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(短編集)
密室の如き籠るもの
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密室の如き籠るものの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.89pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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タイトル作の中編「密室の如き籠るもの」に短編三作を加えた作品集。私は作者の、「首無」、「厭魅」を読んで魅了され、本書を手に取ったのだが、濃厚な伝奇ホラー味と合理的解決の裏にある人智を超えた異界的解決(?)が持ち味の作風を活かすには、ある程度の分量が必要である事を再認識した。中短編ではアッサリし過ぎている感がある。 「首切」は、トリックに蓋然性が無い上に、前半の怪異譚と解決との関連性が薄く、平板そのもの。「迷家」は、「遠野物語」の山姥伝説の変形の語りが大半を占め、謎も矮小で興趣に欠ける。「隙魔」に到っては、戦中・戦後の教育問題がテーマの様で、もっとミステリ的膨らみが欲しい所。 「密室の如き籠るもの」は、いきなり舞台となる屋敷の見取り図が挿入され、一家の当主の前妻二人が同じ蔵座敷の二階で突然死し、今は"開かずの間"になっている事が語られる。そして、突然現れた葦子と名乗る謎の女が、その部屋で"狐狗裡さん"を用いた交霊会を開くと言う期待感を持たせる出だし。当主の後妻となった葦子は、"狐狗裡さん"占いを続け、巫女扱いされる。カー「赤後家の殺人」を思わせる呪いの赤箱の存在、葦子を被害者とする"曰くの部屋"での密室殺人。道具立ては申し分なく、刀城の"密室談義"も楽しめるが、普通に読めば真相の喝破は容易だろう。事件の背景となる民俗学的伝承や錯綜した人間模様の書き込みが無いため、作者の持ち味である妖異性・異界性が感じられない。 やはり作者には、禍々しい雰囲気を十二分に出せる舞台設定と捻りの利いたストーリー展開が可能な分量が必要であろう。 | ||||
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タイトル作の中編「密室の如き籠るもの」に短編三作を加えた作品集。私は作者の、「首無」、「厭魅」を読んで魅了され、本書を手に取ったのだが、濃厚な伝奇ホラー味と合理的解決の裏にある人智を超えた異界的解決(?)が持ち味の作風を活かすには、ある程度の分量が必要である事を再認識した。中短編ではアッサリし過ぎている感がある。 「首切」は、トリックに蓋然性が無い上に、前半の怪異譚と解決との関連性が薄く、平板そのもの。「迷家」は、「遠野物語」の山姥伝説の変形の語りが大半を占め、謎も矮小で興趣に欠ける。「隙魔」に到っては、戦中・戦後の教育問題がテーマの様で、もっとミステリ的膨らみが欲しい所。 「密室の如き籠るもの」は、いきなり舞台となる屋敷の見取り図が挿入され、一家の当主の前妻二人が同じ蔵座敷の二階で突然死し、今は"開かずの間"になっている事が語られる。そして、突然現れた葦子と名乗る謎の女が、その部屋で"狐狗裡さん"を用いた交霊会を開くと言う期待感を持たせる出だし。当主の後妻となった葦子は、"狐狗裡さん"占いを続け、巫女扱いされる。カー「赤後家の殺人」を思わせる呪いの赤箱の存在、葦子を被害者とする"曰くの部屋"での密室殺人。道具立ては申し分なく、刀城の"密室談義"も楽しめるが、普通に読めば真相の喝破は容易だろう。事件の背景となる民俗学的伝承や錯綜した人間模様の書き込みが無いため、作者の持ち味である妖異性・異界性が感じられない。 やはり作者には、禍々しい雰囲気を十二分に出せる舞台設定と捻りの利いたストーリー展開が可能な分量が必要であろう。 | ||||
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短編三本、中編一本と本シリーズ初の短編集。なので長編と違いある程度制約を受けるのは仕方ないですが、パワー不足かなと個人的に思いました(このシリーズを短編で扱うのは難しいのかも)。シリーズを読んでる方なら予備知識等で各自フォローして楽しめるかなと思います。しかし本格にホラーの要素を加えるとなると文量がある程度ないと雰囲気が出ないため、短い中にあれこれ詰め込むと消化出来ずに終わってしまうかなと。なので本作がシリーズ初めての方にはウケが悪いかも知れません。常連には及第点。でももっと面白くても良いかなぁと。もう今年はこれでシリーズ出ないですよね…長編の新作読みたかったなぁ。(佐藤大)。 | ||||
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短編三本、中編一本と本シリーズ初の短編集。 なので長編と違いある程度制約を受けるのは仕方ないですが、パワー不足かなと個人的に思いました(このシリーズを短編で扱うのは難しいのかも)。 シリーズを読んでる方なら予備知識等で各自フォローして楽しめるかなと思います。 しかし本格にホラーの要素を加えるとなると文量がある程度ないと雰囲気が出ないため、短い中にあれこれ詰め込むと消化出来ずに終わってしまうかなと。 なので本作がシリーズ初めての方にはウケが悪いかも知れません。 常連には及第点。でももっと面白くても良いかなぁと。 もう今年はこれでシリーズ出ないですよね…長編の新作読みたかったなぁ。(佐藤大)。 | ||||
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刀城言耶シリーズの短編集で、メフィストという雑誌に掲載されていた約50ページの短編3つと約180ページの書き下ろし中編の4つの話を収録した作品。 1、首切りの如き裂くもの(路地に入った女性が殺害されるが凶器が見つからず犯人も路地から消えていた。) 2、迷家の如き動くもの(峠からのぞける山に何も無かった状態から家が出現し、数時間後に消えてしまい、見た人によってあったりなかったりする不思議な家の謎を描く話。) 3、隙魔の如き覗くもの(教師達から恨みを持つ小学校校長が自宅で殺害されるが、小学校にいた教師たちにはアリバイが存在した。動機が存在する教師達の誰がアリバイ作りをし、校長を殺害したのか) 4、密室の如き籠るもの(主人公の少年の住む家に突然女がやってきて、やがて父親の後妻になる。こっくりさんのお告げを伝えるその後妻が来てからしばらくたった後、屋敷の二階で密室事件が起こる。果たして自殺か他殺か。) すべての事件に、刀城言耶が関わり探偵役を務める。メフィスト誌掲載の3篇は長編作品の「首無し」や「山魔」と比べるとあっさりしていて物足りず、内容もインパクトやリアリティが薄いため、いまいちの出来である。意外な真相が最後に描かれるが、このシリーズの売りであるどんでん返しの連続というものはみられない。 書き下ろしの4つ目の表題作は、最後にどんでん返しがあり、刀城言耶の密室講義という密室の定義も描かれていて楽しめた。しかし、被害者の最期の行動に対しては、そのような行為を果たしてとるだろうかと疑問に感じた。 長編の「首無し」や「山魔」の出来が良かったので期待していたが、さすがにこの二作を超える内容ではなかった。 | ||||
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刀城言耶シリーズの短編集で、メフィストという雑誌に掲載されていた約50ページの短編3つと約180ページの書き下ろし中編の4つの話を収録した作品。 1、首切りの如き裂くもの(路地に入った女性が殺害されるが凶器が見つからず犯人も路地から消えていた。) 2、迷家の如き動くもの(峠からのぞける山に何も無かった状態から家が出現し、数時間後に消えてしまい、見た人によってあったりなかったりする不思議な家の謎を描く話。) 3、隙魔の如き覗くもの(教師達から恨みを持つ小学校校長が自宅で殺害されるが、小学校にいた教師たちにはアリバイが存在した。動機が存在する教師達の誰がアリバイ作りをし、校長を殺害したのか) 4、密室の如き籠るもの(主人公の少年の住む家に突然女がやってきて、やがて父親の後妻になる。こっくりさんのお告げを伝えるその後妻が来てからしばらくたった後、屋敷の二階で密室事件が起こる。果たして自殺か他殺か。) すべての事件に、刀城言耶が関わり探偵役を務める。メフィスト誌掲載の3篇は長編作品の「首無し」や「山魔」と比べるとあっさりしていて物足りず、内容もインパクトやリアリティが薄いため、いまいちの出来である。意外な真相が最後に描かれるが、このシリーズの売りであるどんでん返しの連続というものはみられない。 書き下ろしの4つ目の表題作は、最後にどんでん返しがあり、刀城言耶の密室講義という密室の定義も描かれていて楽しめた。しかし、被害者の最期の行動に対しては、そのような行為を果たしてとるだろうかと疑問に感じた。 長編の「首無し」や「山魔」の出来が良かったので期待していたが、さすがにこの二作を超える内容ではなかった。 | ||||
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