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ことり
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ことりの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.29pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全57件 21~40 2/3ページ
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登場人物たちがみな不器用な感じで、どこか、そつなく振る舞えないところがある。コミュニケーション不足から、本心は伝わらず、時には大きな誤解を生みトラブルとなっていくこともある。特に主人公の「小父さん」がそうで、そのため、とても哀しく切ない物語となっている。明るい部分があまりないストーリーである。読んで元気が出るタイプの本ではない。しみじみと、生きるということに伴う悲哀を感じさせる。 | ||||
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近年、これほどの文章力を持った作家には接したことがない。また、感性も高く人間の本能をくすぐる。 題材は身近であり説得性も高い。この人こそノーベル賞をとるべきであろう。 | ||||
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久しぶりの長編ということで、楽しみに読ませていただきました♪ メジロのこと、(お兄さんの(オリジナルな))言語のこと、あるいは、巷での「ムード」の作られ方などについても、考えさせられることが多々ありました。 | ||||
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読み進めるのが惜しいくらいで一語一語噛みしめるような気持ちになった こころや情景の描写の美しさ、まじめに生きることの美しさが詰まっている 何度読み返しても美しさに涙が出る なんという作品だろう ずどーんと胸にブローチのようにくっついてしまったバイブルのような一冊 | ||||
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静かで地味で単調な日々の中に、その人なりの満足感や幸せがある 世の中、明るくて元気で社交的な人が好まれるが、根暗で人付き合いが苦手で、独りが落ち着く人もいる そんな人の幸福感を、小鳥を中心に丁寧に書き綴った物語 | ||||
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書店でウロウロしていた時にパッと目に入りました。 自分も鳥が好きなので購入したのですが、 なんとも表現しにくいのですが、 美しく優しくでも儚く壊れてしまいそうな、私にとって大切な1冊になりました。 | ||||
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この世界観、じっくり読み進みたい本です。 小鳥のおじさんと、お兄さん。 兄弟の不思議な世界。 最後のカタルシス。 小鳥のさえずりに対する愛。 世俗的な欲望と、対局な生き方。 人生のアナザーワールドを、 考えさせられる作品です。 自閉症的な人の中に伺われる真実と、 普通の人の冷淡さ。 図書館司書への報われぬ愛。 報われぬ小鳥への愛。 すべからく報われぬ小鳥のおじさんだが、 読後には、奇妙な共感と安堵かんが与えられる。 「はぁー」と言う読後感を与えてくれる一冊です。 | ||||
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半世紀近くも前、松山善三さんの映画のタイトルです。その映画もある障害者の一家の物語でした。 「ことり」を読み終えた時に浮かんだ言葉でした。そしてしみじみと泣けました。 市井の片隅に静かにひっそりと暮らした、兄弟だけの人生が優しい眼差しで語られています。 小さな小鳥でも自分の運命を受け入れ、なんの迷いもなくただひたすら生きる。 この兄弟もそうだったんだなと思いました。いい本を読みました。 | ||||
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何とピュアな人だろう。まさに、「ことり」の様に雑念もなく、ただ「生きる」ことのみに、それは小鳥が「愛」を歌うことだけに生きている様に、生きています。 主役の「小鳥の小父さん」は、鳥の言葉を語るようになり人間の言葉を忘れてしまった兄と長く暮らしていました。その兄もなくなり、小父さんはバラ屋敷の管理人を務めると共に、ボランティアで幼稚園の小鳥小屋の清掃をして毎日を過ごしています。しかし、その穏やかな平穏な日々がやがて崩れてゆきます。園長の交代による幼稚園からの締め出し、バラ屋敷の売却と言うことで、年齢もあって「なすべきこと」を失います。その後は、偏頭痛に悩まされ、苦しい日々を過ごすことになります。 そんな彼を救ったのは、傷ついて飛べないメジロでした。彼はメジロを医者に連れてゆき、羽の骨折の治癒に努め、まだ「愛の歌」を知らないメジロに「歌」を教えます。そんな日々の後、メジロに看取られて彼の人生は終焉を迎えます。 こんなピュアな人たちは、現代社会においては様々な軋轢に会い、世間の隅っこに押しやられ、肩身狭く生きてゆくことしかできないのでしょう。この小説は、そうした人たちへの「愛の賛歌」であり、「ことり」を置くことによって、彼らの小さな「しあわせ」を願っている様に思えます。 久しぶりに、読後の清々しさを覚えた作品でした。 | ||||
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ことりのおじさんの姿や動作がはっきりと浮かんでくる。このおじさんについて一冊も書くエピソードがあるのかしらと思いつつ初め頃は読んでいたけれど、結局一気に読んでしまった。切ないけれど心惹かれる、生き方を考えさせる一冊でした。 | ||||
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優しく、切なく、寂しく、悲しく、静かな物語でした。 決してハッピーな読後感ではありませんが、それでもどこか暖かい。 途中何度か「小鳥が飼いたい‥‥」と思ったりしましたが、いや、やはり鳥は自由に空を飛べた方がいいでしょう。 春が来てメジロの声を聞くようになったら、この作品を思い出して涙が出そうです。 | ||||
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もうずいぶん会っていない伯父が亡くなった。実感もわかないまま自宅にお参りに行く。よもやま話をしていてふと伯母の口をついて出た本だった。「それって、まるで小川洋子の『ことり』みたいね」。最近、近所の保育園や幼稚園の子どもに声をかけると「知らない人とはお話しできません」といって逃げられるという、そんな話をしていた。興味をもって読んでみた。孤独死が発見されるというサスペンスドラマの一幕のような場面から始まる。陰惨な物語かと思いきや、その予感は裏切られ、読後、とても静かな、幸せともいえる気持ちになった。カバーの挿画から感じ取られたとおりの静謐、調和、孤独、の絶妙なブレンドを味わった。 保育園の鳥小屋の掃除を「ライフワーク」にしていることりの小父さん。天涯孤独の老人が亡くなった。残されたのは古い家と荒れた庭と小鳥一羽。寂しい人生だ、と誰もが思うだろう。彼の人生の物語をたどりながら見えてくるのは、そんなふうにしか思えない自身の心の貧しさである。 小父さんには家族がいた。鳥のさえずりに似た独自の言語を話す兄。両親を早くに亡くした兄妹は、二人だけにわかる言葉を絆にときどき「架空旅行」に出かけるほかは、どこにも行かず毎日同じように静かで豊かな時をともに過ごした。小父さんには恋した人がいた。図書館で鳥の本ばかり借りる小父さんに話しかけてくれた司書の女性。小父さんは自分の職場に彼女を招いて優雅なお茶をした。おじさんには素敵な仕事があった。見事なバラ園のある古い館をすみずみまで知り尽くしていた。保育園の鳥小屋の掃除をしながら、小鳥を誰より愛した亡くなったお兄さんと心を通わせた。小父さんには気にかけてくれる人がいた。鳥小屋の掃除をしてくれる小父さんに感謝と親愛の情を伝えてくれた保育園の園長さんと、お兄さんの好きだったキャンディをずっと置き続けてくれた薬局の店主。小父さんには鳥がいた。可愛さと賢さと健気さに命を与えたらこんな生き物になるだろう。小父さんの拾ったメジロは“天才”的な美しい声でさえずった。小父さんは亡くなり、メジロは誰の手も届かないところに逃げてしまった。これは孤立と疎外の話に見えて、その実、自由と開放の物語である。 何を持っていないかではなく何を持っているかにやさしい光を当てた物語。「暗いままの明るさを生きよ」を般若心経の教えだと説かれた松原泰道先生の言葉を思い出した。 | ||||
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ゆっくりとこういう小説が読めるのはなんて幸せなことなんだろう。抑揚はないが静かにただ静かに流れる物語。切なさと優しさと寂しさがごちゃ混ぜに胸を埋め尽くし豊かな気持ちになれる。 | ||||
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一般社会から切り離された生活を送る兄弟の世界。精神的な異常を伴ってはいるが、決して狂気ではなく、限りない優しさがある。人物像の微妙な違いが明瞭に描き出され、移り変わる情景も映像としていつまでも心に残る。しかし、語り口は淡々として冷たく、過不足のない美しい文体自体を存分に味わうことができる。作者ならではの才能を感じる、極めて優れた作品だと思った。何度も読み返したくなる。 | ||||
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2016/1/24(日) ことり 小川洋子 朝日文庫 静謐な世界観。「悼む人」を思い起こさせる。 社会の仕組みから外れたところに佇む人たちは、仕組みの中にいる人にとって、いないも同然に扱われる。 たまさか、そんな辺境の人が「中の人」とほんの少しだけ交わることがある。 辺境の人の一人。「小鳥の小父さん」の一生を水彩画のような色合いで描いた物語。 孤独感は強く押し出されているけれど、それはどういう種類の孤独なのか。 ただただ耳を澄まして、人生を歩いた辺境の人の孤独は不思議と明るくて美しい。 | ||||
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古本屋さんでジャケ買いをしました。 小川洋子さんの本を読むのは『ブラフマンの埋葬』に続き2冊目です。 はじめ、この物語は“小鳥の小父さん”と呼ばれるちょっと世間とは上手く(器用に)馴染めないおじさんの、切ない一生のお話なんだなと思っていました。 でも本当にそれだけのお話だったら読み続けるのが苦痛になりそうなものだけれど 実際はとても面白かった、、というか途中から加速度的に読むのが止まらなくなったのです。 うまく説明がつかない感情で最後まで読み終わり、上手く言えないけどしみじみ良かったと思っていたところ 最後に載っていた解説で“小鳥の小父さん”のような人たちのことを小川さんが“取り繕えない人たち”とおっしゃっていて そうか!これは取り繕えない人が自分を偽らず正直に生きた一生のお話なんだ!とポジティブな解釈になりました。 生きているとどうしても自分の気持ちに嘘をつかなければいけない状況がだれにでもあると思いますが、 小父さんは徹底して最後まで自分の気持ちに嘘をつかずに行動しています。 たとえ誰にどう思われようとも。 「もっと上手く立ち回れば良いのに!」と、読んでて若干イライラすることもある程に、、、^^; 端から見ていたら幸せな一生には見えないかもしれないけれど、小父さんは取り繕えないからこそ 正直に生きられて、ある意味とても満足だったんだろうな、そうあって欲しいな、と感じました。 そして、自分ももう少し自分の感情に正直に生きたい気持ちになりました。 余談ですが、小川さんは日常のささやかなものや事を美しく表現するのがとても上手な方だなと思います。 『ブラフマン〜』のときは病気のお母さんのために人の家のキッチンを借りて裏ごしに裏ごしを重ねた黄金色のスープの描写がとても印象的でしたが、今回は小父さんのお兄さんがポーポー飴の包み紙で繊細に小鳥のブローチを作るさまが目に浮かぶようでした。 出来上がったレモンイエローの小鳥のブローチはすごく美しいんだろうなと想像します。 | ||||
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生きるというのは、周りから尊敬される立派な人物になるとか、歴史に名を遺すとか、 そういう「ひとから高く評価されること」じゃないんだな~って思えました。 人生に、そんな他人のモノサシは(本当は)要らない。 自分を生きること。自分になること。 主人公とそのお兄さんは、小鳥の世話をすることに専心していて、 世間からはまるで評価されていない。 だけれども、小さいながらも清らかにまっすぐに、自分の世界を生きている。 一般社会に左右されて、自己を見失ったりはしない。 なんだか、いいなあ♪こういう作品、とても好きです。 わたしもこんなふうに、誰に何を思われてもいいから、自分が愛するものをいちずに見つめて、 小さく静かに自分自身を生きていけたらいいなあ♪と思いました。 それは、ささやかだけど、なんという大きな幸福だろう。 派手な事件は起こらないけど、穏やかさと優しさに満ちたステキな物語です。 | ||||
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ことりが好きなので、タイトルとカバーに惹かれて購入。 ことりの美しく豊かな描写。 主人公の小父さんを取り巻く、狭いけど過不足ない世界。ごく普通で取るに足りない世界だけど、温もりがあって、読み手の私の中にもその世界が広がっていく。ありふれた景色のようで、どこか幻のような、淡い世界。 物語は、終始どこか切なくとも、美しかったです。 読み終わった後も余韻に浸りたくて、読み返してしまいます。 | ||||
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やや現実離れした物語でも、あたかも自然のことのように、 「当たり前じゃないですか」とつぶやくように、紡がれていく。 本作もまた、小川洋子ワールド全開だ。 ファンタジックで、やさしく、やわらかく、丁寧に、淡々と、物語が語られる。 読み終わったあとに、消化しきれない「何か」が心に引っかかっている。 それが何なのかワカラナイから、しばらく小川洋子ワールドが抜け出せない。 かといってイヤな気持ちではなく、夢遊のような、そんな感じ。 | ||||
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小川洋子さんの作品はいつでも弱い人たち(あえてこの言い回しをする)への労わりと慈愛に満ちていると思う。 繊細な筆致で綴られる、温かくも切ないエピソード。 この『ことり』という作品中には、(著者の他作品の例に漏れず)その世界観を象徴するいくつかの、独特で印象的な要素が登場する。 読み進める中で、それらひとつひとつが繋がり折り重なっていくように感じる。 著者の作品を読むことでしか得られない静寂、唯一無二な時間を今回も味わうことができた気がする。 | ||||
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