■スポンサードリンク


忌館 ホラー作家の棲む家



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

忌館 ホラー作家の棲む家の評価: 3.68/5点 レビュー 22件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.68pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全11件 1~11 1/1ページ
No.11:
(5pt)

すべて実際にあったことではないかと思わせるうまさ

異形コレクション・シリーズに発表された短編→「禍家」→「のぞきめ」→「赫眼」→「凶宅」→「蛇棺葬」そしてこの「忌館」と読んできました。なのでこの範囲内での感想です。
短編は民俗学的土着的な怪奇小説好きの自分にはぴったりツボだったのですが、なぜか長編はどれもいまひとつピンとこず・・ひょっとして相性悪い?結局好みじゃなかったのかも・・と思い始めていたところでした。
が、すでに買ってあったこの本まではと思いとりあえず読んでみたところ、意外、今までで1番おもしろかったです。まさかデビュー作が最高だとは思いもしませんでした。とても第1作目とは思えないほどの出来でした。

ホラー・ジャンルの編集者である三津田信三氏ご本人が主人公で登場します。担当していた怪奇ホラーのムック本やシリーズものを出版するまでの経緯などは実際にあったことのようで、そんなエピソードが混じるので、あとに続く話のあれもこれも実話なのか?と思わせる臨場感があります。
たとえば、新人作家コンテストの審査をしている友人から、三津田信三の名前を騙って作品が応募されていることを知らされたり、とある同人誌に怪奇小説の連載を依頼され書き始めるところとか、郊外の緑の多いところに家探しをしていた著者が武蔵野方面で竹林に隠れた洋館をみつけ、その怪奇な雰囲気に魅かれて借りることにした話、などが並行して進みます。
不動産屋の不審な態度からその家のことを調べるうちに、家は英国から移築されたことがわかり、しかも過去には忌まわしい一家惨殺事件が何度も起きていました。日本に持ってきた日本人建築家の一家までが同じ目にあっていましたが、ただ1人生き残ったという息子は行方がわからないままです。

三津田氏が同人誌に連載している小説の内容と、家で起きる出来事、屋根裏でみつけた精巧な家のドールハウスの中に見えることが連動し、どこからどこまでが実際にあったことなのか、現実と創作(または妄想か怪奇現象か)の境目が混沌としだんだんと曖昧になっていきます。三津田氏の頭がおかしくなっているのか?それとも・・?
よくこれだけ複雑な構成を考えたなと思いました。過去の惨殺事件の不気味さも見事に印象付けられています。古典的なドールハウス怪談としても秀逸です。

読後、思わずいろんなことを調べたくなります。投稿したという同人誌は実在しているのか?あとがきを書いておられる笹川吉晴氏が実際に武蔵小金井に行ってその家を探したということは・・その家は実在している?今もそこにあって、誰か新しい借主が現れるのを待っているのかも・・などと考えてしまいました。
ホラー作家の棲む家 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:ホラー作家の棲む家 (講談社ノベルス)より
4061822004
No.10:
(5pt)

個人的には大傑作

デビュー作なだけあって、三津田作品の魅力が凝縮されてる。ただミステリとホラーの融合といっても、なんだかんだ本格ミステリな刀城言耶シリーズと比べるとホラー寄り。あと民俗ネタはない。
解釈次第でホラーにもミステリにも読める点では、カーの『火刑法廷』が作風としては近いかもしれない。

前半は三津田信三の遍歴を楽しめたり、乱歩や連城三紀彦について作者と語り合っているような面白さもあったが、後半は怖すぎて何度も声が出た。そして末文まで凝ったメタ構成。大オチには全く気づかけずひっくり返った。
無駄に長い文章や無駄に複雑な構成に伏線を仕込むからタチが悪い(褒めてる)。
あと相変わらず擬音が上手い。デビュー作から擬音が満載。擬音って濫用すれば稚拙な文章に見えちゃうんだけど、バランスとオリジナリティが絶妙なんだろうな。にちゃり。
ただ相変わらず見取りがわかりにくすぎる。見取り図ありの文庫版を強く進める。『凶鳥の〜』で見取り図なしの講談社ノベルス版を買った時はあまりにも意味不明すぎて文庫版を買い直したものだ。

そんなわけで賛否別れるのもわかるが、個人的には大傑作だった。
あと何気に解説が素晴らしい。三津田作品と半村良の作品を比較した評論は初めて見た。目からウロコだった。どうして伝奇SF好きな自分が三津田信三にハマったかが教えられたようで、ちょっと感動した。
もちろんジャンル自体はミステリとSFで全く違う。
でもSFと歴史、ミステリとホラーと相反するジャンルの融合。オカルトや神話、怪奇小説や民俗学の薀蓄。現実の要素やメタ構造を使ったリアリティ演出。日常の世界から非日常の世界へするっといつの間にか移ってしまう世界……
こう比べると半村良と三津田信三は作風がそっくりなわけで、両氏がドツボなわけだ。
ホラー作家の棲む家 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:ホラー作家の棲む家 (講談社ノベルス)より
4061822004
No.9:
(4pt)

ホラーとミステリの融合に挑み続ける三津田信三氏のデビュー作

三津田信三氏といえば、『厭魅の如き憑くもの』に始まる<刀城言耶シリーズ>に代表される、ホラーとミステリの融合に挑戦し続けているホラーミステリ作家です。しかしながら、所謂、作中に三津田信三氏の名前が登場するシリーズの長編第一作となった本書は、随所にミステリ的な要素が含まれているとはいえ、どちらかと言えばホラーをメインに据えているという印象です。

 本書において何より目を引くのが、本書の著者である三津田 信三氏の名前が、作中にそのまま"三津田 信三"として登場し、さらに著者の現実を取り巻く環境がふんだんに作中に取り込まれるなどのメタフィクショナル的な手法が採用されていることです。さらに、『忌館 ホラー作家の棲む家』の中で"三津田 信三"が「忌む家」を作中作として書き始めることで、「現実」「作中の現実」「作中作」の三階層が存在している点が何よりの特徴です。
 そして本書が秀逸なのは、「現実」を第一階層、「作中の現実」を第二階層、「作中作」を第三階層とすると、それぞれの階層の境目を意図的に曖昧にするような仕掛けが随所に仕込まれている点です。第二階層と第三階層の境目が徐々に曖昧になり、第三階層の内容が第二階層に影響を与え始め、それが加速的に一体となっていく終盤は圧巻。それと同時に、それらの境目が曖昧になることで、第一階層と第二階層の境目までもが曖昧になり、読者の「現実」にまでも影響を与え始めるのではないかと思わせるところが何とも上手いところです。

 基本的にホラーテイストな本作ですが、終盤ではミステリの要素も取り入れた――その量は決して大くはないが――三津田信三氏の出世作と言えるのではないでしょうか。
ホラー作家の棲む家 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:ホラー作家の棲む家 (講談社ノベルス)より
4061822004
No.8:
(5pt)

実は購入したものの1ページ読んでまだ読んでいません。先、ついてくるものを購入したので家に届く前に読んでおこうと思います。
忌館 ホラー作家の棲む家 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:忌館 ホラー作家の棲む家 (講談社文庫)より
406276105X
No.7:
(4pt)

ホラー作家の棲む家

作家本人が実名で現実の肩書をもって登場するだけでなく登場人物も同様で現実なのかフィクションなのかわからないゾクゾク感が楽しい。 新書版へのこだわりがありユーズド品を探して購入した。
ホラー作家の棲む家 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:ホラー作家の棲む家 (講談社ノベルス)より
4061822004
No.6:
(4pt)

ホラー部分よりは

作者の一人称で話が始まり、別の話が並行して進んでからまりだして、といった形式の話です。


一応ホラー小説の括りなのかもしれませんが、取って付けた様な後半のホラー&ミステリ部分より、出だしの一人称部分が凄く好きです。
編集の仕事をしてる主人公が、実在する出版社や小説家の話を出したり、怪奇小説にたいする蘊蓄が続いたり、新しい家を気に入って引っ越したりするところなんかが。
え、どこまで本当の事、って思ったもんなあ。


ここから始まって、結局それなりに読み続けてるものなあ、三津田作品。
力はある作家さんだと思います。

忌館 ホラー作家の棲む家 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:忌館 ホラー作家の棲む家 (講談社文庫)より
406276105X
No.5:
(4pt)

《三津田信三》シリーズの第一長編

編集者の三津田信三は、たまたま見つけた空家の
洋館〈人形荘〉に心奪われ、そこに住むことにする。
やがて三津田は、同人誌『迷宮草子』において、〈人形荘〉を舞台にした
怪奇小説「忌む家」の連載を始める。その後、三津田の前に、「忌む家」
の愛読者だと称する信濃目稜子という人物が現れ、あくまで作家と読者
といった関係で交流するようになるのだが、しだいに変事が起こり始め……。
作中現実と作中作という入れ子構造にとどまらず、作者自身の現実を作品に
取り込み、虚構化した上で、異なる虚構レベルの世界が境界を浸食する現象
――いわゆる〈メタレプシス〉を描いた意欲的なメタフィクションである本作。また、
本格ミステリとホラーとを鮮やかに融合させた、作者の処女長編でもあります。
ホラー作家の棲む家 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:ホラー作家の棲む家 (講談社ノベルス)より
4061822004
No.4:
(5pt)

厭な話です

創作と実話がごちゃ混ぜになってるような雰囲気です。主人公に感情移入していないにもかかわらずゾッとしました。この人、いっぺん病院に行ったほうがいいのでは?とも思いました。(作者の方ごめんなさい)作者のルーツに纏わるような話もたくさん出てきましたが、私は三津田さんが好きになってから読んだので興味深く読めました。文庫には後日談のオマケも付いてて、大変楽しめた?一冊でした。
忌館 ホラー作家の棲む家 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:忌館 ホラー作家の棲む家 (講談社文庫)より
406276105X
No.3:
(5pt)

うつし世は夢、夜の夢こそ真

三津田信三のデビュー作「ホラー作家の棲む家」を改題し、
改訂された「完全版」として文庫化されたもの。
まず、なんといっても「忌館」は怖い。
暗闇への畏怖が、見てはならないものへのあくなき好奇が、全体を覆っている。
本の中に本が登場する手腕は、夢野久作「ドグラ・マグラ」を髣髴とさせつつも、
交互に差し込まれる小説の中の小説と、小説の中の現実は、
次第に境界線が失われてゆき、読者は作家の目眩ましに遭う。
それゆえ、ラスト間際の「謎解き」は難解を極めている。
じっくり腰を据えないと先述した「目眩まし」に翻弄されるからだ。
本文後に追記された「跋文」そして「西日」まで完璧な構成になっているが、
これらは決して解題ではなく、謎はより深くなる。そんな点も見逃せない。
また、この小説は作者「三津田信三」の体験記として綴られているため、
本文内には実際に活躍している作家や評論家の実名も出てくる。
しかし、「そうではない作家」の名前もしれっと紛れ込んでいる。
どこからどこまでが虚なのか実なのか。
翻弄されることを楽しむのも、また一興。
それにしても三津田氏は、ほんとうに乱歩が好きなんだなぁと思った。
乱歩が好んで記していた言葉「うつし世は夢 夜の夢こそ真」、
これがこの小説のテーマなのではないだろうか。
吸い込まれるような真っ暗な夜空や、暗闇の茂みが姿を消しつつある現代に、
三津田信三が執拗なまでに表現した「闇」はどこまでもいとおしく、
そして恐れおののくべき存在だと思った。
忌館 ホラー作家の棲む家 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:忌館 ホラー作家の棲む家 (講談社文庫)より
406276105X
No.2:
(4pt)

勉強(?)になるかも

語り手がミステリ編集者という設定のため、
随所に、ホラー・ミステリの名作についてなどの記述があります。
熱心な読書家ではない私などには、
「次はこれを読んでみたいな」と思わせてくれました。
ストーリー自体は、子供の扱いに目を覆いたくなりましたが、
文章も読みやすく、そこはかとなく品が感じられ、
展開もそれなりに工夫されていて、飽きることはありませんでした。
登場人物の名前(命名理由はありますが)が読みにくく、
そこが気になったりしましたが、ホラー作品では名前に凝るものなのでしょうか?
ともあれ、面白く読めて、今後の読書の手引きにもなってくれて、満足の一冊でした。
もう古書でしか入手できないとしたら、もったいないなと思います。
ホラー作家の棲む家 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:ホラー作家の棲む家 (講談社ノベルス)より
4061822004
No.1:
(5pt)

これぞ正統派『怪奇小説』!

魅力的な導入部、謎を秘めた中盤、そして結末へ・・・。まさに、ホラーの王道を行く作品です。・・・というよりも英国怪奇小説の系譜というべきでしょう。私は基本的にホラーやミステリーは1度しか読みませんが、この作品だけは、何度も読み返しました。それほどに面白い作品です。妖しい雰囲気を持つ「洋館」、館の来歴について口ごもる「人々」、藪の中の「目」、作者の前に現れる不思議な「女性」・・・。全てが『家』を中心に進んでいきます。所詮、作者は狂言回しにすぎません。この作品の主人公は『家』なのです・・・。M・R・ジェイムズをはじめとする『英国怪奇小説』が好きな方には、ぜひ一読をお勧めします。「異国」日本の地に現れた正統派怪奇小説です。
ホラー作家の棲む家 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:ホラー作家の棲む家 (講談社ノベルス)より
4061822004

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!