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まひるの月を追いかけて
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まひるの月を追いかけての評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.15pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全34件 21~34 2/2ページ
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静は三十代前半の女性である。 彼女には異母兄がいるが、その研吾が奈良で消息を絶ったので一緒に捜してくれないか。 研吾の彼女に頼まれて、静は優佳利とともに新幹線に乗り込んだ。 研吾はなぜ消息を絶ったか、生きているのか死んでしまったのか、殺されたのか。 「まひるの月」はオーソドックスなミステリではないと思う。 細かいどんでん返しが多く、先を予想して読むことがむずかしい。 2回ほどどんでん返しされたところで、ミステリを読んでいるという意識をやめて、物語の流れに身を任せてしまったら急に楽になった。 光の帝国(常野物語)シリーズとは関係ないのですが、常野物語の一部分を読んでいる錯覚を起こす。 どこか繋がって居るんじゃないかと思いながら読んでいた。 奈良という舞台だから、だろうか。 ところで、この物語はオープンエンディングなんですよね・・・ びしっと終止符を打っているように見えて、オープンエンディング。 これって、今までの物語はなんなのよ。 正直なところ少々ムッとしました。 | ||||
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飛鳥、山辺の道、奈良公園、法隆寺、そして再び飛鳥と、主人公は散策の旅(とはいえ、決して楽しいばかりではない旅)をします。 主人公が誰かと語らいながらひたすら歩くという意味では、同じ作者の『夜のピクニック』を思わせるのですが、両者は、何と遠いことでしょう。 『夜のピクニック』では、作品を成立させるためには、確かに主人公達がその距離を歩くことが必要だったと、誰もが思うことでしょう。しかし、本作では、そうした必然性は全く感じられません。しかも舞台が著名な観光地なので、どうしても観光地とタイアップしたできの悪いテレビドラマを見せられているような気になってしまいます。「橘寺」と書いた瞬間に、その場所を知っている読み手にとってイメージは固定されてしまいます。それはこの作者のように、半醒半夢の架空世界を見事に構築できる作者にとっては、足枷にしかなっていないような印象を受けてしまうのです。 何もわざわざ奈良まで出向かなくても、同じシチュエーションで、たとえば手紙のやりとりだけで短編にまとめてしまうことはできなかったのだろうか、と残念に思います。 | ||||
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各章に添えられた童話は何なのだろう?哀しげな感じだけれども、それ以上のモノでもなかった。 何が哀しいかと言えば、やはり顔が分からないままに終わってしまった登場人物かもしれない。謎は謎のままでも良いけれども、最後に強引さが感じられました。 | ||||
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奈良の明日香村を舞台にしたせいで、こういう作品に仕上ったのかもしれない。 行方不明になった兄を探しに奈良に向った妹静が、兄の恋人と兄との三角関係の傍観者の筈だったのに巻き込まれてゆくその展開が、記憶喪失の人が記憶を取り戻すような感じで明るみに出る様々な謎。 人は大人になってもトラウマに縛られるのか。 愛しても返してもらえない関係は、人を無力感で一杯にしてしまうのか。 ラストの締めも、登場した女性を姿だけに留め、具体化させない。 全て掘り下げず、あいまいなままで終る。 まるで明日香村の何も無い山だけに囲まれる景色を物語にしたようで、心もとない本になった。 | ||||
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失踪した異母兄弟を探すため、彼の恋人と名乗る女と奈良に旅に出る。言ってしまえば、ただそれだけのお話だが、恩田陸の筆致+奈良の幻想世界感で、瞬く間に極上のミステリーに変化する。恋愛ミステリー…かな? 紀行小説とも言えるぐらいの情景描写。 奈良は同じ古都・京都とは違う独特な雰囲気を持っていると思う。 物語の中でもそういった奈良の雰囲気を活かした、幻想的な世界観を前面にした、全体的に「ぼやけている」話に感じた。 その「場所」を想起させるだけではない。 その「場所」に行って見たいと思わせる文章力がある。 明日香や東大寺、春日大社は教科書などの上では知ってはいても、実際に行った事のある人は少ないのでは。 ちょっと前、橿原神宮(作中にもたびたび登場)に行ったのだが、やっぱり良かった。こちらはあまり馴染みはないかもだけど、かなり荘厳。 ハードカバーはちょっと重いけど、文庫が発売したら、それを片手に奈良散策をしてみたい。そう思える本だった。 タイトルと表紙写真も最高ですよ。 「自分の考えていること、自分が感じていることは、大部分が自分の中では形になっていない。無意識のうちに自分を律している場合もあるし、自分を本当の意味で客観的に分析できないでいる」 351ページより | ||||
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失踪した異母兄を探す旅。彼が本当に愛しているひととは?石灯籠が出てきますよ。何故か終始夢見ているような浮遊感。乗り物酔いがひどく旅行は苦行。車内での飲食なんてもってのほか、ましてや酒なんて有り得ない。そんな人間でも土地のちからに惹かれて旅してしまいそうです。作者の実在の土地シリーズ(勝手な縛り)としては上手くいっているような気がします。ストーリーとしては失踪した男性をその異母妹と彼にまつわる女性ふたりが探す旅。全体として装丁のようなくすんだ青ともグレーともつかない色合いの小説。彼の本命が判ったとき、異母妹にとっては別の戦いが始まります。女の戦いはあらゆる位置から勃発。まひるの月を追いかけたのは誰?なにをもって「まひるの月」とするかで違ってきます。 | ||||
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かの恩田さんが書いたにしては、いたって普通なミステリー小説。主要登場人物3人が織り成すミステリアスな物語。京の都を旅する二人女性とそれ二人にかかわりのある男性との、一風代わった恋愛ミステリー。しかし、この物語は登場してこない過去の人物の存在が強烈大きく、そこがミソとなっており、ラストも「これからが・・」という終わり方。こういったところはやはり恩田さんの筆力を感じますが、なんか前半の物語にはいつもの恩田パワーを感じませんでした。2転3転するお話も面白いのですが、ややありきりのような。 要は解りやすすぎるのではないでしょうか。「Q&A」「ユージニア」から恩田ワールドに入門した私にはいささか物足りない一冊でした。 | ||||
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何かの雑誌で絶賛されていたので、とても楽しみに読んだのですが、どうも期待外れでした。ラストも驚きと言うよりはどうして?と言う気持ちの方が強くて、主人公に同情の気持ちしか生まれませんでした。 | ||||
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ある一人の男性を追いかけて、奈良へ旅する女二人。 彼がたどった奈良の観光地を、彼女たちも順に辿っていきます。 彼・彼女たちが抱えている秘密とは一体何なのか・・・ 旅の間に、秘密が明かされたりはたまた謎が増えたり。 一体この旅はどういった旅になるのか・・・。 この本に登場する奈良の観光地が、とっても魅力的です。 行ってみたいと感じさせられる描き方をされています。 ミステリ色は薄い作品ですが、他の恩田陸の作品に多いように この作品も、ラストはいまいちすっきりしません。 「黒と茶の幻想」が好きな方にとっては、この本も お気に入りの恩田作品のひとつになるのではないでしょうか? | ||||
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ローカル線をメインとした旅を描かしたら恩田さんの右にでるものはないだろう。そして、濃密な人間の内面描写も。この物語は女二人が消息不明になった男を捜し求めることから始まる。しかし、なぜ語り手がこの旅に引き込まれたのか違和感が最初から付きまとう。彼女は語り手でありつづけるが硬い関係を築いてきたはずの登場人物たちを見て当人は常に添え物であるという意識をもちつづける。それは読者も共有する違和感だろう。物語は終盤に入り最後のどんでん返しが用意されている。はたして主人公は誰だったのだろうか?これは恩田さんが残した謎ではなく読者の感性が読み解く謎ではないか?黒と茶の幻想では登場しなかった人物が主人公だと思っている。そして、この物語では名前さえ出なかった人物が主人公ではないだろうか。語り手たちが夢に向かって歩いてゆくところで物語は終わる。 | ||||
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読んでいる人間をはっとさせるような、身近な感覚の追体験による日常の再構築を可能にする…というより、こちらに日常の再認識を迫りさえする、情景描写は相変わらず健在。 その日常も、時代背景を現代の日本に置きながら、旅路という日常からの離脱(もしくは剥離)をテーマとし、舞台を悠久の時間を湛えるそれ故に変化も最小限しか許されていない奈良に設定することで、二重の意味での非日常の中での限定された日常であって、常に裏切りの契機をはらんでいる。 物語本体の進行と、章ごとに挿入される小さなエピソードの調和も、道すがら見つけた目を惹く小石を拾って味わうささやかな幸せのように、こちらの期待を喚起するものがある。 ストーリー自体も、二転三転する真相と余韻を残す幕引きで、結末に漠とした不満を感じないでもないが、全体として時間の感覚が引き延ばされているような濃密な、それでいて感情の速度も感じさせてくれる、期待通りのものだったように思う。 まあ、期待の上を行ってくれた方が嬉しいけれど。 | ||||
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とりあえず、この作者の本は全部読むようにしています。 多才な作家ですから、好きになれる作品もあれば、今ひとつ好きになれないものもありますが、 この作品は、「これこれ、こういうのが読みたかったんだよなあ」と思わずほおずりしたくなるほど好きな作品でした。 メロドラマ? ですねえ。 なんだか、「きっと、こうなるにちがいない。」という読者の予想を 裏切らずに、物語が進んでいきます。 それはそれで読書の楽しみですから、私は好きでした。 筋が決まり切ったルートをたどる分だけ、 人物描写も結構紋切り型で、必要最小限の言葉しか使っていない分だけ、 風景の描写が心に残ります。 何度も、何度も繰り返し語られる夢の風景。 この作者の言葉の力を堪能させてくれるところです。 奈良に行きたくなりました。 | ||||
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ミステリであるような、ファンタジーであるような、なんとも言えない恩田作品の世界が好きでよく愛読している。今回も新作が出たので読んでみたのだが・・・。前半はミステリっぽい雰囲気があり、物語の世界にぐいぐいと引き込まれていったのだが、途中からは話が中だるみしたり、ストーリー展開に無理があるように感じた。奈良を舞台として設定した辺りは独特の世界があったんだけどなあ。次回作に期待。 | ||||
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失踪した異母兄を追って、彼の恋人と妹が二人で、彼が行方を絶った奈良へ同行する話です。会話しながら旅行するのは『黒と茶の幻想』のようだし、今ここにはいない人の話をするのは『三月は深き紅の淵に』の『出雲幻想曲』を彷彿とさせます。いつも異質なものを書いているかのように見える恩田陸作品は意外と同じ主題をリプライズしていることに改めて気付かされました。よく恩田作品を読む人間なら似たような主題のリプライズと謎の仕込みに多少物足りなさを感じるのは否めないかも。結構人間関係が錯綜している割には関係の具体的な描写などはなく、品の良さを感じました。地図を片手に本で辿っているルートを照合して、奈良の旅行ガイドとしても、結構いいのではないでしょうか。7時間ルートを逆!から辿って見たいと思わされました。 | ||||
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