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危険な関係



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危険な関係の評価: 3.57/5点 レビュー 7件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.57pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全4件 1~4 1/1ページ
No.4:
(5pt)

興味深くて勉強にもなる一冊

『枯草の根』が歴代の受賞作の中でも格別にすぐれた作品だったという事が、選評からもうかがわれて興味深かった。
滅多に見かけない新章文子の作品ばかりか、受賞作が出なかった第六回の選評まで読むことが出来たのは、大いに得した気分。
確かに、分厚すぎて持ち歩きはしにくいだろうが……
危険な関係・枯草の根―江戸川乱歩賞全集〈3〉 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:危険な関係・枯草の根―江戸川乱歩賞全集〈3〉 (講談社文庫)より
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No.3:
(5pt)

若者たちの驕りを余すところなく描き出す

1959年に江戸川乱歩賞を受賞し、直木賞の候補にも挙がったという話題作。
古い作品なのでなかなか入手困難なのだが、amazonでこれほどの高値が付いているとは!
僕は近所の本屋の古本フェアで文庫版を購入した(amazonで買ったわけではないのです、すみません)。
それでも、それなりの値段だったけれど。

なかなか読ませる。
青春群像ミステリとでも呼びたい、文学性あふれる内容だ。
傲慢な若者たちの思惑が絡み合い、そこにドラマが生まれる。
物語の半分くらいまで事件らしい事件が起きないのに飽きさせずに読ませるのは、人間関係が面白いから。
逆にミステリらしくなると急に“小説”としての元気が失速してしまうような気がしなくもないが、
意外な犯人(よく伏線が張ってあって、決してアンフェアになっていない)とその動機を知って、
やはりこの小説にしてこの殺人だな、と唸った。

読みたいけど高い…と思われる向きは(そして初版本にこだわらないという方は)、
98年に出版された「江戸川乱歩賞全集(3)危険な関係 枯草の根」という2本立ての文庫本もある。
そちらはまだ1,250円という定価で手に入るようだ。
危険な関係 (講談社文庫 し 8-1)Amazon書評・レビュー:危険な関係 (講談社文庫 し 8-1)より
4061361163
No.2:
(4pt)

選評も面白い文庫全集

第5回(1959年) 新章文子『危険な関係』と第7回(1961年) 陳舜臣『枯草の根』が収録されている。第6回は受賞作なしなのだが、選評だけは掲載されていて、読まされて苦痛を味わったとか、辞引きを買えとかいう選考委員の毒のある嘆きが面白い。

■危険な関係
父の死で莫大な財産を相続した大学生 世良高行は、家族の誰かに毒殺されかけた過去をもっていた。郷里へ戻った高行は、命を狙ったものを探し出すため、狂言自殺を企てる。高行の死を目前にした人々の反応を見ようというのだ。ところが、幾度も練習し失敗しないはず偽装で、高行はそのまま縊死してしまう。偽装を妨害し命を落とすよう仕組まれた何ものかの作為が働いていたのだった。 ・・・

高行、高行の義理の妹 めぐみ、高行の出生の秘密を知る緋絽子、緋絽子の元で働く勇吉、勇吉を慕う志津子。章毎に彼ら登場人物の視点が切り替わってストーリーが展開する。バラバラであったそれぞれの人生を、縺れさせながら高行の死という結節点にもっていく周到さが素晴らしい。欲望まるだしのどろどろした人間関係なしでは成立しないミステリである。

この手のミステリにありがちな強引さは見られないものの、反面、人物描写に力点を置いているゆえに事件の発生そのもののテンポが遅く感じる。犯人の予想もつきやすいし、犯行の動機の点でもミステリとしてはいま一つ。ちょっと引いてみればおかしな所も目につく。だが、著者の文章力に幻惑されてしまったか、些細な瑕疵は気にはならないほど小説としての完成度は高いと思う。

文学指向の選考委員 大下宇陀児のお眼鏡にかなったのが頷ける作品である。

■枯草の根
金融業を営む銘除義の絞殺死体が自室で発見された。犯行のあった夜、最後に彼の部屋を訪れたものは誰か。銘除義が住むアパートの管理人や住人の証言から、事件は不可能犯罪の様相をおびてくる。遅々として進まない警察の捜査。場末の中華料理屋の店主 陶展文は、友の死の真相を探るべく、新聞記者 小島和彦の協力を得て、独自に調査を開始するのだった。 ・・・

江戸川乱歩賞 選考委員たちが絶賛した作品。

陳舜臣さんのデビュー作にして、陶展文シリーズの第1弾にあたる。当時の日本で暮らす華僑の生活や、習俗が作品世界に取り込まれていて興味深いのだが、ミステリとしても完成度が高いと思う。陶展文が解決に至るための伏線のはり方が実に巧みなのだ。被害者の性癖をもとに、アリバイを崩し、全ての謎を解き明かす陶展文の観察眼が見所となっている。どうやら陶展文は、最初からすべてお見通し、余計なことは言いません という超然としたタイプの探偵のようだ。

本作品では、事件の真相が華僑という生き方そのものに関わっている。スケールの大きさを感じるし、ラストは余韻を残す締めくくり方だと思う。

なお、本巻の巻末エッセイは、第29回受賞作家である高橋克彦さん。新章文子さんについてもう少し語って欲しかった。
危険な関係・枯草の根―江戸川乱歩賞全集〈3〉 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:危険な関係・枯草の根―江戸川乱歩賞全集〈3〉 (講談社文庫)より
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No.1:
(4pt)

描く力は有るが、少し現実性に。。。。。

描く力は素晴しいものを持った方の作品ですが、少し現実性には欠ける気がします。陳腐さはありませんが、推理性は少ないと思いました。これだけ書ける方ですから、少し捻ればもつと優れた作品になったことでしょう。この時代の方は、筆力が有ったんですね、このてんは感心致しました。
危険な関係 (講談社文庫 し 8-1)Amazon書評・レビュー:危険な関係 (講談社文庫 し 8-1)より
4061361163

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