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家族狩り



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家族狩りの評価: 4.09/5点 レビュー 111件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.09pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全86件 61~80 4/5ページ
No.26:
(5pt)

最高!

家族、みんなが殻に閉じこもっている分、表ざたに出来ない虐待、痛み、問題が隠されている。それでもなお、外に助けを求めない。虐待されている親に愛されたいからだ。「悪い子じゃなければ、いい子だったら愛してもらえる。」そうおもっている子どもはきっと少なくない。助けてくれるのはもう愛する心を持っていない親ではなく他人でも十分愛をくれるということ、親は日本人の親はたいていが世間体、思い通りに子をしたいのだ。もし出来なければもう捨てられている。心だけは。そんな表ざたにならない気持ちを複雑に書いてある。親ならありのまま受け止めるんだ、子どもは親が思うより親を愛している。おやは子どもの命だからだ。虐待されても。親は子どもを捨てることが出来ないなんて嘘。精神的に虐待している親はたくさんいる。それがここに書いてある。
まだ遠い光―家族狩り〈第5部〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:まだ遠い光―家族狩り〈第5部〉 (新潮文庫)より
4101457166
No.25:
(5pt)

作品を生んでくれたことに感謝

作家という職業の存在意義をこの作品は示してくれたと思います。作品を届けてくれた天童さんに感謝したい気持ちでいっぱいです。
まだ遠い光―家族狩り〈第5部〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:まだ遠い光―家族狩り〈第5部〉 (新潮文庫)より
4101457166
No.24:
(4pt)

家族を求めて道に迷った人々を描いた傑作

天童荒太さんが長い期間の構想を経て世に出した本がついに完結しました。問題家庭で勃発する残酷な殺人事件と、その事件を縁にして惹かれ合う人々の話が、悲しく、切なく描かれています。文章は一つ一つが研ぎ澄まされた刃物のようで、著者が傾けた情熱がにじみ出るような緊張感に満ちていました。そのせいか文庫5冊があっという間です。また構成なども緻密に練り込まれていて申し分ない出来だと思います。ただ、僕個人としては、「家族」や「両性の同一視」に固執するストーリーには少々違和感を感じました。登場人物につい感情移入してしまい、もう少し肩の力を抜いて考えればいいのに・・とついついもどかしく思うことがありました。ただ、それを差し引いても前作永遠の仔に引き続く「家族」をテーマにした傑作だと思います。
まだ遠い光―家族狩り〈第5部〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:まだ遠い光―家族狩り〈第5部〉 (新潮文庫)より
4101457166
No.23:
(4pt)

こころの青空

 この作品に出てくる人物たちは,そろいもそろって,自分の生い立ちや,性格,いまの生活など,およそ自分の生を単純に肯定することができない。自分を受け入れ,和解することができない。 そんな彼ら,彼女らにも,ふと心のなかに青空が広がるように思える一瞬がある。なつかしいような,ふるさとにいるような,とおくまでみわたせるようでもあり,なきたくなるようでもある,そんな一瞬である。 それは誰かとの交わりのなかで,ふと突然訪れる。苦しかったり困難だったりするさまざまな出会いのなかで,ほんとうにまれに訪れて,すぐに去ってゆく。 本作のテーマを自分と世界との和解ととらえることもできるだろうし,生命を肯定し慈しむことともいえるかもしれない。それは,容易ではない交わりのなかで,交わりを通じて追求される。 期待なき期待のような構えを感じさせる作品である。  
幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)より
4101457123
No.22:
(5pt)

あと4冊読める、という幸せ!

長編を改稿して中編5冊にし、文庫として出版する。天童荒太は日本のスティーブン・キングである。この第一巻では物語はまだ始まったばかり。しかし、グイグイと惹き込まれずにはいられない。この楽しい時間があと4冊分あると思うと、たまらない。
幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)より
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No.21:
(5pt)

うぬ~ん

それぞれの主人公に感情移入してしまいます。個人的には馬見原さんが好きです。1巻の終わり方は、まさにこれから!というところでおわってしまうので、続きが気になってやきもきしました。
幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)より
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No.20:
(5pt)

現代という今をもっと見るために

この本のテーマはなんだったのかと、読んだあと、実はよくわからなくなってしまいました。家族が家族を殺してしまう。大義名分が罪も無い人たちを殺してしまう。それらは紛れも無く今の僕たちの現実なのでした。そういう世界で、自分に何ができるのか、自分は何がしたいのか。この作品の中に出てくる登場人物は理想と現実の間の中で苦しみながらも答えを模索します。それらは作者である、天童荒太そのものの模索であり、読者であるわたしの模索ですらもありました。エンターテインメント小説に負けない構成力があり、1~5部まで、きっと退屈しないで一気に読めると思います。難解は表現はなく、理解に詰まるということは無いでしょう。でも、きっと読み終わったあと、この作品を一言で言うことが出来なくなるのではないでしょうか?ただ、ひとつだけいえることは、それは理解できなった、ということではないし、まして、中身がないなんてものでは決してありません。うまくいえないですが、自分の内面の何かがきっと変わっているのではないかと思います。
まだ遠い光―家族狩り〈第5部〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:まだ遠い光―家族狩り〈第5部〉 (新潮文庫)より
4101457166
No.19:
(5pt)

光はみえるのか

筆者の「世界に、そして日本に悲しみがあふれている今、届けるべき物語とは何か、考え抜いた結実です」という言葉に惹かれて、この本を手に取りました。最終巻発刊まであと半月あまりです。この本の登場人物は、それぞれ深い悩みを抱えています。家族の問題で、まったく悩みを抱えない人などいるのでしょうか。だから、誰もが重く受け止められる内容の本になっています。そして、「世界の暴力の加害者にどうしてもなってしまうから生きていたくない」という若者の言葉、「理想の家族とは無私の愛にあふれた家族だ」という言葉、「人はいつも目に見えないものにおびえているのだ」という言葉…登場人物たちの一つ一つの言葉が、私の心に重くのしかかりました。最終巻のタイトルは『まだ遠い光』遠くても、光が見えるのならいいのだけれど。。。この世界も。
巡礼者たち―家族狩り〈第4部〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:巡礼者たち―家族狩り〈第4部〉 (新潮文庫)より
4101457158
No.18:
(5pt)

日々を生きるしかないのか?

著者と自分が感じていることが、あまりにも似ていて驚いた。イラクなど世界中で起きている悲劇。ニュースなどで見聞きすると、悲しみのような、怒りのような、いたたまれない感情を抱く。そのような感情をもっても、自分にできることは限られている。そして、そのような感情をもった自分は、自身が抱える問題、自分の身の回りで起きている問題でさえ解決できていない。むしろ日々の生活に追われ、解決に結びつけるような行動もなかなかおこせない。それなのに世界の悲劇に関心を寄せるなんて、おこがましいんじゃないか――。第4部まで読むところ、著者は、祈り、抱きしめることなどを通じて、上記のようなテーマを解決につなげようとしているように感じる。ただ、祈りというのは安直のような気がする。藤原新也は、「なにも願わない。ただ、手を合わせる」ことを提示した。この5部作を読みながら、深く考え、考えたことを行動に結実させていきたい。
幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)より
4101457123
No.17:
(4pt)

重い空気を感じるものの読むことを止められない

世の中にこんな怖いことが本当に起こるかもしれない、というくらいリアルな現実感がある小説でした。 登場人物の描写が深く丁寧で、この先の続編をこれから読むのが楽しみですが、一方で物語の中で起こるかもしれない事件を予感させる重い空気を感じます。 子供への虐待、家族内の関係、地域社会の人間どおしの関係の希薄さなど身近な問題に自分自身、直面していくことを余儀なくされる小説でもあると思います。それでもこの先を読むことを止めることはできないくらいどこかひきつけられる渾身の小説だとこの一部を読んでわかりました。 本書を読み終わり自分の生活でうまくいったことがあって浮かれた気分になっていた自分をつい自粛したくなる引き締まる思いになりました。今まで自分が目を向けていなかった、目を閉じていた問題の所在を気づかせてくれるような不思議な小説でした。
幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)より
4101457123
No.16:
(5pt)

「家族狩り」の意味が・・・

家族とは、それぞれがいろんな想いを抱いて生活している。それが、希望や楽しさであったり、不安や抑えきれないものであったり、非難やわずらわしさであったりと。けれど、どれからも逃げ切れるものではない。正面から、向き合い、受け入れていくものである。この作品は、以前、刊行された「家族狩り」の構想をもとに、書き直されたものである。家族狩りとは、いったいなんであろうかと思いながら、今まで刊行された3冊を読んできたが、この第4部で、少しずつ、その全貌が明かされつつあります。そして、今まで、向き合うことがなかった人たちが、何かと正面から向き合おうとしています。家族狩り・・・その言葉に秘められた意味が解き明かされるのももう間近となってきました。一ヶ月、待てるだろうか・・・
巡礼者たち―家族狩り〈第4部〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:巡礼者たち―家族狩り〈第4部〉 (新潮文庫)より
4101457158
No.15:
(5pt)

待ち遠しい

~天童荒太、家族狩り全5部作の第1弾。改定前の作品を読んでない私は、家族狩りというネーミングにまず驚いた。~~家族狩りというネーミングでイメージまずイメージしたのが、複雑に絡み合った人間関係とやたらたくさんの殺人。でも、それは天童作品にありえないな。と思い本を手に取った。読みはじめて、第一印象が間違っていたことはすぐ分かった。~~現代の「家族」という最小単位の社会枠の中で、それぞれの人物がいろいろな立場で、悩み苦しむ心の葛藤が交差して、それぞれ魅力的な人物像を作り出している。内容も決して明るくはないが、そこは天童荒太。独特の表現は、やはり読みやすく、すんなりと物語に入っていける。~~5部作の第1弾ということで、物語は完結していない。いうなれば、序章作とでもいうところ。これから次々続いて行く続編が待ち遠しくなる逸品だ。~
幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)より
4101457123
No.14:
(5pt)

次が読みたい。でも次に何が起こるかと思うと・・・。

巻数が進んで行くにつれて恐怖感と嫌悪感が増していく。物語にものすごく集中してふと我に返った時、「今もこのようなことがどこかで起こっているのだ。これは全く現実なのだ。」と思い、恐怖感と絶望感でいっぱいになる。自分に何ができる?そして自分が当事者になったら?答えなんて絶対出ない。どこかにある善きものを信じて現実と闘うしかない?
贈られた手―家族狩り〈第三部〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:贈られた手―家族狩り〈第三部〉 (新潮文庫)より
410145714X
No.13:
(4pt)

1巻2巻に引き続き

それぞれの登場人物が抱える問題には共通して「家族」というものがあります。 現在では決して珍しくはなくなった、子供が親を殺すような事件。ここでもそういった痛ましい事件も軸となり、家族とは?愛とは?社会とは?と、登場人物だけではなく読み手にも、幸せな家庭生活を送っている方でも、きっと考えさせられるんじゃないでしょうか。決して、他人事でない、と。 非常に描写力に優れた作家さんだなと思います。読んでいて引き込まれます。早く続きが読みたいです。
贈られた手―家族狩り〈第三部〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:贈られた手―家族狩り〈第三部〉 (新潮文庫)より
410145714X
No.12:
(4pt)

物語の中だけで終わらないストーリー

2月1日の本書第1部発行から、毎月1冊刊行の形式をとる全5部作。誰しも身近にある『家族』をテーマに、ずっしりと心に響く作品。テンポよく進むストーリーと、キャラクターの設定がしっかりしていて、多くの登場人物それぞれに感情移入してしまうほど。あとがきでは作品に対する作者の真摯な姿勢が伝わり、こちらも背筋がのびる思いがした。月1冊という発刊方法は楽しみでもあるが、5部作すべて揃った時点でまた読み直したいと思う。
幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)より
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No.11:
(5pt)

重たい。けれども目を反らしてはいけないこと

天童荒太待望の新刊である。ぼくは「永遠の仔」(幻冬舎)を読んだときの衝撃を忘れてはいない。それ以来「家族狩り」の文庫化を待っていた。それが今回原稿用紙900枚加筆の、毎月1冊刊行される全5部作の新たな作品としてリリースされるとは思わなかったので驚いた。今回は「家族」をテーマに、いろんな問題を抱えた人たちが登場する。まだ第一部のみなので、今後どのように物語の奔流が蠢いていくか予測がつかないが、各人かなりヘビーな傷を抱えている。目をそむけたくなるような過去。しかし先を読まずにはいられない、という「永遠の仔」の読書体験が蘇ってきた。最初は点に過ぎなかった人々が抗えない運命によって徐々にリンクしていくようだ。スティーヴン・キングの「グリーンマイル」(新潮文庫)のときのように、毎月の文庫発売日が待ち遠しい、圧倒的な力を持った物語がついに始まった。
幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)より
4101457123
No.10:
(5pt)

次が楽しみ

 初めて天童荒太に手をつけてみたのだが、テンポよく進むストーリー。登場人物の描き方などは面白いものがある。第一部の終わり方も秀逸。次が楽しみで仕方ない。 高校の美術教師巣藤浚介は恋人とギクシャクしていた。氷崎游子は児童相談センターの所員で、父親の娘への虐待に胸を痛めていた。馬見原光毅刑事は、ある母子を見届けつつ、自分の子どもに対して遺憾を抱いていた。巣藤の学校の生徒である亜矢に署から呼び出されて、游子や馬見原と出会うことに。その後浚介が親子の変死体を見つけ、馬見原が駆けつけたところで第一部は終わる。 これだけでもものすごい重量感がある。終始どんよりとした雰囲気。精神的に病気を負ってしまった亜矢の視点から描かれているところも興味深い。それ以外に馬見原の背景が克明に書かれている為後半は小説の読み方が違ってくる。哀れであり、そういう風になってしまった馬見原。最後に驚愕の現場を目にするが、それが今後どのようにつながっていくだろうか。 天童荒太は初めてなので勿論単行本版の家族狩りは読んでいない。残酷なタイトルのままのストーリー。ただ書いているだけでなく、登場人物が素晴らしい。游子や浚介もこれから書いていくのだろうか。次が楽しみである。
幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)より
4101457123
No.9:
(5pt)

最後まで読み通したい

天道荒太の作品は重く辛い。それでも作品の背後に幽かに存在する希望、作者の怒りと祈りを感じる事で、読後何かが確かに伝わってくる。私は、『永遠の仔』よりも『家族狩り』の方が好きだ。より自分にリアルな家族を正面から扱っているからだ。その『家族狩り』から10年。日本の社会は何も変わっていない。現実にある問題や酷さを隠して表向き普通であるかのような顔をしている分だけ、より酷い状態になっているとも言えるだろう。作者が真摯に現実に向き合い単純な文庫化ではなく、今に合わせた形で新たに作品を作り上げた事は、素直に嬉しい。内容も期待を裏切らない、正直な作品だ。読んでいる間、家族、普通である事、子供と親など、感じる事が多く苦しいほどになるただ、この作品を5冊に分けた事は果たして成功だったのだろうかとも思う。作者が投げかける逃げては行けない問題が、分冊される事で薄くなってしまう気がするからだ。重く辛いテーマだからこそ、ずしりとくる一冊を通して共有したい、と私は思った。この先どう物語が進んでいくのか?楽しみだと言う言葉は最適ではないだろうが、待ち遠しい。
幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)より
4101457123
No.8:
(5pt)

期待できる作品

5部作の一冊目である本書。ベースとなっている山本周五郎賞受賞作の「家族狩り」の方は読んでいないので比べられませんが、どうやら期待できそうです。いくつかの話が交互に出てくるので、途切れ途切れに読む場合は気をつけてないと誰が何やら分からなくなるので注意を。一巻ということもあり、「すごくよかった!」ということはありませんが、月一冊の刊行をとても楽しみにさせてくれるものでした。
幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)より
4101457123
No.7:
(5pt)

家族狩りⅡと呼ぶべき

 大改定を加え、五部作としてリメイクされることとなった作品。その第一部。作者の丁寧で静かな決意に満ちたあとがきから、この作品にかける思いの大きさがうかがわれる。95年度版では、残虐なシーンが畳み掛けるように繰り出されるところがあったが、本作では抑制されたトーンで、かえって緊張感が増している。 キャラクターも、95年度版より更に存在感が増し、行動の一つ一つに内面からの必然性を感じる。 時代は十年でますます変わった。耳を疑い眉をひそめる事件も、小説を凌駕するように凶悪化・深刻化している。そんな中で、天童が自らの題材を再び世に送り出すにあたり、最大限の力を注ごうとした姿は、誠実だといえよう。似たようなモチーフでキャラクター名を変え、「家族狩りⅡ」とでもすれば、さしずめ次の直木賞の有力候補になっただろうに。新作が文庫本書き下ろしとは、驚いた。 第一巻を読む限り、天童の小説世界は確実に深化している。
幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)より
4101457123

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