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邪魅の雫



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邪魅の雫の評価: 3.79/5点 レビュー 98件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.79pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全98件 61~80 4/5ページ
No.38:
(4pt)

どなたか

京極夏彦氏のことを「平成の横溝正史」といわれましたが、私も「鉄鼠の檻」を読んだ時そう思いました。時々「似てるな」というのがあるからで、例えば「鉄鼠の檻」は横溝作品で言えば「獄門島」だし、今回の「邪魅の雫」は「女王蜂」です。読まれた方ならこれでもう真犯人、というか黒幕がわかったでしょ?
邪魅の雫 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:邪魅の雫 (講談社ノベルス)より
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No.37:
(5pt)

涙の雫に濡れる礼二郎

前作「陰摩羅鬼の瑕」では関口の作中作に象徴される「死の観念」がテーマだったが、本作では「己が世界の物差し」という考え方の危うさ、脆さをテーマにしている。冒頭で榎木津の縁談話があり、こりゃ「薔薇十字探偵社」シリーズ風の展開かなと思ったが、全く勘違いだった。重要な前フリだったのだ。
一方、戦時中に旧陸軍研究所で極秘に研究されていた毒物を用いたと思われる連続殺人事件が。そして、その被害者と榎木津の見合い予定の相手には関係が。関口、益田、青木が各々の立場から事件を追う。本作では、関口の活動振りが目立つ。既にこの段階で真相を看破して意気消沈している榎木津に詰め寄る(!)シーンもある(読者も早い段階で真犯人は分かる)。また、いつもながら以前の作品の登場人物を当事件に関係させるのが上手い。神奈川県警の石井、山下。そして重要な役回りを果たす元長野県警の大鷹。それに比べ、他のレギュラー京極堂、木場、榎木津の出番が少ないのはチョット寂しい。榎木津はまぁ仕方がないのだが。
そして、最後を決めるのは京極堂の憑物落し。連続殺人事件の犯人も被害者も"己が描く世界の有りよう"を全てだと思い込み、悲劇に落ちたのだ。こうして連続殺人のカラクリを説き明かし、最後に真犯人を指摘する。上述の通り、真犯人は予定調和なのだが、事件の終焉に感じられる爽快感や安堵感はなく、むしろ哀感が漂う。最後のシーンも本シリーズでは珍しく叙情性に溢れたもので読む者の心に迫る。800頁超の分量を感じさせない充実した内容の傑作。
邪魅の雫 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:邪魅の雫 (講談社ノベルス)より
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No.36:
(5pt)

せつない…

読後、とにかくせつない思いをしたのは私だけでしょうか?
私は榎木津ファンなので、特に最後の4ページ、感情移入しちゃって泣きそうでした。この4ページの存在が作品として素晴らしいと思います。すべてがここに集約されます。とにかくこのシーンの為の物語だったんじゃないかなあ。邪な気持ちって怖いですね。
シリーズとおして再三語られてきた「犯罪とはチャンスがあるかないか、ただそれだけだ」ということ。「魔が刺した時にそれを行動するか否かの紙一重の違いだ」誰にでも訪れ得るということ。今回は「魔が刺した」だけなのに、事件は勝手に進んでいってしまった、という悲しいお話。人ごとじゃない気がします。邪に魅入られる。万人に訪れる誘惑です。
このシリーズは、読後にタイトルが、すっと自分の心に落とし込まれてくるからすごい。
京極夏彦の手法は、このタイトルの構造を最後まで徹底して見誤らないところがすごいです。
だから私は、このシリーズの醍醐味を大どんでん返しに求めるのはナンセンスな気がします。
これはコンセプト小説だと思うから。
京極堂や榎木津さんの出番が少ないことに、皆さん嘆いているようですが、この作品では仕方ないですよね…。私ももっと見たい気持ちは山々でしたが…。せめて一年に一回くらい新作が出てくれれば、こういう回も容認できるんだけど、待ちに待ったら好きなキャラの活躍を存分に見たい、って思う気持ちは高望みではないと思います。でも作品の性質上こうあるべきなんです。一緒に涙を呑みましょう…。
邪魅の雫 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:邪魅の雫 (講談社ノベルス)より
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No.35:
(5pt)

少し切なめのお話です

おもしろかったっ!
京極さんの文章はとてもリズムがよくて、ただ目を通しているだけでうっとりとした気分にさせてくれます。
今回もただひたすらばらばらで意味のわからなかった事件をだーっ、と繋げてくれてすっきりしまいた。
これだけ長い物語で、しかも特別注意を払って読んでいるわけでもいないのに、最後にはきちんとすっきりさせてくれる京極堂の語りはさすが、でした。
ただ今回は京極堂の薀蓄が少なくて少し残念。
もっとどうでもいい話聞きたかったなあ……妖怪談義も石燕の絵の解釈もほとんど出てこなくて寂しかったです。
木場さんの出番が少なかったのも物足りない。
エノさんも、いつもに比べれば普通だったし(ストーリー上仕方がないのかもしれませんが)。
あと、意外にしっかりと正しいことを言い続けている関さんはちょっとおもしろかったです。
キャラクター好きとしてはちょっと物足りない部分もありましたが、ストーリーは面白くて、ラスト部分は夢中で読んでしまいました。
邪魅の雫 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:邪魅の雫 (講談社ノベルス)より
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No.34:
(4pt)

そんなに

悪くはないと思った。 確かに以前の作品にあった大どんでん返しはなかったが、これはこれで面白い。榎木津の出番が少なかったからこそ、今まで見えなかった榎木津が見えた気がするし、普段は見えない他のキャラクターの内面も垣間見えた。新鮮で面白かった。
邪魅の雫 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:邪魅の雫 (講談社ノベルス)より
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No.33:
(3pt)

キャラ小説らしさを消してみました。

一番出番が多いのが益田、というのがどうにも精彩に欠ける。妖怪の蘊蓄もないし。中禅寺の登場までがやたらと長く感じられた。
でも塗り仏、陰摩羅鬼で思いっきり肩すかしをくった後で、キャラに頼らないで「不思議は見る人の心の中にある」という京極堂シリーズらしさを出していく面白さは確認できた。
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No.32:
(4pt)

待望の新作ですが

 ファン待望の「京極堂」シリーズの最新作ですが、これまでの作品に比べて少し読みづらい感がありました。登場人物が多い上に似た名前が多いのも一因ですが、これは面倒でもメモを取りながら読み進むことで解決できるとして、レギュラー陣以外での過去作品からの登場人物が結構多く、流石にそこまでは覚えていなかったので、「こいつはどの事件に登場したどういうヤツだったっけ?」と序盤はかなり苦戦しました。
 ストーリーの仕掛けの部分については割と早い段階で想像がついてしまうのですが、それはまあいいとしても、クライマックスとなる京極堂の登場から謎解きのくだりや榎木津の扱いはちょっとこれまでの作品と違っており、当シリーズの定型パターンにハマっている読者には物足りないかもしれません。
 とはいうものの、ブ厚さと読み応えは今までどおり。やはり言うまでもなくファンは必読でしょう。
邪魅の雫 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:邪魅の雫 (講談社ノベルス)より
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No.31:
(3pt)

京極堂小説

昔、背表紙には"妖怪小説"とか"本格小説"とか"小説"とか書かれていたが、今は何も書かれていない。
一体これは何小説(ジャンル)になるのだろうか?京極小説というジャンルだろうか。
3年ぶりの新作に心躍らせて読みました、あっという間に読了です。でも以前のような興奮は残念ながらありませんでした。ストーリーは心理描写に軸足を置き、視点を変えてたんたんと進み、おどろおどろしいものも余り感じられず、謎は謎という形で提起されておらず、京極堂や榎木津の強烈なキャラクターが爆発しているとも思えませんでした。
それでも読んでしまう、読まされてしまうのだから大したものだと思うのですが、これは私が京極堂のファン、京極小説のファンだからなのかも知れないなぁ、と思う次第。
もし初めて京極小説を読まれる方はやはり"姑獲獲の夏”から読まれた方がよいと思います。
既ファンの私は次回作に期待します。個人的にはもっと伝記的でおどろおどろしくて、京極堂がじっくりと憑き物落としをする作品を。
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No.30:
(5pt)

平成の横溝

 1990年代は日本より海外で暮らした時間が長かったが、たまたま日本に居るときに店頭でみかけ、魅入られたように買ったのが第一作「枯獲鳥の夏」だった。読み終えるまではまさに至福の時間となり、以来、世界のどこにいようと新作が出たことを知るたびに速やかに手に入れ「読書の快楽」におぼれてきた。やはりたまたま店頭で魅入られて嵌まったヒューリック「ディー判事」モノと並んで、自らの幸運を感じさせ、生きる喜びを与えてくれている、宝物のようなシリーズだ。その最新作とあって、さっそく日本から取り寄せた。
 設定が昭和20年代後半であり、あの大戦をくぐり抜けた人物が多く出てくるこのシリーズでは、近代日本、特にあの戦争が抱え、残してきた闇が常につきまとう。第二作「魍魎のハコ」はかなり荒唐無稽とはいいながら、この闇を基本的なテーマとして絶品となった。今回は731部隊と帝銀事件という実際にあったことの闇に光をあてる。
 なおも解明が待たれている史実が大きな役割を果たすからだろうか、これまでのシリーズとはやや異なる趣向になった。多くの人が指摘しているように、毎回、そこらの科学者以上に徹底的な合理主義者である中禅寺秋彦の口から饒舌に語られてきた妖怪に関するうんちくが、今回は影を潜めている。歴史の闇を解体する作業も、通り一遍のレベル。最後に読者にカタルシスを与えてきた中禅寺の憑物落としは今ひとつ破壊力を欠き、中禅寺と並ぶスーパースター、薔薇十時探偵こと榎木津礼二郎の炸裂もない。そういう意味では期待はずれと感じる人がいるかもしれない。
 だがその一方で、近代日本の闇を照らそうという方向はより鮮明になった。「平成の横溝正史」はこれから何を描いていくのか。次作への期待もこめて、星5つ。
邪魅の雫 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:邪魅の雫 (講談社ノベルス)より
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No.29:
(3pt)

路線に変化を与えたかったのだろうが・・・

妖怪をモチーフに気味の悪い事件をこれでもかと積み重ねる。事件の謎が十分に深まったところで陰陽師が登場し、事件解決の憑物落しを行う。これまでの作品で成功している手法を踏襲しているが、名脇役の榎木津探偵のキャラクターを少々変えている。人間の深層心理を読み解く楽しみは相変わらずなのだが、荒唐無稽なキャラクターの人間性まで変えてしまった点には賛否両論だろう。
邪魅の雫 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:邪魅の雫 (講談社ノベルス)より
4061824384
No.28:
(2pt)

巻を重ねるごとに悪化していく出来

京極夏彦の才能は、このシリーズに関して言えば2つめまでで失われている
ような気がする。
今回の本を見たのだが、誤字脱字は相変わらずひどいし、内容に関しても
贅肉をたっぷりかかえこんだ陳腐なストーリー。
京極夏彦のライトノベル化病が進行しているようだが、原点に返ったものに
してほしいものだ。
邪魅の雫 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:邪魅の雫 (講談社ノベルス)より
4061824384
No.27:
(4pt)

邪魅、です

京極堂シリーズ、邪魅の雫。
よいところ:シリーズ通してのファンとしては、やはり読みたい。
今回は『あの人』の過去、それも女性の影が・・・とても気になる。
ついつい読んでしまう面白さ。読み始めると厚さなんて気にならない。
その辺りは、やはり筆力のたまもの。お見事。考えさせられるところも
多々あり、読後は色々考えて・・・妙に納得したりもした。
悪いところ:今回は少々登場人物に覇気がない。各人物の良くも悪くも
個性的で魅力であるはずの部分が感じられなかった。全体に重く、暗い。
テーマが殺意、邪(よこしま)なココロ、そしてヒトゴロシなのだから
暗いのは仕方ないとして、登場人物の個性まで変わってしまうのは残念。
それらを新たな一面と捉えるにも、少し背景描写が薄い気がしてしまった。
全体に物足りない感が残ってしまったのが個人的には残念だったし、
各人物の心理描写より、京極堂の解体〜再構築のくだりがもっと読みたい。
特に妖怪談義、邪魅についてもっと語ってほしかった・・ぜーたくですが。
それでも大好きですからシリーズは今後も読む!次回に期待で星よっつ。
邪魅の雫 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:邪魅の雫 (講談社ノベルス)より
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No.26:
(5pt)

混沌とした作品

京極堂物の最新作と言うことで、本屋に並んでいるのを見て、迷わず購入した。読了後に持った感想は「混沌」の二文字である。とにかく読み始めてから、京極堂が出てきて事件の解決というか解説をするまで、頭の中が引っかき回されているような感じだった。何しろ事件の全貌と犯人の目線で述べられている犯行動機のような物まで、すべて書かれているのだが、真相はまるで分からないのである。事件に連続性のあるところから、自分としては前々作にあたる「絡新婦の理」の様な結末を想像もしたのだが、最後まで読んでみると事件の連続性という点では似通っているが、片方が整然と計画的に行われたのに対し、今作品はそうではなく、また違った印象を抱いた。本作品は今までの京極堂物と違い、妖怪などの解説に頁をさいていないし、登場人物も従来よりは少ないので、そこが評価の分かれ目となると思うが、今までになかったコンセプトで書かれた小説であると思う。特にラストで探偵が犯人に下す罰は、なかなか秀逸で、勧善懲悪とは行かないものの、読者を納得させるには十分の結末といえるのではなかろうか?
邪魅の雫 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:邪魅の雫 (講談社ノベルス)より
4061824384
No.25:
(2pt)

作者自身によるサイド・ストーリー

シリーズ第8作である本書も、先行作に負けず劣らず長い。物語そのものが長く複雑な経緯で語られること、長さの中に帝銀事件談義などのペダントリーが含まれていることは、京極堂シリーズのかたちであるが、本作においては、先行作を踏襲しつつ新機軸を試みようとしているように感じられた。しかし、その試みは十分に成功しておらず、妖怪談義もほとんど見られないので、読後不満が残った。
試みというのは、連作キャラクターの(とくに探偵榎木津礼二郎に)性格に奥行きを持たせることである。
この京極堂サーガ、第一作『姑獲鳥の夏』のときにどこまで意識していたのかわからないが、こうして第8作までそろうと、前半5作と最近作3冊は別系統の狙いを持っているように感じられる。『姑獲鳥』『魍魎』『狂骨』『鉄鼠』『絡新婦』の5作は主人公篇とでも言うべき作品群で、後半3作『塗仏』『陰摩羅鬼』『邪魅』がサブ・キャラクター篇である。
探偵小説として圧倒的なのは何といっても前半の作品群で、私は中でも『魍魎』の伝奇の味と『絡新婦』の見事なトリックを買う。そしてこれら5作と較べると、近作の3つは(こう言っては何なのですが)見劣りしてしまう。後半3作は、京極ファンが作品設定を用いてオマージュを捧げたサイドストーリーのように読めてしまう。同じシリーズ・キャラクター、同じ物語フォーマットで新機軸を出すつもりが、残念ながら失敗に終わっている感じだ。
次回作『鵺の碑』に期待しつつ。
邪魅の雫 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:邪魅の雫 (講談社ノベルス)より
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No.24:
(5pt)

部分のつながりが全体になる構成の妙

トリックを楽しむミステリーとして読むなら、凡庸かもしれません。文章構成も(僕にとっては)複雑で、人間関係を理解するのに一苦労しました。
それでもすばらしいと感じたのは、 各ページ、各章が独立しながらも、全体の一部をなすという文章構成と個々の事件がつながっていくというストーリーが見事な相似形をなしているからだと思います。
「本」というメディアでしか表現できない、「本」の可能性の一つを示した小説だと思います。
邪魅の雫 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:邪魅の雫 (講談社ノベルス)より
4061824384
No.23:
(4pt)

シリーズ初・・・

快刀乱麻、
とはいかない。でも好きだ。
いつもなら京極堂登場で、こんがらがった線が一点へと戻る。そこに爽快感があるし、そこに整合性があって読者も納得してきたのだろう。でも今回は点に戻らず、後を引くのである。
事件の全体像が最後には露呈するのだが、それでも完璧には解決していない。それが逆に「京極堂でも解決しないこともある。榎木津だって人間である。」ということを思い返させてくれた気がする。
今回は木場、榎木津、中禅寺などの主要キャストの登場頻度が極端に低い。主にストーリーの筋を引っ張っていくのは益田や青木などの、いわゆる端役と云われる人たちである。それが今までと違って、感情が入りやすかったというのはある。心に迷いの少ない中禅寺や榎木津などのキャラクターよりも、迷いながら答えを見つけていく人物には、やはり感情が入りやすい。
関口も今回は違う顔を見せてくれたし、シリーズ初の探偵の生っぽい部分も見られた。これはこれで何故か少し恥ずかしいが、今作で榎木津を初めて好きになれたのかもしれないと思った。
派手な仕掛けはないが、人間どうしのやり取りが面白い。
地味キャラが好きな人は今作は面白いだろう。
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4061824384
No.22:
(5pt)

二読、三読に耐えるテキスト

ストーカーやニートという社会問題について。
書評論。流行論。
益田と青木の物語。
藤村のいぶし銀の名演技。
箱根の事件から大きく変化した山下の生き方。
あのアニメへ。
 何から手繰っても真実は一つ、と云うことか。
 そう云うと藤村は笑った。
「真実なんちゅう洒落た言葉は能う使わんがの、どうであれ、現場でおきたことは一つだろうて(以下略)」(213ページ)
中禅寺と榎木津の出番が少ないと、お嘆きの方へ。
冒頭の6〜12ページの再読を。
欲求不満。落ちます。
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No.21:
(5pt)

波紋のような・・

 久々の新作待っていました。重ねあう不明瞭な事柄に京極堂が名前をあたえ明瞭な形をなす。テンポがあり関係の無い話が実はその話を読み解く重要な鍵になる。・・今回は久しぶりということもありなかなか読み進まなかった・・テンポが無さ過ぎて絡み合う事柄が多い不明瞭、不快感・・つながりが見えない不快感に読むのが辛くなりました(厚いし・・笑)でも気づいたんです今の自分が物語の中で奔走する刑事たちと同じではないかと・・分かるものだと思って読むのではなくて分からないまま読んでみる・・ただ読んでいく。いつの間にか自分がキャラクターの一人になった一体感が現れる。泥のようにだくだくとしていた事件に京極堂が言葉という雫を落とし波紋となって泥のような不快感が透明な形を見せる。・・そして事件に関わった一人のように切なくなる・・。計算された話し方(描き方)だったら脱帽です。・・京極 夏彦・・恐るべし。
邪魅の雫 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:邪魅の雫 (講談社ノベルス)より
4061824384
No.20:
(4pt)

計算された混沌の美

不思議なことはなにもない。京極堂の言葉が最後に心に落ちる。そんな作品に感じた。
意図的だと思われるその混沌に、多少の息苦しさを感じながら読みぬければ、
そこには複雑で波立つように見えたものが静かに凪いでいく快感がある。
全てを見てみればその荒いでいるかと思った波形は雫が落ちた時の小さなそれであった。
今回は今までの妖怪を見るような不思議さはなかった。
残ったものは、切なさ。
榎木津の今までとは異なる側面が見ることが出来、中々新鮮だった。
良い作品だと思う。次回作も期待。
邪魅の雫 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:邪魅の雫 (講談社ノベルス)より
4061824384
No.19:
(3pt)

うーん

さすがに面白くはあった。あの厚さを読ませる筆力はさすが。でも複雑すぎて途中で何度も前を読み返したり、「箱根の時…」と言われて話者と同じものが浮かばなくてイライラ。ある意味それがこのシリーズの醍醐味だからとは思っていたが、京極堂や榎木津が思ったほど活躍しないし。地味キャラ(彼らも好きではあるが)の内面だけではねー。シリーズ故に期待が大きいせいかもしれないけど、これが初めての京極堂作品という人を想定して書いてない気もするので。記憶力が衰えた人間にはつらいです。
邪魅の雫 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:邪魅の雫 (講談社ノベルス)より
4061824384

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