水の時計
- 処女作 (383)
- 幸福な王子 (1)
- 横溝正史ミステリ大賞 (3)
- 脳死 (2)
- 臓器移植 (2)
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点6.67pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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脳死の病所や月明かりの夜のみに話せる死者の声、タイトルの水、と言った単語のインスピレーションが影響して物語は幻想的で不思議な読書でした。 | ||||
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退出ゲームなどが評価が高くて最近名前を知った作家である。この本はファンタジーとするレビューを目にしたが私はそうは思わない。逆にとてもリアルな話しだと感じた。自分の身体を難病や過酷な運命にさらされ、死を待つだけの絶望の淵にいる人たちのため臓器提供を願う少女。その臓器を届ける役目の少年は世間の荒波に飲まれた孤独なライダー。しかし、本人も気付かないところで少女との接点があった。各章で臓器提供を受ける側の人たちの悲惨な、あるいは愛に溢れた心と行動の物語を紡ぎ、警察や族の仲間たちに追われる少年を絡ませてひとつのストーリーを見せる。普段表舞台で語られることはそう多くない臓器移植の問題。待つだけの人々。ドナー登録はあっても適合の問題や費用の問題。あまりにも過酷な現実。生と死の重いテーマに暗くなりがちだが、少年の再生への希望とピュアな心情に触れるストーリー展開とに依って読後の気分は悪くない。これがデビュー作だが文章もこなれていて読みやすく感情移入もしやすい。他の作品も楽しみだ。 | ||||
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私は初野作品は他にもいくつか読んでいますが、それらの多くがこの作品から派生しているのではないかと感じます。具体的に言うのはネタバレなので避けますが、出だしの奇想天外さなんかは「あー。初野作品だ」と思わず笑みがこぼれました。 | ||||
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今年一番の作品。本格ミステリー好きな私だが、この作品には驚嘆。ミステリー性はやや欠けるものの、ぐいぐい読み手を引っ張っていくストーリーとプロットは新人とは思えない迫力。横溝正史という巨人が生誕し百年を超えるが、その横溝史ミステリー大賞を受賞したのも全く異論なく頷ける。この作品との出逢いに感謝すら覚える。 | ||||
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2002年に出た単行本の文庫化。 第22回横溝正史ミステリ大賞の受賞作。 臓器移植をテーマを縦糸にして、6つの物語が紡がれている。幻想的かつ暴力的な世界観が、痛々しいほどに読むものの心に迫ってくる。印象に残る一冊だ。 ただ、ミステリの範疇に入るのかは疑問。 このあとしばらく著者がもがきくるしむことになるのも納得。 | ||||
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「満月」「水の時計」「幸福な王子(童話)」など、ロマンティックな情景や小道具を使っているが、どれも消化されておらず、中途半端である。詰め込みすぎたが、詰めが甘く、内容はいいのに、薄っぺらい少女漫画風になってしまった感じがあり残念。 ルートゼロという少年集団について描かれているが、なぜ彼らが有能な暴走族なのかわからない。警察をも欺けるほどの能力がどうしてあるのか疑問。もっとわからないのが、冒頭で恐喝や暴行を起こすことを平気で行っていた主人公の少年が、家賃の支払いを気にしたり、順応に臓器を送り届けることをしたのかわからない。実は清い心を持っている少年であるのだとしたいのだろうが、本当にそれが描かれているのか疑問。 また、脳死の少女と少年の繋がりが弱く、少女が少年に思い入れが出来るほどのストーリーがあったとは考えられにくい。 せっかく、アイデアはいい作品ですが、詰めが甘く、ロマンティックに傾向してしまったがために、薄い話になってしまったのが残念です。 | ||||
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過去に読んだ事があったのですが、また読みたくなったので購入しました。 本書の素晴らしいところは、主人公の色々な描かれ方です。 多くはチャプター毎に登場する語り部たちから見た姿なのですが、特徴的な主人公の風貌が語られると、思わず登場を喜びたくなるほどの魅力に満ちた主人公です。 また、主人公が搭乗する赤い『カワサキZZR600(2005年以前のモデルと思われます)』は本書の象徴的なアイテムになりますので、一度画像で見ておくと臨場感が得られるかと思われます。 そして何より、終盤にかけて明かされていく伏線回収には見事なものがあり、感心する事請け合いです。 | ||||
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本作品は、第22回(2002年)横溝正史ミステリ大賞を受賞し、著者のデビュー作となったもの。 私は、本作品を読む前に、長編第2作の「漆黒の王子」や第3作「1/2の騎士」、また、連作短編学園ミステリ「ハルタとチカ」シリーズを読んでおり、著者の独得の作品世界に惹かれ、原点である、本作品を読んでみることとしました。 正直なところ、ミステリとしての完成度は、第2作以降の作品の方が高いと思われます。 でも、これは読者としては嬉しい傾向で、書き進めることで、ミステリの手腕が磨かれていることを示しているからです。 とは言っても、本作品もレベル的には満足のいく作品でした。 主人公の高校生、高村はあるきっかけで、脳死状態の少女、葉月と出会う。 彼女は、「脳死」でありながら、特殊な装置を使い、自分の心情を「声」にして発することができるのであった。 高村は、葉月から、思いもかけない依頼を受けることになるが…。 という、ちょっとSFがかったというか、ファンタジックな物語世界が広がっていくのですが、テーマは、ずばり「臓器移植」です。 これは作品紹介や、本書巻末の参考文献からも明らかなことなのですが、この部分に、後続の作品にも繋がる、著者独特の作品世界の萌芽が窺えます。 それは、「社会的なテーマ」を題材に、思いがけないアプローチでミステリ作品に仕上げていく──という点です。 「臓器移植」がテーマなら、普通に書くと、「社会派ミステリ」になってしまうのでしょうが、著者はそんなことはしません。 舞台設定は、ファンタジックな装いで、現実から遊離した感じを受ける。 ところが、読み進めていくと、見事に「社会的なテーマ」が練り込まれていることに気づかされる──という展開。 本作品の難点を挙げれば、後続の作品に比べ、「意外性」や「ロジックを駆使した解決」という部分が弱い点でしょうか。 もっとも、「臓器移植」をこのようなスタイルで描いた作品は、恐らく、世界にただひとつでしょうから、著者の作品を気に入っている方なら、一読の価値はあります。 | ||||
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