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蟻の木の下で
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蟻の木の下での評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.71pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
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1964年第10回江戸川乱歩賞受賞作 井之頭公園内にある動物園の、羆の檻の前で、男の惨殺死体が発見された。捜査当局は、掻き切られたような傷跡から、羆の仕業であるとの見解を示す。事件は解決にみえたが、新聞記者の鹿子は、檻の付近に落ちていた新興宗教団体のバッチに興味を持ち、因果関係を探ろうとするのだった ・・・ 宗教団体の成り立ちをおううち、物語は、大戦時タイでの陰惨な出来事や、今時点の貿易にまつわる死亡事故が絡み合って複雑な様相を呈していく。いくつかの犯罪が折り重なっているが、元凶はひとつに収斂するのだが、どうにも詰め込み過ぎにのように感じる。そもそも、事件の鍵として宗教団体を取り上げた理由が分からない。当時の世相を反映しているのだろうか。 「蟻の木の下で」というタイトルの意味こそ、事件の核心となるわけで、周辺にばらまかれた事物を掘り下げてしまったゆえに、読みにくさを残してしまっているのだ。事件は連続殺人へと発展するのだが、最後の事件で、解決できていない謎が放置されてしまっているから、スッキリとはいかない。 本作品には、名探偵は存在しないため、事件の結末は手紙というかたちで提示される。時と場所を超え、今明らかになるのは、「蟻の木の下」の悲しい因縁である。物語の本筋は良いので、とっちらかった感が残念だな。 | ||||
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■孤独なアスファルト ★★★ 田代省吾は地方から上京し、夜学に通いながら日東グラスウールの工場で働いていた。都会への希望に溢れていた田代だったが、単調な作業に辟易し、より大きな企業への就職を夢見るようになる。夜学から大企業への就職の門戸が開けかけたとき、日東グラスウールの常務 郷司の横槍で全てご破算になってしまうのだった。憎しみに駆られる田代。ほどなくして、郷司の他殺死体が見つかる。警察は、田代の殺意の確証を得て、容疑者としてマークするようになる ・・・ 田代は、福島県郡山出身で、なまりが抜けないことから都会の中で孤独を味わっている。地方との格差があまりなくなった昨今では、この設定そのものが時代を感じさせざるをえない。孤独にさいなまれたあげく、殺人事件の容疑者として周囲から白い眼で見られる田代。この鬱屈した状況がラストに効いてくるのである。 作品そのものは、刑事たちの丹念な捜査により、真犯人のアリバイ崩していくタイプのミステリである。そこに昭和38年の世相を上手く取り込んだということになろうか。大都会の冷え切った人間関係を、地方出身者の眼を通して切り取っているのだ。事件の背景には、親子愛が垣間見えるわけだが、その愛情は他者を犠牲にすることによって成り立つという冷徹さがある。 全てが終わったときの田代のつぶやきは、空のない街で夢を追いかけた若者の苦渋が滲み出ている。残念ながら、読者がある程度の年代ではないと、共感を覚えるのは難しいかもしれない。 ■蟻の木の下で ★★★ 井之頭公園内にある動物園の、羆の檻の前で、男の惨殺死体が発見された。捜査当局は、掻き切られたような傷跡から、羆の仕業であるとの見解を示す。事件は解決にみえたが、新聞記者の鹿子は、檻の付近に落ちていた新興宗教団体のバッチに興味を持ち、因果関係を探ろうとするのだった ・・・ 宗教団体の成り立ちをおううち、物語は、大戦時タイでの陰惨な出来事や、今時点の貿易にまつわる死亡事故が絡み合って複雑な様相を呈していく。いくつかの犯罪が折り重なっているが、元凶はひとつに収斂するのだが、どうにも詰め込み過ぎにのように感じる。そもそも、事件の鍵として宗教団体を取り上げた理由が分からない。当時の世相を反映しているのだろうか。「蟻の木の下で」というタイトルの意味こそ、事件の核心となるわけで、周辺にばらまかれた事物を掘り下げてしまったゆえに、読みにくさを残してしまっているのだ。事件は連続殺人へと発展するのだが、最後の事件で、解決できていない謎が放置されてしまっているから、スッキリとはいかない。 本作品には、名探偵は存在しないため、事件の結末は手紙というかたちで提示される。時と場所を超え、今明らかになるのは、「蟻の木の下」の悲しい因縁である。物語の本筋は良いので、とっちらかった感が残念だな。 | ||||
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■孤独なアスファルト ★★★ 田代省吾は地方から上京し、夜学に通いながら日東グラスウールの工場で働いていた。都会への希望に溢れていた田代だったが、単調な作業に辟易し、より大きな企業への就職を夢見るようになる。夜学から大企業への就職の門戸が開けかけたとき、日東グラスウールの常務 郷司の横槍で全てご破算になってしまうのだった。憎しみに駆られる田代。ほどなくして、郷司の他殺死体が見つかる。警察は、田代の殺意の確証を得て、容疑者としてマークするようになる ・・・ 田代は、福島県郡山出身で、なまりが抜けないことから都会の中で孤独を味わっている。地方との格差があまりなくなった昨今では、この設定そのものが時代を感じさせざるをえない。孤独にさいなまれたあげく、殺人事件の容疑者として周囲から白い眼で見られる田代。この鬱屈した状況がラストに効いてくるのである。 作品そのものは、刑事たちの丹念な捜査により、真犯人のアリバイ崩していくタイプのミステリである。そこに昭和38年の世相を上手く取り込んだということになろうか。大都会の冷え切った人間関係を、地方出身者の眼を通して切り取っているのだ。事件の背景には、親子愛が垣間見えるわけだが、その愛情は他者を犠牲にすることによって成り立つという冷徹さがある。 全てが終わったときの田代のつぶやきは、空のない街で夢を追いかけた若者の苦渋が滲み出ている。残念ながら、読者がある程度の年代ではないと、共感を覚えるのは難しいかもしれない。 ■蟻の木の下で ★★★ 井之頭公園内にある動物園の、羆の檻の前で、男の惨殺死体が発見された。捜査当局は、掻き切られたような傷跡から、羆の仕業であるとの見解を示す。事件は解決にみえたが、新聞記者の鹿子は、檻の付近に落ちていた新興宗教団体のバッチに興味を持ち、因果関係を探ろうとするのだった ・・・ 宗教団体の成り立ちをおううち、物語は、大戦時タイでの陰惨な出来事や、今時点の貿易にまつわる死亡事故が絡み合って複雑な様相を呈していく。いくつかの犯罪が折り重なっているが、元凶はひとつに収斂するのだが、どうにも詰め込み過ぎにのように感じる。そもそも、事件の鍵として宗教団体を取り上げた理由が分からない。当時の世相を反映しているのだろうか。「蟻の木の下で」というタイトルの意味こそ、事件の核心となるわけで、周辺にばらまかれた事物を掘り下げてしまったゆえに、読みにくさを残してしまっているのだ。事件は連続殺人へと発展するのだが、最後の事件で、解決できていない謎が放置されてしまっているから、スッキリとはいかない。 本作品には、名探偵は存在しないため、事件の結末は手紙というかたちで提示される。時と場所を超え、今明らかになるのは、「蟻の木の下」の悲しい因縁である。物語の本筋は良いので、とっちらかった感が残念だな。 | ||||
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【孤独なアスファルト】 終戦による混乱から抜け出し、高度成長を続ける大都会東京、 そこに東北の田舎から集団就職でやってきた青年田代が、 殺人事件の容疑者となる。 地方出身者の方言によるコンプレックスや、孤独感が良く描か れているが、物語の中盤以降は事件を捜査をする来宮警部が 主役となり陰が薄くなる。 来宮警部は足による地道な捜査を繰り返す。乗り物に乗るとし ても、バスや電車で、当時はまだパトカーが充分に配備されて なかったのかと思ってしまった。 事件のトリックは、都内と都下の気温差を利用するなど、面白い ものがあるが、重要な証拠を犬がくわえて持ってくるという件に は、少し疑問を感じた。 東京という大都会に住む人間の孤独というテーマの選定がうまい。 ただ、後味がちょっと悪かったのは残念。評価は★★★ 【蟻の木の下で】 動物園で発見された男の死体には熊の爪痕が、との事ですが、 当時の鑑識でも、熊の爪痕か、それ以外の凶器かは区別が 付きそうな気がする。 関係者も、新興宗教に関わっている人が多く不自然。 やたらと一人の人間を悪者として書いているが、作者は戦争 犯罪で何を訴えたかったのか良く判らない。 犯人の登場の仕方も、推理小説のルールに反する。 序盤から犯人の影くらいは匂わせて置くべきではないか。 文句ばかり言ってるようだか、江戸川乱歩賞全集として、 二作並べて読むと、はっきり優劣が付いてしまう。 勿論、レベルの高い年もあれば低調な年もあり、受賞作なら それなりに一定の水準には達しているのであろうが。 評価は★★ 既に絶版となった過去の作品を、文庫本で手軽に読めるのは ありがたい。この巻には選評もついており、審査員たちの、 新しい才能を世に送り出そうとする熱意が感じられる。 | ||||
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