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オリンピックの身代金
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【この小説が収録されている参考書籍】
オリンピックの身代金の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.16pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全178件 41~60 3/9ページ
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昭和39年夏、オリンピック開催を目前に控えて沸きかえる首都・東京で相次ぐ爆破事件と犯行声明。警察と国家の威信をかけた捜査が展開される。圧倒的スケールと緻密な描写で描く、エンタテインメント巨編! | ||||
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オリンピック開催往時の世相が非常によく書かれており、情景が目に浮かぶようだった。私が育ったのはそれからすでに20年程度経ったころだったが、当時の雰囲気を残しているところもあり、懐かしい気分に浸りながら読書を進めた。 ミステリーではあるが単なる謎解きではなく、当時の社会が(そして、現在の社会も)抱えている社会的問題を事件に照らして浮かび上がらせ、社会に対して課題を問う意味でも良著だと思える。 併せて、全編を読むと登場人物に無駄がなく、非常によく練られた構成だった。 とても面白く読むことができた。 | ||||
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未読ですので、これから読むのを非常に続編と楽しみにしています。 | ||||
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未読ですので、これから読むのを非常に続編と楽しみにしています。 | ||||
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1964年の東京オリンピック開催に沸く東京で、世の中の格差ややりきれなさを書いた話。なんとなく『テロリストのパラソル』を思い出す。 | ||||
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これ、歴史ファンタジーの一種ですよね。 東京オリンピック1964の成功の裏では、このような死闘が繰り広げられていた! 以下、ネタバレ御免。 実際、この小説は社会派っぽく読めそうにも思うけど、貴種流離譚の骨格を備えていて、さらに一夏の肉体労働を通過儀礼として国男が覚醒する物語として読むほうが妥当でしょう。 まず、いろいろ社会派の偽装は施してるけど、しかし国男があちこちで言い立てる「社会の矛盾」って、説得力なさすぎ。大体周りの人間が「難しいこと言うなよ」とか何とか呟くんだけど、難しいんじゃなくて無内容なんです。こんなKYな国男君では、魅力半減です。 ついでに言うと、東大のマル経学者である浜野教授が「レヴィ=ストロースの構造主義だよ。ストロースを読まないと言語学が理解できないし、文化と社会のかかわりを時間と空間に置き換えられない」(17節)って言ってるんだけど、これは浜野先生が内容空っぽのハッタリ教授だってことを描きたかったんですかね。 この著者、底辺の社会についてはそれなりに調べ学習した様子が見えるんだけど、その社会を学問的に煮詰めて考えることについては、おそらく全くまじめに考えていない。初めから「空理空論」だと思ってるから調べ学習にも身が入らず(……ていうか、大変時間のかかるものなんですよ)、甘く見てお粗末な出来栄えになった次第。 もひとつついでに、23節に国男が時限発火装置をつくるのに参考書を手に入れる件りがあるが、そこに「子供の頃は機械いじりが好きで、ラジオぐらいなら自分で作っていた」って書いてあるんだけど、秋田の極貧の村からでも東大に進むガキはさすがに一味違うなと感じ入った。 というワケで、じゃあ貴種流離譚として読んでみる。 国男って1940年生まれで、しかも母親が流れ者の映写技師と密通して出来た子だっていうんです。 それで父親と母親がどう話をつけたかは「知らない」の一言で済まされているし、そもそも他の箇所での描写から考えて、熊沢村では女は30過ぎたら老婆みたいなもんでしょう? 家族構成がどうなってるかよく分からないが、とにかく7人兄弟姉妹で(4節)、長兄と国男は15歳違うっていうから、流れ者の映写技師がなぜ村のもっと若い女を誘惑しなかったのか分からない。 だからこれはリアリズムじゃなくて神話的な設定なんです。 とにかく国男は熊沢のものであって熊沢のものではない。映写技師の落しだねを「貴種」と呼べるかどうか微妙だけど、旅芸人とかじゃなくて、当時最先端のメディアである映画の技術者というのを置いたところに、距離の意識はあるんじゃないか。 ただし完全な貴種じゃなくて、熊沢の血が半分。兄の死までは国男は東大生としてのアイデンティティで生きてたみたいだけど、熊沢への帰還を経て、もう一方の血を自覚し、一夏の地獄めぐりによってスサノオ覚醒っていう感じかな。 いろいろ文句はあるんですけど、やはり「どうなるんだろう」という興味で最後まで読み通してしまいました。 ディテールに瑕疵あれど、物語の骨格で引っ張られました。 | ||||
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1960年 東京オリンピック。 なぜ 東京オリンピックに はむかおうとするのか? というところが 『格差社会』ということを、 最大限 緻密に 描写している。 そして その当時の 昭和の雰囲気と風景が 刻銘に描かれている。 高度経済成長で うかれていても 「格差」がひろがる。 その格差 にたいして 純粋に 怒りを 感じる。 視点が 鋭角的である。 『いったいオリンピックの開催が決まってから、東京でどれだけの人夫が死んだのか。 ビルの建設現場で、橋や道路の工事で、次々と犠牲者を出していった。 新幹線の工事を入れれば数百人に上がるだろう。 それは東京を近代都市として取り繕うための、地方が差し出した生贄だ。』 高度経済成長の シンボルというべき 東京オリンピックそのもの。 それを 誘拐しようとする試みが いいなぁ。 企みのスケールの 大きさが 素晴らしい。 | ||||
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複数の人物の視点で語られるサスペンスという点で、「最悪」や「邪魔」に通じる作品ですが、この2作に比べて面白くありません。 なぜか。それは、人物が魅力がないからです。 「最悪」や「邪魔」では主人公たちに魅力がありました。共感できました。しかし、この作品では、共感できるキャラ、魅力のあるキャラ、立っているキャラはテロリストの東大生だけです。他の人物は刑事にしろ、坊ちゃんの東大出のテレビマンにしろ、古本屋の娘にしろ、まったくキャラとしてだめです。 そんなわけで、日本の格差社会に怒りを感じる主人公の東大生の生き方には共感するものの、それがドラマにはなっていません。 また、リサーチもあまり感心しないというか、主人公の1人の刑事が入居する団地はオリンピックの前年に入居が終わっている上、私鉄の駅が団地の目の前にあるのでバスを使う必要がないのに、その辺、全然調査しないで勝手に想像で書いているのがはっきりして、幻滅です。 全体に、時代考証がイマイチで実感がなく、ストーリーもキャラも不十分という作品です。 オリンピックの年に完成した団地に入居した私から見て、時代考証がよくないという印象は否めません。 | ||||
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面白くない。 大事件のわりに計画性がなく、動機も短絡的か。 ただ自分が生まれた当時の東京の風景描写は楽しめた。 | ||||
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設定としては興味がわく内容だったのに登場する人物に全く魅力がなく、終盤に向かってまったくわくわくすることもなく、だらだら終わる。 同じ時期に読んだ村上龍の「半島を出よ」は最後までわくわくさせる内容だっただけに作者の力量の差かなと思いました。 | ||||
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これは以前の東京オリンピックの話。 根柢にある警備や日本の組織が一般市民に与えるものが何かよくわかりました。 開催ににぎわうだけでなく、底辺にある問題、それがよく表れていたと思います。 長編でボリュームありですが、オリンピック開催前に読んでおきたい本です。 | ||||
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私一番のお気に入りです。 タイトルがやや不器用ですが、奥田さんらしいです。 2020年のオリンピックは、54年ぶりの東京での開催です。 そこで、「オリンピックの身代金」シーズン2を期待したいです。 | ||||
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うーん、微妙です。 奥田さんの作品はどれも感動あり涙ありと 素晴らしい物ばかりなのですが、これはどうしたものか・・。 何か取ってつけたような犯行動機、彼は本当に国を相手に 何かを変えたかったのか、何ひとつ伝わってきません。 なげやりな生き方だけが強く炙りだされ、虐げられた人々への 思いも本当はどうだったのだろうと、疑問しか浮かびません。 懐かしい時代に思いを馳せる楽しみはありましたので星は3つ。 | ||||
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昭和39年7月中旬、秋田県仙北郡熊沢村(架空)出身の東大経済学部院生の島崎国男は、オリンピックの工事へ出稼ぎに来ている異父兄が亡くなったとの知らせを受け、火葬に立ち会い、骨壷を持って郷里に帰ります。兄の仕送りに頼っていた実家はとても貧しく、島崎は義務感のようなものもあって、兄の代わりに工事現場で働き始めます。島崎は、厳しい労働の実体験から、貧しい底辺の者の犠牲の上に成り立っているところの、国と東京が示そうとする世界に対する世間体に対して憤りを感じるようになります。 島崎の他に、行動を共にするスリの村田、学部の同級生で民放テレビ局員の須賀、警視庁刑事の落合、島崎が良く行く古本屋の娘良子等々、物語の長さに見合った数の人物が登場します。昭和39年を生きる彼らの生活と興味の対象がリアリティ豊かに描かれていて、現実とテレビで見た記憶が呼び戻されるためか、とても視覚的な印象があります。ヤクザとの話し合いのシーン、過激派セクトメンバーとの話し合いのシーンは、やや作り物臭を感じて残念に思いましたが、全体としては、このところ読んだ中で突出していると思いました。 物語には、章の日付を前後させることによる、若干のミステリタッチがありますが、終盤に驚かされるというようなものではなく、それを第一に期待する方には向いていません。 焼け跡から立ち上がってオリンピックを開催することに対し多かれ少なかれ日本人が皆抱く自負を否定するでもなく、しかしそこにある社会の底辺で貧困にあえぐ人々や地方を踏み台にしている現実に憤り、けれども徒党を組んで革命を叫ぶというのでもない、個人的で孤独な抑えられない怒りが、それに相応しく静かに描かれています。とても読み応えのある、面白い物語だと思いました。 | ||||
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上下まとめての感想です。 非常に後味が悪かった。でもこれは東京一極集中がさらに進んで、またオリンピックが近い今こそ知っておくべきことだと思う。 地方在住の私はもちろん主人公に感情移入して「なんとか逃げ切ってくれ」と思ったが、楽しみにしている一般の人々が戦後の復興の象徴として期待する、楽しみにする気持ちもわかる。 今度の大会もいろいろ問題山積で、でもこのときの労働のきつさよりは機械の発達などでここまで建設の人たちが苦しまないで済むように、と祈らずにいられない。 | ||||
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昭和39年、戦後の日本が世界にデビューする時の葛藤を描いています。 東京オリンピックを成功させることを全国民が望み、世界中に日本の力をアピールしようとしている時です。 この昭和時代当時の情景と、そして国民の行動や考え方を臨場感たっぷりに再現しています。 格差社会をテーマにして、理不尽な思いをぶつけ、身を挺して抵抗する姿があります。 そこには、追うものと追われるものの、手に汗握る展開があります。 警察にも格差があり、現場たたきあげと机上インテリとの違いを描いています。 当時の学生運動について実行型ではなく、求めるものを探していたのではとの見解を述べています。 底で這いつくばって、どろどろになって生き抜いている姿がよく映し出されています。 急速な高度経済成長期の中で、地域格差、経済格差、教育格差といった格差社会との表裏一体の関係。 当時は感情の起伏の激しかった頃とも言えると思います。 それに対して現在はどうなのかという問いかけが感じられます。 上巻は事象の始まりであり、下巻はページをめくるスピードが上がってきます。 巧妙に立場と時間軸を操りながら、場面を切り返していき、決して読者を飽きさせない攻防が実におもしろい作品です。 | ||||
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昭和39年日本中が初の五輪開催を控えて湧きかえっている頃、秋田出身の東大生島崎国男は、東京の繁栄と秋田の悲惨な貧しさの差に大きな義憤を 感じる。彼は、老スリ師村田と組んで、国を相手に東京五輪会場を爆破するということで脅迫をかけ、金を奪おうとする。警視庁や公安は、国際的な不安を 煽ることを恐れ、この脅迫を表に出すことなく、犯人の島崎達を追いかけるという筋書き。当時の東京の様子や文化、風俗が随所に描かれて、それだけで もノスタルジーを感じさせる。ただ、作品そのものの面白さということでいけば、奥田の「邪魔」「最悪」「無理」といった代表作に比して、やや劣ると言わざるを得 ない。 こういった作品にはいい意味で「毒」があり、その分登場人物にも深みがあった。今回主人公の島崎も「好青年」であり、東京五輪を破壊してまで国家に 挑むという「毒」を感じない。「いい人たち」ばかりが登場するために、結果この作品自身が薄っぺらくなったと思っている。島崎自身が抱く社会や国家に対す る考え方に対して、やくざの親分が、今は、五輪を成功させてまず日本が一流国になる方が先決だと言う言葉の方にずっと重みを感じてしまう。 | ||||
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今まではサウスバウンドが一番と思っていましたが、それを上回るくらい好きです。 奥田英朗ファンなのに、不覚にもドラマの方を先に見てしまいました。 その後小説を読んだら、今まで何とも思っていなかった松山ケンイチさんが大好きになりました。 私は20代で時代は違いますが、地方から東京の大学に出してもらったので、共感するところが多くて心に刺さりました。 | ||||
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爆弾摩と化した島崎は綿密な計画を練り、警察の包囲網を次から次へとすり抜けていく。 同郷のスリ師村田と懇意になり仲間として行動していく。 オリンピック開会当日まで身代金受け渡しを伸ばしクライマックスへ。 彼をここまで追い込んだのは日本の経済格差かそれとも虐げられる出稼ぎ労働者の復讐か。事件は警察の手により闇に葬られてしまった。 その後島崎の生死は不明だが彼の取った行動は意味があったのかを考えさせられる。 一般文学通算1038作品目の感想。2015/06/05 08:50 | ||||
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「東京オリンピックを中止せよ」と身代金要求の爆弾事件をテーマにした作品。 人々は東京オリンピックに期待を寄せ戦後復興に酔いしれている中、オリンピック施設の建設現場では過酷な労働を強いられている東北を中心とする出稼ぎ労働者の心身をむしばんでいた。 そんな中腹違いの長兄で出稼ぎ労働者が死亡し弟の島崎国男は火葬した兄の遺骨を実家に届ける。 東大院生の島崎は兄の苦労を体験するため日雇い労働に従事していく中で田舎出身の労働者の過酷さに矛盾を感じ始めオリンピックを中止させる計画を練り始める。 昭和30年代後半の実情が如実に描かれ高度成長に隠れた日雇い労働者たちの生活と苦悩を余すことなく表現している点は素晴らしい。 一般文学通算1038作品目の感想。2015/06/03 18:00 | ||||
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