夏の名残りの薔薇
- ホテル (42)
※タグの編集はログイン後行えます
※以下のグループに登録されています。
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点5.00pt |
夏の名残りの薔薇の総合評価:
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
全1件 1~1 1/1ページ
| ||||
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[?] ネタバレを表示する
| ||||
---|---|---|---|---|
この人の作品はわずか二、三冊しか読んでいないが、どれも話の境界がハッキリしなかったり、結末も曖昧なまま終えると云ったスタイルが多いようだ。この物語も、辺鄙な山奥に建つグランドホテルに毎年集まる人たちと、招待をする大きな力を持つ企業の創業者の娘三人。この三人姉妹がディナーの席で語る不思議な話を聞かされるのが通例だった。一人ひとりの人物の目線で物語が語られるが、少しずつ物語が変化していく。記憶の底に沈殿した過去の犯罪を掘り起こす物語だが、陰湿で最後の解決も曖昧模糊として不確かなままで終わる。こういった恩田ワールドが好きな人には良いだろうが一般的とは言い難い。でも雰囲気のあるなかなか読ませる作家ではある。 | ||||
| ||||
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
これもまたいかにも恩田さんらしさ満載の作品です。一見ミステリ仕立てでいてミステリではなく。難解で知られるアラン・レネ監督映画「去年マリエンバードで」からの引用が、随時、間にはさまれ、複数の人物が自分の内面を語り、それぞれの視点から状況を見ている、その視点は当然ひとりだけのものに限られるため、全体的な真実がたち現れてくるまでにはかなり時間がかかります。 まず導入部分に心奪われます。山裾に広がる見事な紅葉の森。その色彩の鮮やかさ。そこから一転、夜中に降り積もった雪で一面真っ白になった山頂のクラシックホテルはまさに”雪に閉ざされた山荘”となり、強風にあおられる窓がじわじわと不穏な恐怖感をかきたてます。 資産家の沢渡家が貸切にしたそのホテルで、どこか常軌を逸したような変わった3姉妹が毎年開く豪華なパーティ。 彼女たちが毎晩ディナーの席で披露する奇怪な話はどこか残酷童話を思わせ、そこだけでまるで怪奇小説のように鬼気迫ります。 招待客は誰もが一癖ありそうな人物ばかりで、親族の御曹司に嫁いだ美貌の桜子と近親相姦の関係にあるその弟。一見おっとりした桜子の夫や、もう1人の桜子の愛人、情緒不安定な女優とそのマネージャー、なぜ招待されているのかよくわからない大学教授などなど、そしてすでに故人ながらいまだ強い影響力を感じさせる沢渡家の祖父の影・・。彼らが交わす当たり障りのない上品な会話が、余計にこれから起きる惨劇を予感させぞくぞくします。 映画化されたらなかなか密度の高い作品になると思うのですが、読みながらどの俳優さんが役にふさわしいかあれこれ考えてしまいました。 1章目で殺された人物が第2章では当たり前のように生きていて、事件はなかったことになっているということが何度も繰り返されます。本当に殺人事件は起きたのか、それとも・・?真相は最後まで明らかにならないため、とりあえずすべてを頭において保留の状態で読み続けなければなりません。 この間を雰囲気に酔いしれて楽しめるか、それともただ忍耐だけでいらいらするか、このあたりで好き嫌いが分かれると思います。はっきりした現実的な話が好きな人や、本格ミステリつまり”犯罪がおき犯人がいてそれがちゃんとあばかれる”話を期待する人は好きになれないかもしれません。 映画化されて有名になった「夜のピクニック」や「蜜蜂と遠雷」など健全で”まとも”な作品でファンになった方は、その延長でこのようなお話を読むとびっくりするかも。が、恩田さん本来の個性はむしろこちらの方でしょう。 ネタばれするのであまり書けませんが、最後のシーンであの人物とあの人物がなぜ一緒に旅立っていくのかが理解できませんでした。過去、記憶、妄想、願望などが渾然一体となって描かれ、ここは映画になぞらえてあるのだと思いますが・・。ここを省けば星5つです。恩田さん作品の中でもベスト5に入るものすごく好きな雰囲気でした。 杉江松恋氏による恩田陸作品についての解説がとても的を得ていると思います。また、そのあとの恩田さん本人へのインタビューも、子供の時からの読書歴や作品のバックグラウンドを知る上でとても参考になります。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
パラレルワールド的なノリが好きではありませんでした | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
恩田版「匣の中〜」かなって感じだ。 とにかく、読んでいて何が起こっているのか、という点に興味がわく。 リーダビリティは満点だし、なにより相変わらずの恩田節だ。 つまり、登場する女性陣が、みんな強い、強すぎる。 ネットでの評判は、あまり芳しくないようだな。 でも、私は面白かったよ。 それなりの収束はするしね。 まあ、この着地点だと確かに文句も言いたくなるとは思うけど。 でも、第一変奏と第二変奏とを読めば、気づくことがある。 それが本作のテーマだと理解できれば、本作はとても楽しめる。 途中に挿入される「去年マリエンバート〜」は、雰囲気作りには良いのかもしれないが、少々リーダビリティを下げている。 これは要所だけの挿入でもよかったんじゃないかな。 相変わらず登場人物のイメージが曖昧だが、それもまた恩田節であるし。 本格読みは怒るかもしれないが、作中でも言及されている「ドグラ・マグラ」を許容できる人には評価されてもいいと思うね。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
クラシックな趣のホテルに年に1度集まる男女。 その年は、いつもの年とはなにかが違っていた。 不吉な前兆と発生する事件。これは現実? 1961年にヴェネツィア国際映画祭金獅子賞受賞を受賞した映画「去年マリエンバートで」をモチーフにした恩田陸さんらしいミステリ。 三人称多視点で、ある日の出来事を語るという試みは恩田陸さんがお得意とするところですが、この作品では第1章で語られた変死事件が、次の章では「無い」状態で話が進んでいきます。 どこまでが現実で、どこまでが登場人物の妄想なのか曖昧な境界のまま、ストーリーが進んでいき、いつの間にかその曖昧な境界線がぼやけてくるような錯覚に陥ります。 恩田陸さんの作品は「結末を開く」ものが多く、モヤモヤ感を残しすぎるのがある意味難点ですが、これは比較的閉じて頂いた作品だと思います。 でも、読んでいてちょっと疲れた……酔ったかな。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
山深い古いホテルで殺人事件が起こる。 が、次の章に入ると前の章の殺人が打ち消され物語が続き、次の殺人が起こる。ってな具合に話が進む。 最初の章を読み終わって次に進むと、殺人が起こる少し前の場面から物語が始り、前章で殺されてた人が普通に現れたので戸惑った。3章からは馴れたけど。 あと章毎に語り手が変わるのも特徴的。 次は誰が語るのかが毎回楽しみだった。 恩田さんの本はわりとピュアというか…学園モノとか時空を超えた愛とか…あまり男女の関わりが強調(強調って程でもないか…?)されたものって今まで無かったけど、夏の名残の薔薇はそう思うとだいぶ踏み込んでいる気がして新鮮だった。 登場人物が交代で語っていくので、色々な人のモノの考え方や登場人物の印象が違っているのも面白い。 私が特に好きなのは、核となっている女性の実業家の旦那さん。 見た目や周りの印象は、『人の良い3代目』。私も他の人たちが見るこの人の印象はぼんやりした腑抜けっぽい感じだった。 だけどこの人の視点で物が語られている時、印象は逆転。 頭の回転が速い、裏を読む、ビジネスマン。そして、所有欲の強い男。 まぁ…この人の心の声…怖いわ(笑) でも好き。恩田さんの本にはこの裏表あるタイプの男性、男子がよく登場するように思う。 それぞれの登場人物も人間的欲や感情に溢れる裏が垣間見えて殺人事件を通して見える感情劇がミステリよりも見ものかも。 あと、この本も恩田さんおなじみの閉じない物語になっている。 | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 18件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|