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蒼天の鳥
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蒼天の鳥の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.62pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
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時は1924年。舞台は鳥取県である。田中古代子(こよこ)は作家だ。今日は娘の千鳥(ちどり)と映画を見に来た。タイトルは「探偵奇譚ジゴマ」である。怪盗ジゴマが活躍する映画である。その上映中、映画館が火事になり、観客は逃げ出す。古代子と千鳥も逃げようとしたが、そこで信じられないものを見る。フィクションのはずのジゴマが、なんと実際に映画館に現れたのだ。ジゴマは持っていた短刀で観客の男を刺した。そして古代子たちにも向かってきたが、2人は抵抗して何とか逃げのびた。 追ってくる者もなく、あれは幻だったのかもしれないと古代子が思っていた時、再び短刀を持ったジゴマが古代子たちの前に現れたが、古代子の内縁の夫、涌島がジゴマたちを撃退した。ついでに書いておくと、涌島は共産主義者である。 同業の尾崎翠(みどり)にこのことを話すと、信じてくれた。そして、自分たちでジゴマたちの正体を探ろうと提案された。古代子と千鳥、そして翠の3人は新聞社に行き、映画館で殺された男が右の肩にAを○で囲んだ入れ墨をしていたことを知る。 千鳥は、自分を訓導してくれている加村という先生が同じ入れ墨をしていたと言う。 涌島によれば、そのマークは過激なアナキスト団体のマークらしい。日本にいるのは「夜盗会くずれ」と呼ばれるグループだという。正式には「露亜党」という。 フーダニットの小説であり、一筋縄ではいかないところはさすがに乱歩賞受賞作である。そしてこの作品には女性解放の強いメッセージが込められている。 ミステリーとしては、それほど群を抜いているというわけでもない。 完全なフィクションと思っていたが、調べてみると、田中古代子、千鳥、尾崎翠は実在の人物であった。実在の人物を使ったことで、作品全体にリアリティーが加わっているといえる。 | ||||
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何を読もうか⁈迷っていた時に、友人に薦められ、又、2023年の江戸川乱歩賞受賞作品ということで、興味を持ち読みました。Kindleで読んだのですがAmazonのポイント還元が良く、ラッキーでした。 脚本家の方が書かれた小説なので、安心して読めました。筆運びも良く、すぐに 作品世界に入り込めました。友人によると、最後に???があるのですが、わたしはなんとなく分かり、さほど驚きませんでしたが、終始楽しく読めました。特に好きだったのは、小さな探偵千鳥ちゃんです。最後の実世界の紹介の方が驚きました。残念ながらわたしは知らない方でしたが、その分自由に読めました。 | ||||
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地元が舞台ということで、興味を持ち注文、小さい頃の鳥取を思い出しながら、一気に読みました。地元の名称も出てくる度にワクワクしながら読みました。賞の受賞をきっかけに出会えて良かったです。 | ||||
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鳥取県出身の脚本家三上幸四郎氏による本年度の乱歩賞受賞作。 1924年(大正13年)の鳥取を舞台に、記者出身の女性作家田中古代子、その娘千鳥、古代子の内縁の夫で社会主義者涌島という実在の人物達が、連続殺人事件の探偵役をつとめる時代ミステリーである。 田中古代子は鳥取ではよく知られた作家のようだが、その先輩格の尾崎翠のように、大復活して、作品が岩波.ちくま.河出の3文庫に収録されているほどの全国的ビッグネームではない。恥ずかしながら、私は、この本を読むまで全く知らなかった。 本書には、その尾崎翠も古代子の友人として登場するが、探偵役ではない。 ストーリーはもちろん完全なフィクションである。 私的感想 ○100年の鳥取を舞台に、「新しい女」の主張を描くことを志す新進女性作家を主人公にしたのは大変興味深い。 ○しかし、起きる事件も、事件に関わる展開も、主人公の探偵ぶりもかなり活劇調、戦前大衆文藝調で、波瀾万丈である。 ○この「新しい女」のフェミニズム主張と、活劇調波瀾万丈展開という結び付きにくいものを巧みに結び付けている点がお見事と思う。面白かった。 ○しかし、この活劇調の展開をくだらない(すみません)、つまらないと感じる読者がおられることも理解できなくもない。 私的結論 ○個人的感想として、本書で一番素晴らしいのは「終局」と思う。これを読んで、すっかり感動してしまった。傑作である。 ○結局、本書の最大の伏線は、偏✕✕と気✕✕✕であった。 蛇足 ○日本海新聞の去年の動画には「田中古代子映画」クランクイン前の出演者の下見の光景が載っている。「幻影〜浜村天使殺人事件〜」という60分のサスペンス映画で、今年3月に完成公開されたようである。 | ||||
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