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冬期限定ボンボンショコラ事件



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【この小説が収録されている参考書籍】
冬期限定ボンボンショコラ事件 (創元推理文庫)

冬期限定ボンボンショコラ事件の評価: 4.55/5点 レビュー 51件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.55pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全51件 41~51 3/3ページ
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No.11:
(3pt)

ユーモアからミステリーへ

このシリーズは、始めはユーモアたっぷりでしたが、最終章に向かってはちょっとしたミステリーの雰囲気に変わってきましたね。まさに米澤さんの作風と言えるでしょう。物語全体を通して死の影は薄かったものの、終盤には少し感傷的な気分にもなります。しかし、最後には思いがけずすっきりとした終わり方を迎えて、安堵しました。物語が無事に完結して良かったです。そして、意外な密室トリックもあって、読後感も大変良かったです。
冬期限定ボンボンショコラ事件 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:冬期限定ボンボンショコラ事件 (創元推理文庫)より
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No.10:
(5pt)

推理癖の功罪を改めて確認しながら、それでも推理することで生きていく二人の未来へ

車に轢き逃げされて骨折した小鳩君は大学受験を棒に振ることになります。失意の中、病院のベッドで回想するのは、3年前、中学3年生の時に、ほぼ同じ場所で起き、犯人を探った轢き逃げ事件の顛末です。実は小山内さんとはこの時に知り合ったので、〈小市民〉シリーズの第0巻に相当する事件です。結果として謎解きでは被害者を救うことにならず、場合によっては逆に傷つけてしまうことを思い知らされるという、小鳩君にとってとても苦い経験だったことが明かされます。だから能力をひけらかさない小市民をめざした。
ここで本シリーズの基盤がはっきり再確認されるのです。
一方、小鳩君轢き逃げ事件の方は、小鳩君はベッドから動けないし、小山内さんは何故か小鳩君と話ができないし、警察に任せるしかないかと思いきや、小山内さんの気付きを起点に二人の推理が進み、最後の最後での犯人との手に汗握る対決へ。
似て非なる二つの轢き逃げ事件を巡ってミステリーの醍醐味を味わわせての謎の解明とともに、小鳩君と小山内さんの生き方が選択され、〈小市民〉シリーズが完結します。高校生活お疲れ様。大学生活で二人がいっしょに何をするか、明るい日が差している気がしますが、それはまた別のお話、ってとこでしょう。
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No.9:
(5pt)

よき

犯人は誰でしょう。
とても面白かった。
主人こうに感情移入して読むというところに仕掛けがあるとは。
よきです。
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No.8:
(5pt)

巻を措く能わず

著者のシリーズの中ではこれが一番好きで(氷菓よりも)、続きが出るのを長らく待っていました。やっと届いてその厚みに喜び、一気読みです。この甘さとちくちく感の混ざり具合、このシリーズならではです。甘いパフェは苦手、というかほとんど食べたことないですが、こってりパフェを食べつつ青春時代の苦ーい思い出をいじりたくなりました。やりませんけど。
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No.7:
(5pt)

「小市民」の物語は正しく完結へ。そして、米澤穂信はさらなる黄金期へ。(ネタバレなし)

絶品。もちろん、毒入りではあるが。

まず構成が見事だ。ここ数年の米澤作品はどれもそうだが、語りの仕掛けと目的がはっきりしており、頁を捲る手が止まらなくなる。
本作の仕掛けとは、あらすじにもあるとおり、「現在:突然の交通事故に襲われた高校3年冬の小鳩」と「回想:中学3年初夏、小鳩と小佐内の初邂逅」の二本線が交互に進んでいく「一粒で二度美味しい」ストーリーラインである。それぞれが典型的な「Who Done It?(犯人当て)」ではあるのだが、前者は病床に縛りつけられたいわば「安楽椅子探偵」、後者は汗をかきながら事件に体当りする「捜査官もの」の好対照をなしており、飽きさせない。

陰影を形作るのは語りの愉しみだけではない。このシリーズのファンならば知っているとおり、「三年前」の物語とは、(小鳩自身の言葉を借りるなら)彼が「愚かだった」頃の話である。つまり、小鳩がその探偵志向の絶頂にあった頃の事件、そして彼の決定的な変容を余儀なくさせた「小市民前夜」のエピソード・ゼロだ。
だからそれは、一口目から胸騒ぎがする味わいである。直接語られる追憶はむしろ甘酸っぱい若さで溢れているというのに、いやだからこそ、読者は待ち受ける苦味の予感につねに注意を強いられることになる。
実際、ストーリーの早い段階で提示されるその後味は、まだ十代の語り手が背負うにはあまりにしんどい。第一章の途中に仄めかされる残酷な現実に、溜息が出る。苦い「過去」の余韻が、比較的静かな「現在」の小鳩の時間を後ろ側から掻き乱すのだ。本シリーズは「日常ミステリ」のジャンルに恥じない軽妙さと一抹の刺激のバランスを売りにしてきたが、完結編である本作は、ポップなタイトルからは想像できない深刻さに満ちている。

と、それでもページを捲る手が止まらないのは、キャラクターの魅力に尽きる。なにしろ、長い春夏秋冬の「互恵関係」を続けてきた小鳩と小佐内のふたり、その最終章なのだ。
小鳩は「古典部シリーズ」の折木奉太郎と同様、いわば「主体的にならないこと」を指針に掲げている。そのモットーが否応なく揺さぶられるのが彼らの物語なわけだが、千反田えるという「事件」に巻き込まれていく折木とは異なり、小鳩にとってのトリックスターである小佐内ゆきは彼の手をとり先導しはしない。対等な関係にある彼女自身も、小鳩同様の食わせ物として、「他者を攻撃・翻弄しないこと」という訓戒に自身を縛りつけ(たり、失敗したりし)ながら生きている。彼らの間に持続する、スイートだが多分のスリルを孕んだ緊張感こそがシリーズの魅力であった。

ところが、である。これらのテーマ、つまり「自我とどう折り合いをつけて生きるか」という彼らの煩悶は、『秋期限定』の結末において、すでに一応の決着を見た。
では、完結編たるこの『冬期限定』では何が語られるのか?
ネタバレにならぬよういえば、ことは「近年の米澤穂信が何を書いているか」という問題にも帰着するように思う。かつての著者は、登場人物たちの「己」に燃えさかる自意識や業といったものを物語の核に据えることが多かった。その自然な帰結として、「他者」が無言で突きつける悪意や攻撃性が、謎のエッセンスとなっていた。自他の関係の中で引き裂かれる叫びが物語の通奏低音として響いていた。
しかし、ある時期から米澤作品は趣を変えた。そこで描かれる「他者」たちは、誰しもがそれぞれの事情の中で傷を負い、それでもなお偽りを抱えて日々を生きている。やむにやまれぬ嘘を隠すために謎が生まれるわけだが、いきおい探偵役となり真実を解き明かす主人公たちは、秘密が秘密としてある理由と意味を真摯に受け止める。そしてその解明の責任を引き受けるために苦心する。表裏一体として、「己」に対する拘泥は弱まっている。
一言でいえば、それは、複雑な「他者」と生きていく晦渋を受け入れたということである。もっとありていにいえば、大人になったのだ。
だから、ミステリの中心は、謎あるいは真実の少し「外側」へと向かう。つまり、「なぜ真実は隠されたのか」。あるいは、「なぜその謎は解き明かしえないのか」。
彼我の違いがもたらす鮮烈な苦味よりも、それを受け入れて生きることの重厚な渋味へと、米澤作品の味わいは変わったのだ。

『冬期限定ボンボンショコラ事件』も、そのような物語である。謎の置かれた襞に、どんな模様が隠されているのか。それを暴くことの責任をどのように引き受けるのか。
読者諸賢に向けて予言すれば、三年前の事件の「仕掛け」はあまりにも簡単なものだ。しかし、仕掛けが素朴であることは謎が万人に対して平明であることを意味しない。なぜ中学生の小鳩が問題に苦戦するのかを考えながら読まれると、味わいの深みが増すだろう。三年前までの彼が無自覚に信じていたこと。それが小鳩の目を曇らせるのだ。
そして、その信念が手痛い形で失われたこと。それが何を意味するのかは、過去のシリーズ作を読んできた読者であればよく知っている。だが、三年という時間が、そして小佐内との関係が、小鳩をさらに変えたことも知っている。長い屈託を経て、彼にはようやく、その責任と帰結を引き受ける準備ができた。そしてその傍らには、小佐内もいる。
「小市民」の物語は始まりの瞬間に立ち戻って、然るべき終りを迎える。物語の最後を見届けよう。さまざまな味わいが混じり合った、しかし紛れもない青春の果てにふたりが辿り着いた、ひとつの必然がそこにはある。米澤穂信は、「小市民シリーズ」の然るべき結末をきっちり書いたと、私は思う。

ところで、最終盤に待ち受ける隠し味について一言。
むろん詳述はしないが、一気読みで迎えた午前四時、レビュー者が思わずベッドの中で悶絶したことだけは記しておきたい。私は、米澤穂信が高く評価している作家の「一単語の作品名」を思い出し、「とんでもないものをぶっこんできやがったな」と震えた。
そしてその後で、これは別の隠し味なのだが、『春期限定』から始まる彼らの物語を振り返り、しみじみと最終頁の言葉の意味を考えた。
『冬期限定ボンボンショコラ事件』、毒入りである。その甘い毒は私の脳裡に焼きつき、消えてくれそうにない。もう一口食べられる日を期待せずにはいられない。
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No.6:
(4pt)

綺麗な構造の小市民シリーズ新作。そしておそらく最終巻

小鳩君がひき逃げにあい、重傷で入院して、回想で過去のひき逃げ事件を思い出しながら、現在の事件と交互に謎解きする話となっています。
この過去の事件が小佐内さんと最初に出会った事件であり、二人の〈小市民〉となるルーツともいえる事件です。
秋季の事件を経て、平凡であることを受け入れて成熟した二人と過去の中学生で未熟な二人との対比ができる構造になっていて、美しいです。このあたりは巻末の解説を読んで欲しいです。
事件そのものは、日常の非日常というもので大きいものではないので、極端に大仕掛けなトリックや摩訶不思議があるものではありません。
小鳩君入院で出会うものも少数な話で、過去に読んだ、巨大組織が特定の人間を隔離誘拐監禁するために作られた偽装事故からの偽病院なんて話はないかと一瞬思いましたが、当然そんな壮大で非日常な話ではありません。
なので、特にどんどん情報が明かされていく過去の事件は、読者からすると「なぜ小鳩君たちはその可能性を調べないのか?」と思うものが描かれないので、真相にわりと気がつきやすいです。
過去の事件に関して言えば、小佐内さんが自分の復讐優先させずに警察に話せば、すぐ解決していた事件だったでしょう。
そのあたりの自分たちをすごいものと思っていた傲慢さや未熟さがまさに描かれています。
そういう意味で、このシリーズの終わりで、シリーズ内で小鳩君たちが感じ反省したことの集大成を描いています。
始まりと終わり、過去と現在、行動と病室と複数が対比して描かれています。

一方で、現実におこってもおかしくない事件や人物で描かれているために、派手さやキャラ個性の魅力は弱く、エンタメとしてのパンチ力には欠けるところもあります。

そしてこのシリーズらしく、お菓子があまり事件とは関係ありません。
まあ比喩表現的関わりくらいありそうですが。
ショコラがお見舞いの品ですが、年末のプレゼントとして小佐内から小鳩君に渡されるのが、お歳暮みたいなものと思えば、付き合いへの暗喩かもしれません。
そして「甘く苦い」ショコラという、過去と現在の想いや経験と重ねているかもしれません。
この「甘く」という言葉と作中ラストの言葉で「ロミオとジュリエット」を連想しました。
再会を願い、バルコニーで夜会ったロミオとジュリエットのセリフで有名なのが『おやすみ。さよなら。別れはこんなにも甘くせつない』。
ショコラをあげることで小鳩君に別れのおやすみと再会を伝えるようにも思えました。今回はすれ違いで会えない二人というのもそれを連想しました。
同級生の一人が事故にあい、その敵討ちと義憤にかられた考えなしの行動から事件へつながり、損害をこうむる形や、仮死状態から残した相手へ不安を与える作りなど、今回はロミオとジュリエットに似たドラマも採用しているように感じました。
ロミオとジュリエットは若さと考えなしの行動が悲劇に繋がったわけですが、彼らとは色々な意味で違うからこそ未来がある二人という形でしょうか。
綺麗に作られすぎて、私はあまりいれこめませんでしたが、シリーズ完結にふさわしい綺麗な良作でした。
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No.5:
(4pt)

春夏秋冬,そして,さらに…

※以下の内容には【ネタバレ】が含まれる可能性があります

時は違えど,あまりに類似点が多い二つの事件を行き来する構成に不自然さがなく,
かといって,単純ではない構造と,事件の真相へと迫っていく流れに引き込まれます.

また,そこに二人の出会いと,珍しくもある関係の成り立ちが描かれるとともに,
少年がずっと目を逸らしていた失敗と後悔,そして少女の意識の変化を絡めるなど,
『それまで』と『これから』をやはりうまく見せ,最後は過去のスイーツを振り返り,
過ぎていく冬から,迎える春,さらに…と,希望と余韻を残す幕引きが印象に残ります.

ただ,現場となる堤防道路の構造がピンと来ず,平面での見取り図はありましたが,
斜め上から見たものがあれば,もう少しイメージがしやすかったのではと思いました.

ともあれ,『 春期~ 』から20年でのひと区切り.完全な終了ではないとのことなので,
時間は進むのか,戻るのか,また甘くて,ちょっと苦い一品を楽しみにしたいところです.
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No.4:
(5pt)

もはや・・・寝る前に読んではいけない一冊

何を書いてもネタバレになりそうなので、書けることもなく、レビューも難しいですが。
このシリーズが2004年に始まったとは、全く思えないほど、まるで昨日の出来事のように、主人公たちは生き生きと、動いて見えます。
一つ言えるのは、この本は仕事を控えた夜に読んではいけないということ。途中で栞を挟むことは、作者が許してくれないようです。
まるで品川駅で山手線に乗ったつもりが、間違えて新幹線「のぞみ」号に乗ってしまったようなものです。
無闇に下車できず、新横浜あたりで降りればいいと簡単に思っていたら・・・気づいたら大阪を過ぎていたような・・・とにかく一気に引き込まれることは間違えなく、しかし気づいた頃には終着駅。
タイトルに似合わず、初夏の夜のなんともいえぬ匂いに似合う、素敵なおはなしでした。
主人公たちはきっと元気にしているはずですが、私は明日の仕事起きれるのだろうか・・・
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No.3:
(5pt)

超面白い

読みやすいし、結末に近づくにつれぞわぞわしてくる感じが良かった。
氏の作品でよく見られる青春の全能感と無能感を強く感じられるが、読後感は良い感じ。
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No.2:
(5pt)

チョコのように甘くない、苦みたっぷりのミステリー

正直、秋期限定のラストの締めは、
これ以上に小市民シリーズとしての終幕として、
相応しいものはないのではないかと思っていた。

だけど、冬期限定を読んでみれば、
不思議とこれ以上に長編完結に相応しいものはないと思いなおす。

面白い小説とは、その後の物語が読みたいと、
願ってしまう作品なのだと実感する。
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No.1:
(5pt)

待望の続編

まず前作を読み終えてから次回作が待ちきれなかったので比較的早く出版されてよかったです。
 古典部シリーズが好きな方は小市民シリーズも好きになると思うので是非一読していただきたいです。
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