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原子炉の蟹
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原子炉の蟹の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.12pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全14件 1~14 1/1ページ
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帯の宣伝文句は 「今だからわかる、この小説の凄さが」 この本の初版が1981年、最初の文庫化が84年。火曜サスペンス劇場枠でのTVドラマ化が87年(私が原作を初めて読んだのは、このドラマを見た後)この謳い文句にウソはなかった。 東海村での臨界事故や双葉町で起きた原発事故と、この本を改めて重ね合わせてみて、電力会社の隠蔽体質や現場で作業に当たる下請け労働者の苛酷さが、40年近く経ってもまったく変わっていないことに驚かされた。 ただ、そちらの描写に重きが置かれ過ぎ、犯行の動機や殺人トリックの解明がお留守になった感が否めなかったので、減点1。 ついでにドラマ版の再放送もやってくれないだろうか、日テレさん。 | ||||
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本書は、スリーマイル島原発事故の翌年――1981年に出版された。 「原子炉建屋」という最先端の密室での殺人事件を扱う推理小説だ。 原子炉建屋……それは物理的な密室であり、社会的な密室でもある。 そこには「隠蔽」体質も伴う。 「フクシマ」でも同じではなかったか。 30年前の推理小説とは思えぬほど、「現代」と符合している点が多い。 問題をなかったことにする隠蔽体質は、 東電や「官」だけに由来するのではない。 「民」にも内在するというのが、この本の「ミソ」でもあるだろう。 我々は完全なる被害者ではないのだ。 決して、カタルシスのある推理小説ではない。 むしろ問題提起のまま終わる感じだ。 しかしそのことが、「隠蔽」「密室」の空恐ろしさを表してもいる。 原発への賛否にかかわらず、読んでおきたい一冊である。 | ||||
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日経の書評家の記事を見て買いました。30数年前の作品を感じさせない面白さでした。 | ||||
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原発を題材にしたミステリー。昔、火サスでドラマ化されてました。 | ||||
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今から30年以上前に書かれた社会派ミステリー。さすがに描写に時代を感じるが、5年前の福島第一原発事故を予言したかのような仔細な原発作業の描写に驚く。また、原発を舞台にした密室トリックにも説得力があり、読み応えがあった。 九十九里浜原発の建屋で起きた殺人事件を追う新聞記者が組織により隠蔽された真実に迫る。 | ||||
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発売当時も原発をモチーフにした斬新な発想で話題を読んだが、当時よりも原発安全神話の崩壊した現在読んだ方がより内容の恐ろしさが切実感を伴って迫って来るであろう。 原発行政の情報隠ぺい体質と裏で杜撰な原発内部の実態を描いているが、重厚な社会派サスペンスというよりは、原子炉内の密室殺人や、サルカニ合戦になぞらえての見たて殺人など、本格趣向の方が強いエンターティメント路線の推理作品に仕上がっている。 原発とサルカニ合戦?という読む前の違和感も読後はそういうことかと納得できるであろう。 原発の闇を突きながら、ケレン味溢れる本格推理に仕立てた点が本書の読みどころであり、特定業界の情報小説と本格推理要素が求められる江戸川乱歩賞にまさにぴったりの作品である。 | ||||
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週間文春1981ベスト10 総合1位 房総電業 高瀬社長に端を発し、九十九里浜原発内で密室殺人事件がおこる。 中央新聞の曾我と、同千葉支局に原田は、千葉日々 京林からの情報をもとに調査を開始する。 ・・・ 作者が新聞社を定年退社後にものした江戸川乱歩賞受賞作。原発の内外の実情が記者ならではの視点で、詳細に描かれており、社会派推理小説との評価があるようだ。 が、原子力発電所という機密性の高い舞台設定で、密室状態つくりあげるために、このテーマを選択したように思える。ここで発生する連続殺人も「サルカニ合戦」の見立てがあって、社会派という範疇にだけ留まってはいない印象を受けた。一見無理がありそうな展開も、それほど違和感なく、ラストまで読みすすめることができた。 ただ、犯人候補となる(はず?)の序盤の登場人物が、何事もなく消えてしまうのは、ちと不満。応募作がゆえの枚数が制約となっているのかなぁ。 | ||||
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情報ミステリーの黄金時代の傑作の一つだが、なにぶん題材が最先端の原子炉だし、もう三十年も経ったので、情報はすっかり古くなったと思っていた。しかし、ニュースで原発の内部事情をいろいろ教えられ、久々にこの本を読み返してみると、どうも、情報はあまり古くなっていないらしい。不思議なことである。 | ||||
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およそ、30年前に本書を読んだ時は,何と,最先端の科学を駈した原子力発電所が、手作業がかなりの部分を占めていると聞き驚いた記憶があり(東海村での、原発事故がやはり手作業による悲惨な事故が記憶に新しい)、今回、再読したところ、驚いたのは、本書のまさに先見性なのです。今の危機的状況だからこそ、本書のような社会派の優れた作品の必要性を痛感した次第です,ぜひ読んでください。 | ||||
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実は、本のタイトルはずっと昔から知ってたんですけどね。最近になってこの作品誕生のきっかけになったお話というのをWebで見かけて、そういえばと思い立って読んでみました。日本人作家のミステリーって読まないほうなんですが、これは面白かった。読みやすく一気読みができる作品です。ちょっと2時間ドラマっぽい感じでしょうか。浜岡原発で働いていた人が、高度な放射線を浴びる建屋内に入ったとき、防護服を通じて蟹の足音のような耳鳴りがしたとか、その後も耳鳴りが鳴り止まずノイローゼになってしまったとか、その話をきっかけにこの話の作者の長井氏は取材を重ね、本作を書いたとか。ご本人に聞いたわけではないので真偽はわからないけれど、いまでもずさんな原発内の安全管理が時々表ざたになるくらいですから30年以上も前の原発ではいったい何が行われていたことか・・・。しかし、誤解のないように申し上げておきたいのは、この作品は反原発の意図とか批判がましいところはほとんどありません。殺人事件ミステリーの路線を外れない、その意味では身構えずに読める作品かと思います。 とにかく30年前に書かれたとは思えない、違和感のない出来です。もちろん、インターネットとかケータイ電話みたいなアイテムは出てきませんが決して物足りなさはありません。 おススメの一冊です。 | ||||
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『原子炉の蟹』 原子力発電所という機密性の高い舞台設定で、密室状態つくりあげるために、このテーマを選択したように思える。ここで発生する連続殺人も「サルカニ合戦」の見立てがあって、社会派という範疇にだけ留まってはいない印象を受けた。一見無理がありそうな展開も、それほど違和感なく、ラストまで読みすすめることができた。ただ、犯人候補となる(はず?)の序盤の登場人物が、何事もなく消えてしまうのは、ちと不満。 『写楽殺人事件』 東洲斎写楽が、秋田蘭画の近松昌栄であるとの仮説を追う、大学の研究者 津田の活動を主軸として、その周辺におこる犯罪を描いている。津田の調査から、田沼時代から寛政の改革に至る時代の、蔦屋をとりまく逸材達と、秋田藩との関係が明らかになっていく。この過程が、とても説得力があって、興味深い。この時代に明るくなくとも、背景が丁寧に描かれているので、読む人を選ぶことはないと思う。反面、現代に発生する犯罪が、(少しだけ)うすっぺらく感じてしまうのが、残念。 2編ともに専門性が高いミステリである。 | ||||
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週間文春1981ベスト10 総合1位 房総電業 高瀬社長に端を発し、九十九里浜原発内で密室殺人事件がおこる。 中央新聞の曾我と、同千葉支局に原田は、千葉日々 京林からの情報をもとに調査を開始する。 ・・・ 作者が新聞社を定年退社後にものした江戸川乱歩賞受賞作。原発の内外の実情が記者ならではの視点で、詳細に描かれており、社会派推理小説との評価があるようだ。 が、原子力発電所という機密性の高い舞台設定で、密室状態つくりあげるために、このテーマを選択したように思える。ここで発生する連続殺人も「サルカニ合戦」の見立てがあって、社会派という範疇にだけ留まってはいない印象を受けた。一見無理がありそうな展開も、それほど違和感なく、ラストまで読みすすめることができた。 ただ、犯人候補となる(はず?)の序盤の登場人物が、何事もなく消えてしまうのは、ちと不満。応募作がゆえの枚数が制約となっているのかなぁ。 | ||||
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中央新聞の編集委員である曾我の元へ奇妙な一報が入る。原発の下請け会社の社長・高瀬が10日前から行方不明。やっと、捜索願いが出たと思ったらすぐに取り下げ。違和感を持った曾我は、自ら社長が出張していると言う函館へ行くが、相変わらず社長の行方は知れず。やがて、船からの投身自殺をした、として処理される。しかし、その高瀬が労働者を送っていたという原発では、原子炉に死体があった、という噂が流れ…。 第27回江戸川乱歩賞受賞作。 何と言うか…本格ミステリ、社会派ミステリ、双方の要素を上手く組み合わせた贅沢な作品、というのが素直な感想だ。 作品の中心的な謎である密室、さらに、それぞれの被害者が手に握っていたという「サルカニ合戦」の手紙と、見立て殺人。これらは完全に本格ミステリのそれだ。が、この作品の場合、それにさらに社会派ミステリとしての色彩が強く現れる。原発で働く労働者たちの様子、それを管理する会社の杜撰な人員募集体制…など、本格ミステリの要素が無くても通用しそうなもの。2000年に東海村で起きた臨海事故で、マニュアル無視、裏マニュアルなんて言うのが話題になったわけだが、それよりも20年近く前に出たこの作品で、その存在が描かれているのだから見事だ。トリックそのものは簡単なものではあるが、減点材料とは思わなかった。 一応、気になったところを挙げると、数名の視点で物語が進むため、特に序盤、そのコロコロと視点が変わる辺りでちょっと戸惑った部分。あとは、警察がちょっと無能過ぎるかな? という辺りかな…。それでも、全体的な完成度は高い作品だと思う。 | ||||
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美浜原発で日本最悪の原発事故が起こりましたが、この本を読むと、「原発ジプシー」という言葉や電力会社の姿勢がよくわかります。 下請け、孫請けによる原子炉の管理、電力会社は建屋には最後に近づくなどが描かれています。 「原発を作ることで、石油エネルギーを節約する」と言われ続けました。しかし石油が無くなると原子炉の管理が出来なくなることもこの本を読むと理解できます。 推理小説が語る原子炉の真実。 ムラサキツユクサの可憐な姿が切なくなります。 | ||||
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