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オリンピックの身代金
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【この小説が収録されている参考書籍】
オリンピックの身代金の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.16pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全139件 1~20 1/7ページ
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昭和生まれにとって、面白い背景と共にスリル満点の展開です!罪の轍と同様、犯人は普通の人ですが、時代背景から考えガス変わって行きます。公安の描き方も秀逸です! | ||||
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めちゃくちゃ綺麗な状態でとどきました、ありがとうございました | ||||
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大変綺麗な状態でとどきました ありがとうございました | ||||
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物語の舞台は東京オリンピック開幕直前の昭和39年。僕が生まれる10年前、亡き父母が主人公と同世代だった頃の話。新幹線やモノレールが開業し、日本武道館や代々木体育館が竣工、首都高速の整備もすすみ、自動車の保有台数はようやく100万台に達したという頃、戦後復興後ようやく1等国の仲間入りを果たした言われるその姿を世界に示し認められたいとすべての国民が願う中、主人公の島崎国男は警視庁を相手に連続爆破事件を引き起こす。華麗なる一族の同級生や、東京近郊の団地生活、建設現場の最底辺で過酷な労働を強いられる人夫や秋田の貧農地域の現実を描くことで、昭和の最盛期の盛り上がりや期待感、当時の庶民が憧れの生活、貧富の格差やヒエラルキーを見事に表現しながら、息つく暇のない、主人公の犯行と逃走劇が繰り広げられ、ページをめくる手を止められずにいっきに読了。ひさしぶりに夜更かしをしてしまいました。最近はKindleで読むことが多いけど、内容的にも物理的にも分厚く読み応えのある本はやっぱりハードカバーで読むのも悪くないなと思いました。 | ||||
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2009年 吉川英治文学賞受賞作 2013年 テレビ朝日開局55周年記念ドラマ化 下巻の中で印象的な言葉がある。 「オリンピック関係の工事でどれほどの人夫が命を落としたか知っていますか‥ 東海道新幹線だけで二百人 高速道路で五十人、地下鉄工事で十人、モノレールで五人、ビルや その他 合わせると最終的に三百人を軽く超えると思います」 オリンピックの工事では、あちこちの工事現場で死者が出ているということ。その事実はまるで何事も無かったように消えていったということ。私たちはそのことを頭に刻み込んでおこう。それが読者としての仕事だと思う。 爆弾犯、島崎国男のやろうとしたことを憎むことはできない。でも、昭和39年10月10日の開会式の空の青さを私は知っている。実際に幼い目でしっかりと見ていた。開会式の空は本当に美しい青空だった。青空に放った色とりどりの風船、 無数の鳩、 そしてブルーインパルスが描いた5つの輪‥、これはオリンピック工事のために過酷な労働の果て命を失った労働者たちの魂の姿だったのだと解釈した。 容疑者、島崎国男を助ける同郷の出稼ぎ人夫やスリ師の村田留吉の喋る秋田弁が、重くなりがちなテーマに温もりを添えている。 最後に善良な一市民の古本屋の小林良子を登場させたことで、爆弾犯島崎国男の末路の切なさとの対比が際立った。 | ||||
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『罪の轍』は昭和39年(1964年)頃の日本の状況が温度感と合わせてビシビシ伝わる超傑作であり、その面白さに悶絶しましたが、本書はその同じ時代の同じ登場人物らが登場する作品になります。 なお出版されたのは本書の方が『罪の轍』よりも10年くらい前にはなりますが、物語の時間軸で言うと本書は『罪の轍』直後くらいのお話になっており、事件を追う落合刑事の視点で時系列で読むなら本書が後になります。 オリンピック開催に向け街は活気に包まれ、サラリーマンらは、今まさにこれから自分たちで新しい未来を創っていくんだとの気構えをみせていた時代。 もはや戦後ではないとの合言葉のもと高度経済成長の波に乗り、誰もが希望に満ち溢れていた、そんな東京の描写からは『罪の轍』同様、音や匂いや温度感が伝わってくる。そのあたりの描き方は抜群に巧いです。 そして、そんな時代においても、光あるところに闇あり。 繁栄する光輝く東京の裏側で、地方は暗く貧しいままだ。 舗装路や水道がなく、病院や診療所もない、食べるのにやっとの毎日で、出稼ぎで若者がいない。生活が苦しいと、何のために生まれてきたのか分からない、そんな貧しさと夢のない村がいくつも存在する。 一方東京においても、実は、オリンピック工事の過程において数百人という工事人夫が命を落としているという事実は見て見ぬふりをされている。 なぜなら過酷な労働を強いられる側が、少しも社会を恨まず反逆の意志も見せないという現実があるからだ。彼らは貧しくとも屈託がなく、あったとしてもそれを他人のせいとは思わず、運命として半ばあきらめている。 労働者側が諦めているのなら、自分がやるしかない。 貧しい村出身ながら生まれ持った高い能力を活かし東京の大学院生となっている島崎国男は「奴隷を開放したのは奴隷側のリーダーではなく、知識階層或いは有産階級の中から生まれた異分子、あるいはテロリストだ」と考え、自ら国に一矢報いる計画をたてる。 本書は、そんな島崎による孤独な闘いと、落合ら警察組織側からの視点、そして警察幹部の息子で島崎とも大学時代の同級生であった須賀の視点などを交え、最初から最後まで一気に読ませる極上のエンターテイメント作品と言えるでしょう。 個人的に、この時代における事実としてなかなか興味深かったのは、もともとは疲労回復に効果があるとしてエナジードリンクのように合法であったヒロポン(メタンフェタミンの商品名)が、昭和26年に覚せい剤取締法で禁止薬物として指定された後も、割と気軽に入手可能であったということ。なお、1971年(昭和46年)にはヒロポン中毒患者が分かっているだけで1万人を超えていたということからすると、本書の舞台である昭和39年当時の状況が本書で書かれているような状況であったことは想像できます。 | ||||
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アジア初の東京オリンピック開催という昭和39年の戦後日本の高揚期に、社会を構成する様々な階層の人々や市井の様子が緻密にリアルに描かれ、単なるサスペンス小説にはない読後感があります。 | ||||
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「罪の轍」が面白くまた彼の作品を読みたくてアマゾンで上下を購入、「罪の轍」の主役、落合昌夫再び活躍、警官の彼を応援したいが犯人にも情が移っていくこの本は不思議だ、昭和39年頃の東京を思い出す、都電が通っていたし埃っぽい道も多かった東京、私は子供だったが思い出す東京の街並みはいろいろ感慨深い。奥田英朗は「最悪」でその才能に驚いた作家だがやはり質は上がっている、新作は見逃せない。 | ||||
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オリンピックの身代金(上) に続いて下巻も読了。 読み終えてもすぐにはドキドキがおさまらなかった。 東京オリンピックを人質にして国に一撃喰らわせようとする青年の物語。 綿密な構成。多数の参考資料に基づく説得力ある描写。 一文ごとの長短が読み手の呼吸をつくり事態の緊迫度合いを演出する。 人間の優しさと弱さが、神がかった主人公の足下を何度もすくうところがなんとも切ない。 持つ者と持たざる者の思想的な葛藤は普遍性を持つと思う。 これほどセンセーショナルで示唆に富む長編とはなかなか出会えないだろうと思える傑作だった。 なお、本作には解説がない。それもすごくよかった。本作はエピローグでも伏線を回収して完結している。その巧みさと切なさのもたらす読後の余韻を妨げられることがない。 | ||||
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上巻を読了。 東京オリンピックを人質にして国に一撃喰らわせようとする青年の物語。何に対しても純粋で虚心な東大生が、理不尽なまでの格差社会と差別思想を垣間見て、テロの動機を醸成させていく様が、上巻では主に描かれていた。 いく人かの登場人物の視点から時代背景や事実を時間軸を前後させる構成をとって立体的に描いていく手法のようだ。 著者さん一流の端的でリズミカルな文体。語彙の適切さと相まって読むリズムがつかみやすい。展開の盛り上がりに合わせて読者側も読むテンポが上がる。ただ、時間軸を前後させる構成に場面把握と時系列整理をやや戸惑ってしまうときも。 一見、主人公の思想や行為についてマルクス思想が土台にあるかのように描かれている。しかし、一線を超えるまでに精神の正常性に影響する要素を加えたところに、一方的な正当化を抑制し、バランスをとろうと著者さんが配慮しているように思えた(ネタバレ禁止配慮で抽象的表現すみません)。 これは、要素が要素だけに読者の好みを選ぶだろうと思った。 格差社会や分断は現代においても通じる大きな主題だ。新自由主義でますます進む富の集中と社会的・経済的弱者の諦観。 テロで体制を変えようとしても絶対にうまくいかないことは歴史が証明している。しかし、たとえ物語とはいえ、いわゆる上級国民になり得る者が社会の矛盾や理不尽さを体験して煩悶し、体制側に実行力を伴った抵抗を試みる姿に私は共感したくなった。 ちょっとこれからの展開に心配もあるが オリンピックの身代金(下) も楽しみである。 | ||||
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主人公は、私より一歳年上です。当時の世相、自分のこと等々を重ね合わせ、一般の作品よりも特に思い入れ激しく読んだ次第です。奥田氏は素晴らしい!!! | ||||
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自分を「俺っち」というのは、さすがに無理 当時の日本がよく分かる 二回目のオリンピックと比較しながら読んだ | ||||
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悪い人もいい人も皆んな魅力的。高度成長期日本は恥ずかしくも誇らしくもある。 | ||||
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昭和39年当時の時代背景が鮮明で東京と田舎の格差が悲しすぎました。 | ||||
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この作品は邪魔よりすごくよかった またこの著者の作品を読みたくなりました | ||||
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奥田さんの長編はどれも一気読みです。本作は、シリヤスなのに暖かい不思議な作品です。 | ||||
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あの東京オリンピックと2020東京オリンピックの国家権力の振る舞いは同じなのかと、小説ながらも予言とも読める 犯人が分かっていても最後まで盛り上がる構成も含め、星5つ | ||||
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ここまで犯人側に肩入れして読んだ小説は 初めてです。 戦後の高度経済成長期に置いてきぼりにされた人たちや地方経済、今の時代も レベルの差こそあれ 根本は変わらないのかもしれない と思いました。 彼らの最期が どうか 安らかでありますよう。 | ||||
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ノンフィクションなみのリアリティ! | ||||
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罪の轍がとても面白かったので続けて未読だったこれを読了。 とてもつらかった。 島崎は誰からも愛されて期待されていたのに、なぜテロリストの道を選んでしまったのか。 家族や周囲の人を気遣う気持ちがあるのに、彼らに迷惑がかかることを承知で行動していく様は理解はできなかった。 島崎を愛する人たちが哀れでならない。この先村田はどうなってしまうのか。 また、この作品を2020年オリンピック直前に読んだことに意味があった。 結局1964年から日本の構造は何も変わっていない。搾取する側とされる側は相変わらず差が開く一方だし、オリンピックでは人柱が立つ。 64年はまだ未来に希望があっただけましかもしれない。今は... この時にオリンピックを標的にしたことについて島崎は誰からも賛同されなかったが、今ならどうだろうか。 ひょっとして、奥田さんはもう一度この作品にスポットを当てるためにも罪の轍を書いたのではと思ってしまった。考えすぎか。 | ||||
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