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オリンピックの身代金
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【この小説が収録されている参考書籍】
オリンピックの身代金の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.16pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全178件 101~120 6/9ページ
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安かったので購入しました。表紙に多少云々とありましたが、ガムのようなベタつくものが表紙タイトルにかかるかんじで残っていました。 中身は綺麗で栞につかえるヒモもついてて良かったんですが、未だにベタついてるものがついてる・・・これはいかがなものかと思って、星を1つ減らしました。 奥田英朗さんの作品は久しぶりだったんですが、こういうシリアスなものも書かれるんだ~と。 登場人物が多すぎるので、時間のある時に集中して読みたいです。 | ||||
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上下巻を読んでの感想。 結末以外は抜群に面白い。しかし、小説として完結していない。これは未完の作品なのか? この作品の構成は、事態の推移を、犯人、警察、その他の関係者、それぞれの視点から描くというものだ。それも、時系列を少しずつずらしてある(基本的に、警察から見た事実が先に描かれ、犯人側の事情はあとから「種明かし」のように描かれている)。もとより、犯人側だけの事情、警察側だけの事情は、片方の視点でしか描けないのは当然だが、少なくとも、両者が出会った場面が、一方の視点からしか描かれない、というのは、この小説の構成からすれば「あり得ない」はずだ。 最大の問題は、クライマックスのオリンピック開会式、犯人と警察の最後の対決の場面が、警察側の視点でしか描かれていない、ということである。最後に犯人が何を考えたか、それを描かないのでは、この小説に意味はない。これだけ長い作品の最後で、あんな「手抜き」(とあえて言うが)をやられては・・・。もっと前の、東京駅での1回目の現金受け渡しの場面など、警察、犯人、両者からの視点で見事な描写をしていたのに。 時代背景の描き方は、昭和34年生まれの奥田英朗自身の記憶がベースになっているから、ちゃんと実感がある。少し下の世代の私が読んでも不自然さは感じない。ただ、犯罪小説だから仕方ない面もあるが、社会の裏側というか、影の面に紙幅の大半が割かれており、普通の人の普通の生活は、少ししか出てこない。警察側の主人公・落合の私生活の部分とか、ビートルズに憧れる古本屋の娘くらいだろうか。 その意味では、「平成世代」が、この本を「昭和30年代」についての教科書として読むと、いろいろカン違いをすると思う。あの時代を知りたければ、もっといろんな本を読んで多面的に印象を積み重ねた方がいい(一番いいのは、当時の日本映画(当時の「現代劇」)を、幅広いジャンル、監督で30本くらい見ることだと思うけどね)。 | ||||
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あまりにも面白くて、出張中にも関わらず数日で一気に読み抜いた。サスペンス小説としても十分面白かったが、犯人と警察の対決劇が盛り上がるのは下巻。上巻ではむしろ高度経済成長期の光と影に描かれる格差に切なくなる場面が多かった。 どんどん豊かになる生活にこれからは俺達の時代だと希望に胸を膨らませる人々がいれば、(経済企画庁が高らかに謳った)「もはや戦後ではない」という言葉は東京だけの話ではないかと呟く人々がいる。オリンピック成功に誇りをかけて一致団結を謳う人々の陰に、人柱となることでしか生活できない人々が描かれる。「聖火リレーは覚えているけどねぇ。東京だけだったんじゃないの、そこまで盛り上がっていたのは」という鹿児島出身の義母の言葉を聞き、この描写も決して「作りもの」ではないのだなと思いながら読んだ。 物語を楽しみつつ、昭和の良き時代に想いを巡らせる。当時を知らない自分にはとても有難い小説だった。 | ||||
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高度経済成長期の光と影に描かれる格差に切なくなる場面が多かった上巻に対して、犯人と警察の対決劇が盛り上がる下巻。頁をめくるスピードも上がる。 警察の動きはリアルに感じる一方で、「これで警察の目を欺けちゃうのか」とか「かなり限られた時間でこんな計画をよく練れたな」と思う場面もなくはなかったが、これは御愛嬌の範疇。 島崎国男の最期は分からない。東京オリンピックという歴史的事実を背景に描かれる物語故に、むしろこういう幕引きで良かったと思う。 物語を楽しみつつ、昭和の良き時代に想いを巡らせる。当時を知らない自分にはとても有難い小説だった。 | ||||
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面白いのは間違いないけれど、東京VS地方という設定や東京オリンピックを敵役にするという点は少し無理があるような… 他の方が長野の例を書いておられましたが、昭和1ケタ生まれの父親が戦時中岡山の親戚の所に2歳上の兄と一緒に縁故疎開したときも、東京ではお目にかかれなくなっていた銀シャリと鶏の卵を毎日食べさせて貰えたと言っていましたし、少なくとも東京オリンピック当時には電話もあったし、停電が頻繁にあったなんてこともなかったそうです。 つまり東京オリンピック当時東北(の貧村)は貧しかったのでしょうが、東京以外の地方が押し並べて貧しかったわけではありませんよね。 そして東北が貧しいのは戦前というか江戸時代以前からの話で、高度成長期に限った話ではありませんし、東北の富を奪って東京が栄えた、という関係があるとも思えません。 東北から出稼労働者が高度成長を支えたのも間違いないと思いますが、同時に対価である賃金は(極めて安かったとしても)その一部が仕送りという形で東北の家族に送られていましたし、逆に出稼ぎに出なければ東北が豊かであった筈だという人もいないでしょう。 だから東京オリンピックによって東北の出稼ぎ村も少しは豊かになったが、東京との格差は絶望的な程大きかった、というのが正解ではないかと思います。 言い換えると、東京が急速に豊かになったのに対し、東北(の貧村)が豊かになるスピードが非常に遅かったということだろうと思います。 またオリンピック関係の建築工事による死亡者数(新幹線やモノレール建設も含め)の多さについても作者は触れていましたが、当時の建設業における労災死亡者数は毎年2千数百名(MAXは昭和36年の約2,700名)に及んでおり(因みに平成23年は342名)、全般的に労災が多かったというか、人の命が安かった時代だったのであって、オリンピックのせいだとも言えないように思います。 格差への憤りをきっかけに国家権力に対する直接的行動に出る純粋な若者、というスト―リーは大変面白いのですが、東京オリンピック当時の社会状況を現在の尺度・基準で批判しているという面は否定できないように思います。 | ||||
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東京タワーの工事を小学校の校庭から眺め、オリンピックを高校1年生で経験した団塊の世代の一人として、この時代、日本中が熱狂したこの時代の光と影を描き切って余すところがない。本書では触れていないが東京をきれいに、外国人に恥ずかしいところは見せたくない、とばかりに国立競技場のある千駄ヶ谷周辺地区では便所の汲み取りを一時停止しようとして物議を醸していた。まだそのころ水洗便所は完全に普及していなかった。学校では見学者を募り、私はサッカーを見に行く予定であったが、北朝鮮がボイコットしたため実現しなかった。アメリカの道路は舗装されている、後進国の道路は未舗装、東京の道路は鉄板が敷いてあると言われたほどいたるところで道路が掘り返され、建設が行われていた。その工事には多くの出稼ぎ者が建設労働者として参加、過酷な労働環境の下で働かされていたことがよくわかった。「東京は、祝福を独り占めしでいるようなとごろがありますねえ」と郷里から夫の死により上京してきた妻に語らせている。しかし、興奮の渦中にいた自分には思いもよらぬことであった。石原都知事がナショナリズムの復活と、景気回復のてこいれとして、オリンピックの招致に動いているがとんでもない。もういい、止めてくれと言いたい。 | ||||
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いろいろ考えさせられた作品でした。 「ありえない?」と思いながらも、登場人物にどんどん感情移入してしまい、一気に読んでしまいました。 地方出身ですが、東京に住む人たちは地方にまったく興味が無いんだな。とよく思い知らされます。東京だけしか存在しなければ、あっというまにたちゆかなくなってしまうでしょうに。 父母は毎日田畑を耕して、できた野菜を食べ、米を売って金銭にしていました。(会社勤めもしておりましたが) それゆえ、食べていくためには、本来汗水たらして手足を動かすべきという考えが根底にあります。 ですが、東京にかぎらず今の日本は汗水たらして報酬を得る人はわずかで、よくわからない仕事で多額の報酬を得ることができる。これでいいのか?という気持ちは常にあります。特に都市部で暮らしたころは葛藤がありました。都市部で育った友人に違和感がありました。 ありえない?と思って読み進めましたが、ありえたかもしれません。 実際アメリカがテロに攻撃されたように。 昔と比べ世界は狭くなっています。テレビやインターネットを介して。自分たちのことしか知らない時代はそれなりに幸せだったのでしょうが。 私たちは生活そのものを、幸せというものを、もっともっと考えるべきだと思います。 | ||||
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ストーリー自体は下らない。それで、東京オリンピック当時の雰囲気を出そうとしてあれこれ調べて書きこんでいるのが、いかにも調べて書いたという感じがしてうざいことこの上ない。吉川英治文学賞受賞作だが、もともと大衆文学の到着点とも言うべき賞を、なんで年功序列を無視してまで奥田がとる必要があったのか、理解できない。題名も三好徹に同じものがあるので、避けるべきだったろう。 | ||||
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犯罪に至る「やむをえない」経緯が丁寧に描かれ、いつの間にか犯人に肩入れしてしまう。 こんな推理小説を他に読んだことがない。 ほんの50年前の日本に、これだけの光と影があったことを、今の日本は忘れてしまった かのように思わされた。 高校生に歴史を教えるのであれば、新学期の授業はこれを読ませることから 始めたらよいのではないか。 ストーリーの面白さは、歴史の明と暗を描こうとする作者の意図によって、 際立っているように思った。 「映画化」の価値のある作品であるし、面白い映画にして欲しいと思う。 | ||||
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久しぶりの奥田英朗。 さすがの一言。 時代は間もなく東京オリンピックが開幕する直前の日本。 タイトル通り、 東京オリンピックを人質にして、 身代金を奪い取ろうという大胆な犯罪を描いたもの。 上巻では、 なぜ、その犯罪を起こすにいたったのか、 という動機が分かっていく。 少しづつ時間軸をずらしていくことで、 それぞれの視点から、事件を立体的に浮かび上がらせる。 構成や、 筆致の見事さも良いのだが、 何より、やはり、物語の良さ。 特に、主人公が動機としたものが、 とても説得力があり、 また、共感できる、 共感したいものであった。 これにより、 権力に弓ひく主人公を、 応援したくなってしまう。 また、警察側にも、 魅力的な人物を配置し、 対立構造をうまく利用して、 権力側にも、共感を呼ぶような仕掛けを作りだす。 上下巻であることを忘れるくらい、 あっという間に読み終わりました。 | ||||
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上下巻の下。 すでに、 犯人も分かり、 動機も、その手法も、 ほとんど明らかにされている中で、 物語は進んでいく。 焦点は、 身代金強奪は成功するのか、どうか? 警察の捜査は、迷走していく。 それにも理由があるのだが。 読むほうは、つい犯人側の成功を祈ってしまう。 いよいよ、オリンピックが始まろうとしている。 国家権力に弓ひく男の運命は…。 | ||||
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この時代をリアルタイムで知らない世代にとっては非常に興味深く読み進められると思う。もちろん、登場人物の国男や忠と同世代の人たちはこの時代の空気、戦後の焼け跡からオリンピックという国を挙げての世界デビュー。それに付随するように一等国の仲間入りを果たすのだという決意と期待、そして開会式当日、快晴の東京上空を舞った鳩のようなすがすがしくさわやかな高揚感を思い出されるのではないだろうか。その晴れ舞台の陰で大会を支えた出稼ぎ労働者たちに今日においても光が浴びることはない。彼らは劣悪な環境に耐えられず次第にヒロポン(覚醒剤)を常用していく。主人公の国男もヒロポンなしではここまで大胆に計画的に行動できなかったのではないか。本書を社会派サスペンスとして楽しむことはもちろんだが、這い上がりたくても這い上がれない、あるいは底辺を自覚しそこからの行動をすでにあきらめてしまっている人たちがいる現状は今になっても不変だ。国を相手に喧嘩を売る第二の国男は現れるのだろうか。 | ||||
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高度経済成長の裏で安い労働力として重宝された東北の人々。高度経済成長期に起きた学生運動はこのような社会の歪みから生まれた必然だったのかもしれません。本書は1964年の東京オリンピック開催の東京が舞台です。内容的には東京オリンピック開催で盛り上がる首都の工事現場で虐げられるプロレタリアートの社会を垣間見た東大生が東京オリンピックの開催阻止を人質として国家を相手に戦うものです。本書が面白いのは、最初から犯人が分かっていることと犯人の動機および計画が分かっていることです。それだけになんだかニュースを見ながら犯人を追いかけいているような錯覚に陥ります。またミステリーから離れて、本書を読んで私が一番感動したのは60年代の東京や日本人の様子が非常に忠実に描かれていることです。誰もが日本を誇りに思い日本人に生まれたことに喜びを感じ、日本の益々の成長と発展を疑わなかった時代。そんな時代があったことに特に感動してしまいました。私は1970年の大阪万博の時代に生まれましたが、それでも小学生の頃は日本の発展が永遠のものだと信じていたし、日本人に生まれたことに感謝した事もあります。あれから四半世紀強が過ぎ、誰しもが自信をなくしている今日の日本を一体誰が想像したでしょうか。そんな自信を喪失している今の日本人に是非とも読んでもらいたい本です。そして本書を読んで意気に感じて頂いた皆さんともう一度東京にオリンピックを誘致したいものです。 | ||||
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支配層と労働者層の深い断絶のうえに成り立つ国家に挑戦するエリート学生とそれを追う警視庁の大部隊の攻防は文句なく楽しめます。その面白さはほかの評者の皆さんがすでに書いているとおりです。 この作品で私の心に響いたのは、東京オリンピックがどれだけ敗戦から立ち直った日本人の誇りとなり、日本中が沸き立ったかという時代のこまやかな描写です。一方で貧しい秋田の寒村や出稼ぎ労働者たちの姿が対照的で実にリアル。五輪の前年に生まれた自分がどんな時代の中で誕生したのかと思いながら、今なにげなく目にする日本武道館や代々木競技場の体育館などのモニュメントとしての価値を再認識させられました。読んで損はない一冊です。 | ||||
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と言うと誤解があるが、あの映画が古き良き夢のある日本を表現しているなら この小説は古き悪しき現実の日本を表現しているように思えます。 あの映画を観た後に、この小説を読むとフランク・キャプラ監督の『素晴らしき哉、人生!』を観た様な感覚になると思います。 | ||||
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大どんでん返しがある小説が好きな私ですが、オリンピックの身代金は大どんでん返しはありません。結末はなんとなく想像できてしまいます。なのに最後までハラハラしながら、応援しながらすごく楽しめました。 奥田作品にハマる前は、オリンピックの身代金を本屋で見ましたが、なんとなくあまり惹かれず素通りでした。 こんないい作品をスルーしてたのか!って思います。 文句なしに読んでよかったです。 | ||||
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作者にしては珍しくプロットを先に決めた作品だということですが ディテールの書き込みは相変わらず作者ならでは。 飯場のオヤジたちや警官、革命家気取りの学生たち、エリートサラリーマン といった人々がみんな生き生きと描かれてます。 ちょうど今年の震災の前後に読んだので、 粉塵にまみれて危険な突貫工事にあたる出稼ぎのひとたちが 福島第一で被曝しながら決死の現場作業を続ける人たちにかぶって 仕方ありませんでした。 50年前はオリンピックで、いま原発。国の成長の土台づくりと後片づけの どちらの現場でも東北の人たちが「人柱」みたいになってしまっている。 ブント崩れは30年後にオウムという最悪の集団に形を変えたような気がする。 昭和史の断面が現代に重なって、いろんなことを考えさせられます。 私としては「ララピポ」「マドンナ」と並ぶ傑作。 他のかたも映画化を、と書かれてましたがぜひ観てみたい。 私は東北出身の松山ケンイチに主役をやってほしいです。 もっとも、この時代を描いた別の映画に出てしまったから無理かな・・・ | ||||
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奥田英朗氏の作品は、読むたびに新しい発見があり驚かされるが、この作品はまさに新境地開拓といったところ。読み応えがあり、すばらしい内容でした。 | ||||
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あまりのスリリングな展開に、あっという間に読み終えてしまいました。奥田さんの著作はシリアス路線よりもコミカル路線の方が個人的には好きでしたが、本書は別格です。 秋田出身の東大院生はなぜ東京オリンピックを妨害し、国家に対決を挑もうとしたのか? 早い段階で犯人は明らかにされ、警察側の追跡と犯人が犯行に及ぶに至った経緯が徐々に解き明かされていきます。その追いかけっこが実にスリリングでした。 とにもかくにもディテールへのこだわりが素晴らしく、市井の人々のちょっとしたやり取りなどから東京オリンピック開催当時の空気がよく伝わってきました。もしかして陰ではこんな騒動があったのか?なんて思わされるほどのリアリティでした。東京オリンピックをリアルタイムで経験していない人なら、上の世代にとって東京オリンピックがどれほどの重みを持っていたのかというのをよく理解できると思います。時折Youtubeで東京オリンピック開会式の映像を見ながら読み進めため、さらに臨場感が増しました。また、高度経済成長の陰で苦役を強いられた人々や、地方と東京の格差について考えさせられたりもします。 ズバリ、読んで損はありません。 | ||||
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あまりのスリリングな展開に、あっという間に読み終えてしまいました。奥田さんの著作はシリアス路線よりもコミカル路線の方が個人的には好きでしたが、本書は別格です。 秋田出身の東大院生はなぜ東京オリンピックを妨害し、国家に対決を挑もうとしたのか? 早い段階で犯人は明らかにされ、警察側の追跡と犯人が犯行に及ぶに至った経緯が徐々に解き明かされていきます。その追いかけっこが実にスリリングでした。 とにもかくにもディテールへのこだわりが素晴らしく、市井の人々のちょっとしたやり取りなどから東京オリンピック開催当時の空気がよく伝わってきました。もしかして陰ではこんな騒動があったのか?なんて思わされるほどのリアリティでした。東京オリンピックをリアルタイムで経験していない人なら、上の世代にとって東京オリンピックがどれほどの重みを持っていたのかというのをよく理解できると思います。時折Youtubeで東京オリンピック開会式の映像を見ながら読み進めため、さらに臨場感が増しました。また、高度経済成長の陰で苦役を強いられた人々や、地方と東京の格差について考えさせられたりもします。 ズバリ、読んで損はありません。 | ||||
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