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危険な関係
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【この小説が収録されている参考書籍】
危険な関係の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.57pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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第5回乱歩賞(1959年)受賞作品で中島河太郎氏の解説によると三委員の満場一致で即座に決まったとのこと。それほど評価の高かった本書であるが、個人的な感想としては推理小説としてよりも人物描写、特に現代女性たちの人物造形に迫真のものがありその偽悪的な描写が画期的だったのではないだろうかと思う。 京都での立身出世に野心を抱くクールな青年、倉田勇吉。勇吉を慕う出戻りの志津子。大企業の社長の御曹司で自殺未遂の経験のある世良高行。高行の妹の美少女、めぐみ。めぐみの母、おふじ。世良家の運転手、下路。気位の高いバーのマダム、緋絽子。緋絽子の元愛人、木崎。高行の従兄弟でナイトクラブのバンドマスタ、野見山洋一郎。これらの人物が出会い、次第に感情的対立から衝突、ついには犯罪へと危険な関係を発展させていく。 高行の一年前の自殺未遂というのは実は実家から毎月送られてくるヴィタミン剤による毒殺未遂であった。それを高行はあえて自殺未遂と虚をついたのであった。では誰が高行を毒殺しようとしたのか?高行は家族への疑惑を深めていく。高行を中心にした愛憎劇の中でついに殺人事件が発生してしまう。 前半は心理劇、後半は推理劇、解決もほぼ納得のいくものであるが、全体的にやや作為的でここまでやるかという感はある。 女性陣は生き生きと個性が際立っているが男性陣は類型的でありあまり魅力が無い。ただ、京都弁のセリフがアクセントになっておりその柔らかな奥に潜む強さがその人の個性をうまく表現している。逆に京都人が嫌いという理由で京都弁を使わないという個性も納得のいくところである。 終盤に世良家の見取り図が出て来るが(p255)これには重要な手掛かりが含まれており、もっと前か巻頭に提示してくれた方がわかりやすかったと思う。 | ||||
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新章文子が死んだらしいので読んでみたがいやはや読みにくい。京都が舞台で、ナイトクラブだのバーだの「お兄ちゃん」だの血のつながりだの莫大な財産だのと耽美小説みたいな通俗的な道具立てが多く、主人公とも言うべき男は21歳で東京の大学生らしいのだがどういう大学で何をやっているのかまるで分からない。著者は宝塚歌劇出身だが、芸能人が書く小説にはこういうのが多い。ひたすら誰にも感情移入もできず興味もわかない小説である。なお講談社文庫版で読んだのだが、中島河太郎の解説が、乱歩の「ユーモアがある」というのも、平野謙の「日本版ハードボイルド」というのも納得できないと書いているのが、この小説のヌエ的なところを示していておかしい。 | ||||
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『枯草の根』が歴代の受賞作の中でも格別にすぐれた作品だったという事が、選評からもうかがわれて興味深かった。 滅多に見かけない新章文子の作品ばかりか、受賞作が出なかった第六回の選評まで読むことが出来たのは、大いに得した気分。 確かに、分厚すぎて持ち歩きはしにくいだろうが…… | ||||
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どちらも大変優れた作品ですが、別々にコメントを書いていますので、控えます。問題はこの分厚さです。これでは、いかに名作といえども読む気が起こりません。このシリーズを製作された方は本当にこれで本が売れると考えたのでしょうか? | ||||
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1959年に江戸川乱歩賞を受賞し、直木賞の候補にも挙がったという話題作。 古い作品なのでなかなか入手困難なのだが、amazonでこれほどの高値が付いているとは! 僕は近所の本屋の古本フェアで文庫版を購入した(amazonで買ったわけではないのです、すみません)。 それでも、それなりの値段だったけれど。 なかなか読ませる。 青春群像ミステリとでも呼びたい、文学性あふれる内容だ。 傲慢な若者たちの思惑が絡み合い、そこにドラマが生まれる。 物語の半分くらいまで事件らしい事件が起きないのに飽きさせずに読ませるのは、人間関係が面白いから。 逆にミステリらしくなると急に“小説”としての元気が失速してしまうような気がしなくもないが、 意外な犯人(よく伏線が張ってあって、決してアンフェアになっていない)とその動機を知って、 やはりこの小説にしてこの殺人だな、と唸った。 読みたいけど高い…と思われる向きは(そして初版本にこだわらないという方は)、 98年に出版された「江戸川乱歩賞全集(3)危険な関係 枯草の根」という2本立ての文庫本もある。 そちらはまだ1,250円という定価で手に入るようだ。 | ||||
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第5回(1959年) 新章文子『危険な関係』と第7回(1961年) 陳舜臣『枯草の根』が収録されている。第6回は受賞作なしなのだが、選評だけは掲載されていて、読まされて苦痛を味わったとか、辞引きを買えとかいう選考委員の毒のある嘆きが面白い。 ■危険な関係 父の死で莫大な財産を相続した大学生 世良高行は、家族の誰かに毒殺されかけた過去をもっていた。郷里へ戻った高行は、命を狙ったものを探し出すため、狂言自殺を企てる。高行の死を目前にした人々の反応を見ようというのだ。ところが、幾度も練習し失敗しないはず偽装で、高行はそのまま縊死してしまう。偽装を妨害し命を落とすよう仕組まれた何ものかの作為が働いていたのだった。 ・・・ 高行、高行の義理の妹 めぐみ、高行の出生の秘密を知る緋絽子、緋絽子の元で働く勇吉、勇吉を慕う志津子。章毎に彼ら登場人物の視点が切り替わってストーリーが展開する。バラバラであったそれぞれの人生を、縺れさせながら高行の死という結節点にもっていく周到さが素晴らしい。欲望まるだしのどろどろした人間関係なしでは成立しないミステリである。 この手のミステリにありがちな強引さは見られないものの、反面、人物描写に力点を置いているゆえに事件の発生そのもののテンポが遅く感じる。犯人の予想もつきやすいし、犯行の動機の点でもミステリとしてはいま一つ。ちょっと引いてみればおかしな所も目につく。だが、著者の文章力に幻惑されてしまったか、些細な瑕疵は気にはならないほど小説としての完成度は高いと思う。 文学指向の選考委員 大下宇陀児のお眼鏡にかなったのが頷ける作品である。 ■枯草の根 金融業を営む銘除義の絞殺死体が自室で発見された。犯行のあった夜、最後に彼の部屋を訪れたものは誰か。銘除義が住むアパートの管理人や住人の証言から、事件は不可能犯罪の様相をおびてくる。遅々として進まない警察の捜査。場末の中華料理屋の店主 陶展文は、友の死の真相を探るべく、新聞記者 小島和彦の協力を得て、独自に調査を開始するのだった。 ・・・ 江戸川乱歩賞 選考委員たちが絶賛した作品。 陳舜臣さんのデビュー作にして、陶展文シリーズの第1弾にあたる。当時の日本で暮らす華僑の生活や、習俗が作品世界に取り込まれていて興味深いのだが、ミステリとしても完成度が高いと思う。陶展文が解決に至るための伏線のはり方が実に巧みなのだ。被害者の性癖をもとに、アリバイを崩し、全ての謎を解き明かす陶展文の観察眼が見所となっている。どうやら陶展文は、最初からすべてお見通し、余計なことは言いません という超然としたタイプの探偵のようだ。 本作品では、事件の真相が華僑という生き方そのものに関わっている。スケールの大きさを感じるし、ラストは余韻を残す締めくくり方だと思う。 なお、本巻の巻末エッセイは、第29回受賞作家である高橋克彦さん。新章文子さんについてもう少し語って欲しかった。 | ||||
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描く力は素晴しいものを持った方の作品ですが、少し現実性には欠ける気がします。陳腐さはありませんが、推理性は少ないと思いました。これだけ書ける方ですから、少し捻ればもつと優れた作品になったことでしょう。この時代の方は、筆力が有ったんですね、このてんは感心致しました。 | ||||
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