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ボタニストの殺人



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ボタニストの殺人の評価: 3.93/5点 レビュー 29件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.93pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全21件 1~20 1/2ページ
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No.21:
(5pt)

シリーズを未読の方は1作目から読む事を強くおススメ。シリーズファンの期待を裏切らない完成度です。

もはや職人芸の域に達した、ポー刑事シリーズ。

今回は、謎の予告殺人事件、さらに仲間の病理学者ドイルが殺人事件の濡れ衣を着せられて収監。

この二つの事件を、ポー&ブラッドショーコンビが解明していくという2本立て構造。

オープニングが屋久島という意表を突いた設定で、そこから一気に物語世界に引き込まれ、上下巻一気読み。

予告殺人では、犯人どころか、その殺害方法も分からず、ドイルの濡れ衣は、なんと自宅についた足跡がドイルしかいない故の容疑、という古典的設定。

この二つの謎をベースに、お馴染みのキャラたちの捻りのきいたセリフを楽しみながら、事件の真相を追う過程は、ミステリーファンには、ただただ至福の時間。

早く次の作品の邦訳を望むのみ
ボタニストの殺人 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:ボタニストの殺人 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.20:
(5pt)

【ネタバレなし】読みやすい、面白い、最高!

ワシントン・ポーシリーズ1巻 「ストーンサークルの殺人」
ワシントン・ポーシリーズ2巻 「ブラックサマーの殺人」
ワシントン・ポーシリーズ3巻 「キュレーターの殺人」
ワシントン・ポーシリーズ4巻 「グレイラットの殺人」
ワシントン・ポーシリーズ5巻 「ボタニストの殺人 上下」

本作はシリーズ第5作目となります。
シリーズ初めての方は、主人公の生い立ちや、仲間のことが細かく紹介される1巻から
読むことをおすすめします。

(※本作から読み始めても話にはついていけると思いますが、
時々登場する、主人公とサブキャラとのやり取りが面白いのですが、
キャラの性格などを知らない人は???となり、知っている人はフフフッと笑えることになるので、
やっぱり読んでおくことをおすすめしたいです。)

さて、今回の物語ですが、
二つの事件が同時進行で進んでいきます。

どちらも予断を許さない時間的制限のある中で、
主人公とその周りのチームは必死に動きます。

各シーンは数ページに収められていて、
ほんの数分の空き時間などに読み進められる上、
「え〜!どうなっちゃうの??」という展開になるので、
続きが気になってしょうがありません。

M.W.クレイヴンは、1作目の頃から、構成の上手い作家さんでしたが、
今回の5作目に至っては、さらに磨きがかかっていて、文章に全く無駄がありません。
(翻訳家の方の上手い翻訳も見逃せません)

読み終わった後は、「あ〜楽しかったけど終わっちゃった・・・」となることは間違いありません。

英国では2024年に6作目が出版されているので、日本での発売を心待ちにしています。
とにかくおすすめです!!
ボタニストの殺人 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:ボタニストの殺人 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.19:
(5pt)

シリーズ1面白かった

上下巻に分かれているけど中だるみすることなく笑いや驚きの連続で一気に読み切れる。
ボタニストの殺人 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:ボタニストの殺人 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.18:
(5pt)

エンタメに振り切ったシリーズ最高作品

この作品では2つの「密室殺人」が出現する。ボタニストのターゲットにされた被害者たちの毒殺現場。そしてエステル・ドイルの父親殺害現場。題名の「ボタニスト」というキャラクターは、過激な差別思想を持つ著名人らを次々と予告毒殺する、マジシャンのような人物で、なんやらSNS時代らしい犯罪者にも思える。

今回でもポーの偏屈ヒーローぶりとブラッドショーの空気の読めなさはいかんなく発揮されていて、事件解決の良いコンビとして定着している。キュレーター事件では悲惨な目にあったフリン警部も、二人に振り回されながらも良いボスっぷりだ。父親殺しの罪を着せられ投獄されたエステルがさすがにシュンとしていて、前作までがぶっ飛んでいたキャラだっただけに可哀想に思える。

下巻のお気に入りシーンは、4人目のターゲットをボタニストの魔の手から守ろうと、ポーが信頼する刑事たちが集結する場面。
リグ刑事、ブラックサマー事件で活躍したホーソーン刑事、”半グレ”のジェファーソン・ブラック。まるでポーを中心とした「最強ドリームチーム」の結成で、胸が熱くなるシーンだった。
殺害トリックは多少非現実的さを感じたが、それを補って余りあるほどのストーリー構成の面白さだった。ラストは大団円!と思いきや、最後の最後まで結末はわからない。

全体を通して過去作に見られたダークさはあまり感じられず、エンタメに振り切った作品と言えるが
ポーとブラッドショーのキャラが強すぎて事件のグロテスクさが薄れてしまうほど。
これがワシントン・ポー シリーズの理想形なのかもしれない。

作者の謝辞もまた大変ユーモラスだ。作中の登場人物に関する面白い裏話があるので是非とも必見!
ボタニストの殺人 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:ボタニストの殺人 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.17:
(4pt)

次々と事件が起こって、当然連鎖するので読者も大忙し

冒頭では逃げ足の速い軽業師のような犯人逮捕に当たる主人公なのですが、実はこれはほとんど意味がない、という肩透かしから始まりました。そこへ今まで相棒的に捜査に協力してくれた病理学者の女性がなんと父親殺しの容疑で逮捕されるという知らせが入ります。しかも「雪中密室」(雪の上に犯人の足跡が存在せず逃亡経路がない)なので、他人の犯行は「ありえない」状態ですので、この容疑を覆すのは困難を極めます。

しかも、日本の読者へのサービスかもしれませんが西表島での凄惨な状況がいったいどう結びつくのか、やけに頭に残ります。さらに、事件は続き生放送のテレビ番組、要人警護体制と衆人環視のなかでの「公開密室殺人」が堂々と実行されてしまいます。

さてさて、そのトリックは?そして犯人は?動機は?という縦線と病理学者の無罪を証明しなくては!という横糸が見事に交錯してゆく、というあたりまでが上巻になります。
ボタニストの殺人 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:ボタニストの殺人 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.16:
(4pt)

下巻はミステリの収束と恋愛小説が両立しました

上巻での「雪中密室」は完全な肩透かしを食らってしまうことは置いておきます。「公開密室」のトリックと異常な性格を持つ犯人、そしてその動機の解明に全力を尽くします。犯人からはアルコール依存症に苦しむかつての有名ジャーナリストが交渉人として指名されました。そこにも「なぜ?」が存在するのですが、ためにためてラストで大胆な伏線回収な成功します。この結末は、さらに二転三転しますのでほんとうに見事でした。

そして、主人公と病理学者の不器用な恋愛模様も読みどころです。イギリスの小説ですから登場人物は全員偏屈で変わり者で辛辣な批評家。その発言は侮辱とユーモアの間を紙一重で行きかいます。原文で読んでいませんから翻訳者頼りなのですが、それもじゅうぶんに楽しめました。
ボタニストの殺人 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:ボタニストの殺人 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.15:
(4pt)

ポーとエステルが、そうかぁ・・・

殺人犯は最後の最後に自分のエゴをコンプリートさせたのか?リフィル処方薬の恐ろしい落とし穴も興味深い。
ボタニストの殺人 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:ボタニストの殺人 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.14:
(5pt)

次回作が待ち遠しすぎる

安定の面白さ
ボタニストの殺人 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:ボタニストの殺人 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.13:
(5pt)

早く次回作が読みたい

もうどっぷりこのシーズのファンです
ボタニストの殺人 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:ボタニストの殺人 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.12:
(5pt)

ページをめくる手が止まらない。

上巻を読み終わった感想です。
展開が早く、先が気になるためページをめくる手が止まりません。
ボタニストの謎も気になるのですが、エステルが巻き込まれたカーばりの密室殺人の行方も気になります。
この二つの事件が別物なのか、関係があるのか今の時点ではわからない。
どちらでも楽しめそうです。
冷たい謎の美女のイメージだったエステルの意外な一面が描かれているのも興味深いです。
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No.11:
(5pt)

鬼のように面白い

厳しいレビューコメントもありましたが、個人的には最後まで面白かったです。
一気読みでした。
ブラッドショーとポーの掛け合いも最高に笑えましたし、ミステリーとしても最高峰とまではいかないですが面白かったです。
また最後の最後まで動きのある小説なので、最終ページまで読ませます。
やはり、ショーン・ダフィーシリーズと双璧をなす、ブラックユーモア溢れるサスペンスでした。

次作の「The Mercy Chair」も死ぬほど楽しみです。
その前に、「Nobody's Hero」の翻訳も期待しています。
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No.10:
(5pt)

地獄のように面白い(原題:The Botanist)

ポーと昵懇の病理学者エステル・ドイルが実父殺害の容疑で逮捕される。それも彼女以外の犯人がいないと思われる状況下において。
一方、植物学者を称される連続殺人犯が、不可能犯罪を成し遂げていく。
その犯行は徐々に大胆さを増してくる。果たしてポー達、重大犯罪分析家のチームは2つの事件を解決できるのか、というストーリー。

冒頭から兎に角、面白く一気に引き込まれることは必定なので、時間を取って本を開くと良いと思います。夜に読みだすべきではないかと。
早く下巻を読み切りたいです。
同じ著者のM.W.クレイブンの新作「Nobaby’s Hero」(ベン・ケーニグシリーズの2作目)も刊行され、高い評価が出ているようなので、こちらも刊行して欲しいです。

個人的には、洋書でとんでもなく面白いシリーズは、1つはこの「ワシントン・ポー」シリーズ。
もう1つもイギリスを舞台にして、エイドリアン・マッキンティ著の「ショーン・ダフィー」シリーズだと思っています。

エイドリアン・マッキンティの最新作(2024年10月現在で7作目)「The Detective Up Late」は本国で刊行後、優に1年を経過していますが、翻訳されている予兆すらなく、心の底から残念です。
一方で、本国では8作目(Hang on St. Christopher)が来年3月4日に刊行予定ですが、もうショーン・ダフィーシリーズは日本では読めないかもしれないですね。
6作目まで刊行されてそれで終わり、とは思いたくもないですが。
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No.9:
(4pt)

前半~中盤パーフェクト、終盤グダグダ

上下巻の感想として、最初は事件が謎を深めていき、グッと引き付けられていきます。ただし謎が解き明かされるにつれて、グダグダになってきます。恋愛描写でさらにダラダラします。トリックの発想はいいが、それにいたるプロセスがアバウト。最高傑作と思いきや失速。
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No.8:
(4pt)

シリーズ最高作ではない

とは言え面白いとは思う。元々、純度の高いミステリというよりは、半分はキャラクターの魅力で読ませるサスペンスに近いシリーズということを前提とするなら、一応の水準は満たしているのでは。もしこれがシリーズ第一作だとしたらこんなに評判になっていないのではないか。
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No.7:
(5pt)

次回が待ち遠しい

シリーズとして期待したが、全く裏切らない内容。早くも次回作が待ち遠しい。
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No.6:
(5pt)

ジョン・スタージェスと"Harrods"のフレグランスと

「恐怖を失った男」を読んだのが、2024/6月。その後、これほど早くM・W・クレイヴンによる<ワシントン・ポー・シリーズ>の新作が読めるとも知らず旅行に明け暮れ、取り掛かるのが遅れ、上巻を読んだ後に尚一旦休憩してしまった。アンソニー・ホロヴィッツとマイクル・コナリーの新しい翻訳読了後に、下巻を読み始めましたが驚き満載のページ・ターナーでした。ホロヴィッツもコナリーもそれぞれ秀作でしたが、楽しさという点では本書がピカイチと言えるでしょう。読む優先順位を変えた私の<敗北感>は計り知れない。(しかし私は本書とコナリーの新作によって「射撃残渣」(米国では「発射残渣」?)についてかなり詳しくなりました(笑)。)
 まずは本シリーズのレギュラー、病理学者のエステル・ドイルが父親殺しの容疑で逮捕されます。現場は雪が降り積もる密室。その事件に加えて<ボタニスト>による連続殺人事件が発生します。その二つの事件をいかにワシントン・ポー、NCA/SCASの警部・フリンと分析官のティリー・ブラッドショーのチームが解き明かすのか?
 既に多くのレビュアーによってこのファンキーで、オフビートで、パズラーとしても説得力のある傑作について詳細が書かれてしまっているでしょうから私からは2点だけ付け加えたいと思います。
 1。「おれのことはジョン・スタージェスと呼んでくれ」(下巻 p.169)。その一文だけで既に作者がいかに<エンタメ性>に力を入れているのかが(笑)理解できます。
 2。ポーと誰かの恋愛関係は、この凄惨なはずのスリラーに英国で作られた恋愛映画のエッセンスを存分に振り撒いています。まるで"Harrods"に足を踏み入れた瞬間に嗅ぐ圧倒的なフレグランスのように。
 ◾️「ボタニストの殺人 上・下 ワシントン・ポー "The Botanist"」(M・W・クレイヴン 早川書房) 2024/9/16。
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No.5:
(4pt)

不可能としか言いようのない事件がポーを追い詰める

公開番組撮影中の毒殺、殺害予告を受けて…厳重な要人警護下の毒殺、3人目を保護し隔離した病院へのアタックと…しかし、どれも被害者が服毒した原因は不明!加えてポーの友人ドイルが殺人の容疑で逮捕されてしまい、雪の上に残されたひと組の足跡がドイルを不利な状況に追い込んでしまう。二つの事件はそれぞれ不可能としか言いようのない有り様で解明を急ぐポーを追い詰める。作中に言及されるディクスン・カーの短編に『空中の足跡』と云うまさに雪上に残された足跡のトリック作品が在るが、ここではどういう結末を迎えるのだろうか?
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No.4:
(5pt)

安定の面白さ

ポー、ティリー、フリン、そしてドイルと安定の掛け合いと面白さ。
この小説の世界観が好きです。
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No.3:
(4pt)

ポーはまた一歩踏み出して他人との垣根を取り払う

二つのパターンの密室殺人…毒殺はトリックと云うより科学的必然で、雪に残された一組の足跡はトリックではなく偶然、とかくミステリーの謎解きは作者の手前味噌に成りがちだが、この自然体のアンサーが物語の質を保っていると感じた。ポーの洞察力とティリーの超分析力、そしてドイルの知識が足並みを揃えるとき…事件はその真相を白日の下に晒される。そして何よりも復帰したフリン警部を加えた彼・彼女たちの微笑ましいやりとりが魅力的だ。今回、ポーはまた一歩踏み出して他人との垣根を取り払う。そうそう、犬のエドガーもチャーミングだ。
ボタニストの殺人 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:ボタニストの殺人 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.2:
(4pt)

ポーたちが天才化学者に挑む

<ワシントン・ポー>シリーズ5作目。
イギリスで人種差別や女性差別等を声高に発信しマスコミにも注目されていた くそ野郎どもが、次々と突然死する怪事件が起こる。共通するのは事前に押し花とメッセージともとれる詩が送られていたこと。
一方、ポーとこれまで事件解決にあたってきた病理学者ドイルが、殺人の疑いで逮捕される。
ポーは同僚のブラッドショーやフリン、現地の警察署の捜査官らとチームを組んで、両事件の真相解明に奔走するのであった…。

ぎりぎりエンディングまで興味深い展開だった。作者はこの分野のことをよく下調べし、仕掛けも考えられていると思った。
ただ、前作あたりからだんだん長くなってきており、本篇はとうとう上下巻にまで拡大。充実してはいるが、下巻中盤あたりでは中だるみも感じた。

直接日本が舞台になるわけではないが、西表島や魚のふぐ毒が題材になっている。冒頭のシーンは太平洋戦争時に非情なる悪行を重ねた日本の「731部隊」を彷彿させる。犠牲者が「漢民族」というのも、戦時中のことかと思っていたら、現在のこととして語られているところにはちょっと驚いた。おそらく意図して戦時中の事実に絡めたのだろう。

今回ポーは周り中ほぼ女性陣に囲まれて事件解決にあたる。警察のリーダークラスに女性が多いところは日本と異なるとつくづく感じる。現実はどうかわからないが。
ドンパチやアクションがほとんどない、どちらかというと頭脳プレーの警察物語。ポーが過去のいきさつにより(?)銃所持を許可されていないせいでもあるが。
ポーとブラッドショーは本当にいいコンビだが、終盤の若干違和感のあるエピソードによって、ブラッドショーの出番が減っていったのがちょっと残念だった。このシリーズはふたりの名コンビぶりが中心の物語なので。(年代が違うし男女の関係になるとは思っていなかったが)
シリーズ初め頃にはポーの出自について徐々に解き明かされていく節もあったが、最近は進展していない。あれで終わったのだったかな。
今後も楽しみだが、あまり冗長になるのは避けてほしいと思う。
ボタニストの殺人 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:ボタニストの殺人 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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