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乱反射
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乱反射の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.81pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全149件 141~149 8/8ページ
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プロローグの次は「−44」から始まる本作。 前半は市井の人々をそれぞれ主役にした短いストーリが続きます。 事件とも言えないような小さな日々の暮らしが丁寧に描かれ、 嵐の前の静けさと分かっていながらも、 一人ひとりの人生を覗き見しているような、 そんな楽しさがありました。 が、「0」からはすべての人々が絡み合って展開していきます。 「人間として正しいのは誰なのか。」 「こういう反応ははたして正しいのか。」 「あの時本当はこうすべきではなかったのか。」 そんな叫びが聞こえてきて、息苦しいほどでした。 これは自分の生き方を考えさせられる小説といえます。 ラストは胸に迫りました。 主人公夫婦の未来が明るいことを祈って、本を閉じました。 | ||||
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些細なモラル違反を犯した人たちの連なりにより、二歳の男の子が亡くなる。 自覚が無い罪を背負った人たちが事件に繋がった日常を描いたこの本、正直気が滅入る。 読んでいて気が滅入るのは、本人も心の奥底では負い目があるのを押し隠して自分の都合を言い訳にしているからだ。作品の主体がその言い訳なので、読者としては言い訳に付き合うことになる。 突然事件の当事者になった新聞記者の加山が真実を知るために自覚の無い罪を背負った人たちの所に出向くことで、自覚のない罪をつきつけられてゆく。加山のしている糾弾が救われないのは、加山に責められている人達が皆本心では罪の意識を感じているが故に、態度は恐怖から一言も謝罪の言葉を出せないことにある。 モラルと人の命を同じ土俵に考えていない人達を糾弾していた加山が辿りつく真実も、読んでいて重苦しい気分にさせる。 犬のフンや家庭ゴミの小さなことから事件に繋げて、全編通して陰湿に書けるのも貫井徳郎カラー全開だが、これまでの貫井徳郎作品と比べるとアクは薄い。 | ||||
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些細なモラル違反を犯した人たちの連なりにより、二歳の男の子が亡くなる。 自覚が無い罪を背負った人たちが事件に繋がった日常を描いたこの本、正直気が滅入る。 読んでいて気が滅入るのは、本人も心の奥底では負い目があるのを押し隠して自分の都合を言い訳にしているからだ。作品の主体がその言い訳なので、読者としては言い訳に付き合うことになる。 突然事件の当事者になった新聞記者の加山が真実を知るために自覚の無い罪を背負った人たちの所に出向くことで、自覚のない罪をつきつけられてゆく。加山のしている糾弾が救われないのは、加山に責められている人達が皆本心では罪の意識を感じているが故に、態度は恐怖から一言も謝罪の言葉を出せないことにある。 モラルと人の命を同じ土俵に考えていない人達を糾弾していた加山が辿りつく真実も、読んでいて重苦しい気分にさせる。 犬のフンや家庭ゴミの小さなことから事件に繋げて、全編通して陰湿に書けるのも貫井徳郎カラー全開だが、これまでの貫井徳郎作品と比べるとアクは薄い。 | ||||
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『慟哭』などという極めて大袈裟なタイトルを付ける作家だなあと無視していたが、偶々手にとってみた。 これをもって「社会派」などと言ってよいのだろうか? 幾つかの人物のエピソードがひとつの事件に収斂していく結構は、緊密とは言えないにしても、読ませることは読ませる。いろんなちょっとした偶然が大きな罪につながる。それは、日々の我々の生活が、否、生活の基盤の存在そのものが、グローバルな経済の中で誰かの犠牲を強いるということでも同断だ。我々は利便を求めて、コンビニやスーパーやで安いものを求めて買い物をする。それが経済合理性だ。どこが悪い。しかし、一旦フェアトレードや何やらを考慮してみれば、我々のこの経済合理性には罪があるということをも想起すべきではないか? 小市民的な善意や怠慢や過失が、結局はひとつの死を帰結するというこの物語は、そこからの思考を生まない。物語としてはそれでもよかろうと考えるのが、大衆文学というものかもしれないが、それにしてもエクリチュールとしては、予定調和に過ぎる。半分過ぎたあたりから先が読めて退屈だった(ファンの皆様すみません)。 | ||||
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『慟哭』などという極めて大袈裟なタイトルを付ける作家だなあと無視していたが、偶々手にとってみた。 これをもって「社会派」などと言ってよいのだろうか? 幾つかの人物のエピソードがひとつの事件に収斂していく結構は、緊密とは言えないにしても、読ませることは読ませる。いろんなちょっとした偶然が大きな罪につながる。それは、日々の我々の生活が、否、生活の基盤の存在そのものが、グローバルな経済の中で誰かの犠牲を強いるということでも同断だ。我々は利便を求めて、コンビニやスーパーやで安いものを求めて買い物をする。それが経済合理性だ。どこが悪い。しかし、一旦フェアトレードや何やらを考慮してみれば、我々のこの経済合理性には罪があるということをも想起すべきではないか? 小市民的な善意や怠慢や過失が、結局はひとつの死を帰結するというこの物語は、そこからの思考を生まない。物語としてはそれでもよかろうと考えるのが、大衆文学というものかもしれないが、それにしてもエクリチュールとしては、予定調和に過ぎる。半分過ぎたあたりから先が読めて退屈だった(ファンの皆様すみません)。 | ||||
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人々の心理をつぶさに描くことに定評のある著者の最新作は、 普通の人々の些細な行動が、 思いがけない方向へと乱反射し『悲劇』をもたらす様子を 重厚な筆致でえがいた作品です。 本書は、細かく節に分けられており それぞれのタイトルは−44から0へ減り そこから35まで増える構成をとります。 察しのよい方はわかるかもしれませんが、 −44から0までで事件のきっかけとなる人々の日常が、0で事件そのもの、 そして、0から35で事件後の人々の対応が描かれます 事件が起きる前までの描写も 現代社会の諸相を鋭く切り取っており、それだけでもおもしろいのですが、 なんといっても本作の見所は、事件後の人々の描写。 あるものは憔悴しきり、 あるものは無関係と主張し 他のあるものは、他者に怒りを転化する 自分の何気ない行動が 他者の死を引き起こしてしまったことを知った人々の様子は 非常に読み応えがあると同時に、他人事ではすまない怖さを感じます。 その一方、誰を非難してよいのか途方に暮れる遺族は 被害者の死の原因を追究しはじめます。 しかし、やり場のない怒りに駆られ 執拗に、そして、理不尽なほどに原因探しをする彼らの様子と それを冷静に見つめる周囲や他者の対比は どうしようもなく哀れであり、ある種の喜劇すら帯びてしまいます。 とはいえ、マイナスから0へ そして0からプラスへと向かう節が暗示するように、 ラストは決して暗いものではなく、読後感に絶望的な気分は残りません。 日常のさまざまな問題だけでなく 罪や責任という深刻なテーマまでも扱いながら 決してエンターテイメント性を失わない本作。 読んでいて楽しくなることはありませんが 臆せず、気軽に楽しんでいただければ―と思います☆☆☆ | ||||
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人々の心理をつぶさに描くことに定評のある著者の最新作は、 普通の人々の些細な行動が、 思いがけない方向へと乱反射し『悲劇』をもたらす様子を 重厚な筆致でえがいた作品です。 本書は、細かく節に分けられており それぞれのタイトルは−44から0へ減り そこから35まで増える構成をとります。 察しのよい方はわかるかもしれませんが、 −44から0までで事件のきっかけとなる人々の日常が、0で事件そのもの、 そして、0から35で事件後の人々の対応が描かれます 事件が起きる前までの描写も 現代社会の諸相を鋭く切り取っており、それだけでもおもしろいのですが、 なんといっても本作の見所は、事件後の人々の描写。 あるものは憔悴しきり、 あるものは無関係と主張し 他のあるものは、他者に怒りを転化する 自分の何気ない行動が 他者の死を引き起こしてしまったことを知った人々の様子は 非常に読み応えがあると同時に、他人事ではすまない怖さを感じます。 その一方、誰を非難してよいのか途方に暮れる遺族は 被害者の死の原因を追究しはじめます。 しかし、やり場のない怒りに駆られ 執拗に、そして、理不尽なほどに原因探しをする彼らの様子と それを冷静に見つめる周囲や他者の対比は どうしようもなく哀れであり、ある種の喜劇すら帯びてしまいます。 とはいえ、マイナスから0へ そして0からプラスへと向かう節が暗示するように、 ラストは決して暗いものではなく、読後感に絶望的な気分は残りません。 日常のさまざまな問題だけでなく 罪や責任という深刻なテーマまでも扱いながら 決してエンターテイメント性を失わない本作。 読んでいて楽しくなることはありませんが 臆せず、気軽に楽しんでいただければ―と思います☆☆☆ | ||||
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けっこう厳しいダメージが残りました。 どこがどう、とは指摘できないながら、どことなくダークな雰囲気の漂う一冊です。 間接的にしても非常に薄い関連しかない登場人物たちの(直接面識があるのはごく一部)、日常的な 些細な逸脱が、めぐりめぐって重大な結果をもたらしてしまう物語。 全般的な物語の構成も、個々のエピソード的な些細なモラル違反も、どれに言及してもネタばれになっ てしまって困惑中。 しかし、どうなんでしょう? なんとも救いのない物語だなと思ってしまいます(いや、『殺人症候群』とか『さよならの代わりに』とか 『愚行録』とか、比較的、救いのない話しを書かれることの多い著者ですけど:個人的な感想ですが)。 読了後、意識的には「いや〜、読んだねぇ」とか思いながら、テレビ見て、夜ご飯食べて、一服して、 非常に平静に就寝したんですが、夢を見ましたよ。地元にいる甥や姪が出てきました。 読了後、一晩たってから、いてもたってもいられなくなるとは、なんとも遅効性の毒を盛られた感が。 個人的な印象でしかありませんが、実に救いがない。 この物語を、救いがない、と感じてしまう自分は、修行が足りないと思わないでもないですが。 また、どうなんでしょう? 個人的で日常的な、些細なモラル違反の克明な描写について、予見可能性がなかったことなど、逃れ 難さ、とかテーマ性を愚考しなわけではないんですが、どうしても退職した団塊オヤジや、浅はかなエコば ばあへの怒りを覚えてしまって、修行が足りないことを自覚中。 最後に、本作の感想から強く連想した個人的な修行について。 諸々含めて、小説に対する印象だけじゃなくて、社内的事象を、因果関係で理解しつつ、その因果を、 関与した個々人の行為や人格に還元して理解する枠組みから脱し切れていないという意味で、本当に 自分は、まだまだ修行が足りないなと思いました。まる。 | ||||
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けっこう厳しいダメージが残りました。 どこがどう、とは指摘できないながら、どことなくダークな雰囲気の漂う一冊です。 間接的にしても非常に薄い関連しかない登場人物たちの(直接面識があるのはごく一部)、日常的な 些細な逸脱が、めぐりめぐって重大な結果をもたらしてしまう物語。 全般的な物語の構成も、個々のエピソード的な些細なモラル違反も、どれに言及してもネタばれになっ てしまって困惑中。 しかし、どうなんでしょう? なんとも救いのない物語だなと思ってしまいます(いや、『殺人症候群』とか『さよならの代わりに』とか 『愚行録』とか、比較的、救いのない話しを書かれることの多い著者ですけど:個人的な感想ですが)。 読了後、意識的には「いや〜、読んだねぇ」とか思いながら、テレビ見て、夜ご飯食べて、一服して、 非常に平静に就寝したんですが、夢を見ましたよ。地元にいる甥や姪が出てきました。 読了後、一晩たってから、いてもたってもいられなくなるとは、なんとも遅効性の毒を盛られた感が。 個人的な印象でしかありませんが、実に救いがない。 この物語を、救いがない、と感じてしまう自分は、修行が足りないと思わないでもないですが。 また、どうなんでしょう? 個人的で日常的な、些細なモラル違反の克明な描写について、予見可能性がなかったことなど、逃れ 難さ、とかテーマ性を愚考しなわけではないんですが、どうしても退職した団塊オヤジや、浅はかなエコば ばあへの怒りを覚えてしまって、修行が足りないことを自覚中。 最後に、本作の感想から強く連想した個人的な修行について。 諸々含めて、小説に対する印象だけじゃなくて、社内的事象を、因果関係で理解しつつ、その因果を、 関与した個々人の行為や人格に還元して理解する枠組みから脱し切れていないという意味で、本当に 自分は、まだまだ修行が足りないなと思いました。まる。 | ||||
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