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(短編集)
儚い羊たちの祝宴
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儚い羊たちの祝宴の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.99pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全152件 121~140 7/8ページ
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とある読書サークルのメンバーに起こる事件をテーマにした短編集. 時代も社会背景も明かされないのが, 時代掛かった語り口,全体に漂う閉塞感で,独特の世界観を作り出している. この雰囲気はかなり完成度が高く, 最終章でのサークルの成り立ちに説得力を与えている. 青春小説にあしらえたミステリーの多い米澤氏に,こんな小説も書けたのか?!と,正直,感嘆した. 単におどろおどろしいだけでなく,どこか歪んだ精神世界を巧みに描いた佳作. | ||||
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米澤穂信さんの作品は、『氷菓』をはじめとする古典部シリーズから始まり、いわゆる「ラノベ系ミステリー」(?)の作品に はまりました。それだけに、『インシテミル』あたりからの、方向性の変化を知りつつも今回の作品を読みました。 5篇の作品がどれも浮世離れした上流階級の中の主人公が語り手になっています。 古典的なミステリに絡めた象徴的な表現が「バベルの会」という読書会を接点にちりばめられます。 上流階級という設定に乾いた空気感が漂い、残酷、冷徹、寂しさという言葉を想起させる手助けをします。 なかでも『玉野五十鈴の誉れ』は、結末へ至るまでの伏線の巧みさやどんでん返しに、後味の悪ささえ覚えますが、結末の一行に 「見事だな」と思わずにはいられないあざやかさすら感じます。日本人の因習やこだわりを巧みに引用しているところに、少しだけ、一連の横溝正史の作品にも似た、人間のはかなさや悲しさを感じ、強烈な印象を受けました。 他4篇も息もつかせぬおもしろさで一気読みできました。 表題の『儚い羊たちの祝宴』も上流階級の転落する姿と語り手の怨念にも似た復讐の念が二本の糸をより合わせるように 絡み合い「アミルスタンの羊」のもつ意味が浮かび上がるのです。 古典的なミステリと独特の空気感の融合に、これからの作品が待ち遠しいです。 | ||||
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装丁はきれいでちょっとぐらっとくるが、中身は夢幻紳士とか乱歩好きな人には物足りない。 短編集だと題名で筋が読めるけど出落ち、語り手が花物語みたいだが使い慣れてない雰囲気がするから読んでて醒める。 作者が持っていきたい落ちはこうだろうと大体読めてくるからつまらない。 | ||||
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五つの短編集から成る今作、それぞれの作品のラスト数ページは活目して見よ、「だけ」がこの作品の売りです。 まずは立ち読みでも良いので、最初の一編を読んでからでも買うのは遅くありません。 そこに何かを見出されたのなら、この作品はあなたにとって悪くはない買い物になるでしょう。 | ||||
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米澤穂信さんの作品を初めて読んだのですが、面白かった!特に表題作は途中からドキドキが止まらず。他の米澤作品も読んでみたい。 | ||||
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デビュー作の「古典部」や「小市民」シリーズや「インシテミル」「犬はどこだ」などのいわゆる本格ミステリとはまた異なったクラシカルで耽美的で狂気に満ちた乱歩や横溝正史的な作品集。ミステリというよりホラーに近い。過去の名作のオマージュ的な部分もあり、作者の引き出しの広さに感心した. | ||||
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帯にある「絶対零度」が何を表しているのかはよくわかりませんが、 十分楽しめることは確かです。 独特の世界が繰り広げられ、読み進むといつの間にか物語の世界に引き込まれています。 | ||||
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丹山家の跡取りとして厳格に育てられた吹子にも、大学生になった時に楽しみができた。 それは、読書サークル「バベルの会」への参加だった。だが、参加直前になると吹子の 身近にいる者が殺害されるという事件が起こり、参加できなくなってしまう。翌年も翌々年も・・・。 それらの事件の裏にはいったい何が隠されているのか?「身内に不幸がありまして」を 含む5編を収録。 5編どれもが非常に奇異な話だ。いつの間にか読み手さえも、不思議な空間に引きずり 込まれていく。人間の恨みや憎しみ、そしてねたみなどの思い・・・。それらが腐敗し、 ドロドロとなり渦を巻き、まるで底なし沼のように周りの人間を引きずりこみ、破滅させて いく。読んでいて、そういう何とも言えない恐怖を感じた。5編どれもが、「物語の中に 張り巡らされた複線が、最後の凝縮された一行で見事に浮かび上がってくる。」という 構成になっている。「古典部シリーズ」とはまったく違う作者の別の面が見えて、興味深い。 ありきたりの小説に飽きてしまった人には、ぴったりの作品だと思う。 | ||||
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米澤博信こんなの書けたんだ!とまず驚いた。 傑作、というよりは実験作や意欲作、または野心作と銘打ちたくなる甘美な企みに満ちた一冊。 各話の語り手はいずれも名家に関係する若い女性だが、下働き・妾腹の娘・別荘の管理人とその立場は様々。 彼女達が目撃した、ないし首謀者となった事件について私小説的一人称で綴っていく形式なのだが、全員が何らかの形で「バベルの会」という読書好きな令嬢たちの集まりに関わっている(中にはただ小耳に挟んだだけのものもいるが) だがこのバベルの会なるサークルは登場人物の口の端に上るだけで、その片鱗を窺うことこそできるが、まるでそれ自体が空想上の存在なのではと疑いたくなるほどにその実態は謎のベールに包まれている。 物語は入れ子細工になっている。 桜庭一樹に「青年の為の読書クラブ」という著作があるが、あれが同好会の活動を中心に騒動を扱うのに対し、この本における「バベルの会」は、それぞれ独立した短編としても読める各話を緩やかに繋ぐ共通項として背景に退いている。 優美にして耽美、こだわり抜かれた文体は時代がかった雰囲気を生み出し読者を陶酔に誘う。 名家の因習やしきたり、一族ぐるみの犯罪の隠蔽という全編を貫くキーワードは、登場する家屋敷の独特な存在感とともに綾辻行人の館シリーズを彷彿とさせる。 泉鏡花「外科室」など、それぞれモチーフとなった本が設定されてるのも興味深い。 トリックの解明やロジックの哲理を追究する狭義のミステリーではなく、語られざる騙りの不条理性が幻想に昇華する広義のミステリーとして読むのが正しいかもしれない。 最終話の会長の言を引けばバベルの会は現実に抑圧された夢見がちな少女らの駆け込み寺。 この本で語られる事件が真実だという保証はなく、極論してしまえば全て信用ならざる語り手たちの「妄想」という線もありえ、何通りもの解釈ができるのだ。 | ||||
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ただただ無心に読み、現実に帰る一瞬に身体を心を震わせることになる。 そういう作品です。 気をつけるべきは展開を読むべきミステリではないということ。 フーダニット、ハウダニット、ホワイダニットは大抵の場合容易に分かります。 ラスト数ページとまでいかなくとも、作中に登場する言葉や設定、また作品をみれば自然と想像できるでしょう。 昭和まで遡らなくても、この程度のミステリなどたくさんあります。世界観やキャラクタなども使い古されているものです。 ではなにがすごいのかと考えると、やはり最後の一文なのではないかと。 最後の一行、現実に戻される間際に我々は、はじめて人物の心に真に近づくことができるのです。 人物、世界観、展開、この作品そのものがこの一瞬のために用意された伏線でしかないのでしょう。 犯された殺人もその真相も、この作品の語るところではないのです。 そういった意味で、漫画のように展開を見たいだけのミステリ好きは読むべきではないでしょう。 使い古された動機、使い古された手法でがっかりすることになるはずです。 と、ここまで書いたが、もしかして僕は間違っていたのかもしれない。 このような作品を最後まで読ませる、その文章に注目するべきなのではないか。 | ||||
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短編集になっており、ちょっとした隙間時間で読み進めることができます。1作品ごとに事件の内容が全然違く、最後まで飽きの来ない作品でした。どの短編も、話はこのまま進んでいくのかなと思いきや、ラストでどんでん返し!!微妙な違和感の真相はこういうことだったのかぁと、後からしっくりきます。また、最後の章は作品全体の世界を包み込んでいるような感じです。 不思議な話、怖い話、ミステリー、これら全てが詰まった作品だと思います。お勧めです。 | ||||
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短編集になっており、ちょっとした隙間時間で読み進めることができます。1作品ごとに事件の内容が全然違く、最後まで飽きの来ない作品でした。どの短編も、話はこのまま進んでいくのかなと思いきや、ラストでどんでん返し!!微妙な違和感の真相はこういうことだったのかぁと、後からしっくりきます。また、最後の章は作品全体の世界を包み込んでいるような感じです。不思議な話、怖い話、ミステリー、これら全てが詰まった作品だと思います。お勧めです。 | ||||
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この作者の他の本は知らないので、この作品に限った評価とします。 全体に、昭和の時代に山ほど書かれた奇譚本の焼き直しにすぎない。 これを読んで面白いという人には是非、江戸川乱歩の作品群を読んでみてほしい。 これよりずっと濃くて、耽美的で、熱くて、グロテスクで、 その世界が好みの人にとっては面白いはずです。 つまりこの作品は、江戸川乱歩ほか昭和の耽美的奇譚派がさんざん書いてきたテーマを、 水で溶いて薄めてスケールダウンして、しれっと世に出したような作品です。 今の時代に改めて書くに値するような新しい要素が、何かこめられている訳でもない。 ラスト1行の衝撃など、瑣末すぎる話です。 読書歴の浅い読者層を、騙すな。 | ||||
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この作者の他の本は知らないので、この作品に限った評価とします。 全体に、昭和の時代に山ほど書かれた奇譚本の焼き直しにすぎない。 これを読んで面白いという人には是非、江戸川乱歩の作品群を読んでみてほしい。 これよりずっと濃くて、耽美的で、熱くて、グロテスクで、 その世界が好みの人にとっては面白いはずです。 つまりこの作品は、江戸川乱歩ほか昭和の耽美的奇譚派がさんざん書いてきたテーマを、 水で溶いて薄めてスケールダウンして、しれっと世に出したような作品です。 今の時代に改めて書くに値するような新しい要素が、何かこめられている訳でもない。 ラスト1行の衝撃など、瑣末すぎる話です。 読書歴の浅い読者層を、騙すな。 | ||||
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【北の館の罪人】の、北の館にもしも「住む」ことになったら・・・ 働くこともなく、誰に起こされ指示されることもなく、 食に困ることもなく・・・ 【山荘秘聞】のように人知れず匿われることになったのなら・・・ そのどちらも誰にも気付かれることのない「楽」な生活。 同時に「比べられることのない怠惰な時間」。 いろいろな記憶が、余計な思惑に踊らされ、 ほんの少し、憧れる。 イヤな自分を垣間見る。 儚い一瞬の十六夜が、心地よく嘆かわしく私の日常に降りてくる。 「ここ」に住む、つもりはない。 | ||||
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【北の館の罪人】の、北の館にもしも「住む」ことになったら・・・ 働くこともなく、誰に起こされ指示されることもなく、 食に困ることもなく・・・ 【山荘秘聞】のように人知れず匿われることになったのなら・・・ そのどちらも誰にも気付かれることのない「楽」な生活。 同時に「比べられることのない怠惰な時間」。 いろいろな記憶が、余計な思惑に踊らされ、 ほんの少し、憧れる。 イヤな自分を垣間見る。 儚い一瞬の十六夜が、心地よく嘆かわしく私の日常に降りてくる。 「ここ」に住む、つもりはない。 | ||||
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腰巻きには「あらゆる予想は、最後の最後で覆される。ラスト1行の衝撃にこだわり抜いた、暗黒連作ミステリ」とあり、ランキング本などでもそのように解説されていますが、率直に言ってそうではありません。こうした惹句どおりの衝撃を求めるなら、佐野洋の短編集の方が遙かに驚きに満ちています。「あらゆる予想は、最後の最後で覆される」という惹句は、この短編集の持つ凄みをきちんと表していません。収録された5編には、確かに「ラスト1行の衝撃」がありますが、それは読者の予想を覆す、とかではなく、見る気もなかったグロテスクな美術品を、気がついたら凝視していたような、そんな衝撃です。 5編の短編は、いずれも基本的に若い女性の一人称で語られます。女性は、裕福な家庭に暮らす令嬢、あるいはそうした家庭に使える使用人です。そして、明にあるいは暗に、殺人が関わってきます。これらの殺人にも共通点があります。殺人とは、いうまでもなく人が人を殺す行為ですが「儚い羊たちの祝宴」の5編で描かれる人を殺すという行為には、悪意や恨み、後悔といった感情が一切伴っていません。その歪みっぷりの怖さが、最後の1行で最大化される巧さが、5編に共通しています。高所恐怖は、上空1万メートルよりも地上数十メートルの方が大きかったりしますが、人間性の歪みとそこに起因する怖さというものも、まったく理解不能な行動よりも、常識的な感情からわずかに、しかし画然とずれてしまっている心理をつきつけられる方が衝撃的だということでしょう。 | ||||
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腰巻きには「あらゆる予想は、最後の最後で覆される。ラスト1行の衝撃にこだわり抜いた、暗黒連作ミステリ」とあり、ランキング本などでもそのように解説されていますが、率直に言ってそうではありません。こうした惹句どおりの衝撃を求めるなら、佐野洋の短編集の方が遙かに驚きに満ちています。「あらゆる予想は、最後の最後で覆される」という惹句は、この短編集の持つ凄みをきちんと表していません。収録された5編には、確かに「ラスト1行の衝撃」がありますが、それは読者の予想を覆す、とかではなく、見る気もなかったグロテスクな美術品を、気がついたら凝視していたような、そんな衝撃です。 5編の短編は、いずれも基本的に若い女性の一人称で語られます。女性は、裕福な家庭に暮らす令嬢、あるいはそうした家庭に使える使用人です。そして、明にあるいは暗に、殺人が関わってきます。これらの殺人にも共通点があります。殺人とは、いうまでもなく人が人を殺す行為ですが「儚い羊たちの祝宴」の5編で描かれる人を殺すという行為には、悪意や恨み、後悔といった感情が一切伴っていません。その歪みっぷりの怖さが、最後の1行で最大化される巧さが、5編に共通しています。高所恐怖は、上空1万メートルよりも地上数十メートルの方が大きかったりしますが、人間性の歪みとそこに起因する怖さというものも、まったく理解不能な行動よりも、常識的な感情からわずかに、しかし画然とずれてしまっている心理をつきつけられる方が衝撃的だということでしょう。 | ||||
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五話の連作からなるホラー寄りミステリ。 静かでひんやりとした雰囲気のなかに ゾクっとする所が時々あって面白かったです。 昭和中頃のレトロな館などを舞台に 共通して登場するのは読書を愛する者が集う「バベルの会」。 上流階級に属する人々が集まるこの会は 実際に活動している場面はありません。 ですが、それぞれの短編で少しだけ語られる事で 人間関係が見えてくるようになっているのも良いですね。 個人的には「北の館の罪人」が好きでした。 彼はどんな思いで塗ったのだろう、 彼女はその色をどんな思いで見たのだろうと思うと… まさに一行の意味するところに怖さを感じました。 「ラスト一行での衝撃」にこだわったというだけあって 最後の一行でぞわっとさせられて面白かったです。 どんでん返しというよりはそこでじわっと黒いものが広がるような… じっくりと読みたい小説。 | ||||
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五話の連作からなるホラー寄りミステリ。 静かでひんやりとした雰囲気のなかに ゾクっとする所が時々あって面白かったです。 昭和中頃のレトロな館などを舞台に 共通して登場するのは読書を愛する者が集う「バベルの会」。 上流階級に属する人々が集まるこの会は 実際に活動している場面はありません。 ですが、それぞれの短編で少しだけ語られる事で 人間関係が見えてくるようになっているのも良いですね。 個人的には「北の館の罪人」が好きでした。 彼はどんな思いで塗ったのだろう、 彼女はその色をどんな思いで見たのだろうと思うと… まさに一行の意味するところに怖さを感じました。 「ラスト一行での衝撃」にこだわったというだけあって 最後の一行でぞわっとさせられて面白かったです。 どんでん返しというよりはそこでじわっと黒いものが広がるような… じっくりと読みたい小説。 | ||||
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