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追想五断章
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追想五断章の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.75pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全70件 1~20 1/4ページ
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作中作が出てくる作品は2倍おもしろい。この作品にはそれが5つも出てくるので10倍おもしろい。さらに書かれた経緯の過去パートと現在のパートが繰り返されるので、とにかくおもしろかった。リドルストーリーに倣い余韻を残す終わり方になる。読書を通して他人の人生を垣間見ることができるが、自分が主人公ではない。この点で作中作を読む主人公の視点と読者が一致する。我々もまた、分かったことや分からないままのことを抱えつつ人生が続いている。 | ||||
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古書店に勤める主人公が探偵役と言う事で、ビブリオミステリーかと思ったが、少し違った。ただ芥川龍之介「藪の中」などのリドルストーリーが、話の中核になっており、多少ビブリオ的な味はある。 さて、主人公は陰気で、あまり印象に残らないキャラ。事件も過去の話であり、故人の残した小説をめぐる、地味な感じの謎で、結末は何とも苦い。が、丁寧な心理描写で実に味わい深く、謎が解けていくに連れて、じんわりとカタルシスを覚えた。煮え切らず、敗残者的な主人公のキャラも、リアリティが感じられ、純文学的。エンタメ性は薄いが、構成のしっかりした、大人の味わいのミステリーであった。 | ||||
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古書店で手伝いをしている大学生のもとに、顧客から父親の遺作を探して欲しいとの依頼が舞い込む。 5編のリドルストーリーを巡る物語の巧みな構成は、筆者の実力が存分に発揮されたと感じ、静謐な雰囲気が漂うミステリーです。 | ||||
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米澤穂信は、ラノベ作家時代から学校や家庭といった日常を舞台に非日常の世界を構築して珠玉のミステリーを創るのが秀逸な作家である。一時、流行ったセカイ系や昨今、流行りの異世界系など非日常の中に日常を描くのは、比較的誤魔化しがきくが、一度読めば飽きてしまう。米澤先生は日常を丁寧に描くことによって非日常の世界にリアリティを与えることができる稀有な才能の持ち主であり作品は、一見淡々と物語が進むように感じるが登場人物の内面が丁寧に描かれていて、何度でも読み返したくなる魅力にあふれています。 現在、本格派ミステリー作家として不動の地位を築かれた米澤作品を是非ご堪能ください。 | ||||
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いやこれは上手いとしか形容のしようが無い。精密に作られた細工のような物語が紡ぎ出される。最上の作品ではないか。 | ||||
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設定は面白いけど、最後まで読むと「なんだそれ」感。 ヒロインが4歳の時に事件は起こるが、その当時してしまった事が、体格的に可能だとは思えない。逆に設定年齢を上げると思考として矛盾が起きる。実写化する時に、どえらく苦労しそうな設定。 が、ラストはさておき、ドラゴンボールを探すかのような「断章」を探して行く設定は面白かった。 途中で助手がいなくなるし、登場人物全体の、主人公に肩入れしない感が、リアルで良い。 主人公の大学生(休学中)は、設定上腐っているが、なかなか優秀な人間ですね。 実家に戻るのは勿体ない。東京にしがみ付けよ、と最後には思った(笑) | ||||
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読み進めるうちに手に入る情報を頭の中でパズルのように組み立てていく作業が非常に楽しい一冊です。 ただ読物として楽しめるかはちょっとわかりません。ミステリーを「解く」人へのオススメ度は高いです。 | ||||
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読後まず感じたことは、とにかくこの作者はうまいなあということ。そもそも、この本の構造からして、普通の推理小説に比べてずいぶん複雑である。ある女性から、散逸した彼女の亡父が遺した結末のない短編小説を探すよう依頼を受けた主人公が、その小説を探す過程と見つけた小説の内容を通じて、依頼人の亡父の真のメッセージを探しあてるという内容なので、決してわかりやすい話ではない。まかり間違っても、テレビの2時間ミステリーの素材にはなり得ないだろう。にもかかわらず、すらすらと話を先に進めることができる。複雑な話を分かりやすく整理して、なおかつ読者の興味をどんどん煽ることができるその手腕は、現役の日本人推理作家でも屈指のものだと思う。 さらに、本作、そして米澤穂信の素晴らしいところは、個々の登場人物の人間味がよく伝わってくることである。人間描写に力を入れすぎると、往々にしてなぞ解きの部分がお粗末で、それこそ2時間ミステリーのようにお涙頂戴になることがある。逆に、その技巧におぼれて現実にはあり得ない大掛かりな舞台設定、複雑極まりないトリックに集中するあまり、小説として人間が全く描けない作家も少なくない。新本格と呼ばれる作家にそういう人が特に多い。しかし、米澤穂信は推理作家として極めて優れた技巧を持ちながら、人間をしっかり描くことのできる稀有な作家である。 本作を含めて、米澤穂信の作品には外れがない。だから、いずれの作品も他人に自信をもって薦めることができる。ただし、本作は最後の結末の後味が決していいとは言えないので、単純明快さを好む読者には合わない可能性がある。 | ||||
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短編集ではなく長編です。 パズルのピースがカチッとはまる緻密なプロットは流石です。ただ、物語に大きな盛り上がりがありません。しかしそれもかえって淡々とした雰囲気を醸し出しているので良し悪しですかね。 | ||||
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始めはつまらないような気がしてたけど、どんどんおもしろくなって、3分の一過ぎたあたりから一気に読んでしまいました。文体も読みやすかった。 | ||||
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幼児期に母親を失った女性。母は自殺と聞かされてきたが、実は隠された真相があるのではと、父親が遺した小説を探し求めるという設定で、ドラマは進む。著作探しを手伝う青年、その母親、下宿先の古本屋の亭主、アルバイトの女学生、同人誌の編集者など、一人ひとりの人間味がよく描かれていて、本格ミステリーという宣伝コピーに違和感を感じるほど、ていねいな文学小説である。 | ||||
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この小説は、「リドルストーリー」という、あえて結末が描かれていないというスタイルの物語がテーマとなったミステリーです。 私は元々、結末をはっきりさせて「そう言う事だったのか!」という驚きが得られそうな小説ばかり選んで読んでおり、リドルストーリーについての造詣は深くないです。しかしこの物語はリドルストーリーの楽しさを盛り込みつつ、ラストでは「そういう事か!」とパズルがハマる快感も同時に味わえる構成でした。 謎解きについては、確かにやや荒いと感じる面も無くはないですが、それゆえに、勘の良い人ならば途中で真相が推理できると思います。ミステリーの謎解きを読む前の自分の予想が当たるの嬉しくないですか?因みに私は勘が鈍いので毎回当たった事はなく、今回も見事に引っかかりました。 私の様に、この小説をきっかけにリドルストーリーに興味を持ったら是非、芥川龍之介の「藪の中」を読んでみてください。結局どういう事なの?!?!とモヤモヤする事請け合いです。追想五断章に結末があって本当に良かった。 長文失礼しました。 | ||||
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物語は、バブル後の不況が本格的になった頃。 訳があって大学を休学している主人公が、思考を巡らせ 依頼者の要望に応えようとする。 その過程で、真面目に考えたが故に背景が見えてくる。 主人公を取り巻く人達は、皆、控え目すぎる程に 物語に割り込みはしない。 もう少し、周辺の人達のエピソードがあってもいいのでは? と心配してあげたくなるくらいに・・・。 しかし、通常の現実世界ではそんなものだろうから、リアル ではあると思う。 やはり読んでいい手面白い本は引き込まれる。 今回も作者の技量に感謝! ただ、巻末の解説は中途半端な気がした。 書名をあげつらっている中で某長編と言ってみたり されると、読後の後味がまずくなって不快だ。 | ||||
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古本屋のアルバイトの青年が主人公で。はよくあるパターンのやつかな。と思って手に取ったのだが面白くて最後まで一息で読めた。 文章の構成が丁寧で読みやすい。 作中の五つの小説は、それぞれ結末を読者に予想させる手法。 それらをつなぎ合わせて謎がとけていく。作中作者が残したかったのは何か。 五つ目の小説の読後に思いを巡らせると楽しい。 小説の間をつなぐ物語りは澱んだり、はたまた一陣の風が吹き抜けたり随所で清涼感が心地よい。 無理に奇をてらったところが無く、章間で立ち止まり複線を拾いながら登場人物それぞれの人生感を味わえる。 松本市の標高は592.21mとのことで、スカイツリーの第二展望台より高いところだ。 空に近いぶんだけ広く見えるのだろうか。 | ||||
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松本から来た女性の依頼でも彼女の父親が生前に残した五つのリドルストーリーを探すうちに その父が五つのリトルストーリーを書き残した理由も明らかになっていく。 それらのドリストーリーも面白いし気になる結末もちゃんと残されているのだが。。。 間違いなく楽しめる作品です。 | ||||
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緻密に構成されている小説という印象。話の流れに飛躍が無く、また、余計な部分を削ぎ落としよく練られている小説だと思う。 5つの断章の作者である北里修吾の心が各断章と関連するエピソードによって巧く表現されていて、印象深い。派手な事件や最後のどんでん返しなどは無いが、読み手の心に静かに働きかけてくるような感じがする。余韻がある。 米澤穂信は、小説としての作り込みと登場人物の思い(あるいは登場人物を通じて語られる作者の思い)をバランスさせるのがやっぱいうまいと改めて感じた。 出来事の当事者(評価では千反田の叔父、本件では北里修吾)から発せられている想いは逆だと思うが、個人の苦い出来事を扱っている点で、氷菓と少し同じ感じも受けた。 | ||||
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何か大きな事件が有るわけではなく文章にもストーリーにもスピード感は皆無です。 生前に父が書いた短編を探す娘の依頼を受けて漫然と生きる大学を休学中の主人公が本を探すというお話しです。 リドルストーリーに興味が出たり、ちょっとしたミステリー要素、謎かけなどが楽しかったりしますが、その部分を期待なら他に面白い本は沢山あります。 この本で一番、自分が気に入ったのは主人公が本を探しながら感じる自分には物語がないの部分です。 悲観的な意味ではなく、何かを否定しているわけでもないのですが何となく考えさせられました。 山場もなく盛り上がる系の話しではないので一気に読むのがお勧めです。あまり時間はかかりません。 | ||||
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北里可南子さん(26歳?)は、昨年病気で亡くなった父、北里参吾の遺品を整理していて、彼がかつて叶黒白の筆名で少なくとも5篇の小説を書いたことを知ります。可南子さんが、内1篇を掲載した同人誌が持ち込まれた古書店、菅生書店を訪ね、応対した居候の大学生菅生芳光くんに、その5篇の捜索を依頼したところから物語は動き出します。 まず、冒頭に(多分)中学生の時の可南子さんの作文がありますが、夢の話でよく分からないけれども、何だかシュールで怖くて素敵です。 また、芳光くんの調査で叶黒白の短い4篇があちこちで見つかりますが、どれも寓意ありありの体裁で、なかなか素敵です。漱石先生の夢十夜を思い出しました。 それらに込められた著者、北里参吾の意図が、この物語全体の謎解きの鍵になっていて、小説設計の精密さを感じました。 | ||||
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アガサ・クリスティの『ゼロ時間へ』を読んだとき、女史の初作品『スタイルズ荘の怪事件』を思い出したと言えば、コアなミステリ好きの方は「ああ、そういうことね」とご納得頂けるのではないか。作家のくせというか、独特の論理というか。これとこれは同じ血が通ったような作品だと思うことは、ミステリに限らず本読みであればそう珍しい感覚ではないだろう(ほんとうに作者自身が”これ”と意識していたかどうかは別として) さて、何故このような書き出しをしたかというと、この『追想五断章』の途中で私は「ああ、『氷菓』みたいだな」と感じたからである。主人公である菅生に冒険を運んでくる役を務めるのが美しい女性だから、という訳ではない。この二作品は、主人公たちが過去の記録の断片を見つけ出してきて、やがてそこに隠された真相に迫るという点でよく似ている。鍵を握る関谷純と北里参吾がとも故人(もしくはそれに近い状態)であり、生涯に渡って沈黙を守りながら”氷菓”そして”叶黒白”という名に真なる想いを込めたという点も、ヒロインの幼き日の出来事に物語の焦点があてられるという点も。違いといえば『氷菓』では千反田によって最初からゴールが提示されているが、『五断章』にはそれがなく、着地点が見えないだけに読者をやきもきさせるというところが決定的であろうか。ただこの作品は決して『氷菓』の焼き直しではない。まったく別の化物である。主人公が集めることになる故北里参吾の断章たちが、物語に沿って一つずつ明かされていく度に抱くことになる違和感。衝撃の真実ではない。どんでん返しでもない。ただただどうしようもなく”そこに至ってしまう”時のやりきれなさを、嘆息とともに味わいたい作品である。 読了後すぐに、思いのままに書きなぐったため読み落としが無いとも限らないが、ありのまま思ったことを綴らせて頂いた。 | ||||
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人がバラバラになってるわけではなくバラバラになった物語を集めて謎を解こうとする話です。謎が解けた人も解けなかった人も解く過程を最後まで楽しめて、その緻密さに唸るのではないでしょうか。 | ||||
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