良かったと断言できる。 ややネガティブなコメントを多くしたが、最近の創元系の新人としてはまともな方だと思うので今後の成長に期待。 | ||||
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第16回鮎川哲也賞の佳作でデビュー作になります. よく言えば丁寧,悪く言えば冗長という印象が強く残ります. はじまりから舞台となる学校についての立地を語るあたりは, このあとの物語に絡むのかと思いきや,まったくそうではなく, ただダラダラとつづくだけで,その先への期待がわいてきません. また,物語の本編となるいくつかの『騒動』についても同様で, 流れが『トリック』ではなく『動機』のほうへと移っているのに, 図解入りで検証,犯人当てを繰り返す様子は,少しばかり疲れます. ほかにも,学園ミステリっぽい独特の『ゆるさ』はあるものの. ハッピエンドにしたいのか,ブラックにしたいのかよくわからず, 結局どうおわらせたいのか,落ち着かない結末にモヤモヤとします. 『コミカルなミステリ』という割には,そんな風でもありませんし…. 『誰が』『なぜ』『どうやったか』という流れはキレイですし, ひねりの効いたタイトルは,なかなかよかったと思うのですが…. ページはそれほどでもないのに,スッキリ読めないのが残念でした. | ||||
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鮎川哲也賞佳作入選の新人作家の長編ミステリーですが文庫で手頃なので買いました。市立高校の文化系部活が活動する芸術棟が舞台ですがそこに何回か幽霊が出没するといううわさが立ち主人公の美術部 の少年と他の高校生が探偵するというストーリー。一件無関係に見えるプロローグと幽霊騒動が最後にはきれいに結びつきトリックもそれなりに良かったと思います。本格重厚物が好きな人には物足りない かもしれませんが登場人物が生き生きしており会話も楽しく長編の割に比較的読みやすいと思います。最後のエピローグはちょっと怖かったかな・・・昔は本格どろどろが好きだったのですが年取って連作ミステリーばかり読んでいるので久々の楽しい長編ミステリーでした。似鳥鶏の次回作が楽しみです。 ミステリー初心者や中学高校生くらいにおすすめです。 | ||||
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