虚の伽藍
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| 凌玄という僧侶が燈念寺派のトップを目指す物語なのだが、そんな単純なものでもない。仏教の世界の権力争いと言えばそれまでだが、ヤクザも絡んで途轍もない話になる。ヤクザの抗争、友人の裏切り、そこに女の世界の掟も加わる。えげつない世界を見せてもらった。凌玄にとっては因果応報なところもあるが、なかなか世の中は上手く回っているとも言える。それが釈迦の教えなのかもしれないが、私には分からない。京都弁のセリフは慣れていないと読みにくいかもしれないが、個人的には京都の裏っ側を見事に表現していると思う。私には馴染みの言葉なので、気持ちの強弱を含めて強く心に描写された。 | ||||
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| やはり京都 | ||||
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| 急な米不足報道からの価格つり上げ、市場の米不足、で、関税撤廃による農業市場開放の圧力。 夫婦別姓問題の煽りから政治家暗殺も含め、旧保守派と改革派の争い。 あらゆる利権の水面下で熾烈な争いがあるんだろうなと想像させてくれる作品です。 あくまで本の感想です。 | ||||
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| 読みきれないほどつまらなくはないけど、直木賞候補と思って(期待して)読むと、まあまあ。 ストーリー自体は起伏があるのでまあ筋を追おうかなという気にはなるものの、裏切りフラグの立て方が分かり易く、ワンパターン感がある。 また作者が「こういうのがかっこいいんだよなあ」と思っている事柄の表現がわりと直接的なのが気になった。なんというか、ヤクザ的なものや、裏社会的なものに対して感じる美、の表現が、こちらにほのかに感じとらせるような形ではなく、形容詞でズバッとそのものを書いてしまうような書き方。 全体的にはやっぱりまあまあ。いろんな人間の肩書とか説明が多くて、たまに思い出したかのように五感を表現しておくみたいな(蝉の音がうるさいとか)感じの文章がちょっと気になる。 悪い人間ってもう少し格好良く表現できる気がするけど、そういう格好良さが感じられなかったのが残念。主人公のナチュラルな狂い方は良かった。むしろそれだけで読ませる本という感じかも。 | ||||
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| 2024年直木賞候補作品。 仏教関係の小説ということで友人にすすめられて読んでみた。 いやいやこんな反社と関わっていくところがあるとは思えんなあというものすごいストーリー展開なのだが、これまたすごくテンポがよくて引き込まれる。 第三者視点で描いているものの、主人公の主観で仏道を語っているときに、ああああああああこういう魔境、わかるわああああああとなるのである。そいつは自分の中にもあるのだ。 宗教に関わる人であれば、どこかで自分のことを思ってざわざわすることまちがいなしなのだ。教えを知って、その中にいることでおかしくなっていく。どこまでも人間は教えをわがものにしていこうとする。そういうものだなあというのを全体を通して感じる。 どの宗派をモデルにしているのかはなんとなくわかった。エンターテインメントとして楽しむべし。面白い! | ||||
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