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永遠の森 博物館惑星
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永遠の森 博物館惑星の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全36件 21~36 2/2ページ
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既知世界における「見物する」の目的語をジャンルをこえほぼすべて網羅する 遠未来の博物館惑星を舞台に、学芸員・田代孝弘が出会う事件を描いた連作。 人に頼られたらむげにはできない優しく苦労性の主人公・孝弘のてんてこまいっぷりに 笑ったり、「過渡期の技術」の一言で忘れ去られた往年の先輩に対し 「可哀想だって思うことと、哀れに思うことって、違うわよね」 と胸中を吐露するネネに切なくなったり、 データベースと直接接続する学芸員の特権に酔い痴れて 「反省?なんですかそれ?僕エリートだし」 といわんばかりに幼稚なマシューに心底むかついたりと 魅力的かつ個性的なキャラクターにはすんなり感情移入できる。 どこの職場にもある上司や同僚との軋轢や人の話を聞かない困ったちゃんの後輩など 丁寧に描かれる人間関係の機微が固くなりがちな芸術論の緩衝材となり 華々しくアカデミックな会話に絶妙のユーモアを添える。 中でも「ラブ・ソング」は秀逸。 ラストシーンの美しさは圧巻。 芸術を難解に語る言葉をもたない妻が漏らすたった一言の「綺麗ね」を軽んじていたと 主人公が猛省する場面に思わず貰い泣き…… 主人公の美は対象物以外を夾雑物として除く狭量な美。 妻・美和子の美は対象物以外のものをも含み全体を成す豊かな美。 だからこそ主人公は美術品の鑑賞中に隣にいる妻を忘れ 美しいものに接した妻は「愛する人とこれを見たい」と望む。 「貴方みたいに上手く説明できないけど、とても綺麗ね」 抱擁する手は包容する心。 美しいものを美しいと素直に感じる心があり、 愛する人が隣にいれば、 世界はきっと美しい。 愛することとは互いに見つめあうことではなく同じ方向を見ることだ。 ラストシーンの二人にその言葉を捧げたい。 | ||||
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『永遠の森』という、タイトルに惹かれて買いました。 芸術や美術に関連した9つの連作短編集で、主人公は学芸員。 ひとつひとつの物語は、独立しているけど、何気なく伏線が張られていて最後の物語に つながっています。 キーワードは、ベーゼンドルファー・インペリアルグランド、「九十七鍵の黒天使」と 異名をとる1台のピアノ。 最初と真ん中にチラチラとその名前がでてきて、ラストの物語「ラヴ・ソング」で、 きれいにまとめられています。 美術品などを通して、人と人が、ふれあう優しさやせつなさが、描かれていて、読んだ 後に、心地よい気持ちになって、ゆったりします。 そして、美術館や博物館、植物園などに、出かけてみたくなりました。 ただ素直に、「綺麗」を感じるために・・・オススメの1冊です。 | ||||
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私には小難しい論評はできませんが、本当にお勧めの作品です。 元は星雲賞を取ったSFということで手にした作品ですが、菅さんファンになったきっかけの作品となりました。 女神の名を冠したコンピュータに脳を直接接続する学芸員というSFと芸術のミックスを舞台とし、魅力的な人々との間に織り成される物語・短編集となっています。 なんといっても雰囲気と登場人物が魅力的な作品だと思います。 読みやすい作品でもあると思いますので、是非読んでみていただきたいです。 | ||||
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SF文学の役割の一つは、現実の一側面を架空の技術という道具立てにより際立たせ、より理解しやすい形で読者に見せることであろう。その意味で、本作品は実にSFらしいSF作品である。データベースを脳に直接接続した学芸員の日常というストーリーを通し、人と芸術とのかかわりについて考えさせられた。私にとっては、芸術論の良い入門書となった。 しかし、本作品の一番の魅力は、そんな小難しいことではなく、ミステリ仕立てのストーリー展開と、優れた文章によって喚起される美しい情景である。短編で構成されてはいるが、それらはすべて最終章へとつながっており、主人公に感情移入することができれば、読者はラストで大きな感動を味わうことができると思う。 こんなすばらしい作品が、日本語でしか読めないなんて、実にもったいない。誰かが英訳し、全世界に紹介してくれることを切に願う。 | ||||
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SFというので「きっと難しい言葉とか事件とか?」と身構えて読み出したのでしたが結局はそんなことはなく多分誰にでも楽しめる本ではないかと思われました。主人公の孝弘がお人よしで鈍くって可愛かったです。日記記録に妻について書いた記述が{検索結果ゼロ}と知った時の驚き方と言ったら!もう大笑いでした。反省して欲しい物です。他にもいばりんぼうマシュー、黒猫の様なネネさん、黎明期の学芸員オジャカンガスさんなど魅力的な人物がてんこ盛りです。美を追求する人たちの真剣ででもどこかほほえましいやりとり。短編集ですが基本的には全部ハッピーエンドですし読後感も良いです「あなたみたいに上手な説明は出来ないけど、とにかく、綺麗ね」という妻の美和子の言葉が最強かも?良い本ですよお勧めです。 | ||||
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SFというので「きっと難しい言葉とか事件とか?」と身構えて読み出したのでしたが結局はそんなことはなく多分誰にでも楽しめる本ではないかと思われました。主人公の孝弘がお人よしで鈍くって可愛かったです。日記記録に妻について書いた記述が{検索結果ゼロ}と知った時の驚き方と言ったら!もう大笑いでした。反省して欲しい物です。他にもいばりんぼうマシュー、黒猫の様なネネさん、黎明期の学芸員オジャカンガスさんなど魅力的な人物がてんこ盛りです。美を追求する人たちの真剣ででもどこかほほえましいやりとり。短編集ですが基本的には全部ハッピーエンドですし読後感も良いです「あなたみたいに上手な説明は出来ないけど、とにかく、綺麗ね」という妻の美和子の言葉が最強かも?良い本ですよお勧めです。 | ||||
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学芸員や博物館、展示品そのものなどにSFとしての設定が用意されており、本書がSFであることは間違いないです。しかし根本にあり本書の魅力を支えているのは著者が愛してやまないのであろう「美」や「芸術」、そして人の「心」なのでしょう。作中の学芸員たちが奇跡のような検索機能を持ちながら、多くの悩みや疑問を持つ姿は芸術に接する人の普遍的な姿のように思えます。博物館惑星の設定自体が著者の理想と芸術へ抱く不安や迷いを反映しているように感じました。機械と人と芸術、どれか一つでも興味があるならば読む価値のある本です。 | ||||
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未来の博物館とそこで働く脳をコンピュータで直接接続 した学芸員のお話。 ずっと未来の話ですが、そこにいる人々は私たちと 変わらず戸惑いや不安を抱えていますが優しさにも あふれていました。人、美術、機械の未来を温かく見つめる 作品だと思います。 | ||||
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芸術という人間の感性が求められているものと、科学という論理性が要求される、一見すれば相反する二つの要素の中で翻弄される主人公。 「女神」と直結した主人公は、博物館惑星の中でもエリートだが、その立場にとらわれず思考を重ね、人間関係に翻弄され、芸術と科学の狭間で生き続ける。その辺りに深く共感した。 いつか遠い未来、人類は宇宙にこのような天体を作り上げ、その中で人類が生み出してきた数多くの芸術を探求し続けるかもしれない。その気にさせてくれる作品。 私もこのような博物館惑星に、一度は住んでみたいと思う(笑)。 | ||||
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美術品や芸術品を扱う人々というのは、私からは遠い存在だった。永遠の森を読んだ後は、その気持ちが少し薄らいだ。対象を物ではなく、そこに存在する過去をもつものとして捉える。読後は、ありがとうという言葉が素直に言える気がした。 | ||||
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私が書籍や映画のレビューを残そうとする原動力が解った気がする。 そして私達のレビューが、後にムネーモシュネー(記憶の女神)に変貌していくのだろう。美を探求するに最高の職業である学芸員が、分析能力に裏打ちされた冷静さと公正な立場に縛られて、「感動」を忘れていく。 多用されるカタカナ言葉が鼻に付いたが、女性作家ならではのSF的描写の妙も十分堪能でき、どんでん返しともとれる最終エピソードには暖かな涙がこぼれました。 | ||||
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軌道上に小惑星をもってきて、そこをアカデミックなユートピアにする、という設定はとても面白いと思います。それに、近未来、もしかしたら現実にそんなものができるかもしれない、と思うとどきどきします。ただ、重要なキーワードになっている「直接接続者」の説明が不足しているために、どの程度特殊な存在なのかが今ひとつよく解らず、主人公の「エリート性」というのもやっぱりいまいちよく解りません。さらに、各部署の説明もされてはいますが、具体的な描写が殆どないに等しいので、脳内補完するしかありません。全体としては面白いんですが……最後を「ラブソング」で締めるなら、もう少し美和子の描写が欲しかったなと思います。それも、あまり彼女を顧みなかった主人公の視点からすれば当然かもしれませんが。SF好き、設定から自分で想像して膨らますのが好きな人にはいいと思いますが、本の中で完結して欲しい人には未消化な印象が残ってしまうような気がします。 | ||||
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この本で描かれている、博物館は結構変わっていて、私たちが「博物館」と聞いて反射的に思い出すそれとは違います。宇宙にあり、オーストラリア大陸と同じくらいの大きさで、脳から直接博物館のホストコンピューターに接続できる『直接接続者』がいる・・・。そんな博物館は簡単には想像できません。直接接続者の一人である主人公・田代孝弘が膨大な美術品の管理に翻弄されながらも、『芸術』とは何かを、多くの人々や何らかのストーリーを持った美術品との出会いの中でちょうど彫刻を掘るように見出していく姿が私は気に入っています。 | ||||
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幻想的なのに、コンピュータが出ていたり、「サイエンス・ファンタジー(SF)」なんじゃないかと感じました。本当に、未来にはこんな惑星ができているのかも・・・。学芸員が脳と直接接続しているコンピュータ、現在開発中なんじゃないかと思いました。実現は、アトムを作るように難しいのかも知れませんが・・・。ラブソングを聞くと開花する花とか、ロマンチックだったり、ファンタジックだったりするエピソードが、連作のようにつながって一冊になって、「綺麗」が満載。心に夢を忘れたくないけれど、日常に流されて忘れてしまいそうな人におすすめです。ただ、続けて読むと、ちょっと作者の趣味が強く出ているので、好き嫌いには個人差があるかも知れません。 | ||||
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派手な演出があるわけではない。物語の舞台などはSFならではの設定が出てくるにもかかわらず日常を感じさせる。どこかにこの世界が実在するのでは・・・(もしくは未来に実現しうるのでは)と思わずにはいられない。そんな世界でのあたたかいエピソード。 | ||||
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美しい、と思う気持ちはどこから来るのか。壮大なテーマをめぐる短編集。宇宙に浮かぶ衛星が丸ごと博物館になっていたり、学芸員の人達が脳から直接コンピューターにアクセスしたり。とにかくSF好きにはたまらない設定もさることながら、何よりも素晴らしいのは、その文章。先が知りたい、続きが読みたくなる!そんな本が面白くないわけがありません。 | ||||
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