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空白の叫び



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【この小説が収録されている参考書籍】
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空白の叫びの評価: 4.13/5点 レビュー 46件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.13pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全36件 1~20 1/2ページ
12>>
No.36:
(5pt)

罪を犯して更生するのはほぼ不可能

友人からの薦めで読みました。上中下とかなりの長編ですが、流れが掴みやすく最後までダレること無く楽しめました。
時代設定が一昔前ではあるものの、現代にも通じる少年像が描かれています。良く言えば行動的、悪く言えば攻撃的な少年たちが、一度犯罪に手を染めてしまうと"普通"に生きていくのは難しく、また別の罪を重ねるしかない、という世の中の不条理さを教えてくれます。
中学校の学級文庫に置いておくと良いかもしれません。悪いことするのはやめとこ…と思うこと請け合いです。
空白の叫び 上Amazon書評・レビュー:空白の叫び 上より
4093797293
No.35:
(5pt)

満足

嫁に頼まれて購入。
満足してました。
空白の叫び 上Amazon書評・レビュー:空白の叫び 上より
4093797293
No.34:
(5pt)

満足

嫁に頼まれて購入。
満足してました。
空白の叫び 下Amazon書評・レビュー:空白の叫び 下より
4093797307
No.33:
(4pt)

文庫版上中下の3巻を通しての感想です

出口のない真っ暗なトンネルの中に引きずり込まれたような恐怖を伴う衝撃的作品。私の中では、二つの相反する評価が混在しています。無視という生理的な拒否感と直視という感覚的な肯定感。
上中下3部から成る長編ですが、先へ先へと読ませる筆致力はさすがです。貫井徳郎の前期の社会派作品なので、貫井色満載な熱意と意欲が読み取れます。読後は強烈な衝撃で茫然自失状態となりました。楽しい気分には決してなりません。
第1部では、14歳の3人の少年がそれぞれ異なる境遇の中で、心に抱える不快な"毒物"を処理できないままに煩悶し、ついには身近な人間を駆除することで心の毒を始末しようとするまでの過程を描いています。少年たちの心に巣くう怒り、痛み、絶望、憎しみ、敵意などに苛まれる不穏な感情が最終的には殺人へと爆発する過程はぐいぐいと引き込まれて読みました。
第2部では、殺人犯として少年院に送られた3人の少年たちが同じ院で遭遇し、過酷な少年院生活に耐えながら利己的な仲間意識を抱く過程が描かれます。第2部の中盤までが少年院での生活描写ですが、凄まじい陰惨ないじめや教官による暴力などの描写が執拗で、少々辟易しました。過激な性描写も含めて、正直気分がダウンする箇所が少なからずあります。作者としては、少年たちの絶望的な無力感と屈辱的な服従心を表現するためには、こういう残酷な現実描写が必要であったのだろうと理解はしましたが、少年院のパートが終わったときは正直ほっとしました。
第2部中盤から3部までは、少年ゆえに殺人犯としての刑罰を免れ、少年院から解放された後のそれぞれの不安定な生活が描かれます。社会復帰をしたものの、彼らを待ち受ける容赦ない社会の冷酷な刑に翻弄され打ちのめされ、再び心の毒に支配され行き場を失う少年たちの末路です。
「空白の叫び」とは、どれほど心の毒を吐き出そうとしても、毒はただ空中に漂うだけで、空気のように再び心に吸い込まれる己の叫びということなのでしょうか。
本書はミステリーというより、少年犯罪をテーマにした長編小説です。貫井徳郎は、わざわざひねったトリックを用意するミステリー小説に仕立てなくとも、人間の裏側に潜む毒性を炙りだす人間ドラマを描ける作家だと思います。人間の暗部を描けば、自ずとミステリーになります。
空白の叫び 上Amazon書評・レビュー:空白の叫び 上より
4093797293
No.32:
(5pt)

大団円

ひさしぶりに心を動かされた小説。
主人公たちの心理(ともちろん行動も)を描いた細かい区切りの構成にひかれて下巻を熟読した。
ラストは葛城と久藤の同性愛的シーンを描くのかなと思っていたが、思わぬシーンに出くわした。なるほど。
少年法なんて関係ない。作者は純粋に心理を描きたかったのだと思う。
空白の叫び 下Amazon書評・レビュー:空白の叫び 下より
4093797307
No.31:
(5pt)

読ませる力、飲み込まれる展開、秀逸な長編小説!

上中下ともに読ませる力のある作品でした!内容は非常に社会的な問題、少年法の考え方を考えさせられます。この作品は、2000年スタートですから、今とは少年法も異なっていますが、それでも、一体、更生するとはどういう事なんだと考えさせられます。仮に主人公たちが成人していたとしても、殺人者の更生の難しさを考えさせられます。何故なら、犯罪を犯す者と犯さない者には、やはり、大きな隔たりがあると思えるからです。だいたい、再犯率の高さを考えると、本当に更生するという意味、許されない罪、彼ら3人は、銀行強盗という愚行を犯します。ラストまで、読まないと彼らが背負う、生きていかねばならない意味を知ることはできません。
ただ、1番は、1番大人しそうだった1人が、そこまで、人間として腐ってしまう事に、生々しさを感じさせられます。これほど、面白かった長編小説は、久しぶりでした。
空白の叫び 下Amazon書評・レビュー:空白の叫び 下より
4093797307
No.30:
(5pt)

私はこのようなスタイルの小説を他には知らない!読ませる力が特出している!

この作品のすごさは、一言で言えば、読ませる力、特にスピード感があるわけでもなく、大きな展開も約400ページあるのに、上巻ほんの一瞬だけで、淡々と、しかし、主人公3人の主観でしか描かれていない。少年達は、それぞれ家庭環境が異なり、その3人の少年達に性格的な共通項もない。
ただ唯一は、全く違うケースで、殺人を犯すことだけ。しかもそれらは、終わりに近ずいた時に、訪れるのです。
私は、この生活環境の異なる3人が、どこで出会い、誰を殺害してしまうのかと、読んでいました。
ただ、極めて丁寧に、少年達取り巻く環境、そこに登場する人物、少年達の性格、そして、今の少年達が、どう考えて、生きているのかを描いているのです。
普通だったら、大した展開も起こらない、少年達の心の葛藤だけで、400ページを読ませる事は、至難の技だと思います。
ただ、不思議な事に、それぞれの少年達の全く異なる生活、考え方に、自分まで、何だかその場に居合わせているような、臨場感!を持たせるので、知らない間に上巻が終わったという感じです。
この上巻だけで、ある種、一冊の小説として完成してしまっている。
こんなスタイルの小説を私は知りません。
だからといって、中巻、を読まないかと言えば、答えはもちろん、否!
これから、彼らは出会うのですから。
空白の叫び 上Amazon書評・レビュー:空白の叫び 上より
4093797293
No.29:
(5pt)

因果応報

貫井徳郎さんの著書は他にも沢山読みましたが、この「空白の叫び」には中々手を出せませんでした。
間違い無く重厚なストーリーで良くも悪くも心に大きく影響を及ぼすと思いました。
生半可な覚悟で読んだら失礼だとすら考えました。
書店で上巻を手に取った時は、覚悟決めて読まないといけないと思い気負いましたが、
少年犯罪がテーマといえど、そこはいつもの貫井調でした。
スラスラと心に染み入るように上中下と夢中で読んでいけました。

これだけの長編小説なので短く感想を述べるのも難しいですが、
一言で言うなら作品内でもある人物が言った言葉「因果応報」だと思います。
罪を犯した者は償う、償うつもりが無いなら然るべき者が罰を与える。

三人の少年の心に秘めた瘴気に理解できる部分もあり、そして被害者家族の憎しみにも理解できる部分があり、
少年達に向かう悪意や、ある少年に対する嫉妬心にも理解できる所があり・・・
それぞれが悪意を向ける気持ち、そしてなにより「破滅」を望む葛城の心境も理解できるからこそ心が苦しい。

少年犯罪がテーマですが、いつもの貫井さんの作品という印象を受けました。
重く暗く、なんとなく読める展開や推理が当たる所もあるけど、それをさらに上回る驚きの展開があったり。
そして悲しい話ですが、どこか光や救いを感じれる部分もあり本当に読んで良かったと思いました。

少しネタバレになりますが。
神原という人間とその末路には驚きました、正に人間のクズ。
読み始めは一番身近な人物に感じられましたが、徐々に誰よりも悪を秘めていく様子が恐ろしかった。
平凡な人間の纏う悪が一番怖いと感じました。

久藤はある意味三人の中で一番罪と向き合った様に思えます。
逃げずに罪を正面から向き合う覚悟は神原とは対照的に見えました。
あと精神的に追い詰められてお経を唱えた経験が私にもあったので親近感がありました。

そして個人的に葛城だけには唯一まだ救いや光があるように感じました。
作中にも書かれてるように葛城は「空白」では無くなったと思います。
するべき事や義務がある、きっと前を向いて歩けると思います。

読み終えてとてもエネルギーを消費しました、自分自身がまるで空白になったかのような。
無気力感すら感じます、しかし色々な事を考えさせられ心地よい疲労感です。

陰鬱ながら何度も読みたくなる不思議な魅力もあります。
また上中下と最初から読み新たな魅力を見つけるのが今から楽しみです。
空白の叫び 下Amazon書評・レビュー:空白の叫び 下より
4093797307
No.28:
(5pt)

オススメです

様々な事情を持った3人の少年が、犯罪に手を染めてしまう物語。
3人目に出てきた少年は、とてもリアルで実際にいそうな設定である。
少年犯罪の小説はいくつもでているが、この'空白の叫び'はとても読みやすい。上中下と長編で出ているが、長さを感じさせなく、飽きない。
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No.27:
(5pt)

とてもよかった

注文してすぐに届いたのでとてもよかった。 また購入したい。 商品がとてもきれいでした。
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4093797293
No.26:
(5pt)

とてもよかった

注文してすぐに届いたのでとてもよかった。 また購入したい。 商品がとてもきれいでした。
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4093797307
No.25:
(5pt)

疲労困憊

目次(上巻:胎動、接触、下巻:発動)から、思いがけない出来事で殺人を犯した少年たちが出会い、それぞれタガが外れ狂ったように殺人を犯す様を想像し読み始めた。少年法の不備を訴えるだけの社会派の作品だと思っていた。予想は良い方に裏切られ、ミステリー作品と言ってもいいだろう。
だが、同様の作品にあるはずの心踊る部分が全くない。それでも読まされる。そのことを覚悟してかかるべきである。

『接触』の場面、フィクションだとしてもあまりに酷い。実際にある施設から苦情がきてもおかしくないほどだ。だが、これがなければこの物語を結ぶことはできない。

生き残ったものが得る苦しみ。
失ったものの苦しみ。

人が生まれつき持つ攻撃性。それがホモサピエンスを生存競争の勝者にしたことは間違いないだろう。色々感じることが出来るのは生きているからこそなれど、果たしてそれは幸せな事なのだろうか。
そんなところまで遡らされる作品だと言えよう。眉根寄りっぱなし。
空白の叫び 上Amazon書評・レビュー:空白の叫び 上より
4093797293
No.24:
(5pt)

大変美品です。

帯が付いてないだけで他は全く新品同様です。今後も欲しい商品が有れば利用したいと思います。
空白の叫び 下Amazon書評・レビュー:空白の叫び 下より
4093797307
No.23:
(5pt)

瘴気を抱えた少年たちの軌跡を見事に描いた傑作

貫井さんの作品はこれまで読んできて
ほとんど外れがない。
丁寧で安定した筆力と衝撃的な仕掛けや驚き、あるいは読者に対し、問題を訴える力がある。

今回読んだ『空白の叫び』は
上、中、下巻とそれぞれ400ページを超える長編。
題名からして興味を刺激してくれるし、文庫本の装丁もいい感じ!

さっそく購入して読んでみた。
まず、さすがと唸る安定した筆致で、三人の少年とその周縁を描き
一気に引き込まれた!

特に自分的には神原と葛城に感情移入してしまった。
葛城はいかにも頭がいい、というのが会話や行動、洞察で納得できるほど
しっかりと書かれている
神原も、はじめは優しくいい子なイメージだったのに…
と思いつつも、嫌いになれない感じ

特に下巻は、少年院を退院した後、少年たちに向けられた悪意は
読んでいて得たいのしれない気味の悪さがあった。
貫井さんの別の作品、『追憶のかけら』(これもいい作品だった)でも
主人公が得体のしれない悪意を向けられる様が描かれているが
それと同じく、またその悪意の正体が何なのか気になり、更に読ませる原動力となった。

更に少年三人が目論む計画での駆け引きや心の動きにも引き込まれた。
若干、強引なこじつけのような部分や無茶な心理の登場人物もいたが
それも小説として許容範囲内だと思えた。

決して明るい小説ではないけれど、
普通の人でも何かのきっかけで殺人を犯してしまう場合がある
そんな少年たちの軌跡が見事に描けていたと思う!
是非おススメしたい!!
空白の叫び 上Amazon書評・レビュー:空白の叫び 上より
4093797293
No.22:
(4pt)

読み出したら止まらない。さすがは貫井徳郎!!!!

内容を全く知らない状態から読み始め、
上巻半ばで3人それぞれが罪を犯したときは
うわーっと叫び出したくなりました。

そうか、少年犯罪の話だったのか…。

めまぐるしく展開していく、3人それぞれのストーリーに
ページを繰る手が止まらずに、久しぶりの上下巻だったにも関わらず
あっという間に読んでしまいました。

貫井さんらしい伏線や隠されたトリックが
色々なところに散りばめられていて
ラスト一気に収束していく様は圧巻でした。
さすがとしか言いようがありません。

3人それぞれに、読みながら同情する気持ちも
起こるのですが
ハッと、ああ、そうだこの3人は犯罪者だった、と我に返り、
そして被害者を自分の身内に例えて考えたとき
なんとも重苦しい気持ちになるのでした。
少年法については、もっと被害者側に寄り添った物に変わっていって欲しいと
自分は感じました。
更正ということと償うと言うことは違うことなのだと感じました。
空白の叫び 上Amazon書評・レビュー:空白の叫び 上より
4093797293
No.21:
(4pt)

やばい!

まずい。

なにがって上巻を読み終わって、すでに深夜1時になりなんとしている事実が。
中・下を読まずにいられる自信がないが、明日用事があるのも事実。

丁寧に、3名の中学生の日常と、その日常がひずむ様子が描き出される。
平凡な自分に劣等感を嫌悪感を抱き、怒りをためる美也。
恵まれた環境に育つゆえに優越感を手なずけようとする拓馬。
子育てを放棄された母親を憎みながら普通の生活に飢える尚彦。

衝動的にそれぞれが、殺人を犯すところで上巻は終わる。

‥止められるはずがない!続きを!!
空白の叫び 上Amazon書評・レビュー:空白の叫び 上より
4093797293
No.20:
(4pt)

エンディングが。。

なるほど。

というのが感想。
結局上巻を読んだ後、数時間かけて中・下巻を一気読み。

最後のおちに関しては、半分予想通り、半分はちょっと意外というか、
そんなのあり?という感覚。

犯した罪を自分に照射し、自分を世界で最も忌むべきものと追いつめる2名と、
どうして自分だけが損をするのか、自分は悪くないとひたすらに自分以外を疎む1名と。
その違いに作者が、違った結末を用意したということなのだろうか?

3者3様の結末に見えないのは、誰にも救いは用意されていないからだろうか。

人の命を罰でさえもあがなえないのだとしたら、
だったら罰の意味とはなんだ?
どこかに贖罪がないのであれば、人が人を裁くことそのものが、
そもそもできていないことにならないだろうか?

貫井作品に流れる罪と罰の、もうひとつの回答に、
読者はどんな判断ができるのだろう?
空白の叫び 下Amazon書評・レビュー:空白の叫び 下より
4093797307
No.19:
(4pt)

重い&思い

単行本で一度読んだのですが、今一度文庫版で読み直しました。
前半は主人公となる三人の少年について、それぞれの人物描写と生活環境の描写、そこに生じた「瘴気」の種になる部分を見せている。
後半、どうなっていくのかが期待大。
空白の叫び 上Amazon書評・レビュー:空白の叫び 上より
4093797293
No.18:
(5pt)

描かれる14才

3人が犯罪に至るまでの上巻は、各々のモノローグを中心に話が進んでいくのだが、中学生らしからぬボキャブラリで常に作者の作為を感じさせてしまい、キャラクターもやや極端でリアリティに欠ける。また中学生の内面を描写するせいか相対的に大人が薄っぺらい。

正直読み進めるのがかったるくさえあったが、少年院に舞台が移る中巻から一転して面白くなった。基本的に各々の心理描写で話が進んでいくのは変わらないが、3人が出会うことで化学反応が起きるというか、関係性に興味が湧く。たとえば我流の将棋を唯一の特技とする久藤と、ルールを知ってる程度だが天才的な頭脳を持つ葛城との将棋勝負などは読んでいてワクワクした。上巻で描かれた土台がけっして無駄ではなかったことに得心する。
少年院という閉鎖空間、そこで出会う3人以外の少年たち、教官らもまた興味の対象である。管理側・少年たちのどちらにも理不尽さを感じるので、いったいどう取材したんだろうかとも思った。「愚行録」で大学や会社の実名を出しながらあまり好意的とはいえない描写をしていたりと、このあたりの遠慮ない率直さも作者の特徴なのかもしれない。

下巻は、少年院を出てから行き詰まった末にまた少年たちが集まることになる。いったい少年たちにどのような結末が用意されているのか、さまざまに張り巡らされた伏線をどうまとめるのか、そういった興味が読み進める推進力となる。

総じてこの作品において大切なのは、少年犯罪を肯定はしていないということ、また単純に正義の鉄槌を振りかざしもしないことである。
人命を奪うことの重大さについて、「ぼく」から意識が広がらず他人に感情移入できない神原との対比を交えつつ、久藤、葛城の内面から語られていく。
話のまとまり方は作者らしくキレイで、「因果応報」も論理的にカタがついている。

ラストシーンは案外に情景的だった。
空白の叫び 下Amazon書評・レビュー:空白の叫び 下より
4093797307
No.17:
(4pt)

孤独な魂

三人三様の理由で殺人を犯すに至った三人の中学生の物語。

それぞれがやむにやまれぬ事情で殺人に追い込まれていく状況がリアルに描かれている。
(ただし、神原の動機になった母による叔母への嫌がらせはちょっと現実味がない。遺留分減殺請求権を行使すればいいのだから。)

印象に残るのは久藤の説明しようのない「しょう気」だ。

葛城は老成しすぎていてちょっと不気味だ。

また、一番素直ないい子にみえた神原が一番食わせ物だったり、葛城と神原の関係があっと驚くものであるのも(ただ、次子の容貌を描くところで、葛城の父親との関係は想像できたのだが)、面白い仕掛けだ。神原は『神のふたつの貌』の主人公と重なる。名前にも神が入っているし。

人物造形が優れていると思うのは、名門女子校に通いながら自分の身体を提供してまでよそを泊まり歩く女子高生の孤独とか、久藤をからめとろうとする女性教師。

その反面、聡明なはずなのにマルチ商法にはまる葛城の恋人や、久藤への嫌がらせを金で引き受ける高校生など、今ひとつ説得力がない人物もいるが、3巻本を読み通して飽きさせない作者の筆力はさすがである。
空白の叫び 上Amazon書評・レビュー:空白の叫び 上より
4093797293

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