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鉤
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鉤の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.14pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全14件 1~14 1/1ページ
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先に読んだ『斧』の姉妹編『鉤』を読むことにした。 読み始めてこの先この物語がどのように進むか見当がつかなかった。 この『鉤』は、コージー・ミステリのように思い読み進んでいた。 が、物語を半ばまで読み、これはサイコ・スリラーではないかと思いなおした。 評者の想像通りの結末を迎え、やはりサイコ・スリラーだつたと納得したのです。 書けなくなった作家の心理をこれほどリアルに描写するのは著者自身の体験からだろうと思ってしまった。 ストーリー展開に不自然なところが度々あり『斧』より出来が良くない作品と思いながら読み終えました。 | ||||
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売れない作家と売れている作家がダブル主演のミステリー。小説家についての小説、メタフィクションというジャンルなのだそうだ。本業の人が買いているだけあって業界事情がリアルで興味深い。アメリカの作家には出版社や媒体をブッキングするエージェントがついているという点、印税前払い制度があるという点は日本と大きく違うので、そのあたりを知らないと少し戸惑うかもしれないが、前作の販売部数で次作の評価がおおむね決まるとか、「最近の出版ゲームのやり方では、おれたちは延長最終回の一発勝負から始めるんだ」といったせちがらい業界事情は日本も同じである。それはさておきこの本。(以下ネタバレ注意)スランプ真っただ中の人気作家ブライスが、図書館で古い友人ウェインに出くわす。彼は食つなぐのが精いっぱいの落ちぶれた作家だが腕は確かで、しかもすでに書き上げた作品を持っていた。そこで取引成立。ウェインの作品をブライスの名前で出版し、印税は山分けしようということになる。しかしその前にひとつ片づけなければならない汚れ仕事がある。ブライスと離婚調停中のルーシーを消すことだ。これが物語の序盤。ここまでは悪くないけれど、ウェインがその汚れ役を引き受けてルーシーを殺害してからの展開が一言でいって不自然。最たるものがウェインとの心理と行動だ。殺し屋でも兵士でもない普通の人間がほぼ初対面の人間を直接手にかけて惨殺したあと、まったく以前と変わらない様子で暮らしていけるものだろうか。しかも初めての殺人が完全犯罪とかありえない。ウェインの妻スーザンも慈善団体の傘下組織で理事の仕事をやっている地味な女性でありながら夫が殺人犯になることに対して何の拒否反応も示さない。そして殺した女性の夫(ブライス)と平気な顔をして会うというのも解せない。怨恨や羨望といった感情もなく、快楽目的でもなく、「やったらお金が入ってくる」というだけでそれまで堅実な生活をしていた夫婦が急に冷徹な殺人請負人に豹変するのがあまりに不自然で、そこには何の伏線もなく最後はブライスが不安と罪悪感と好奇心と絶望感でぐちゃぐちゃになっておしまいという。非常に訳しづらい作家だそうだが、訳で意味がわからなくなっているところもあり、なんとか最後まで読み通したけれどあまりその甲斐もなかった。 | ||||
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犯罪者視点で進む。 犯人が捕まるのか捕まらないのかという描写はない。 おそらく捕まるのだろうと解釈できるような書き終わりにはなっているが、謎解き要素はなくいまいち釈然としないので爽快感はない。 殺人に対し誰も罪悪感を覚えないという異常な設定で、 読んでいる最中ずっとこの落とし前をどうやってつけるのだろうというのが気になっていたのだが、最後は十分予見できる終わり方で拍子抜け。 正直言って後味は悪い。主人公の心の葛藤が読みどころなのかもしれないが、自分が巻いた種なうえ、所詮フィクションの悩みじゃ同情も共感も覚えられなかった。 このミスで5位らしいがあまり良いとは思えなかった。 また、業界裏話的な部分はあるが、それをもってこのミステリーが面白いなどと評価するほどの話ではないと思う。 | ||||
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このミス2004年 海外5位 週刊文春2003年 海外6位 闘うベストテン2003年 海外8位 スランプに陥ったベストセラー作家プライス・プロクターは、偶然見かけた二十年前の作家仲間ウェイン・プレンティスへ相談を持ちかける。ひとつは、ウェインの買い手が付かない作品をプライスを譲ること、もうひとつは、離婚調停中の妻ルーシーを亡きものにすること。報酬は55万ドル。迷いから抜けきれないウェインだったが、プライスの手引きでルーシーに接近し、発作的に彼女を殺害してしまう。一方、プライスはウェインの作品に手を加え、ベストセラーとして世に出すことに成功するのだった ・・・ 予想されるのは、プライスとウェインが揉め事を起こして、犯罪行為が暴露されるという展開。しかし、ウェストレイクのこの作品は違う。さぁ、ここから二人の確執が始まるぞという数々の場面で、解決策が見出され鎮静化してしまうのだ。この想定を外されるときに感じる苛立たしさが、よい意味でたまらない。 本作品は、いつものウェストレイクらしいユーモアが見られない。登場人物たちの心理描写に重点を置いた、じっくりと読ませるミステリになっている。ヒトの暗い部分の描き方が際立っていて、特に、ルーシーを殺害する場面のウェインの心の動きは秀逸だと思う。 プライスが、除々に狂気に蝕まれていく様は、まさに心理サスペンスの趣。犯行の当事者にもかかわらず、事件を忘れ去っていくウェインとの対比が、壊れていく男の姿の凄まじさに拍車をかける。ウェストレイクもこういう作品も書くのかというのが実感だ。 なお、プライスとウェインの執筆作業を通じて、ウェストレイクのプロットの組み立て方を垣間見ることができる。ちょっとためになるお得な作品でもあったりする。 | ||||
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ベストセラー作家の内幕をベストセラー作家が書いているので、 非常に興味深いです。 作者自身はさすがに読ませる勘所をよく心得ていて、 ハラハラドキドキの展開ではないのに一気に読めてしまいます。 本人もゴーストライターも(w)これくらいかけていれば安泰です。 ただし、犯罪サスペンスとしての面白さはないので、 星は3つにしました。 | ||||
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最初は暗い話だなとちょっといやな気分で読み進めていました。 そうでした。ウェストレイク本はいつもしょぼいジェットコースターのように 最初は、なんだこれ?上るのおそーほんとにこれおもしろいの?と油断していると一気にウェストレイクの世界に引き込まれます。 この話も主人公2人の心が正常と異常、常識と現状打破、体面と生活苦の間で揺れ動きまくり。 良かったですよ。オススメ! | ||||
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「このミステリーがすごい!」の’03年海外編で第5位にランクインされた作品。同じ作家の『斧』の姉妹編といわれている。 『斧』が厳しいリストラをベースにしたアメリカ雇用事情を痛烈に風刺した小説だったのに対して、本書はアメリカ出版事情をテーマとしているからである。 ブライスはベストセラー作家の地位にありながらスランプに陥っていた。一方ウェインはアイデアを持ちながら本が出せない三文作家だった。ふたりは20年ぶりに偶然出会う。お互いの状況を紹介し合うと、ブライスがこう提案する。「きみの小説をおれの名前で出版しよう。出版の前払い金は山分けで、55万ドルだ。」ふたりの利害は一致するのだがその話にはさらに条件があった。ブライスの離婚調停中の妻を亡き者にしてくれというのである。 読者はそこで、本書は、ウェインがブライスの妻を殺害するために綿密な計画を練り、そして実行に移す一連のプロセスを描く犯罪小説かと思うだろう。 しかし彼は、おっかなびっくりではあるが、半ば突発的に犯行に及んでしまう。ここまでで、まだ物語は3分の1も進んでいない。 ここからブライスの苦悩が始まる。すべてすっきりとして仕事(新作)に打ち込めるはずが、妻殺しを依頼した呪縛にとらわれ、間接的ではあるが殺してしまったことを後悔し、恋人にも去られて、ニューヨークから郊外に転居し、編集者から新作の催促をされるが事態は一向に好転せず、スランプ状態はより深刻になるばかり。彼は次第に正気の淵から足を踏みはずしてゆく。 一方のウェインは対照的に、コトを成した後、雑誌掲載の記事の仕事などがボツボツ入り、妻との家庭生活も安定してゆく。 著者は第一線で活躍するベストセラー作家の名声を維持するために、こんなこと(ゴーストライター、妻殺し)までしなければならず、そのために荒廃してゆく人間・ブライスの内面を描きながら、厳しい出版事情を通して、現代アメリカ社会を痛烈に風刺しているのである。 | ||||
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~出版の世界にも一発屋がいるのだろう。その一発屋の名前で売れなかった場合、ある程度作品の質にもよるが、名前を変えれば売れたりすることがあるらしい。また、ヒットをガンガン飛ばして儲けている作家でも、「書く」という強迫観念に駆られることはしばしばのようだ。家庭生活のストレスで「書く」ことがままならない作家がいる。版元は早く新刊が欲し~~い。でも、ストーリーのアイディアは浮かばない。出版は作家の創造的作業だけではない。よき編集者が的確なアドヴァイスをすることで、作家の持ち味が数倍にもふくれあがる事があることは事実だ。しかし、枯渇したアイディアを行かせない時、売れそうなプロットを持った売れない作家と結託したら…。ストーリー展開はあまり派手ではないが、出版界の裏が~~みえたりして面白いかもしれない一冊。ちょっと戦慄が走るといったミステリーではないのが残念。~ | ||||
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『斧』の姉妹編だという宣伝文句に引かれて購入しました。が、違う作品として読んだほうが楽しめるようです。設定も内容もまったく違うし類似点を見つけるほうが難しいです。(あとがきでこの点について弁明してますが、苦しい言い訳だと思います)主人公ふたりの作家の心の動きに重点が置かれているので、ハラハラするような事件が次々に起こるようなことはないです。ジェットコースター的なミステリーを期待する方には物足りないかもしれません。ただ出版業界の裏側や作家の心情が詳しくリアルに描かれていて、小説ができるまでの舞台裏を楽しむことができます。売れなくなった作家は新人としてペンネームを使うとか、ブックツアーの話とか、きっと本当のことなのだろうエピソードが盛りだくさんです。またベストセラー作家への嫉妬や、アイディアが枯れることへの焦りなど、書いてる本人がミステリー界の名匠であることを考慮に入れるとかなり興味深いと思います。文体も堅苦しくもなく哲学的でもなく簡単なところも特徴です。この作家が好きな人、出版業界の内情をのぞきたい人には面白い本だとは思います。 | ||||
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「このミス」2004年度海外ミステリーランキング5位という評判を知り読んでみたが、大変がっかりした。作品が描けない有名作家が、作品が売れない無名作家に、自分の妻を殺してくれれば、名前を貸して本を出版するという話を持ちかける。この舞台設定は興味深かった。ただしその後の「発展段階」があまりにもだれてしまっている。最後の5ページほどはなんとかつじつまを合わせたな、と感じるくらいのおもしろさはあったが、エンディングに意外感はない。英語は、現代アメリカ作家によく見られる読みやすいものだが、洗練さにかける。だからといってダイナミックな文体でもない。あまり勉強にはならないと言える。 | ||||
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通称「このミス」2004年度海外ミステリーランキング5位、だそうですが期待はずれでした。偶然再会した2人の小説家。一人は売れっ子、もう一人は妻の収入に頼る身。売れっ子の小説家はスランプに陥っており、もう一人は原稿料の半分の代りに自分の作品を差し出しゴーストライターとなることを約束する。しかし売れっ子小説家からはもう一つの条件の提示が。それは彼の妻を殺すこと・・・。一体その後何が起こっていくのだろう?というあらすじと、”狂気に陥っていく人間の内面を描いた”という宣伝文句に惹かれたのですが、プロットはともかく内面の狂気、は最後まで味わうことができませんでした。なぜ主人公がそういった心境になるのか、またある行動に出るのか、あまり納得のいく人物描写も説明もないままにいくつものエピソードがラストシーンに向かうためだけに積み重ねられていった印象を受けました。作品の中では小説家が”このキャラクターはなぜこういった行動に出るのか。どうしたらキャラクターとつじつまの合うエピソードを作りあげることが出来るのか”に苦悩しながら小説を書いているだけに、この作品自体がその点に欠けていることが残念です。ラストは、予感はあるものの衝撃度はなかなか。最後の2行がうまい!と思います。 | ||||
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この人の作品は初めてで、なんの予備知識もなく読んだ。こういうのはミステリというのかな。小説としてはいいかもしれないけどミステリを読むときのスリルもカタルシスもあまりにないまま終わってしまったのはショックだった。描かれている世界に興味ないというのも一因かも。ドキドキしながら謎ときしていく古典的タイプが好きな人には向かないかもしれないと思った。 | ||||
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前作「斧」がまあまあだったため、期待して読んだのだが、私の好みには合わなかった。おそらく、日本にも共通するであろう出版業界の裏話、そして作家の苦悩については興味を持って読むことはできたが、ミステリー・サスペンス(?)としての展開・結末については容易に予測がついてしまった。いい意味で予想を裏切ってほしかったのだが・・・。本文中に「amazon」が登場します。探してみて下さい。本作品は、2004版このミスで5位、2003文春ベスト10で6位だった。 | ||||
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ウエストレイクは泥棒ドートマンダーものとかリチャード・スターク名義の悪党パーカーシリーズで有名だがこの「鉤」はどのシリーズにも含まれないもの。しいて言えば前作の「斧」に近いテイストだろうか。「斧」は失業した男が職を得るために次々とライバル(になるであろう)同業者を殺していく話である。主人公が最初は緻密に計画しているのだが、段々と精神的によれてきて、出口のない迷路に嵌まっていく様子をうまく描いていて、一昨年の「このミス」「週刊文春」ともに海外編4位を獲得している。「鉤」もシチュエーションは違うが、書けなくなったベストセラー作家とゴーストライターを引きうけた上に殺人も犯す売れない作家2人の不思議な関係と顛末をうまく描いていて面白い。もちろん、ウエストレイク独特のユーモアもあるし、米出版業界の裏面を覗く楽しみもある。「斧」にハマった人も、「斧」を読んでない人も必読の面白さである。 | ||||
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