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虚の伽藍
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虚の伽藍の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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このところ読み逃していた月村了衛の新作を一気に読み終えました。「十三夜の焔」(2022/10月)以来になります。 壮大で空辣な仏の世界を描いたページ・ターナーでした。 時代が昭和60年頃から、バブル期、平成へと至る京都。伝統仏教最大宗派の一つである包括宗教法人「錦応山澄念寺派」の若き僧、凌玄が全ての手管を弄して<総貫首様>へと成り上がろうとするスーパー・サスペンスでした。 この国の仏教界を、もはやとても"Japan As #1"とは言えなくしてしまったこの国を徹底して戯画化しながら、主人公・凌玄に託して描いた<極道世界>以上に放埒で虚しい物語は、しかし現実世界を跋扈する魑魅魍魎たちを見事に描き分けているようにも思えます。 ここに描写される人物たちは程度の差こそあれ(私自身を含みながら)私がこの世界のどこかで見かけた人たちとなんら変わらない小心で、欲に塗れ、悪辣な人物たちです。 特に<第一部>の終わり、澄念寺阿弥陀堂での法要に合わせて繰り拡げられる暗殺の舞は、まるで"The Godfather Part3"のダイナミックで容赦ないクライマックスにも値する見事なシークェンスでした。その文章のリズム。カット割り。 また、物語の三分の一あたり、「無一物中無尽蔵」に気付いたはずの凌玄による仏道に生きるものの使命が、かくも<地獄>をもたらすものなのか?いずれにしてもこの国(日本)から仏道が消え失せて久しい。 ◾️「虚の伽藍」(月村了衛 新潮社) 2024/10/21。 | ||||
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